個人事業主が予防接種にかかった費用を、経費として計上することはできるのでしょうか。
また医療費控除になるのか、福利厚生費として計上できるのかについても解説します。
個人事業主で予防接種を受けたい方はぜひ参考にしてください。
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個人事業主は予防接種費用を経費にできる?
個人事業主は、自分が受けた予防接種に関して、その費用を経費として計上することはできません。
事業主の家族である青色専従者の予防接種でも、計上することは不可能です。
ただし個人事業主が従業員を雇っていれば、すべての従業員に対して行う予防接種に限り費用を経費とすることができます。
個人事業主の予防接種費用は「医療費控除」になる?
続いては、個人事業主の予防接種費用が「医療費控除」になるかどうか解説します。
医療費控除にはならない
結論として、個人事業主本人が支払った予防接種の費用は医療費控除の対象外です。
医療費控除は治療のための費用が対象であり、予防のための費用である予防接種は対象外となります。
その年の1月1日から12月31日までの間に自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合において、その支払った医療費が一定額を超えるときは、その医療費の額を基に計算される金額(下記「医療費控除の対象となる金額」参照))の所得控除を受けることができます。これを医療費控除といいます。
医療費控除の対象には、歯科医師や医師による治療、診療を受けた際の費用、療養や治療のために購入した医薬品の費用、診療を受けるための入院費などが該当します。
一方で、治療を目的としない予防接種、異常がないと判断された上での健康診断・人間ドック、健康を増進させる目的で購入したビタミン剤などの費用は、原則として医療費控除の対象外となります。
なお、病院へ行くために公共機関を利用した場合の交通費は医療費控除の対象となることがありますが、自家用車で通院した場合のガソリン代や駐車料金は医療費控除の対象外です。
セルフメディケーション税制適用の場合もある
医療費控除の対象外ではありますが、医療費控除の特例であるセルフメディケーション税制は適用になる場合もあります。
国税庁によると、セルフメディケーション税制は以下のように説明されています。
健康の保持増進及び疾病の予防として一定の取組を行っている方が、その年中に自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族のために12,000円を超える対象医薬品を購入した場合には、「セルフメディケーション税制」(通常の医療費控除との選択適用)を受けることができます。
インフルエンザの予防接種や定期予防接種以外の「一定の取り組み」には、以下のようなものがあります。
- 市区町村が実施しているがん検診
- 勤務先で行われている定期健康診断
- メタボ検診などの特定健康診査および特定保健指導
- 市区町村が実施している健康増進目的の健康診査
- 健康保険組合などが行う人間ドックやがん検診など各種健診・検診
セルフメディケーション税制は、医療費控除よりも利用するハードルが低く、誰でも簡単に申請することができます。
しかし、セルフメディケーション税制と通常の医療費控除を同時に利用することはできません。
どちらか選択する必要がありますので注意しましょう。
「参考:セルフメディケーション税制とは」
個人事業主の予防接種費用は「福利厚生費」になる?
