個人事業主は家賃を経費で落とせる?計上の方法と注意点を解説

計上の方法と注意点を解説 個人事業主は家賃を経費で落とせる? コラム
  • 個人事業主は家賃を経費で落とせるのか知りたい
  • 個人事業主が家賃を経費にするメリットは何?
  • 持ち家の場合はどのように経費として落とすの?

この記事を読むことで、上記のような悩みや疑問を解決することができます。

個人事業主の方で、税金を少しでも抑えたいと考えている人は多いでしょう。

しかしながら、税金の知識が乏しくて節税が上手くできていないと悩んでいる人も少なくないはずです。

そこで本記事では、個人事業主が経費で落とすことができる「家賃」について解説しました。

節税対策をして少しでも支払いを抑えたいと考えている人は、ぜひ最後までご覧ください。

個人事業主の経費とは

個人事業主が経費として落とすことができるのは、事業に関係する支払いになります。

例えば取引先と食事をした場合は、事業に関係する人との関係値を深めることができるため、経費として落とすことが可能です。

しかしながら、友達などプライベートで食事代が発生したとしても、事業とは関係ないため経費として落とすことはできません。

節税対策をしたいと考えている個人事業主は、事業に関係する出費を経費として計上しましょう。

個人事業主が家賃を経費にするメリット

家賃を経費にする最大のメリットは、支払う税金を抑えることができる点です。

例えば、家賃6万円の物件に住んでいたとすると、会社員は税金を支払ってから家賃を払うので手元に残るお金が少なくなります。

個人事業主の場合だと、家賃を経費として落とすことができれば、家賃を支払ってから余ったお金が税金の対象となるため、支払う税金を抑えることが可能です。

これから税金の支払いを少しでも抑えたいのであれば、家賃は経費で落としておくことをおすすめします。

個人事業主が自宅の家賃を経費にするには家事按分が必要

これまでの記事を読んで、個人事業主は家賃を経費にした方が良いと知って頂けたでしょう。

しかしながら、個人事業主が家賃を経費として落とす場合は、家事按分という方法で計算しなければいけません。

家事按分とは

家事按分とは、事業とプライベートの両方で利用しているものを割合で分けることです。

例えば自宅を事業の作業スペースとしている場合は、作業スペースの部分のみの家賃を経費として落とせます。

他にも電気代や通信費なども、事業とプライベートで使用している量の割合を出して経費計上することが可能です。

家事按分の計算方法

家事按分の計算方法は、基本的には作業スペースの広さの割合で経費計上することをおすすめします。

例えば部屋が10畳で、作業スペースが4畳の場合は、4÷10=0.4で家賃の40%を経費計上することが可能です。

青色申告と白色申告で家事按分の規定は違う

確定申告の方法は「青色申告」と「白色申告」の2つありますが、それぞれ家事按分の規定は違います。

青色申告の場合:事業で利用している出費は割合に関係なく家事按分できる
白色申告の場合:「業務での使用割合が50%以上」もしくは「プライベートと業務の使用割合が明確に区別できる」という条件で家事按分できる

家事按分して経費にできるもの

家事按分して経費計上できるものは、主に下記になります。

水道代 使用時間から割合を求める
通信費 使用時間から割合を求める
地代家賃 床面積で割合を求める
電気代 使用時間やコンセントの数で割合を求める
自動車関連費 利用時間・利用日数・走行距離などで割合を求める

自宅と事務所が別の場合はどうする?

