個人事業税がかからない業種とは?免除される基準を解説

コラム

個人事業税は、すべての業種にもかかると思っていませんか?

実は、個人事業税がかからない業種もあります。

では、どのように区別されるのでしょうか?

「個人事業税がかかる業種と、かからない業種があるって本当?」
「個人事業税がかからないのは、どのような業種なの?」
「自分の業種は個人事業税の対象なの?」

本記事では、上記のような疑問や不安を抱えている方のために、個人事業税がかからないのはどのような業種なのか、その判定基準をわかりやすく解説します。

また、個人事業税の納付が必要な業種でも、免除されるケースも紹介します。

ぜひ最後までお読みください。

個人事業税にはかかる業種とかからない業種がある


個人事業税とは、個人で事業をおこなっている人がその事業所得に対して納める税金です。

しかし、すべての個人事業主が個人事業税を納めなければならないわけではありません。

個人事業には、法定業種と非法定業種の2種類があります。

個人事業税の納付が必要な業種は「法定業種」と呼ばれ、法律で定められた特定の業種のことです。

一方で、法定業種以外の業種のことを非法定業種と呼びます。

法定業種とは、下表に記載されている業種です。

法定業種には第1種事業〜第3種事業まであり、それぞれの業種によって税率が3%〜5%と違います。

区分 税率 事業の種類
第1種事業
(37業種)
5% 物品販売業、保険業、運送取扱業、飲食店業、料理店業、遊覧所業、船舶定係場業、倉庫業、商品取引業、金銭貸付業、周旋業、物品貸付業、不動産売買業、駐車場業代理業、広告業、不動産貸付業、請負業、仲立業、製造業、興信所業、印刷業、問屋業、案内業、出版業、冠婚葬祭業、両替業、土石採取業、写真業、、電気供給業、電気通信事業、席貸業演劇興行業、運送業、公衆浴場業(むし風呂等)旅館業、遊技場業
第2種事業
(3業種)
4% 畜産業、水産業、薪炭製造業
第3種事業
(30業種)
5% 医業公証人業、設計監督者業、不動産鑑定業、歯科医業、弁理士業、弁護士業、税理士業、歯科衛生士業、司法書士業、薬剤師業、獣医業、デザイン業、コンサルタント業、歯科技工士業、公認会計士業、測量士業、諸芸師匠業、計理士業、美容業、理容業、土地家屋調査士業、社会保険労務士業、海事代理士業、行政書士業、クリーニング業、印刷製版業、公衆浴場業(銭湯)
5% 医業公証人業、設計監督者業、不動産鑑定業、歯科医業、弁理士業、弁護士業、税理士業、歯科衛生士業、司法書士業、薬剤師業、獣医業、デザイン業、コンサルタント業、歯科技工士業、公認会計士業、測量士業、諸芸師匠業、計理士業、美容業、理容業、土地家屋調査士業、社会保険労務士業、海事代理士業、行政書士業、クリーニング業、印刷製版業、公衆浴場業(銭湯)

参考:東京都主税局「個人事業税」

上記の業種で事業をおこなっている人は、個人事業税の納付が必要です。

一方、法定業種以外の業種で事業をおこなっている非法定業種に該当する人は、個人事業税の納付が必要ありません。

では、個人事業税がかからない非法定業種とは、どのようなものがあるのでしょうか?

次の項で紹介します。

個人事業税がかからない業種


個人事業税がかからない「非法定業種」と呼ばれる業種は、主に以下の6つです。

上記の業種は、事業所得の計算方法が特別だったり、所得の性質が特殊だったりするため、個人事業税の課税を免除される場合があります。

ただし、上記の業種に該当しても、すべてに個人事業税がかからないわけではありません。

個人事業税の課税は、事業所得の金額や地方自治体の条例によって異なります。

個人事業主の方は、自分の業種や所得に応じて、適切な税務処理をおこなうようにしましょう。

以下では、それぞれの業種について詳しく解説します。

IT関係の業種

IT関係の業種とは、インターネットやコンピューターを使って事業をおこなう業種のことです。

例えば、以下のようなものがあります。

  • Webサイトやアプリの制作
  • ソフトウェアやゲームの開発
  • プログラミングやデザインの教育
  • オンラインショップやブログの運営
  • SNSや動画サイトのコンテンツ制作

上記の業種では、物理的な商品やサービスを提供するのではなく、情報や知識の提供がおもな事業内容です。

そのため、法定業種には含まれず、個人事業税がかかりません。

ただし、具体的な成果物が求められるような業務内容の場合は、請負業や製造業と判断されることがあります。

この場合は、個人事業税が課税される可能性があります。

スポーツ関係の業種

スポーツ関係の業種とは、スポーツに関する事業をおこなう業種のことです。

例えば、以下のようなものがあります。

  • スポーツ選手やコーチ
  • スポーツインストラクターやトレーナー
  • スポーツイベントの企画や運営
  • スポーツ用品の販売やレンタル
  • スポーツジャーナリストや解説者

