「個人事業主になったら、経費はどうやって計上するの?」
「経費にできるものとできないものの区別がわからない」
「経費を多く計上すれば節税になるの?」
個人事業主のなかには、このような疑問や悩みをお持ちの方が多いのではないでしょうか。
本記事では、個人事業主が経費にできる科目とできない科目との違いを、独立開業のプロが徹底的に解説します。
また、経費として認められるポイントや、プライベートの支出と経費を分ける方法、経費計上のために必要なものなども紹介します。
本記事を読むことで、個人事業主の経費に関する知識が深まり、不安や悩みが解消されるはずです。
ぜひ最後までお読みください。
この記事を監修した人
税理士:佐藤大貴
監修者プロフィール
上場企業の経理や事業管理として、10年以上業務に従事しながら税理士資格取得を目指す。
2022年に税理士資格を取得し、2023年税理士登録をおこない、4月に独立開業をする。
税理士業務もさることながら、企業での業務改善や学生に対する租税教室など、幅広く業務に携わっている。
個人事業主の経費はどれならOK?
個人事業主の経費とは、事業をおこなうために必要な支出のことです。
経費は、所得税の計算において、収入から差し引けます。
経費にできるものは、事業の遂行上必要であるものならほとんど認められます。
しかし、個人的な支出や事業と無関係な支出は、経費にできません。
経費について規定されている所得税法第37条には、下記のように書かれています。
総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用
つまり、支出した費用が業務(事業)について生じたものであれば、経費になります。
業務(事業)について生じたものでなければ、経費にはなりません。
また、業務(事業)について生じたものであっても、金額として相当な額でない場合は、経費として認められない可能性もあります。
上記を踏まえたうえで、個人事業主の経費にできる科目は以下のとおりです。
勘定科目 | 概要 | 経費になる例 |
地代家賃 | 賃借する土地や建物などの賃料 | 店舗や事務所などの家賃、駐車場代など |
修繕費 | 建物や設備などの資産にかかる修繕費用 | 壁紙の張り替え、エアコンの修理、パソコンの修理など |
水道光熱費 | 電気・水道・ガスなどの料金 | 事務所の電気代や水道代、ガス代など |
通信費 | 事業に必要な電話やインターネットなどの通信料金 | インターネット接続料金やサーバー代、はがきや切手などの郵便料金 |
旅費交通費 | 事業の遂行上使用した交通費、出張時の交通費・宿泊費 | 電車、バスなどの公共交通機関の運賃の他、タクシー代、飛行機代、宿泊費など |
広告宣伝費 | 商品やサービスの宣伝や広告にかかった費用 | パンフレット、チラシや看板、ポスターなどの印刷費用、新聞や雑誌への広告掲載料、WebサイトやSNSなどの宣伝費用など |
接待交際費 | 取引先や事業関係者に対する接待や交際にかかった費用 | 取引先との飲食代、プレゼント代など |
消耗品費 | 文房具、コピー用紙、パソコン、プリンターなど単価10万円未満の少額備品等の購入費 | ボールペンやノートなどの文房具類、コピー用紙やインクカートリッジなどの消耗品類、机やロッカーなどの備品類 |
新聞図書費 | 新聞、業務用の参考書、資料用DVDなどの購入費 | 新聞や雑誌の購読料、業務に関する書籍やDVDなどの購入代金 |
荷造運賃 | 商品の仕入れや販売にともなう運賃や梱包資材料 | 運送会社に支払う運賃、梱包資材の購入費など |
租税公課 | 事業に関係する税金や公共料金の支払い | 印紙税、登録免許税、自動車税(事業用)、固定資産税(事業用)など |
損害保険料 | 事業で加入する保険料 | 事業用資産の火災保険、賠償責任保険など |
支払手数料 | 銀行振込やクレジットカード決済などにかかる手数料 | 銀行振込手数料やATM手数料、クレジットカード決済手数料やコンビニ決済手数料など |
利子割引料 | 借入金や貸付金にかかる利息や割引料 | 銀行からの借入金利息、手形の割引料など |
給与賃金 | 雇用契約のある従業員に支払う給与や賞与など | 給与や賞与、残業手当など |
専従者給与 | 事業主と生計を一にする配偶者や親族などに対して支払う給与や賞与など | 配偶者やその他親族に対する給与(事前に届出をするなど一定の要件を満たす場合に適用) |
外注工賃 | 外部業者や派遣社員などの業務請負契約や委託契約による工賃や報酬 | Webサイトやデザイン制作費、広告制作などの委託費用や清掃費、派遣社員の人件費 |
福利厚生費 | 従業員の福利厚生にかかった費用 | 従業員の慰安旅行、健康診断費用など |
減価償却費 | 資産計上をした単価10万円以上の物品・ソフトウェアを分割して計上する費用 | 事務所の内装費用、高額の備品、機械
ソフトウェアなど |
貸倒損失 | 売掛金や貸付金などの回収不能となった債権の損失 | 取引先の倒産や廃業による売掛金の債権放棄、貸付金の債務不履行など |
未償却の繰延資産 開業費/創立費/社債発行費など |
事業を開始する際にかかった開業準備費用(事業を開始する前にかかった調査・研究費用や広告宣伝費用)や、設立準備費用(法人を設立する際にかかった登記手数料や印紙代など) | 未償却の繰延資産は、一括で経費計上できるが、5年以内で分割しての経費計上も可能 |
