個人事業主は労働基準監督署に相談できる?代替案を紹介

コラム

個人事業主の中には、

「個人事業主は労働基準監督署に相談できるのか」

「個人事業主のトラブルはどこに相談すれば良いか」

「個人事業主のトラブルにはどんなものがあるのか」

という疑問を持つ方は多いでしょう。

そんな方のために、今回は個人事業主がトラブルに巻き込まれた時の対処法について紹介します。

この記事を読むと、個人事業主のトラブルに関する疑問点が解消されるでしょう。

労働基準監督署とは


労働基準監督署とは、企業が労働基準法や最低賃金法、労働安全衛生法などの労働関係法令を守っているかを監督する機関です。

労働基準監督署の業務内容は、労働者や雇用者からの相談対応や、企業の労働条件の確認・指導、安全衛生の指導などです。

企業が労働関係法令に違反している場合、労働基準監督署は違反企業の取り締まりも行います。

違反行為には、次のようなものが該当します。

  • 労働者の意思に反する強制的な労働
  • 不当解雇
  • 残業代の未払い
  • 退職金の未払い
  • 労災隠し
  • 違法と判断される長時間労働
  • 従業員に健康診断を行わない
  • 療育補償や休業補償、障害補償の未払い
  • 遺族補償の未払い
  • 労災防止措置を行わない
  • 18歳未満の未成年や妊娠中女性の労働
  • 産業や育休を認めない

【登録無料】独立・開業の専門メディア「アントレ」

アントレならいつでもどこでも、パソコンやスマホで1日10分から独立・開業について学べます。
会計の基礎知識や経費のこと、副業やフランチャイズのことまで幅広く解説しているので、スキマ時間で無駄なくレベルアップしませんか?

無料で使えるツール・コンテンツをたくさんご用意していますので、ぜひ一度ご覧ください。

個人事業主は労働基準監督署に相談できる?


結論から言えば、個人事業主は労働基準監督署に相談することはできません

個人事業主は雇用されている労働者ではないため、労働基準法が適用されないのです。

労働基準法とは、1947年に制定された、労働者における労働条件の最低基準を定めた法律です。

そのため、労働基準法が適用されるのは、「会社に雇用されて給料を受け取る労働者」になります。

労働者と、個人事業主などの業務委託先との区別は、仕事の発注者と請負者の間に指揮命令関係が生じるかによって判断されます。

自身が労働者なのか、業務委託契約なのかの判断が難しい場合は、以下の基準を考慮してみてください。

  • 仕事の依頼、指示等に対する諾否の自由の有無
  • 業務の内容や遂行方法に対する指揮命令の有無
  • 勤務場所、時間の指定の有無
  • 業務用機械や器具の所有や負担関係、報酬の額

(参考:独立行政法人 労働政策研究・研究機構|「労働者」の定義

個人事業主は「フリーランス・トラブル110番」に相談しよう


近年、さまざまな働き方に伴い、フリーランスや個人事業主として活躍する方も増えてきました。

しかし、個人事業主と取引先との間では、報酬の未払いや契約解除によるトラブルも発生しています。

そんな中、2020年11月25日に「フリーランス・トラブル110番」という、フリーランサーが無料で弁護士に相談できる事業がはじまりました。

フリーランス・トラブル110番の概要

フリーランス・トラブル110番は、第二東京弁護士会が運営事業者で、内閣官房、公正取引委員会、厚生労働省、中小企業庁などと提携して行われています。

第二東京弁護士会とは、会員数6,000名ほど在籍する、全国で2番目に弁護士の数が多い弁護士会です。

信頼度が高く、さまざまなトラブルに対応できる体制が整っています。

そんな弁護士会が運営する、フリーランス・トラブル110番では、労働基準法が適用されない個人事業主やフリーランスの相談を受けつけています。

ハラスメントや、報酬の未払い、突然の契約解除など、仕事上でのトラブルが発生した際は、何でも相談することが可能です。

フリーランス・トラブル110番の対象

フリーランス・トラブル110番の対象になるのは、フリーランスや個人事業主などの労働基準法上の労働者ではない方です。

具体的には、以下のような職種が該当する可能性があります。

  • スタイリスト
  • 美容師
  • ハンドメイド作家
  • アナウンサー
  • トラック運転手
  • スポーツインストラクター
  • クリエイティブデザイナー
  • コピーライター
  • Webデザイナー
  • ライター
  • エンジニア
  • プログラマー
  • ダンサー
  • 音楽家

他にも、フリーランスにはさまざまな職種があります。

自分の働き方が労働者に該当するか迷った場合は、該当するかわからない旨を伝えながら相談することもできます。

(参考:第二東京弁護士会|フリーランス・トラブル110番

フリーランス・トラブル110番の特徴

フリーランス・トラブル110番の特徴は3つです。

秘密厳守で相談できる

完全匿名、秘密厳守で相談が可能です。

個人事業主の中には、相談したことが取引先にバレるのが不安だという心配もあるでしょう。

しかし、フリーランス・トラブル110番では、弁護士に名前を明かすことなく相談することができます。

無料で相談できる

信頼できる弁護士に、無料で相談できます。

個人では解決が難しいトラブルも、経験と知識が豊富な弁護士が和解あっせんまで無料で行ってくれます。

電話やメール、Web会議でも相談できる

メールでのやり取りが難しい場合、電話やWeb会議での相談も可能です。

Web会議では、資料を見せながら相談ができるので、スムーズに相談ができます。

フリーランス・トラブル110番の相談例

フリーランス、トラブル110番での相談事例を2つ紹介します。

個人事業主やフリーランスでトラブルに悩んでいる方は、1人で抱え込まずに相談してみるのがおすすめです。

雑誌制作会社から報酬の返金と損害請求があり悩んでいた

雑誌制作会社より、ヘアメイクの依頼を3万円で受けたAさん。

ヘアメイクで使用するコテでモデルの服に穴を開けてしまったため、報酬3万円の返金と50万円の弁償代を要求されました。

そこで、フリーランス・トラブル110番に相談したところ、和解あっせん手続きにより、報酬の返金は無し、弁償代5万円でトラブルが解決されました。

報酬アップの交渉に引き受けてくれなかった

配達員であるBさん。労働時間や条件に対しての報酬が低すぎるため、報酬を引き上げてもらうよう交渉しました。

しかし、取引先は取り合ってくれず、フリーランス・トラブル110番に相談。

1日の報酬を時間給で換算し、仮に雇用契約であれば最低賃金を下回ることを説明したところ、報酬の見直しに成功しました。

(参考:第二東京弁護士会|フリーランス・トラブル110番

まとめ

  • 個人事業主は労働者ではないため、労働基準監督署に相談することができない
  • 個人事業主やフリーランスのトラブルは、フリーランストラブル110番に相談
  • フリーランストラブル110番は、匿名秘密厳守で相談可能
  • フリーランストラブル110番は、無料で相談可能
  • フリーランストラブル110番は、電話やWeb会議でも相談可能

今回は、「個人事業主のトラブルはどこに相談すれば良いか」について解説してきました。

上記のポイントを押さえれば、個人事業主やフリーランスがトラブルに巻き込まれた際に、焦らず対応できるでしょう。

タイトルとURLをコピーしました