自宅と事務所が別の場合は、基本的には事務所のみの出費を経費に計上することになります。

しかしながら、自宅でも事業の作業をしている場合は、事務所があったとしても経費計上することが可能です。

生計を一にしている親族に家賃を払っている場合は注意が必要

生計を一にしている親族に家賃を払っている場合は、「同一生計親族」と「別生計親族」で税制上の判断が異なります。

同一生計親族の場合:必要経費として計上できない
別生計親族:必要経費として計上できる

基本的に経費で家賃を落としたいと考えているのであれば、別生計を立てることをおすすめします。

持ち家の場合は減価償却費として計上しよう

持ち家の場合は、減価償却という形で経費計上することができます。

減価償却の計算をするのであれば、最初に未償却残高を計算しなければいけません。

未償却残高の計算方法は、下記の画像をご覧ください。


引用元:国税庁公式ホームページ

ここで少し具体例を解説します。

  • 新築の取得金額:3000万円
  • 習得年月日:2010年6月1日
  • 事業開始日:2020年10月1日
  • 木造住宅の法定耐用年数:22年→旧定額法の償却率:0.046

上記の条件だと仮定しましょう。

①初めに法定耐用年数の1.5倍に相当する年数と償却率を求めて下さい。
22年×1.5=33年→0.031
※1年未満の端数が出た時は四捨五入で切り捨て。

②持ち家に居住していた期間の減価の額を旧定額法で計算。
2010年6月1日から2020年9月30日まで→10年
※6ヶ月以上の端数は1年計算で、6ヶ月未満の端数は切り捨て。
3000万×0.9×0.031×10年=837万円

③3000万円ー837万円=2163万円
未償却残高の計算ができたら、次は減価償却の計算をしなければいけません。
・事業開始時の未償却残高:2163万円
・償却期間:10月開業の場合→3/12
・償却率:耐用年数22年の定額法→0.046

③-1 事業開始年の減価償却
3000万円×0.046×3/12=34.5万円

③-2 2020年12月31日の未償却残高
2163万円-34.5万円=2128.5万円

計算した減価償却費の中から、事業に使用している割合で経費計上することになります。

これから持ち家を経費計上したいと考えているのであれば、「未償却残高」と「減価償却」を計算しておくことをおすすめします。

住宅ローン控除を受けている場合は注意が必要

住宅ローン控除を受けるには、「床面積の2分の1以上の部分が専ら自己の居住の用に要するもの」という条件があります。

言い換えると、事業用割合が50%を超えると、住宅ローン控除の対象から外れるため適用されなくなります。

また、事業用割合が50%未満だとしても、住宅ローン控除の適用が受けられる金額が減るので注意が必要です。

住宅ローン控除と経費計上のどちらの方が支払いを抑えることができるのか、事前に計算してから判断するようにしましょう。

駐車場代は家賃の一部として経費にできる?

駐車場も家賃の一部として経費計上することが可能です。

しかしながら、事業で車をどれくらい利用しているのかで、経費にできる割合は変わります。

プライベートで50%を利用しているのであれば、経費計上できるのは駐車場代の50%までです。

車の場合は走行距離などでプライベート利用と事業利用の割合を判断できます。

個人事業主が家賃を経費にする際の注意点

最後に、個人事業主が家賃を経費にする際の注意点についても簡単に解説していきます。

賃貸借契約書を保管する

これから個人事業主が家賃を経費で落とすのであれば、賃貸借契約書を保管しておく必要があります。

保管期間に関しては、民法の一般債務の消滅時効を考慮して10年間は保管するようにして下さい。

敷金は経費にならない

物件取得費を経費計上することはできますが、敷金は経費にできないため注意が必要です。

敷金が経費として計上できない理由は、退去後に返金される予定のためになっています。

経費計上できるのは物件取得費や仲介手数料、礼金などです。

すべてを経費にしない

プライベートで利用しているにもかかわらず、家賃を全て経費計上している人は脱税と判断される可能性があるため注意が必要です。

基本的には事業で利用している面積だけを経費計上しなければ、将来的に税金を追徴される可能性があります。

これから家賃を経費計上するのであれば、事業で利用している分を計算しておきましょう。

まとめ

本記事では、個人事業主が家賃を経費で落とす方法について解説しました。

  • 家事按分は青色申告がお得
  • 家事按分は、あくまで事業で利用している分だけ
  • 持ち家の場合は減価償却で経費計上する
  • 基本的には家賃の全てを経費にしない

上記のポイントを抑えることで、家賃を正しく家事按分で経費計上することができます。

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