個人事業主は保育園に預けられる?必要書類や審査を通過するためのポイント

個人事業主は保育園に預けられる?必要書類や審査を通過するためのポイント コラム

個人事業主は働く時間を自分で決められるため、保育園に子どもを預けるのがむずかしいと考える人もいるでしょう。

自営業の場合は自宅で保育できると判断されたり、保育園に入れるのはズルいと思われたりすることがあるのも事実です。

しかし、個人事業主でも保育所に子どもを預けることは可能です。

この記事では、個人事業主が保育園に子どもを預けるときに必要な書類や審査に通りやすいポイントについて解説します。

個人事業主は子供を保育園に預けられる?

個人事業主でも、子供を保育園に預けることは可能です。しかし、審査が通るのか不安に感じる人もいるでしょう。

まずは保育園の概要と審査の仕組みについておさえておきましょう。

保育園の種類

保育園には、厚生労働省が定めた職員数・施設の広さを満たした公立・私立の「認可保育園」とそれ以外の「認可外保育園」があります。

最近では保育園と幼稚園の機能が合わさった「認定こども園」という施設も存在します。

しかし認可外保育園は入りやすい反面、補助金がないため認可保育園に比べて保育料が高いことが多いです。

種類 定員 対応年齢 保育料
認可 認可保育園 60名以上 0~5歳 世帯年収による
(一部無償化)
認定こども園 20名以上 0~5歳
小規模保育事業所 6~19名 0~2歳
家庭的保育事業所 5名以下 0~2歳
認可外 認可外保育園 各保育園による 0~5歳 収入に関わらず一定額
(認定保育園は補助金がある自治体もあり)

また、認可保育園には0~2歳であれば定員6~19人の「小規模保育事業所」や、定員5人以下の「家庭的保育事業所」といった保育施設もあります。

保育園の審査は点数制

保育園の審査は、点数制で行われます。点数が高い順から「保育の必要性がある」とみなされ、入園が決定されます。

点数の基準は、申請者の家庭環境や父母の就労状況、子供の年齢などに応じた一例のような「基準指数」と「調整指数」になります。

【基準指数】
就労状況:週〇日〇時間勤務、就職の予定がある、求職中など
健康状態:出産予定、持病・障害の有無、入院中など
その他:介護が必要な同居人がいるなど

【調整指数】
加点事項:世帯所得が低い、ひとり親家庭、現在認可外保育園に通っている、兄弟が在籍しているなど
減点事項:祖父母などほかに子供の面倒をみられる同居人がいるなど

個人事業主は保育園に入りにくい?

個人事業主の場合、基準指数で最も重要な「就労状況」が不明確になりやすいため、審査で不利になりやすいです。

これによって、保育園に入りにくいと言われていますが本当でしょうか?

フリーランスの指数が低い自治体もある

最近ではフリーランスと会社員で点数の差がない自治体も増えてきましたが、自治体によってはフリーランスの基準点数が低いため保育園に入りにくいところもあります。

これは、個人事業主の就労状況や所得が不安定であること、在宅であれば育児が可能ではないのかといった点からです。

個人事業主が保育園の申請に必要な書類

個人事業主が保育園の申請に必要な書類は以下の6点です。

順番に解説していきます。

就労証明書

会社員の場合は会社が就労証明書を作成してくれますが、個人事業主の場合は自分で就労証明書を作成しなければなりません。

書類には業種や事業の内容、収入、勤務時間、就労実績などを記載しましょう。

就労状況申告書(自営業者用)

自営業者やフリーランスの人は就労証明書に加えて、就労状況申告書の提出を求められるケースがあります。

就労状況申告書には就労証明書に必要だった項目に加え、所得税の証明や業務のやりとりなどを記載することが多いです。

書類は管轄地の役所で手に入れるか、役所のホームページからダウンロードしましょう。

開業届のコピー

開業届とは個人事業主が事業を開始する際に、管轄の税務署に提出する書類です。

個人事業をしていることを証明するためにコピーを提出しましょう。

所得税の申告関係書類のコピー

所得税の申告関係書類には、源泉徴収票や青色申告書などです。

収入状況を証明するために提出しましょう。

職場と住居が別の場所にある場合に添付するもの

職場と住居が別の場所にある場合は、それを証明できる書類を提出しましょう。

職場の住所を証明できる書類は、賃貸契約書や不動産登記簿謄本などです。

また、住居の住所を証明する書類は、住民票や固定資産税納税証明書があります。

仕事上のやりとりを証明できるもの

取引先との契約書や見積書、請求書など、仕事上のやりとりを証明できる書類を提出しなければいけない場合があります。

個人事業主として働いている理由を客観的に証明するためです。

個人事業主の就労証明書の書き方

就労証明書には、一般的に以下の項目内容を記載することが多いです。

  • 業種
  • 就労氏名、住所
  • 雇用期間
  • 勤務先事業所名、住所、電話番号
  • 雇用形態
  • 就労時間
  • 就労実績
  • 産休・産後休業の取得
  • 育児休業の取得
  • 復職年月日
  • 希望園・児童氏名

個人事業主が会社員と違うのは、自分で就労証明書を作成することです。

証明してくれる人がいないため、記載する内容は正確であることを心がけましょう。

また、年間のスケジュールや就労状況を直近3ヶ月分、一緒に提出すると就労の証明に説得力を持たせることができます。

仕事の実績が載っているサイトがあるなら、プリントアウトして提出するのもありでしょう。

収入がない個人事業主でも保育園に入れる?