雑費 | その他の雑多な費用や少額の費用 | ゴミ処理料金や清掃料金など |
以下では、それぞれの科目ごとに詳しく解説します。
地代家賃
地代家賃とは、事務所や店舗などの事業用施設を借りるために支払った費用のことです。
地代家賃を経費にするには、借りている施設が事業用として明確なことが必要です。
借りている施設が事業用でない場合は、個人的な支出と判断される可能性があります。
また、金額が相当かどうかは、借りている施設の種類や規模によって判断されます。
経費にできる地代家賃の例は、以下のとおりです。
- 事務所や店舗などの建物を借りる際に支払った家賃
- 事務所や店舗などの敷地を借りる際に支払った地代
- 事務所や店舗などの建物や敷地を借りる際に支払った礼金(返還不要のもの)
地代家賃に関しては、以下の記事もご参照ください。
修繕費
修繕費とは、事業用資産(建物や機械器具など)を修理するために支払った費用のことです。
ただし、修繕費と減価償却費は区別しなければなりません。
修繕費は資産の価値を回復させるものですが、減価償却費は資産価値の経年劣化や消耗に対応するものです。
経費にできる修繕費の例は、以下のとおりです。
- 事務所や店舗の内装や外装の塗装や張替え(定期的な修繕)など
- 機械器具や備品の部品交換や点検など
- パソコンやスマートフォンなどの修理費用
修繕費でも20万円以上のものは、固定資産になる可能性があるため注意をしましょう。
水道光熱費
水道光熱費とは、水道・電気・ガスなどの公共サービスを利用するために支払った費用のことです。
ただし、自宅兼事務所などの場合は、事業用と個人用を按分しなければなりません。
事業用と個人用との按分は、次の方法でおこなえます。
- 事業用と個人用との割合を見積もって、その比率で経費にする
- 事業用と個人用との明細を別々に管理して、事業用のみ経費にする
- 事業用と個人用とのメーターを別々に設置して、事業用のみ経費にする
経費にできる水道光熱費の例は、以下のとおりです。
- 事務所や店舗などで使用する水道・電気・ガス料金
- 工場や農場などで使用する水道・電気・ガス料金
- 商品や原材料などを加工する際に使用する水道・電気・ガス料金
水道光熱費に関しては、以下の記事もご参照ください。
通信費
通信費とは、電話やインターネットなどの通信サービスを利用するために支払った費用のことです。
ただし、事業用と個人用の両方で使用している通信費は、事業用と個人用とを按分しなければなりません。
事業用と個人用との按分は、次のような方法でおこなえます。
- 事業用と個人用との割合を見積もって、その比率で経費にする
- 事業用と個人用との明細を別々に管理して、事業用のみ経費にする
- 事業用と個人用との回線や端末を別々に設置して、事業用のみ経費にする
経費にできる通信費の例は、以下のとおりです。
- 顧客や取引先と電話やメールなどで連絡する際に支払った電話代やインターネット代
- WebサイトやSNSなどで広告や宣伝をおこなう際に支払ったドメイン代やサーバー代
- オンライン会議やテレワークなどで使用する際に支払った通信料
通信費に関しては、以下の記事もご参照ください。
旅費交通費
旅費交通費とは、出張や営業などで移動するために支払った費用のことです。
ただし、旅費交通費は、移動先や目的が明確なことが必要です。
移動先や目的が不明確だと、個人的な旅行や趣味などと混同される可能性があります。
経費にできる旅費交通費の例は、以下のとおりです。
- 飛行機や新幹線などで出張する際に支払った旅費
- バスやタクシーなどで営業先や取引先へ移動する際に支払った旅費
- レンタカーや自家用車を使用した際に支払ったレンタル料やガソリン代
旅費交通費に関しては、以下の記事もご参照ください。
広告宣伝費
広告宣伝費とは、商品やサービスなどを宣伝するために支払った費用のことです。
ただし、広告宣伝費は宣伝内容や効果が明確なことが必要です。
宣伝内容や効果が不明確だと、個人的な趣味や嗜好などと混同される可能性があります。
経費にできる広告宣伝費の例は、以下のとおりです。
- 新聞や雑誌などの紙媒体で掲載する際に支払った広告料
- テレビやラジオなどの放送媒体で放送する際に支払った広告料
- インターネットやSNSなどのデジタル媒体で配信する際に支払った広告料
- 商品やサービスのパンフレットやカタログなどの印刷代
接待交際費
接待交際費とは、顧客や取引先などとの関係を良好に保つために支払った飲食代や贈答品代などのことです。
ただし、接待交際費は、相手方や目的が明確なことが必要です。
相手方や目的が不明確だと、個人的な友人や家族などと混同される可能性があります。
経費にできる接待交際費の例は、以下のとおりです。
- 顧客や取引先を飲食店やクラブなどに招待する際に支払った飲食代
- 顧客や取引先へ感謝や祝意を表すために贈ったお中元やお歳暮などの贈答品代
- 顧客や取引先などへ訪問する際に渡す手土産代
接待交際費に関しては、以下の記事もご参照ください。
消耗品費
消耗品費とは、事業をおこなう過程で消耗したものや使用するものに対し、支払った費用のことです。
ただし、消耗品費と減価償却費は区別しなければなりません。
消耗品費は、単価10万円未満の少額な備品となり、減価償却費は単価10万円以上の高額な備品が対象となります。
