軽貨物事業を個人事業主で開業する際の補助金は?かかる費用を解説

コラム

「個人事業主として軽貨物事業をはじめたら、経済的負担が大きくて生活ができない、なんてことにならないかな?」

「個人事業主として軽貨物事業をはじめるメリットって、どんなことがあるのだろう?」

このような疑問を持っている方も、いらっしゃるのではないでしょうか。

軽貨物事業に興味があっても、個人事業主として開業することを決意するのは大変ですよね。

個人事業主として軽貨物事業をはじめるために必要な費用負担は、国の補助金で軽減することが可能です。

なぜなら、国が用意している補助金制度は、開業してまもない状況でも申請・利用が出来るように設計されているからです。

この記事では、個人事業主として軽貨物事業を開業する時に利用できる補助金制度、必要費用の種類や規模、開業のメリットなどを紹介します。

この記事を読み終わる頃には、軽貨物事業を開業する上での金銭的な心配事が整理され、開業後の仕事のイメージや開業までのステップが明確になっていますよ。

軽貨物事業とは


軽貨物事業の正式名称は、「貨物軽自動車運送事業」と言います。

その定義は、貨物自動車運送事業法で以下のように定められています。

この法律において「貨物軽自動車運送事業」とは、他人の需要に応じ、有償で、自動車(三輪以上の軽自動車及び二輪の自動車に限る。)を使用して貨物を運送する事業をいう。

(引用:e-Gov法令検索|貨物自動車運送事業法|第二条

具体的な事業内容は、軽トラックや軽ワンボックスカーなどを利用した荷物の輸配送です。

2022年10月24日に発出された「貨物軽自動車運送事業における軽乗用車の使用について」の通達により、軽乗用車も利用可能な車両に追加され、参入の幅が広がりました。

(参照:国土交通省|貨物軽自動車運送事業における軽乗用車の使用について

ただし、軽乗用車の保有者が誰でも貨物軽自動車運送事業を行うことができる訳ではありません。

これまで同様、運輸支局に貨物軽自動車運送事業の経営届出を行い、事業用のナンバープレート(通称、黒ナンバー)の発行を受けることが必要です。

最近は通販商品の配送を行う個人事業主も増えているため、街中でもこの「黒ナンバー」を目にすることが多くなっているのではないでしょうか。

軽貨物事業を個人事業主として開業する際に活用できる2つの助成金・補助金

個人事業主として軽貨物事業を開業する際に、経費負担を軽減するために活用できる補助金は2つあります。

「IT導入補助金」と、「小規模事業者持続化補助金」です。

ビジネスを始めるにあたって、大きな出費は可能な限り避けたいですよね。

利用可能な助成金や補助金を活用できれば、開業費用の負担を軽減することができます。

ここからは、2つの補助金の内容について順番にご紹介します。

IT導入補助金

IT導入補助金は、中小規模・小規模事業者がITツールを導入した際に、発生した費用に対して受けられる中小機構の補助金です。

(参考:中小機構|IT導入補助金2023

例えば、開業したばかりの個人事業主が、売上や経費をエクセル等を用いて手作業で管理をしているケースはよくありますよね。

しかし、そんな個人事業主の中には、売上や経費に関するデータを一括で管理するツールを導入して、荷物の輸配送というコア業務以外の作業を効率化したい、という方もいるのではないでしょうか。

このとき、「データを一括で管理するツールを導入」するためにかかった費用について、補助をしてくれるのがIT導入補助金です。

IT導入補助金は、3つの枠に分類されています。

個人事業主として軽貨物事業をはじめて、数年しか経過していない場合にも申請可能な補助金枠は、以下の通りです。

通常枠
目的 自社の課題やニーズに合ったITツールを導入し、業務効率化・売上アップをサポート
補助対象者(個人事業主として) 従業員数が20名以下
補助対象経費 ソフトウェア購入費、クラウド利用料、導入関連費
補助率と補助金額 50%以内、5万円~150万円未満
セキュリティ対策推進枠
目的 サイバー攻撃による事業停止を回避し、サプライチェーン停滞による供給制約や生産性低迷するリスクを低減
補助対象者(個人事業主として) 従業員数が20名以下
補助対象経費 サービス利用料(最大2年分)
補助率と補助金額 5万円~100万円
デジタル化基盤導入枠
目的 インボイス対応も見据えた企業間取引のデジタル化を推進
補助対象者(個人事業主として) 従業員数が20名以下
補助対象経費 ソフトウェア購入費、クラウド利用料、導入関連費、ハードウェア購入費
補助率と補助金額 (下限なし)~50万円以下

