個人事業主を辞める時は何をすべき?廃業に必要な手続きを解説

廃業に必要な手続きを解説 個人事業主を辞める時は何をすべき? コラム

「個人事業主が事業を辞める時、どのような書類を用意すればいいの?」

「事業主を辞める時に気をつけるべきところは?」

このような悩みや疑問を持っている方もいるでしょう。

個人事業主にとって、事業を辞めることは人生を左右する大きな決断ですよね。

しかし、どうしても自分の事業を続けることができない状況に陥ることもあります。

健康や家庭の事情で継続することができない場合や、新しいビジネスチャンスが見つかり、今の事業を辞める場合も考えられます。

個人事業主が事業を辞める際には、適切な手続きや提出書類が必要です。たとえば、廃業届の提出や税金の申告などがあります。

ただし、個人事業は法人とは違い、税務署に報告が不要な手続きもあります。

また、事業形態や経営状況によって必要な手続きが変わるため、現状に応じて適切な手続きをすることが重要です。

本記事では、個人事業主が事業を辞める時に必要な手続きと注意点について解説します。

これから廃業を予定されている方は、本記事を参考にスムーズな廃業手続きを行ってくださいね。

個人事業主を辞める時は「廃業届」を提出しよう

所得税法第229条により、事業を辞める場合には「廃業届」を提出することになっています。

この届けがないと、国や自治体は個人が事業を運営しているかどうか判断ができないためです。

そのため、事業を始める時には開業届を提出し、辞める時は廃業届を提出することで、事業の開始と終了を国や自治体に報告する仕組みとなっています。

提出期限は廃業から1ヵ月以内で、納税地の税務署に提出します。廃業届を提出しないと、納税義務のない税金の支払いが必要になる場合があるので必ず提出しましょう。

廃業届の書き方

廃業届の書き方について、以下の項目ごとに詳しく見ていきましょう。

届出の区分

「廃業」欄にチェックし、廃業理由を記載します。

たとえば「業績悪化により事業継続困難」「健康上の問題により」「新たな事業への転換のため」など一文を記載すれば大丈夫です。

所得の種類

所得の種類は、事業所得、不動産所得などのなかから、辞める事業の所得種類を選択します。

一部の事業を継続する場合は、関連する所得の一部にチェックを入れます。

開業・廃業等日

廃業日の記載をします。廃業日によって、手続きの期限が変わるため、廃業日は慎重に決めましょう。

廃業の事由が法人の設立である場合

廃業の理由が法人の設立の場合、設立する法人の名前、代表者名、納税地、設立登記の日などを記載します。

開業・廃業に伴う届出書の提出の有無

消費税に関する「事業廃止届出書」や「所得税の青色申告の取りやめ届出書」を提出する場合「有」にチェックを入れます。

一方、消費税の支払いが不要である場合や白色申告を行っているときは「無」にチェックを入れましょう。

廃業届の提出方法

廃業届けの提出方法は以下の3つがあります。

税務署に持参する

1つ目の方法は、税務署に直接持っていく方法です。

手続きに不安がある方は、手続きの方法を説明してもらえるメリットがありますが、受付時間が限られる点と時間がかかる点がデメリットです。

受付時間は平日の午前8時半~午後5時まで。税務署によっては時間外収受箱が設置されており、受付時間外でも提出することが可能な場合もあります。

税務署に郵送する

税務署に郵送する場合は紛失を防ぐために、簡易書留や特定記録郵便、レターパックなどで送付することがおすすめです。

その際には、手続きに必要なマイナンバーカードや運転免許証、保険証などのコピーも同封しましょう。

廃業届の控えが欲しい場合には、控え用の書類と返信用封筒も同封しておくと、廃業届が受理されたあと、受理印が押された封筒を返送してくれます。

e-Taxで提出する

e-Taxは手続きが簡単で、どこでもできるのでおすすめの方法です。

e-Taxのソフトを起動して「個人事業の開業・廃業等届出書」をインストールし、項目に沿って手続きを行いましょう。

また、e-Taxの登録にはマイナンバーカードが必要となります。

e-Taxのダウンロードが必要な場合はこちらをどうぞ
 国税電子申告・納税システム (nta.go.jp)

