「FXトレーダーは個人事業主として認められる?」
「個人事業主のFXトレーダーはどうやって税金対策すればよい?」
普段トレーダーとして活動していて、こんな疑問を持ったことはありませんか?
今回の記事では、FXトレーダーが個人事業主として開業する際のポイントや税金対策などを詳しく解説していきます。
今後、FXトレーダーとして開業を考えている方はぜひ参考にしてください。
この記事を監修した人
税理士:佐藤大貴
監修者プロフィール
上場企業の経理や事業管理として、10年以上業務に従事しながら税理士資格取得を目指す。
2022年に税理士資格を取得し、2023年税理士登録をおこない、4月に独立開業をする。
税理士業務もさることながら、企業での業務改善や学生に対する租税教室など、幅広く業務に携わっている。
無料で働き方診断してみる
10の質問に「はい・いいえ」で答えるだけ!
自分にピッタリの働き方がわかります。
23万人のデータから統計処理された情報だから、自分の意外な1面がわかります。
FXトレーダーは個人事業主になれる?
結論からいうと、FXトレーダーで個人事業主になるのは難しいといわざるを得ません。
個人事業主の一般的な解釈としては「開業届を提出して、個人で事業を営んでいる人」となります。
そして「事業を行う」ことを定義する要素の1つに継続性があります。
事業とは、独立、営利、有償そして反復継続しておこなわれるものです。
FX取引は継続性に欠ける側面があり、事業として認められづらいです。
そのため、個人事業主として事業を行っていると判断されないことが非常に多くあります。
事業所得と雑所得について
事業所得とは、以下の7つに分類される事業を運営することによって得た所得のことです。
前述した継続性を含め、反復、独立して行われている事業で得た利益とされています。事業所得にあたる事業は以下の7つです。
- 農業
- 漁業
- 製造業
- 卸売業
- 小売業
- サービス業
- その他の事業
対して雑所得の定義は曖昧な部分があり、一般的には以下の所得区分に分類されない所得とされています。
- 事業所得
- 配当所得
- 不動産所得
- 利子所得
- 給与所得
- 退職所得
- 山林所得
- 譲渡所得
- 一時所得
いずれかの所得区分にも当てはまらない所得として分類するためのもの、というイメージです。
つまり、雑所得以外の所得に該当しない場合、雑所得となります。
FXによる所得は、この雑所得として扱われます。
ただし、税率は固定で、所得税15%、住民税5%の分離課税となります。
FXトレーダーの収入を事業所得として認めてもらう方法
FXトレーダーが収入を事業所得として認めてもらうためには、税務署に継続的かつ反復的に所得を得ていると認めてもらわなければいけません。
前述した事業に対する定義に含まれる必要があるというわけですね。
1日あたりの取引量や継続性、その収入で生計が立てられているかがポイントになりますが、これらの判断に明確な基準はありません。
税務署によって説明自体が異なる場合もあるため、開業届などの申請の前に税理士などの専門家に相談しておくのがよさそうです。
FXトレーダーが個人事業主の開業届を出す際の注意点
FXトレーダーも開業届自体は問題なく提出でき、書類に不備がなければ受理してもらえます。
そのまま事業所得として、確定申告してしまう方も多いでしょう。
しかし、この時点でFXによる所得が事業所得として認められたわけではないのです。
確定申告の内容に疑問点があると、後日税務調査が行われることもあります。
誤りがあればこのときに修正が必要です。そして、場合によっては追加で税金を支払うこともあります。
開業届が受理されたとしても、事業所得として認められるわけではない点に注意しておきましょう。
個人事業主FXトレーダーの確定申告について
ここからは、個人事業主のFXトレーダーが支払う税金の確定申告について解説します。
経費や税金についても法人と個人事業主で比較していきます。
翌年の確定申告の際に、税金を支払うお金が手元に残ってないと納税できなくなってしまいます。
スムーズな納税をするために、翌年の納税額をある程度把握してお金を確保しておくことが大切です。
FX取引にかかる税金の計算方法
FX取引で得た利益を雑所得とする場合、以下の税金がかかります。
復興特別所得税とは、2013年1月1日~2037年12月31日の25年間にわたって、東日本大震災の復興に必要な財源を確保するための税金です。
法人と個人事業主どっちがお得?