また、金額が相当かどうかは、消耗品の種類や数量によって判断されます。
経費にできる消耗品費の例は、以下のとおりです。
- 事務用品や文房具などの備品
- コピー用紙、トナー、インク
- 清掃用品や衛生用品などの掃除や衛生管理に使うもの
消耗品費に関しては、以下の記事もご参照ください。
新聞図書費
新聞図書費とは、事業に関する情報や知識を得るために購入した新聞や雑誌、書籍などの費用のことです。
新聞図書費を経費にするには、購入したものが事業に関することか明確でなければいけません。
購入したものが事業に関係ない場合は、個人的な支出とされる可能性があります。
また、金額が相当かどうかは、購入したものの内容や数量によって判断されます。
経費にできる新聞図書費の例は、以下のとおりです。
- 事業に関する最新のニュースや動向を知るために購入した新聞や雑誌
- 事業に関する専門的な知識や技術を学ぶために購入した書籍や教材
- 事業に関する参考資料やデータを収集するために購入したレポートや調査書
荷造運賃
荷造運賃とは、商品などの販売の際に運送、梱包するために支払った費用のことです。
ただし、商品や原材料などの仕入れの場合は、商品や原材料の取得価格に含めます。
経費にできる荷造運賃の例は、以下のとおりです。
- 商品を発送する際に宅配便などで支払った送料
- 備品の発送する際に宅配便などで支払った送料
- 段ボールなどの梱包資材費用
租税公課
租税公課とは、国や地方自治体に納める税金や公共料金のことです。
ただし、所得税や住民税などの納付額は収入から差し引く前に計算されるものなので、経費にはできません。
経費にできる租税公課は、主に以下のとおりです。
- 固定資産税や都市計画税などの不動産関係の税金
- 自動車税や自動車重量税などの自動車関係の税金
- 個人事業税や印紙税など
租税公課とは、税金(租税)と公課(罰金)の総称ですが、会計上は法人税や所得税、住民税などの所得に対して課される税金は、除きます。
住民税と経費に関しては、以下の記事もご参照ください。
損害保険料
損害保険料とは、事業用資産や事業活動に関する損害を補償するために加入した保険の保険料のことです。
ただし、損害保険料は、保険内容や期間が明確なことが必要です。
保険内容や期間が不明確の場合、個人的な保険と判断される可能性があります。
また、金額が相当かどうかは、保険の種類や範囲によって判断されます。
経費にできる損害保険料の例は、以下のとおりです。
- 事務所や店舗の建物や備品などを火災や盗難から守るために加入した火災保険や盗難保険の保険料
- 機械器具や車両などを故障や事故から守るために加入した機械破損保険や自動車保険の保険料
- 事業活動中に発生する可能性がある人身傷害や物損などに対する賠償責任を補償するために加入した賠償責任保険や医療費補償保険などの保険料
自身の生命保険は、所得控除の生命保険料控除となります。
支払手数料
支払手数料とは、事業をおこなう過程で発生する各種の手数料や料金のことです。
支払手数料を経費にするには、手数料や料金の種類や目的が明確なことが必要です。
手数料や料金の種類や目的が不明確だと、個人的な支出や贈与などと混同される可能性があります。
また、金額が相当かどうかは、手数料や料金の内容や割合によって判断されます。
経費にできる支払手数料の例は、以下のとおりです。
- 銀行口座からお金を引き出したり振り込んだりする際に支払ったATM手数料や振込手数料
- クレジットカードや電子マネーなどで商品やサービスを購入・決済する際に支払ったカード手数料や決済手数料
- 会計士や税理士などの専門家に事業の経理や税務などを依頼・相談する際に支払った報酬や相談料
利子割引料
利子割引料とは、事業をおこなうために必要な資金を借り入れたり貸し出したりする際に発生する利子や割引のことです。
ただし、利子割引料は、借入先や貸出先が明確なことが必要です。
借入先や貸出先が不明確の場合、個人的な支出や贈与などと混同される可能性があります。
また、金額が相当かどうかは、借入金や貸出金の金利や期間によって判断されます。
経費にできる利子割引料の例は、以下のとおりです。
- 銀行や金融機関などから事業用資金を借り入れる際に支払った利息
- 顧客や取引先から商品やサービスなどの代金を受け取る際に受け取った割引
- 顧客や取引先へ商品やサービスなどの代金を支払う際に支払った割増
給与賃金
給与賃金とは、従業員やパート・アルバイトなどに対して支払った労働報酬のことです。
給与賃金は従業員やパート・アルバイトなどとの雇用契約が明確なことが必要です。
雇用契約が不明確だと、個人的な支出や贈与などと混同される可能性があります。
また、金額が相当かどうかは、従業員やパート・アルバイトなどの職種や能力によって判断されます。
経費にできる給与賃金の例は、以下のとおりです。
- 従業員やパート・アルバイトへ支払った基本給や残業代などの定期的な報酬
- 従業員やパート・アルバイトへ支払った賞与やボーナスなどの不定期的な報酬
- 従業員やパート・アルバイトへ支払った家族手当などの諸手当
専従者給与
専従者給与とは、個人事業主が生計を一にする家族などの専従者(個人事業主以外で個人事業主の事業に専ら従事する者)に対して支払った給与のことです。
専従者給与を経費にするには、下記の条件が必要です。
- 青色申告の適用を受けていること