収入がまだない状態の個人事業主でも、保育園の入園は可能です。しかし、これは自治体によって基準が異なるため、具体的な情報については管轄の自治体に直接問い合わせることが重要です。

特に独立して間もない場合など、一定の条件下では入園が認められることがあります。ただし、実際に事業活動をしている証明が求められることが多く、就業実績がない状態が長期にわたると、入園が認められにくくなる可能性があります。

そのため、入園申請を検討している場合は、事業計画や今後の収入見込みなど、自身の事業状況を明確に伝えられる準備をしておくと良いでしょう。

収入のない個人事業主は保育園を継続できる?

個人事業主であれば、会社員から起業したばかりで収入がまだなかったりする場合もあるでしょう。収入のない個人事業主は保育園を継続できるのでしょうか?

収入額を基準に加える自治体も

収入が多い=就業実績があり保育の必要性があるという判断から、自治体によっては、就業時間だけでなく個人事業主の収入額を基準に加える場合があります。

自治体に確認しよう

保育園の継続条件は自治体によって異なり一概には言えません。収入がなく退園になる心配がある場合には自治体の担当窓口に相談するのが一番確実です。

個人事業主の保育園の審査が厳しいなら認可外も検討を

もし保育園の入園審査が厳しいと感じる場合、認可外の保育園の利用も一つの選択肢です。一般的に、認可外の保育園では認可保育園に比べて審査が緩い場合が多く、個人事業主でも比較的入園しやすい傾向があります。

さらに、個人事業主として収入が安定してきた際には、認可外保育園での保育実績と合わせて、自身の就業実績を提示して再度認可保育園に申請するという戦略も有効です。

このように段階を踏むことで、最終的には望む保育園に入園するチャンスを高めることが可能です。ただし、認可外保育園にも様々なタイプがあるため、自分の状況やニーズに合った施設を見つけるためにも、事前の調査や検討が重要となります。

個人事業主が保育園の審査に通過するためのポイント

個人事業主が保育園の審査に通過するには「就労しているために子どもを保育できないと証明すること」と「保育園の倍率が低い場所や期間を狙うこと」が重要です。

そのための5つのポイントを解説します。

就労実績をつくる

就労実績は働いている時間が長いほど入園審査が有利です。

フルタイムで働いている会社員と同じくらい就労時間の実績があれば、加点も大きいでしょう。

就労実績を証明できるよう、きちんと勤怠管理しておくことが大切です。

保育実績をつくる

認可保育園に入園する前に認可外保育園に通うなど、保育実績をつくれば加点を得られる可能性があります。

4月の入園の時期にあわせて、秋ごろから認可外保育園に通わせて点数を上げるという家庭も少なくありません。

なるべく保育実績をつくっておくとよいでしょう。

企業常駐案件で働く

企業常駐案件とは、顧客の会社に出向いて働く案件のことです。

労働時間によって報酬が発生する準委任契約の形をとっている企業も多く、安定した収入になりやすいのがメリットといえるでしょう。

労働時間と場所が制限される分、就労条件で加点できる可能性が高くなります。

入園しやすい場所を選ぶ

住宅地が多い地域や人口密度の高い地域、駅周辺や交通の便がよい地域はどうしても倍率が高くなりがちです。

このような場所以外を候補として選んでおくと、倍率の高い保育所に入園できなくても、預かってもらえる可能性があります。

保育してもらえる場所がないという状況を避けたい人に、おすすめの方法といえるでしょう。

0歳児クラスへ入園する

1歳児からの保育園入園の倍率は、0歳児に比べて高くなる傾向にあります。

生後数ヶ月は入園できない保育所が多く、生まれた月日によって0歳から入園するのがむずかしいためです。

0歳児から入園できる条件がそろっているなら、入園できる確率が高くなるでしょう。

まとめ

  • 個人事業主でも保育園に子どもを預けられるが、点数制で不利になりやすい
  • 就労証明書や所得税の申告関係書類など、申請に必要な書類を用意する
  • 就労証明書は自分で作成し、事業の内容や収入、勤務時間などを記載する
  • 保育園の審査に通過するためには、就労実績や保育実績を作ることが重要
  • 企業常駐案件で働くことで、審査で有利になる
  • 入園しやすい場所を選び、0歳児クラスへの入園を検討することで、審査に通りやすくなる

個人事業主であっても、保育園に子どもを預けることは可能です。

ただし、点数制で不利になることがあるため、事前に必要書類を用意して就労実績や保育実績をつくることを検討しましょう。

また、企業常駐案件で働くことや入園しやすい場所を選ぶことで、審査に通りやすくなります。

これらのポイントを押さえて、保育園の入園に挑みましょう。

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