(参考:中小機構|IT導入補助金2023|事業概要

IT導入補助金を申請するためには、下記3点の書類が必要です。

開業直後には書類が揃わない可能性が高いため、用意できる時期が来たら忘れずに揃えるようにしましょう。

  • 本人確認書類:運転免許証(有効期限内のもの)、運転経歴証明書若しくは住民票(発行から 3 ヶ月以内のもの)
  • 事業実態確認書類1:税務署で発行された直近分の所得税の納税証明書(「その 1」若しくは「その 2」)
  • 事業実態確認書類2:税務署が受領した直近分の確定申告書 B の控え

(参考:中小機構|IT導入補助金2023|通常枠・公募要領

軽貨物事業に限らず、個人事業主としてビジネスを進めるうえで、仕事を効率化してくれるITツールは欠かせませんよね。

ITツールの導入を検討する際には、IT導入補助金の利用も合わせて検討することをおすすめします。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が今後数年にわたって直面する、各種制度変更に対応をするための取り組みにかかった費用に対して、受けられる補助金です。

(参考:全国商工会連合会|小規模事業者持続化補助金

個人事業主として軽貨物事業をはじめて間もない場合でも申請可能な、小規模事業者持続化補助金の通常枠の概要は、以下の通りです。

通常枠
目的 今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(物価高騰、賃上げ、インボイス制度の導入等)等に対応するための経費を補助し、る小規模事業者等の生産性向上と持続的発展を図ること
補助対象者(個人事業主として) 従業員数が20名以下
補助対象経費 機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費(オンラインによる展示会・商談会等を含む)、旅費、開発費、資料購入費、雑役務費、借料、設備処分費、委託・外注費
補助率と補助金額 最高3分の2、50万円以下

(参考:全国商工会連合会|小規模事業者持続化補助金<一般型> 第 12 回公募 公募要領)

小規模事業者持続化補助金が適用される補助事業は、「販路開拓等のための取組であること」と対象が明確です。

例えば、軽貨物事業の売上拡大を目指し、自社のウェブサイトを作成したり、DMを郵送するといった活動の費用が、この補助金の対象です。

そして、小規模事業者持続化補助金の大きな特徴が、決算期を一度も迎えていなくても申請が可能なことです。

申請専用書類と合わせて、開業届の写しを提出すれば、申請が可能です。

IT導入補助金の申請には提出済みの確定申告書が必要である点と比較すると、小規模事業者持続化補助金は、開業してから早いタイミングで申請可能な補助金です。

小規模事業者持続化補助金は、売上増を目的とする取り組みへの補助金ですから、開業まもなくの時期には、是非とも利用したい補助金ですね。

軽貨物事業を個人事業主として開業する際にかかる費用


個人事業主として軽貨物事業を開業し、運営していくために必要な費用は主に2種類あります。

「開業にかかる費用」は、軽貨物事業を始めるために必要な、最低限の準備費用です。

「開業後にかかる費用」は、軽貨物事業を運営していくために継続して発生する費用です。

軽貨物事業を立ち上げ、営むために必要な、これらの費用について、順番にご説明します。

開業にかかる費用

個人事業主として軽貨物事業を開業するために必要な費用、つまり開業資金の目安は、200万円程度です。

軽貨物自動車の購入費用と、保険費用に大きな金額が発生するためです。

開業時に必要と考えられる最低限の費用項目には、以下のようなものがあります。

  • 軽貨物自動車購入費
  • カーナビ購入費
  • 台車購入費
  • 黒ナンバー発行費
  • 保険料(自賠責保険、自動車保険、貨物保険)