- 事前の届出(青色事業専従者給与に関する届出書)を提出していること
- 専従者が従事可能期間の半数超を事業に従事していること
- 支払った給与が労務の対価として適切であること
また、白色申告者であっても、一定の金額を経費とすることができます。
経費にできる専従者給与の例は、以下のとおりです。
- 個人事業主が配偶者や子供を雇って業務をさせる際に支払った給与
事業専従者とした場合、配偶者控除や扶養控除の対象外となってしまうので、注意しましょう。
専従者給与に関しては、以下の記事もご参照ください。
外注工賃
外注工賃とは、事業をおこなう過程で自分ではできない部分を他者に依頼・委託するために支払った費用のことです。
外注工賃を経費にするには、外注先や内容が明確なことが必要です。
外注先や内容が不明確だと、個人的な支出や贈与などと混同される可能性があります。
また、金額が相当かどうかは、外注先の実績や内容の難易度によって判断されます。
経費にできる外注工賃の例は、以下のとおりです。
- 商品やサービスを製造するときに使用する部品や素材などを他者に発注する際に支払った発注代
- 商品やサービスを開発するときに必要な技術や知識などを他者に依頼する際に支払った依頼代
- 商品やサービスを販売するときに必要なデザインや広告などを他者に委託する際に支払った委託代
外注工賃に関しては、以下の記事もご参照ください。
福利厚生費
福利厚生費とは、従業員に対して支払った福利厚生に関する費用のことです。
福利厚生費は、従業員に対し、規定などを設けて支払うことや実施することが重要です。
特定の従業員に対する支出は、個人的な支出や贈与などと混同される可能性があります。
経費にできる福利厚生費の例は、以下のとおりです。
- 従業員に実施した慰安旅行
- 従業員に支払った慶弔金
- 従業員に実施した健康診断や予防接種などの医療手当や医療補助
福利厚生費に関しては、以下の記事もご参照ください。
減価償却費
減価償却費とは、事業用資産(建物や機械器具など)価値の経年劣化や消耗に対応するために計上する費用です。
減価償却費は、資産の種類や耐用年数などに基づいて計算しなければなりません。
また、資産の取得時に一括で経費計上できません。
経費にできる減価償却費の例は、以下のとおりです。
- 事務所や店舗のような建物や改築工事などの減価償却費
- 機械器具や車両のような機械類や工具類などの減価償却費
- システムやソフトウェアなどの減価償却費
貸倒損失
貸倒損失とは、顧客や取引先から商品やサービスの代金を回収できなくなった場合に発生する損失のことです。
貸倒損失は、事業をおこなう過程で発生する不測の事態であり、事業に直接関わるため、経費にできます。
ただし、貸倒損失は、回収不能が明確なことが必要です。
回収不能でない場合は、未回収債権として処理する必要があります。
出典:国税庁|貸倒損失
経費にできる貸倒損失の例は、以下のとおりです。
- 顧客や取引先が倒産や廃業などで商品やサービスの代金を支払えなくなった場合に発生する貸倒損失
- 顧客や取引先が音信不通となり、商品やサービスの代金を支払わない場合に発生する貸倒損失
- 顧客や取引先との契約や約束が不履行になった場合に発生する貸倒損失
未償却の繰延資産(開業費/創立費/社債発行費など)
未償却の繰延資産とは、事業を開始する際や継続する際に発生した費用で、一定期間にわたって経費として計上します。
未償却の繰延資産は、発生した費用が一定期間以上にわたって利益に影響することが必要です。
発生した費用が一定期間以下にわたって利益に影響する場合は、その年度内で経費として計上することができます。
また、金額が相当かどうかは、発生した費用の内容や期間によって判断されます。
経費にできる未償却の繰延資産の例は、以下のとおりです。
- 事業を開始する際に発生した開業準備費や許可申請費など
- 新たな製品の製造または新たな技術の発明に係る試験研究費
- 自己が便益を受ける公共的施設又は共同的施設の設置又は改良のために支出する費用など
雑費
雑費とは、事業をおこなう過程で発生するその他の雑多な費用のことです。
雑費を経費にするには、雑費としての計上が妥当なことが必要です。
雑費としての計上が妥当でない場合は、他の勘定科目に分類する必要があります。
また、金額が相当かどうかは、雑費の内容や割合によって判断されます。
経費にできる雑費の例は、以下のとおりです。
- 事務所や店舗で発生するゴミ処理代や清掃代など
- その他、どの科目にも属さない経費
個人事業主の経費にできないもの
個人事業主は、事業をおこなうために必要な費用のうち、すべての支出が経費になるわけではありません。
個人事業主が経費にできないものは、明確に定義づけされた規定があります。
それが所得税法第45条家事関連費等の必要経費不算入等です。
例えば、事業と関係のないものや、個人的なもの(家事上の経費)は経費にできません。
経費にできないものを誤って計上すると、税務署に指摘や追徴課税を受ける可能性があります。
個人事業主が経費にできないものは以下のとおりです。
ひとつずつ詳しく解説します。
個人事業主の税金や保険料
個人事業主の税金や保険料は個人に課されるものであり、事業に直接関係しないため、経費にできません。
そのため、所得税や住民税、国民年金保険料や国民健康保険料などは経費にできません。
ただし、上記保険料の支払いは確定申告の際に所得控除(社会保険料控除)として適用されます。