上記の業種では、スポーツの技術や経験を活かして事業をおこないます。

法定業種には含まれず、個人事業税がかかりません。

絵に関する業種

絵に関する業種とは、絵を描くことに関する事業をおこなう業種のことです。

例えば、以下のようなものがあります。

  • 絵画やイラストの制作や販売
  • 絵本や漫画の執筆や出版
  • 絵画教室やワークショップの開催
  • 絵画展やアートフェアの参加や主催
  • 絵画鑑定や評論

上記の業種では、絵の才能やセンスを活かして事業をおこないます。

法定業種には含まれず、個人事業税がかかりません。

ただし、仕事内容によっては、デザイン業と判断されて課税対象となる可能性もあります。

音楽に関する業種

音楽に関する業種とは、音楽を演奏などをおこなうことに関する事業をおこなう業種のことです。

例えば、以下のようなものがあります。

  • 歌手やミュージシャン
  • 作曲家や編曲家
  • 音楽教室やコンサートの開催
  • 音楽配信やCDの制作や販売
  • 音楽評論やラジオパーソナリティ

上記の業種では、音楽の技術や表現力を活かして事業をおこないます。

法定業種には含まれず、個人事業税がかかりません。

言語に関する業種

言語に関する業種とは、言語を使うことに関する事業をおこなう業種のことです。

例えば、以下のようなものがあります。

  • 翻訳や通訳
  • 執筆や編集
  • 講演や司会
  • 語学教室やガイド
  • ナレーションや声優

上記の業種では、言語の知識やコミュニケーション力を活かして事業をおこないます。

法定業種には含まれず、個人事業税がかかりません。

農業や林業などの業種

農業や林業などの業種とは、自然の資源の利用に関する事業をおこなう業種のことです。

例えば、以下のようなものがあります。

  • 農作物や畜産物の生産や販売
  • 林木や木材の生産や販売
  • 土地や水田の管理や貸し出し
  • 農業体験や農産物直売
  • 農林水産関係のコンサルタントや指導員

上記の業種では、自然と共生しながら事業をおこないます。

法定業種には含まれないため個人事業税がかかりません。

個人事業税の納付が必要な業種でも免除されるケース


前述した法定業種で事業をおこなっている場合、原則として個人事業税を納める必要があります。しかし、以下の2つの条件のいずれかに該当する場合は、個人事業税が免除されます。

それぞれ詳しく解説します。

士業事業所得が290万円以下

個人事業税は、事業所得に対して課税されます。事業所得とは、事業によって得た収入から必要経費を差し引いた所得のことです。

例えば、売上が1,000万円で経費が700万円だった場合、事業所得は300万円になります。

個人事業税には事業主控除が適用されます。

そのため、個人事業税の納付が必要な業種でも、事業所得が290万円以下の場合は個人事業税が免除されます。

事業主控除は、事業をおこなった月数によって変動しますので、1年未満の場合は月割で計算します。

具体的には、以下の表のとおりです。

事業をした月数 事業主控除額
1ヵ月 242,000
2ヵ月 484,000
3ヵ月 725,000
4ヵ月 967,000
5ヵ月 1,209,000
6ヵ月 1,450,000
7ヵ月 1,692,000
8ヵ月 1,934,000
9ヵ月 2,175,000
10ヵ月 2,417,000
11ヵ月 2,659,000
12ヵ月 2,900,000

参考:東京都主税局「個人事業税」

12ヵ月事業をしていれば満額の290万円が控除されますが、事業を開始してからの期間が短い場合は控除額も少なくなるため、注意が必要です。

過去3年間に赤字がある

個人事業税は、事業の収支状況に応じて課税されます。

赤字とは、事業の収入が必要経費よりも少ないことを指します。例えば、売上が500万円で経費が600万円だった場合、事業所得は100万円の赤字になります。

個人事業主は、青色申告をしていれば赤字を3年間繰り越すことができます。

繰り越した赤字が翌年以降の黒字と相殺してプラスにならなければ、個人事業税はかかりません。

まとめ

  • 個人事業税は、個人事業主が年間の所得に応じて支払う税金のこと
  • 個人事業税にはかかる業種とかからない業種がある
  • IT、スポーツ関係、農林業などは法定業種に含まれないため個人事業税がかからない
  • 事業所得が290万円以下や過去3年間に赤字がある場合は免除される可能性がある

本記事では、個人事業税がかからない業種免除される基準について解説しました。

個人事業主の方は、自分の業種や所得に応じて個人事業税の納付義務や方法を確認してください。

本記事を読むことで個人事業税に関する知識や理解を深めていただき、節税のヒントになれば幸いです。

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