自動車購入費

軽貨物事業を行うためには、軽貨物自動車は不可欠ですよね。

新品で購入をすると90万〜180万程度がかかりますから、非常に大きな出費になります。

(参考:価格.com|商用車の新車情報・自動車カタログ

しかし、レンタルやリースを活用すれば、一括で負担する費用の抑制が可能です。

保険料

軽貨物事業としてビジネスを立ち上げるうえでは、自賠責や自動車保険はもちろん、貨物保険への加入検討も必要です。

そのため、保険料も開業時の大きな出費項目の一つと言えます。

自動車保険への加入は、荷主と業務委託契約を締結するための必須条件となっています。

(参考:Amazon Flex 登録に必要な条件

貨物保険は、荷物に損害を及ぼした際に補償を受けることができる保険です。こちらの保険料も年間で37万円程度かかるため、無視できない出費となります。

(参考:三井住友海上火災 運賠 安心デリバリーの保険料例

保険料は、一括払いと月々払いを比較すると、年間保険料を一括払いする方法の方が安くなる場合がほとんどです。

しかし、開業する際の手元資金に不安を感じる場合には、月々の支払にしておく方法が得策ですね。

以上のように、軽貨物事業を開業するにあたって必要な費用は「およそ200万程度」です。

特に一時的に大きな費用がかかる軽貨物自動車と保険料は、利用方法・支払方法の見直しで一時的な負担額の抑制も検討しましょう。

開業後にかかる費用

軽貨物事業を開業後に、月々かかる諸経費の目安は10万円程度です。

ガソリン費用を中心に、ビジネスをするために必要な細かな費用が積み重なるためです。

軽貨物事業の月々の諸経費として見込まれる費用項目には、以下のようなものがあります。

  • ガソリン費用
  • 駐車場利用費用
  • 携帯利用費用
  • 自動車メンテナンス費用
  • 保険費用(一括払いしている場合は対象外)