生計を一にする家族や親族へ支払ったもの
個人事業主が生計を同一にする家族や親族に対して支払った給料や家賃、利子などは、経費にできません。
家族間で所得の分散をし、租税回避行為を防ぐためです。
出典:国税庁|親族が事業から受ける対価の取扱いについての一考察
ただし、先にも述べたとおり、青色事業専従者または白色申告でも事業専従者とした場合は、一定の金額を経費にすることができます。
福利厚生費と健康診断費
個人事業主本人のための福利厚生費や健康診断費は、経費にできません。
個人的な福祉や健康維持に関するものであり、事業に直接関係しないためです。
例えば、社員旅行や食事会などの福利厚生費や、定期的な健康診断や予防接種などの健康診断費は、経費にできません。
ただし、社員旅行や食事会が取引先や顧客との接待交際費として必要な場合は、一部を経費にできます。
また、健康診断や予防接種が事業に必須な場合は、一部を経費にできます。
例えば、飲食店や美容院などの業種では、衛生管理のために健康診断や予防接種が義務付けられている場合があります。
損害賠償金
個人事業主が事業に関係のない損害を与えた場合に支払う損害賠償金は、経費にできません。
また、事業に関係があるものでも、故意または悪質であるものに対する損害賠償金は経費にすることができません。
例えば、個人事業主が飲酒運転で自動車事故を起こして相手に損害を与えた場合や、個人事業主が契約不履行や違約行為をした場合に支払う損害賠償金は、経費にできません。
各種罰金など
個人事業主が法律や規則に違反して支払う罰金や反則金などは、経費にできません。
罰金や反則金は事業の正常な運営に必要なものではなく、不法行為や違反行為によって発生したためです。
例えば、個人事業主が駐車違反やスピード違反をした場合や、個人事業主が税務署から申告漏れや不正計上を指摘された場合に支払う罰金や反則金は、経費にできません。
従業員が業務中に起こした駐車違反やスピード違反を個人事業主が支払った場合は、経費にすることが可能です。
経費として認められるポイント
経費というのは、自分で申告をし、収入から差し引くものです。
日本は申告納税制度であるため、個人事業主は収入も経費も自分で計算し申告をします。
しかしながら、すべての経費が認められるわけでは、ありません。
では、個人事業主が経費として認められるポイントは、なんでしょうか。
それは、経費が事業の遂行上生じたものであるかという点です。
経費として認められるものは、事業に直接関係することが重要です。
つまり、事業の収入を得るために必要で、事業の内容や規模に見合った支出であり、事業の実態と一致していることがポイントです。
例えば、美容院で髪を切る経費が発生したとします。
通常の事業を営んでいる人であれば、事業の遂行上必要でないため、経費にすることはできません。
しかし、モデル等であれば、髪を切る等、見た目を整えることは必要であるといえます。
したがって、経費にすることができます。
このように、自分がおこなっている事業に関連するかしないかということが判断基準となります。
経費について迷った場合は、「売上に直接つながるかどうか」の観点で考えてみましょう。
また、「税務調査が入った場合に事業との関連性を明確に説明できるか」も考えてみましょう。
プライベートの支出と経費を分ける方法
個人事業主は、経費とプライベートの支出が混在してしまう問題に直面するケースがあります。
例えば、自宅の一室を事務所や工房として使っている場合や、自家用車を仕事に使っている場合などです。
このような場合は、按分(あんぶん)と呼ばれる方法を使って、経費とプライベートの支出を分けて申告する必要があります。
按分とは、一つの支出を事業に関係する部分と関係ない部分に分けることです。
個人事業主の確定申告や経費計上では家事按分(かじあんぶん)と呼ぶことが一般的です。
例として、以下の方法などで按分をすることが可能です。
- 家賃や固定資産税は、事業用の部屋の床面積と全体の床面積の比率で按分する
- 光熱費は、事業用の部屋の床面積と全体の床面積の比率で按分するか、実際に使用した量を計測する
- 電話代は、事業用と個人用の割合を見積もって按分するか、専用の回線を設ける
按分する際には、以下のようなポイントに注意しましょう。
- 按分する割合は、客観的かつ合理的に決めること。適当に決めたり、高く見積もったりすると、税務署に疑われる可能性があります。
- 按分する根拠は、記録や証拠に残すこと。例えば、部屋の面積や時間は図面や日記で記録し、距離や時間は走行記録表やナビで記録しましょう。
- 事業用と個人用の区別が明確でない場合は、税務調査で不利になる可能性があります。そのため、事業用の部屋には看板やロゴなどを掲示したり、個人的な物品を置かないようにしましょう
経費計上のために必要なもの
経費計上のために必要なものは以下のとおりです。
領収書や契約書などの証拠書類
証拠書類は、経費として認められるために必要です。
証拠書類には、支払った金額や日付、支払先や内容などが記載されているものが望ましいです。
ただし、領収書や契約書がない場合でも、銀行の通帳やクレジットカードの明細などで証明できる場合があります。
また、領収書や契約書があっても、内容が不明確だったり、金額が不相応だったりする場合は、税務署に疑われる可能性があります。