続いては、個人事業主の予防接種費用が「福利厚生費」になるかどうか解説します。
福利厚生費になる場合もある
個人事業主の予防接種費用は基本的に個人負担になりますが、従業員の予防接種費用は一定の要件を満たせば福利厚生費として計上できます。
以下で適用となる条件を詳しく解説します。
すべての従業員に対して行う予防接種
従業員を雇用していれば、すべての従業員に対して行う予防接種に限り、その予防接種費用を「福利厚生費」とすることが可能です。
福利厚生費とは、個人や法人が雇っている従業員に対して、月々の給与や賞与以外にサービスや保証を支給するための費用です。
ただし、通常の予防接種費用3,000~20,000円程度という相場に対し、著しく高額なものは福利厚生費として認められません。
所得税や雇用保険料、社会保険料の計算にまで影響が出てしまいますので、福利厚生費を計上しようとする際には十分注意しましょう。
業務上の必要がある予防接種
海外へ事業を展開する目的で入国の際に行う予防接種や、医療従事者の予防接種など、業務をする上で必要な予防接種を事業者が提供する場合は福利厚生費として計上できます。
この場合、一部の従業員のみを対象としていても、福利厚生費として経費計上できる場合があります。
福利厚生費として計上する際のポイント
予防接種を経費計上する際の注意点として、以下2つも理解しておきましょう。
- 全従業員を予防接種の対象にしている際に、体調が優れず予防接種を受けられない従業員がいる場合でも、接種対象として機会は設けているため、福利厚生費とすることができる。
- 海外に渡航する従業員が業務上必要で予防接種を受ける際に、海外に渡航予定はなく国内で働く従業員が自分の意志で予防接種を受ける場合、その経費は福利厚生費とすることができない。
また、出向者や派遣社員など、自分と雇用関係を直接結んでいない従業員の予防接種費用は、福利厚生費として経費計上することができません。
出向者は雇われている出向元の会社、派遣社員は雇われている派遣元の会社での経費となります。
参考個人事業主の福利厚生費について詳しく紹介している記事はこちら
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予防接種費用の仕訳・勘定科目
予防接種費用の仕訳と勘定科目について解説します。
予防接種費用の仕訳
個人事業主や法人で従業員を30人雇っており、予防接種の合計費用が150,000円だった場合、仕訳は以下のようになります(税抜経理方式)。
借方 | 貸方 | 摘要 |
福利厚生費 136,364円 仮払消費税 13,636円 |
現金 150,000円 | 従業員30名分の予防接種代 |
予防接種費用の勘定科目
繰り返しになりますが、予防接種費用には「福利厚生費」という勘定科目を利用します。
上記で解説した条件を満たしておらず「福利厚生費」として扱われない場合は、基本的にその費用は個人で負担しなければなりません。
それでも事業者が予防接種費用を負担した場合は、給与として扱われるため源泉徴収が必要です。
福利厚生費に該当する予防接種費用を経費として計上する際の流れは、下記のどちらかによって変わってきます。
- 従業員が各自で医療機関に行って費用を立て替える場合
- 事業者がまとめて費用を支払う場合
まとめて支払うのであれば、請求書や領収書もまとめた形で受け取ることが可能です。
従業員が各自で医療機関に行って予防接種を受け、費用を立て替えてくる場合は、各自がきちんと領収書を持ち帰りましょう。
まとめ
- 個人事業主本人の予防接種費用は、経費として計上できない
- 個人事業主自身の予防接種費用は、「医療費控除」にも適用されない
- 「セルフメディケーション税制」という医療費控除の特例を受けられる可能性がある
- 予防接種費用は「福利厚生費」として計上できる場合がある
- 予防接種費用の仕訳には「福利厚生費」の勘定科目が利用できる
個人事業主は、本人や青色専従者を含む家族が受けた予防接種費用を、経費として計上することはできません。
また個人事業主自身の予防接種費用は経費とすることも、医療費控除の対象とすることもできません。
ただし従業員を雇用している個人事業主は、「業務上、予防接種を打つ必要がある」「すべての従業員が対象である」「予防接種費用が著しく高額でない」という条件を満たす場合に限り、従業員の予防接種費用を「福利厚生費」として経費計上することができます。
予防接種費用の仕訳をする際には、勘定科目等をしっかり確認しましょう。
個人事業主の予防接種についてよくある質問
最後に個人事業主の予防接種についてよくある質問に回答します。
個人事業主はインフルエンザ予防接種を経費にできる?
個人事業主自身がインフルエンザ予防のために打つ予防接種費用は、青色専従者などに関わらず経費にすることはできません。
ただし個人事業主で雇用関係にあるすべての従業員を対象に、インフルエンザの予防接種を行う場合は経費にできます。
予防接種費用は課税対象?
ワクチン接種の代金には、消費税がかかります。
消費税を課すことが好ましくないものの1つに「社会保険診療」があります。
いわゆる保険が使える医療のことで、一部の医療費を負担し、残りは保険料から賄われます。
しかし社会保険診療にあたらない「自由診療」と呼ばれるものには消費税がかかり、その一つがワクチン接種です。
個人事業主の検診費用は経費にできる?
個人事業主の検診費用は、医療費控除の対象に含めることはできず、経費としても計上できません。
検診は病気の治療ではなく、あくまで予防のための費用であり、医療費には該当しないためです。
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細かなことでも、きちんと整理しておいたほうがいいのですがなかなか難しいと思います。
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