ガソリン費用

この中で、最も費用がかさむのはガソリン費用です。

市場動向調査によれば、2018年の業界全体の月間の平均走行距離は2,500kmでした。

(参考:2018年度小型・軽トラック市場動向調査

月間走行距離が2,500kmの場合、仮に燃費を12km/L、ガソリン単価を150円/Lとすると、月当たりのガソリン費用は少なくとも3万円になります。

計算例:走行距離2,500km ÷ 燃費12km/L x ガソリン単価150円/L

実際の走行距離はもっと長くなる可能性もあること、ガソリン価格が高止まりしていることなどを考えると、ガソリン費用はもっとかかると考えておくのが妥当でしょう。

駐車場利用費用

都市部で軽貨物事業を実施する場合には、駐車場利用費用も無視できない金額です。

例えば、東京都の場合、2023年3月時点の平面の駐車場の月極価格の相場は3万円弱。ガソリン費用と合わせると合計で6万円以上になります。

(参考:東京都の月極駐車場相場情報

もし、保険費用、特に自動車保険と貨物保険を月額払にすると、それぞれ1〜2万円かかりますから、月々の諸費用は10万円をゆうに越えてしまいますね。

さらに、毎月ではないものの定期的に発生する費用として、各種税金(自動車税・重量税等)、車検費用もあることは忘れてはいけません。

個人事業主で軽貨物事業を営む場合、開業後にかかる費用項目は複数あり、その合計は月々最低でも10万円にはなると見込んでおく必要があります。

軽貨物事業を個人事業主として始める3つのメリット

軽貨物事業を個人事業主として始めることをおすすめするメリットは、3つあります。

個人事業としての自由度と、軽貨物事業の業務の特徴や報酬体系がポイントになっています。

会社員のような仕事とは異なる、個人事業主として軽貨物事業を行うメリットを、順番にご紹介します。

開業のハードルが低い

個人事業主として軽貨物事業を開業するハードルは、決して高くありません。

なぜならば、軽貨物事業を開業する条件として特別な経験や資格は不要で、国から許認可を取得する必要もないからです。

(参考:貨物自動車運送事業法 第36条

以下の3つの手続きをすれば、個人事業主として軽貨物事業の開業が可能です。

  • 運輸支局に軽貨物事業の届け出を提出
  • 軽貨物検査協会で黒ナンバーを取得
  • 税務署に開業届を提出

また、軽貨物事業で利用する自動車には、普通免許で運転可能な軽トラックや軽自動車を利用します。

そのため、普通免許保持者であれば、新たな特殊免許の取得も不要です。

上記の手続きをする前の、準備作業も煩雑ではありません。

軽貨物事業を開業するための手続きとして、特殊な許認可や資格は必要ないため、普通免許を保有する会社員でも開業しやすい事業と言えますね。

自分のペースで働ける

会社員の仕事と比較すると、自分の都合で働きやすいのが軽貨物事業です。

その理由は、軽貨物事業のメインである配送業務は1人で行える仕事だからです。

会社員の場合は、関連する組織や人とのしがらみを考慮しながら仕事をすることは、避けることはできませんよね。

仕事に行きたくないという考えの主な原因は、人とのしがらみだという調査結果もあります。

(参考:仕事に行きたくない理由ランキング!男女500人アンケート調査

軽貨物事業は、配送業務を受注したりするために取引先とのやり取りが必要ですから、完全に1人で完結する仕事ではありません。

しかし、個人事業主として仕事をすることになれば、会社員のように関連する部門との調整や、部門内の人間関係の調整などは不要になります。

個人事業主として軽貨物事業を開業すると、社内の人間関係を考慮する煩雑さがなくなり、かつ業務のほとんどを自分のペースで進められます。

自分の頑張り次第で収入を増やせる

軽貨物事業は、働いた分だけ報酬を受け取れるビジネスモデルです。

軽貨物事業の報酬は、おおよそ、稼働量に比例するためです。

例えば、軽貨物事業として想像しやすい、個人宅へ荷物を届ける宅配代行の報酬体系は、以下の通りとなっています。

報酬=配送個数/日 × 配送単価/個数 × 稼働日数

つまり、多くの個数を配送すればするほど、報酬を多く得られるということですね。

さらに、個人事業主には労働基準法が適用されないため、稼働時間の制約もありません。

そのため、体力に自信があれば、長時間働いて1日当たりの配送料を増やし、報酬を増やすことも可能です。

軽貨物事業は、頑張りしだいで収入を増やすことができる仕事です。

軽貨物事業を個人事業主として始める3つのデメリット

個人事業主として軽貨物事業を行う場合に、知っておくべきデメリットは以下の3点です。

しかし、いずれも軽貨物事業に限らず、個人事業主としてビジネスをする上では避けられない一般的な内容です。

事前にデメリットの内容を正しく理解して対策を立て、不安を払しょくしておきましょう。

それでは順番に理解しておくべきデメリットをご紹介します。

手続きが増える

会社員やアルバイト・パートと比較すると、個人事業主ならではの手続きが増えます。

会社が個人に代わって対応してくれていた手続きを、個人事業主は自分で行わなければならないからです。

個人事業主として軽貨物事業を開業した場合に、増えてしまう手続きには以下のようなものがあります。

  • 確定申告
  • 各種間接業務(請求書作成や発送など)

会社員であれば、基本的に、年末調整によって税金関連の手続きを会社が代行してくれます。手間を感じることは多くはありませんよね。

一方、個人事業主の場合は、ビジネスの決算を確定申告で行う必要があります。

いままで確定申告をしたことがなかった人からすると、想像も出来ないような作業を自分で行わなければなりません。

しかし、今はオンライン上での申請ができるようになっており、それを効率化するための安価な経理クラウドサービスも利用できます。

加えて、取引先とのやり取りに関する業務は、業務委託契約先が対応してくれることもあります。

よって、何から何まで、全てを独力で対処する必要はありません。

個人事業主であるために対応しなければならない手続きが増えるのは事実ですが、それを効率化する仕組みを活用すれば、稼ぐ業務に集中できます。

自己負担額が増える

軽貨物事業に限らず、個人事業主になると、業務に関連する費用は基本的に全て自己負担です。

軽貨物事業の場合、ガソリン費用や駐車場利用費用など、事業特有の必須の費用が発生します。

個人事業主が軽貨物事業を開業した場合に発生する月々の経費は、前述のとおり10万円程度です。

売上高によっては利益があまり残らない、つまり手取りが少なくなるという点を不安視される方が多いのも、無理はありません。

しかし、見方を変えると、会社員と同じ収入でも支払う税金は少なくなる可能性が十分にあります。

例えば、自宅をオフィスにしていれば、家賃関連費である家賃や通信費の一部を経費に充てることが可能です。

(参考:国税庁|事業所得の課税のしくみ(事業所得)やさしい必要経費の知識

つまり、今までは税金が差し引かれた後の可処分所得から捻出していた費用を、経費とすることができるのです。

これにより、生活費用は変わらず、支払う所得税を減らすことができる可能性があります。

自由に使えるお金、可処分所得を増やすことも夢ではありません。

個人事業主は、自己負担額が多くなると見込まれます。

しかし、会社員にはない経費の考え方を正しく活用することで、自由に使えるお金を増やせるチャンスがあるのが、個人事業主の魅力です。

保障が少ない

個人事業主には、会社員にはある労災や傷病手当てが支給されません。

個人事業主は会社員ではないため、労災保険や健康保険の活用ができないためです。

軽貨物事業は、オフィスワークと比較すれば肉体労働的な面があり、病気やケガは売上減に直結してしまいます。

会社員であれば、事業主である会社に労災保険への加入が義務付けられており、業務が原因の負傷や疾病に対しては給付金が支給されます。

しかし、個人事業主はどこにも雇用されていないため、労災保険の適用外となり、給付金も受け取ることはできません。

また、個人事業主が加入可能な「国民健康保険」には、会社員が加入する「健康保険」に含まれる、病気やケガで働けなくなった際の「傷病手当金」がありません。

よって、個人事業主が病気やケガで仕事が出来なくなった場合、収入が減ってしまいます。

個人事業主は会社員よりも保障が少ないのは明白ですから、必要に応じて事前に保険に加入しておくなど、不安を払しょくできるような手立てを考えておく必要がありますね。

軽貨物事業を個人事業主として始めるための4ステップ


軽貨物事業を個人事業主として始めるために必要なステップは、以下の4つです。

この順番で進めることをおすすめします。

なぜなら、ステップの順番に前後の依存関係があるためです。

それぞれのステップの概要について、順番にご紹介します。

軽貨物運送事業経営届出書を提出する(運輸支局に必要書類を提出)