そのため、証拠書類は、できるだけ詳細かつ正確に保管しておくことが重要です。
帳簿は7年、請求書や領収書は5年保存をする必要があります。
経費帳や会計ソフトなどの帳簿書類
帳簿書類は、経費を管理するために必要です。
帳簿書類には、経費帳や会計ソフトなどがあります。
経費帳は、手書きで経費を記録するノートや帳簿のことです。
会計ソフトは、パソコンやスマートフォンで経費を記録するソフトウェアのことです。
帳簿の記帳をおこなうことで、経費の入出金や残高を把握したり、経費の科目や按分を分類したりできます。
また、確定申告時に必要な資料の作成や、税理士への依頼も容易になります。
確定申告書や青色申告承認申請書などの申告書類
申告書類は、経費を申告するために必要です。
申告書類には、確定申告書や青色申告承認申請書などがあります。
確定申告書は、個人事業主が毎年2月16日〜3月15日までに提出する税金の申告書です。
確定申告書には、収入や経費などの金額や科目を記入します。
青色申告承認申請書は、個人事業主が青色申告をするために必要な申請書です。
青色申告とは、経費計上の方法の一つで高い節税効果があります。
青色申告承認申請書には、事業の内容や規模などを記入します。
個人事業主なら青色申告を活用しよう
個人事業主として収入を得たら、確定申告をする必要があります。
確定申告とは、自分の所得や税額を計算して税務署へ申告をおこなうことです。
確定申告の方法には、青色申告と白色申告の2種類がありますが、どの方法を選ぶかによって、税金の計算や節税の効果が変わってきます。
青色申告は、事前の届出、複式簿記での記帳などの要件が必要ですが、税制のメリットがいくつかあります。
青色申告の主なメリットは、以下のとおりです。
出典:国税庁|青色申告制度
65万円を上限として特別控除が受けられる
青色申告では、不動産所得や事業所得から65万円を上限として特別控除が受けられます。
この控除は白色申告では受けられないメリットです。
控除額が増えれば、納める所得税や住民税、健康保険料なども減らせます。
特別控除を受けるためには、正規の簿記(複式簿記)による記帳をし、貸借対照表と損益計算書を作成して提出する必要があります。
また、e-Tax(電子申告)や電子帳簿保存を利用しない場合の控除は、55万円が上限です。
65万円の特別控除を受けるために積極的にe-taxで申告をしましょう。
家族の給与を必要経費にできる
青色事業専従者給与制度を利用すれば、仕事を手伝っている家族への給与を必要経費にできます。
ただし、この制度を利用するには、下記の条件があります。
また、青色事業専従者は控除対象配偶者や扶養親族にはなれません。
- 親族の年齢が12月31日時点で15歳以上であること
- 生計を一にしている配偶者や親族が事業に専ら従事していること
- 税務署への届出書の事前提出
- 給与が労務の対価として相当な金額であること
給与の支払いを受けた親族の収入は、給与所得となります。
赤字を3年間繰り越せる
青色申告では、事業に損失がある場合にその金額を翌年以降3年間にわたって繰り越して、翌年以後の所得金額から控除できます。
そのため、将来の利益に対する税負担を軽減できます。
また、前年も青色申告をしている場合は、損失額を前年分の所得金額に繰り戻して、所得税の還付を受けることもできます。
貸倒引当金を計上できる
青色申告では、事業の遂行上生じた売掛金や貸付金などの貸金の貸倒れによる損失の見込額として、貸倒引当金を必要経費として計上できます。
貸倒引当金は、一括評価引当金と個別評価引当金の2種類があります。
青色申告だけが計上できるのは、一括評価引当金です。
一括評価引当金では、12月31日時点の貸金の帳簿価額の合計額の5.5%(金融業の場合は3.3%)を経費計上することができます。
また、個別評価引当金ではそれぞれの事由に応じた限度額までを計上できます。
少額減価償却資産の特例を受けられる
青色申告では、少額減価償却資産と呼ばれる一定の条件を満たす固定資産(例えばパソコンやプリンターなど)について、取得した年度に全額を必要経費として計上できます。
少額減価償却資産の条件は、1つあたりの取得価額が30万円未満かつ、取得した年度内に使用開始したことなどです。
ただし、年間の合計額が300万円までという上限があります。
全額経費にすることにより、翌年以後の減価償却費計算も省けます。
個人事業主が節税効果を高めるコツ3選
青色申告や経費計上を上手に活用すれば、税金を節約できます。
しかし、これら以外にも節税ができる方法はいくつかあります。
以下では、個人事業主が経費計上で節税効果を高める3つのコツを紹介します。
小規模企業共済等の活用をする
小規模事業者である個人事業主は、小規模企業共済に加入をすることができます。
小規模企業共済制度とは、個人事業主のための退職金積立制度となります。
月額1,000円~70,000円までの範囲内で積立が可能となり、かつ、支払った金額は所得控除として、所得金額から控除することができます。
また、個人事業の廃業をするなどをした場合、積立金は退職所得として受け取ることができるため、税制優遇措置があります。
法人化を検討する
事業が順調に成長をしているのであれば、納税額も増えていきます。
そういったときは法人化も検討をすべきです。
その理由として、個人の所得税は超過累進税率(所得が増えるほど税率が高くなる)で、最高税率は45%です。
