- 「個人事業税の納税通知書が来ないけど、何かのトラブル?」
- 「そもそも、個人事業税の納税通知書っていつ頃届くものだっけ?」
個人事業税は、個人が営む事業に対して課される税金で、所得に応じて課税されます。
税金を払う気があっても、払い損なってペナルティを受けるのは避けたい事態です。
本記事では、個人事業税の納税通知書が届く時期と届かない原因、その対処法、もし払い損なった場合どうなるかについて解説します。
納税通知書が届かない場合の不安解消に役立てるためにお読みください。
個人事業税の納税通知書はいつ届く?
個人事業税の納税通知書が届く時期は、原則として8月と11月です。
なぜなら、納付期限が8月末(第1期)と11月末(第2期)に定められているためです。
ただし事情により通常とは違う月に納付書が届く場合があります。
東京都主税局によると、確定申告で所得税の修正申告をした場合や更正・決定がおこわれた場合、通常とは違う月に納付書が届くケースがあるとしています。
計算のもととなる確定申告での所得額が定まるのが遅れる分、納付書の送付も遅れるためです。
また、事業を廃止した場合にも納付時期が変更になるとされています。
納付書の送付時期が違っても、送付時期に合わせた納付期限が設定されているため支払いに問題はありません。
ほかにも、納税額が低い場合には年1回になる都道府県もあります。
神奈川県や千葉県では、税額が1万円以下の場合、8月に1回のみの納付になるため、11月に個人事業税の通知が来ない場合は8月の通知で金額を確認してみましょう。
個人事業税の申告は必要?
個人事業税は、一人親方やフリーランスのような個人事業主に対して課される税金です。
個人事業税の申告は、原則、毎年3月15日までに都道府県税事務所に申告すると定められています。
しかし、所得税の確定申告や住民税の申告をしている人は、申告をもとに事業税の額が決定され、通知が届くので個人事業税の申告は不要です。
ただし、個人事業税が課せられるのは「法定業種」と呼ばれる70種類の業種のみです。
個人事業税の税率は3〜5%ですが、法定業種のなかでも事業によって税率は変わります。
以下の表が、法定業種と税率になります。
(引用:東京都主税局)
上の表に含まれない業種の個人事業主は個人事業税はかかりません。
一例として、文筆家やライター、画家、漫画家、システムエンジニアなどは法定業種に該当しないとされています。
ただし、事業で交わした契約が「請負契約」と判断されれば第1種事業となり個人事業税がかかります。
自分の事業が課税されるかどうか不明な場合は、都道府県税事務所に問い合わせてみるとよいでしょう。
個人事業税の納税通知書が来ない場合の原因と対処法
個人事業税の納付期限が近づいても納税通知書が来ない場合、以下のような可能性がないか確認してみましょう。
住居と事務所の住所が異なるケース
個人事業税は確定申告の所得をもとに算出されるのが一般的なため、住所地と事業所の管轄が異なる場合、納付書が届くのが遅れる可能性があります。
例えば、住所地は神奈川県、事業所は東京都にあるような場合、同じ都道府県内より情報の伝達に時間がかかるケースが考えられます。
もし、事業が忙しくて納税通知書が届いてからすぐ支払うのが難しいような場合には、あらかじめ都道府県税事務所に状況を確認しておくとよいでしょう。
税金が発生していないケース
納税通知書が来ないのは、そもそも納付すべき税金がなかったためである可能性もあります。
個人事業税には、すべての人が利用できる290万円の事業主控除のほかにも、事業の形態によっては以下のような控除が適用されます。
個人の事業税の事業専従者給与(控除)額 | 青色申告:その給与支払額(所得税の事業専従者給与額)
白色申告:配偶者の場合は86万円、その他の方の場合は1人50万円が限度 |
損失の繰越控除 | 青色申告者で、事業の所得が赤字(損失)となったときは、翌年以降3年間、繰越控除ができる |
被災事業用資産の損失の繰越控除 | 白色申告者で、震災、風水害、火災などによって生じた事業用資産の損失の金額があるときは、翌年以降3年間繰越控除ができる |
譲渡損失の控除と繰越控除 | 直接事業の用に供する資産(機械、装置、車両等。ただし、土地、家屋等を除く。)を譲渡したために生じた損失額については、事業の所得の計算上、控除できる
(青色申告をした方は、翌年以降3年間繰越控除ができる) |
(参考:東京都主税局)
上記のような控除のほかにも、たまたま課税対象の年だけ所得が少なかった可能性もあるでしょう。
例えば「長期のプロジェクトを受注してまとめて翌年に報酬が支払われる」ような形だと、仕事はしていても一時的に所得が少なく、控除額を超えなかった可能性もあります。
所得が控除額を確実に超えているといいきれないなら、一度確定申告書で前年度の所得を確認してみましょう。
個人事業税の支払い方法は?
東京都の場合、以下の6種類の支払い方法が利用できます。
①金融機関・郵便局・都税事務所・都税支所・支庁の窓口
②口座振替
③コンビニエンスストア
④スマートフォン決済アプリ
⑤金融機関・郵便局のペイジー対応のATM、インターネットバンキング、モバイルバンキング
⑥クレジットカード(インターネットを利用した専用サイト)
(引用:東京都主税局)
納付はATMやコンビニ、インターネットバンキングでもできるので、都道府県税事務所に出向く必要はありません。
個人事業税を払わないとどうなる?
売上から入金まで時間がかかることがよくある個人事業主では、資金繰りの都合で個人事業税を納付するタイミングに金銭の余裕がないケースもあるでしょう。
期限までに個人事業税を納付しない場合には督促状が送付され、納付時に延滞金がかかります。
参考までに、東京都の延滞金の率は下の表のとおりとなります。
(引用:東京都主税局 税金の支払い)
さらに督促状が送付されても納付しない場合、財産の差し押さえ処分を受ける可能性があります。
納税の猶予制度もあるので、もし納付期限までに支払いが難しいのなら、一度都道府県税事務所に相談してみましょう。
まとめ
- 個人事業税の納税通知書は8月頃と11月頃に来る
- 確定申告をおこなっていれば、個人事業税の申告の必要はない
- 個人事業税は法定業種の事業者が納付するものであり、法定業種に該当しなければ非課税である
- 個人事業税には事業主控除をはじめとする控除があり、税金が発生しないケースもある
- 個人事業税を払わないと延滞税がかかるので、納付猶予や減免制度がないか都道府県税事務所に相談するとよい
所得税、住民税に続いて、個人事業主が納付する必要があるのが個人事業税です。
納付時期と納付通知書の送付時期を覚えておき、納付漏れがないように気をつけましょう。