軽貨物事業として開業をするための届出を運輸支局に提出します。

運輸支局への届出は、黒ナンバーで営業をするために必要です。

運輸支局に提出する書類
貨物軽自動車運送事業経営届出書 貨物軽自動車運送事業を経営することを届出する書類
事業用自動車等連絡書 貨物軽自動車運送事業の届出をしたことを運輸支局が確認済みであることを証明する書類(黒ナンバーを取得する手続きに必要)
運賃料金設定届出書 荷主に対して提示する運賃を整理した書類
車検証(写し可) 新車の場合は完成検査終了証

(参考:国土交通省 関東運輸局 東京運輸支局

運輸支局への必要書類提出が完了しないと、軽貨物事業に必要な黒ナンバー取得に必要な書類を受け取ることができません。

この手続きが軽貨物事業を開始する上で最も重要な手続きですので、抜け漏れのないようにしましょう。

黒ナンバーを取得する

軽貨物事業として営業するには、黒ナンバーを取得しなければなりません。

最寄りの軽自動車検査協会で、事業用のナンバープレート(通称、黒ナンバー)を取得しましょう。

黒ナンバーを取得するために必要なもの
事業用自動車等連絡書 運輸支局が押印した書類(有効期限は1ヶ月)
ナンバープレート(車両番号標) 管轄が変更となる場合は、ナンバープレート代が別途必要
車検証 新車の場合は完成検査終了証

(参考:軽自動車検査協会 名義変更(売買・譲渡・その他)

軽貨物事業には黒ナンバーが必要不可欠です。

万一、黒ナンバーを取得せずに、軽貨物事業を営業すると罰則の対象になりますので注意しましょう。

(参考:貨物自動車運送事業法 第76条)

この手続きが完了すると黒ナンバーを取得でき、いよいよ軽貨物事業として開業する準備が整います。

開業届を提出する

軽貨物事業の個人事業主として開業したら、開業届を提出しましょう。

(参考:国税庁|個人事業の開業届出・廃業届出等手続

開業届と合わせて青色申告承認申請書を提出することで、確定申告で青色申告の利用が出来るようになります。

青色申告では、最大65万円の特別控除など、税制面で有利な特典を利用可能です。

同じ事業所得の申告をする白色申告と比較して、納税額を抑制できるようになり、可処分所得、つまり自由に使えるお金を増やすことができるようになりますよ。

(参考:青色申告制度

個人事業主として開業したら、開業日から1ヶ月以内に提出しましょう。

仕事を始める

軽貨物事業として開業できたら、いよいよビジネスを始めることになります。

まずは輸配送する仕事を提供してくれる、荷主を見つけなければなりません。

残念ながら、開業をしても自然と仕事が降ってくるわけではないからです。

個人事業主として軽貨物事業をはじめる場合の仕事の見つけ方には、下記のようなものがあります。

仕事の見つけ方 内容・特徴
委託会社から案件を請け負う 配送案件を持つ企業と業務委託契約を締結する
マッチングサイトを利用 Uber Eatsや出前館などの軽貨物版と考えると分かりやすい
配送業者とフランチャイズ契約 加盟先の会社から案件の紹介や研修・アドバイスなどを提供してもらえる

複数の仕事の見つけ方を組み合わせながら、自分にあった仕事を見つけましょう。

まとめ

  • 軽貨物事業を開業したてでも補助金制度で費用負担の軽減が可能
  • 個人事業主として軽貨物事業を開業に必要な初期費用の目安は200万程度、月々の諸経費の目安は10万程度
  • 軽貨物事業のメリットは、始めやすさ自由度頑張り次第で収入増
  • たったの4ステップで個人事業主の軽貨物事業の開業が可能

軽貨物事業を個人事業主としてはじめるハードルは決して高くありません。

軽貨物事業をはじめたばかりでも費用負担を軽減できる補助金制度が活動でき、開業のための手続きもたったの4ステップだからです。

会社員の仕事と比較すると、自分のペースで進められる自由度や、自分の頑張りがそのまま収入に繋がる点は魅力的ですよね。

通販ビジネスの浸透に合わせて軽貨物ドライバーの必要性が高まっている現状を踏まえると、軽貨物事業のビジネスチャンスは見逃せません。

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