一方、法人の税率は、資本金や所得金額により変動はしますが、15%〜23.2%となります。
また、消費税の課税事業者の場合、法人化をすれば、原則として設立から2期は免税事業者となることができます。
さらに、自分や家族へ支払った給与も経費とすることができます。
一般的に所得が800万円または売上が1,000万円を超える場合、法人化を検討すべきといわれています。
ふるさと納税をする
ふるさと納税とは、自分の住んでいない地方自治体に寄付する制度です。
寄付した金額のうち、2,000円を超える部分が所得税や住民税から控除されます。
例えば、10万円寄付した場合は9万8千円が控除されます。
つまり、寄付した金額のほとんどが実質的に返ってくるわけです。
さらに、寄付先の自治体からお礼の品ももらえます。
ふるさと納税は、自分が応援したい地域に貢献しながら節税効果も得られるお得な制度ですが、注意点もあります。
それは、控除額には上限があることです。
上限額は所得によって異なりますが、所得税であれば総所得金額の40%となり、住民税であれば住民税所得割の20%となります。
上限を超えた金額は、所得控除や税額控除を受けることができません。
そのため、ふるさと納税をする際には、自分の収入や支出と照らし合わせて、寄付金額を考える必要があります。
経費を不正計上するとペナルティがある
実際には支出していない経費を計上したり、個人的な支出を経費にした場合、不正計上となります。
税務署は、定期的に税務調査をおこないます。
税務調査で経費の不正計上が発覚した場合、追加で税金を納めるだけでなく、ペナルティとして加算税も支払わなければなりません。
経費の不正計上のペナルティには、以下があります。
過少申告加算税
過少申告加算税とは、期限内に税金の申告をしたけれども、本来の納税額よりも少ない金額を申告していた場合に課せられる加算税です。
過少申告加算税の税率は、基本的に増差額の10%です。
ただし、期限内申告税額と50万円のいずれか多い金額を超える部分は15%です。
参考:財務省|加算税の概要
例えば、本来の納税額が100万円なのに80万円と申告した場合、20万円の過少申告が発生します。
この場合、20万円×10%=2万円の過少申告加算税が課せられます。
申告をしていない場合は、無申告加算税が課され、15%~30%と高い税率になります。
重加算税
重加算税とは、過少申告や無申告が故意や悪質によるものであった場合に課せられる加算税です。
本来納付すべきだった税額から、当初申告した税額を差し引いた金額が重加算税の税額として算出されます。
重加算税の税率は、下表のとおりです。
課税条件 | 課税割合 |
過少申告や不納付があった場合 | 過少申告加算税・不納付加算税に代えて35% |
無申告の場合 | 無申告加算税に代えて40% |
参考:財務省|加算税の概要
例えば、本来の納税額が100万円なのに50万円と申告した場合に、帳簿や領収書の偽造や隠ぺいが発覚すると重加算税として50万円×35%=17.5万円が課せられます。
ペナルティを受けることで税務調査の対象になりやすくなります。
個人事業主が確定申告をおこなう方法
個人事業主は、毎年2月16日〜3月15日までに、前年の収入や経費などを税務署に申告する必要があります。
この申告が確定申告です。
確定申告をすると所得税や住民税などの納税額が決まります。
確定申告の方法には、白色申告と青色申告の2つがあります。
どの方法を選ぶかによって、申告に必要な書類や税金の計算方法が異なります。
税務署で白色申告をする
白色申告とは、税制上のメリットがないかわりに、帳簿作成が簡単な申告方法です。
白色申告をする場合は、事前に税務署に届け出る必要はありません。
ただし、収入や経費などを記録した帳簿や領収書などの書類は、5年間保存する義務があります。
白色申告のメリット
白色申告のメリットは以下のとおりです。
帳簿作成が簡単
白色申告では、単式簿記で帳簿をつけられます。
お小遣い帳のように日付や内容、金額などを記入するだけなので、会計知識がなくても比較的簡単に作成できます。
また、必要な帳簿も現金出納帳や経費帳など必要最低限で済みます。
申告手続きがシンプル
白色申告では、事前に税務署に届け出る必要がありません。
確定申告時に提出する書類も収支内訳書と確定申告書の2つだけです。
書類は用紙や電子ファイルで入手できるほか、会計ソフトや確定申告ソフトなどでも作成できます。
白色申告のデメリット
白色申告には、以下のデメリットがあります。
節税効果が低い
白色申告では、青色申告に比べて節税効果が低くなります。
青色申告では事業所得、不動産所得、山林所得から65万円を上限として特別控除を受けられますが、白色申告では受けられません。
会計ソフトなどで青色申告をする
会計ソフトなどを使用して、パソコンやスマートフォンで経費や収入を記録することで、簡単に青色申告をすることができます。
青色申告とは経費計上の方法の一つで、白色申告よりも高い節税効果が望めます。
会計ソフトなどでは、ネットバンクやクレジットカードのデータと連動し、経費や収入を自動的に計算したり、確定申告書を作成したりできます。
青色申告をするメリット
会計ソフトなどで青色申告をするメリットは以下のとおりです。
節税効果が高い
会計ソフトなどを使って青色申告をすれば、青色申告のメリットを受けられます。