個人事業主を辞める時に廃業届以外で必要な書類

個人事業主が事業を辞めるときには、廃業届以外にも申告に必要な書類があります。

消費税支払いや従業員の雇用状況により、提出が必要な書類が異なるため、何が必要か確認をしましょう。

青色申告の取りやめ届出書

所得税151条に基づき、青色申告を行っている場合は「青色申告の取りやめ届出書」を税務署に提出することになっています。

廃業届と同時に提出すれば、手続きの手間が省けるのでおすすめです。提出期限は、事業終了の翌年3月15日です。

消費税の事業廃止届出書

消費税法第57条第1項第3号に基づき、消費税の課税事業者は「消費税の事業廃止届出書」を管轄の税務署に提出しましょう。

また「消費税の事業廃止届出書」を提出しても、事業が継続していた年度の費税申告は忘れずに行いましょう。

個人事業税の事業廃止届出書

所得税法229条に基づき、個人事業税に関しては「個人事業税の事業廃止届出書」の提出が必要です。提出先は納税地の税務署です。

都道府県によって、廃業年度の必要経費に個人事業税の課税見込額を適用できる特例が認められることがあります。

給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書

所得税法第230条に基づき、従業員を雇っている方は「給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書」を所轄税務署に提出する必要があります。

期限は廃業日から1ヵ月後です。「個人事業の開業・廃業届出書」を提出した場合は「給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書」は不要です。

所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請書

所得税法第112条に基づき、予定納税義務のある場合、廃業時に「所得税・復興特別所得税予定納税額減額申請書」を提出する必要があります。

提出期限は、第1期および第2期分の減免申請は、その年の7月1日~15日までです。

第2期分のみの減免申請は、その年の11月1日~15日までとなっています。

提出先は所轄税務署です。申告納税見積額を記載した書類が必要となりますので、準備しておきましょう。

個人事業主を辞める適切なタイミングは?

廃業するときには、タイミングを検討しましょう。事業を辞めたあとに未処理の経費が返金されないためです。

経費として計上できる支出の申請が、すべて完了していることを確認してから辞めることをおすすめします。

また、年をまたいで辞めると、次の年度の事業所得に対して確定申告をしなければならなくなり、手続きが増えてしまいます。

できるだけ年内に手続きを済ませると、後々の手続きが楽になるでしょう。

個人事業主を休業したい場合は?

廃業でなく休業したいと思われる方もいるでしょう。しかし、個人事業に休業届などの書類は存在しません

なぜなら、個人事業主が休業しても、所得税や消費税の申告や納付に関して影響がないからです。

ただし、事業休止届の提出をすることで、個人事業税の支払いを止められる場合があります。

事業休止届は税務署に提出します。提出が可能な条件は、自治体ごとに異なることがあるため注意しましょう。

再び事業を始める場合は?

廃業届を提出したあとでも、再び開業届を提出すれば事業を再開できます。その際、青色申告が必要な方は忘れずに手続きしましょう。

もし、廃業のときに「青色申告の取りやめ届出書」を提出していない場合は、申告漏れとして青色申告の承認が取り消されることがあります。

青色申告が一度取り消されると1年間は青色申告ができず、赤字の繰越適用ができなくなるため、きちんと確認しておきましょう。

まとめ

  • 廃業届の書き方を知る
  • 廃業届以外に必要な書類を把握する
  • 事業を辞める適切なタイミングを検討する
  • 休業を希望する場合、個人事業税に関する手続きが可能なケースがある

廃業手続きの方法は、事業形態などの条件によって異なります。無駄な税金の支払いを避けるために、手続きの方法を十分に理解しておきましょう。

また、廃業のタイミングによっては経費が無駄になる可能性があります。手続き内容を慎重に検討した上で、廃業日を決定し、計画的に進めましょう。

個人事業主の廃業に関する手続きは多岐にわたります。しかし、一つ一つ丁寧に進めることでスムーズな手続きが可能となります。

事業を辞める際には、十分な情報収集と検討を行い、適切な手続きを行いましょう。

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