結論からいえば、法人のほうが経費や税金の観点からお得になります。
個人事業主では経費として計上できないものでも、法人なら計上できるものがあります。
個人では事業として認められなくても、法人化すれば事業になります。
例えば、役員報酬や自宅の賃貸料をすべて住居費として計上することもできます。個人事業主は経費にできる範囲が狭いイメージです。
確定申告の際に経費として計上できる割合が増える分、支払う税金も少なく済みますね。
後ほど解説する経費の計上をどれだけうまくできるかで、実質的な収入も変わってきます。
個人事業主FXトレーダーができる節税対策
上手に節税対策ができると支払う税金が安くなるので、結果的に収入が上がります。
ここからは、個人事業主FXトレーダーができる節税対策を紹介しますので、ぜひ実践してみてください。
経費の計上
経費として認められるのはFX取引に関わるものだけです。何でも経費計上できるわけではない点に注意しておきましょう。
経費にできるものは、事業にとって必要なものだけです。
状況により異なりますが、主に経費にできるのはこちらです。
- 取引手数料
- PCやスマホなどの本体代金
- スマホなどの月額契約料金
- Wi-Fiなどの通信費用
- ソフトの購入代金
- 取引に必要なパソコンの周辺機器
- 本や電子書籍の購入費用
- セミナー参加費やそれにかかる交通費
- 税理士への相談料や確定申告書類の代理作成費用
- コワーキングスペースやカフェの利用料
- レンタルサーバーの利用料
Wi-Fiのようにプライベートと併用しているものは、FX取引に使用した割合を算出して計上する必要があります。
週や月ごとに使用した割合をメモしておくと、確定申告や経費計上をスムーズに行えますよ。
控除の申告
個人事業主のFXトレーダーも医療費などの各種控除を受けられます。これらを利用することで支払う税金を抑えられるので、節税に繋がりますね。
ちなみに、FXの所得にかかる基礎控除は原則48万円となります。
ただし、合計所得金額が2,500万円超の場合、基礎控除は受けられません。
条件はありますが、3年に渡って損失を繰り越せる繰越控除を受けられることも。前年に損失が出ていた場合、損失を繰り越して利益と相殺できます。
損失を繰り越す場合は、確定申告書の提出が必要です。
損益通算で利益と損失を相殺
複数の会社でFX取引をしている場合は、それぞれの損益を通算して相殺することができます。
例えば、A社で100万円の利益とB社で40万円の損失があるとします。このときに損益通算をしない場合は、100万円に対して税金がかかることになります。
しかし、損益通算をすると相殺した60万円に税金が発生することになります。この結果、支払う税金が安くなるというわけです。
この例の場合、40万円にかかる税金分を節約することができます。
40万円×20%=8万円の節税効果があります。
この損益通算はFXに関わらず、株などの所得でも適応可能です。
参考個人事業主の節税対策については、こちらで詳しく解説しています。
まとめ
・個人事業主として認められるには、収入が事業所得として認められる必要がある
・開業届は提出できるが、事業所得として確定申告できない場合があるので注意
・主に経費の面で個人事業主よりも法人のほうがお得になる
・収入の確保には、経費計上と各種控除を使った節税が大切
FXトレーダーが個人事業主として認められるのは不可能ではないですが、かなり困難です。
その争点となるのは、FXによる収入が事業所得として認められるかどうかでしょう。
個人事業主のトレーダーも経費の計上や各種控除、損益通算を駆使することで節税を図ることができます。
無料で働き方診断してみる
10の質問に「はい・いいえ」で答えるだけ!
自分にピッタリの働き方がわかります。
23万人のデータから統計処理された情報だから、自分の意外な1面がわかります。