青色申告では、先に述べた青色申告特別控除や青色事業専従者給与などによる節税効果があります。
記帳や確定申告が簡単になる
会計ソフトなどでは、経費や収入を自動的に計算したり、確定申告書を作成したりできます。
そのため、記帳や確定申告が簡単になります。
また、記帳や確定申告の履歴やデータを保存したり、税理士に共有したりもできます。
青色申告をするデメリット
会計ソフトなどで青色申告をするデメリットは以下のとおりです。
費用がかかる
会計ソフトなどは有料のため、費用がかかります。
一番安いプランでも年額1万円超はかかります。
手間がかかる
白色申告に比べて、青色申告は、原則複式簿記での記帳や損益計算書や貸借対照表の作成義務があります。
したがって、手間がかかります。
税理士に依頼する
税理士は税金に関する専門家で、個人事業主の節税や税務相談などをおこなえます。
税理士に依頼すれば、面倒な経費や収入の記録や計算、確定申告書の作成や提出などの手間が省けます。
また、税務署からの調査や問い合わせにも対応してもらえます。
税理士に依頼するメリット
税理士に依頼するメリットは以下のとおりです。
手間が省ける
税理士に依頼すれば経費や収入の管理、確定申告の手間を省けるため、事業に集中でき、時間を有効活用できます。
節税効果が高い
税理士は、税金に関する専門家のため、最適な経費計上の方法や節税のコツなどを提案してくれます。
そのため、節税効果が高くなります。
税務署からの対応が楽になる
税理士に依頼すれば、税務署からの調査や問い合わせにも対応してもらえます。
そのため、税務署とのやりとりが楽になります。
税理士に依頼するデメリット
税理士に依頼するデメリットは以下のとおりです。
費用がかかる
税理士に依頼する場合は、報酬や経費などの費用が発生します。
費用は、税理士や契約内容によって異なりますが、一般的には数万円〜数十万円程度です。
ただ、費用は経費として計上できます。
信頼できる税理士を見つけるのが難しい
税理士に依頼する場合は、信頼できる税理士を見つけることが重要です。
信頼できない税理士に依頼すると、不正計上やミスなどのトラブルに巻き込まれる可能性があります。
そのため、事業内容や規模に合った税理士を選ぶことや、料金やサービス内容などの比較検討が必要です。
よくある質問
では最後に、経費についてよくある質問をまとめましたので、参考にしてください。
経費にできるものとできないものの違いは何ですか?
経費にできるものとできないものの違いは、その支出が事業に関連するかどうかです。
事業に関連する支出は、売上に直接つながるものや事業を継続するために必要なものです。
例えば、仕入れや運賃、広告宣伝費、通信費、修繕費などは経費にできます。
一方、事業に関連しない支出は、個人的な消費や生活費です。
自分への給与や医療費、生命保険料、スポーツクラブ会費などは経費にできません。
経費に上限はありますか?
経費に上限はありません。
事業に関わる支出であれば、どれだけ多くても経費として計上できます。
売上に対して妥当性に欠ける場合や事業との関連性が不明確な場合は、税務署に指摘を受ける可能性があります。
例えば、売上が300万円しかないのに接待交際費が100万円ある場合や、自宅兼事務所の光熱費を全額経費にしている場合などは問題視されるかもしれません。
経費を計上する際には、「万が一税務調査が入った場合、業務との関連性を明確に説明できるか」と考えるとよいでしょう。
経費を計上するために必要な書類は何ですか?
経費を計上するためには、支出を証明する書類が必要です。
例えば、領収書やレシート、契約書や請求書、通帳やカード明細などです。
上記の書類は、支払った金額や日付、支払先や内容などが記載されているものが望ましいです。
また、領収書などがない場合でも、銀行の通帳やクレジットカードの明細などで証明できる場合があります。
上記の書類は、確定申告の際に税務署に提出する必要はありませんが、原則、帳簿は7年、領収書や請求書は5年間保存しておく必要があります。
税務署から税務調査を受けた場合には、保管しておいた書類を提示すれば経費の正当性を証明できます。
税務調査のときにスムーズに対応できるよう、書類関係は整理整頓を心がけましょう。
自宅兼事務所や自家用車を使っている場合はどうすればいいですか?
自宅兼事務所や自家用車を使っている場合は、その使用比率に応じて経費を按分(家事按分)できます。
家事按分の方法は一概に決まっていませんが、合理的に説明できる範囲で按分しましょう。
自宅兼事務所の場合は部屋数や床面積などを基準にし、自家用車の場合は走行距離や時間などを基準にして按分できます。
まとめ
- 個人事業主の支出には、経費にできるものとできないものがある
- 経費とプライベートの支出が混在している場合は、按分する必要がある
- 経費計上のためには証拠書類や申告書類、記帳ツールが必要
- 個人事業主なら節税効果の高い青色申告がおすすめ
- 経費を不正計上するとペナルティがあり、追徴課税や加算税などのリスクがある
個人事業主にとって、経費計上は重要な節税対策です。
経費にできるものは、事業に必要かつ妥当なものであれば広く認められます。
ただし、個人的な支出や不当な計上は厳しく罰せられます。
経費として認められるポイントや分け方、必要な書類などをしっかり把握しておきましょう。
本記事でお伝えしたことを役立て、個人事業主として正しく経費計上をおこなってください。