電気工事士は個人事業主として開業できる?独立するポイントを解説

コラム

建設業を始めとする、あらゆる現場で必要とされる電気工事士。

住宅や店舗などの建物には電気工事士の仕事が必ずあり、とても需要が高く安定しています。

そのため、ある程度経験を積むと、個人事業主として独立、開業することを考える方も多いのではないでしょうか。

とはいえ、実際に誰でも個人事業主の電気工事士として、独立開業することができるのでしょうか

当記事では、個人事業主の電気工事士として開業するための条件や登録方法、メリット・デメリットなど大切なポイントを解説します。

電気工事士は個人事業主として開業できる?


電気工事士は、個人事業主として開業することは可能なのでしょうか。

ある一定の条件を満たせば、十分可能です。

電気工事士として独立して仕事をするためには、まず電気工事士の資格が必要です。

資格がなければ電気工事士を名乗ることもできないので、最初のステップとして資格を取得しておきましょう。

資格の種類として「第一種電気工事士」「第二種電気工事士」があり、順番としては第二種を先に取得することになります。

第二種電気工事士の取得は、電気工事の実務経験が不要で、難易度はそれほど高くありません。

電気工事会社に勤務する場合も、この資格がないと一般家庭の電気工事すらできません。必ず取得しましょう。

第一種電気工事士は、実務経験を3年以上積む必要がありますので、独立するまでに第一種の資格を取っておきましょう。

また、 もし独立後、事業用物件も手がけようと考えているのであれば、「認定電気工事従事者」の交付を受けておきましょう。

こちらを取得しておくと、工場やビルなどでも簡易電気工事を行うことができるようになり、仕事の幅が広がります。

このように、第一種を取得後、3年の実務経験があれば、第二種を取得して独立することが十分可能となります。

電気工事士が個人事業主として開業するために必要な登録


電気工事士として開業するにあたって、個人事業主として、登録が必要になることがいくつかあります。

以下に紹介します。

登録電気工事業者

電気工事を行うには、都道府県知事の認可が必要となります。

こちらを取得することにより、法的にも電気工事士として認可され、電気工事を始めることができます。

試験はなく、申請書に不備がなければ取得できます。

通知電気工事業者

建設業許可を取得しておらず、自家用電気工作物のみを工事する事業者は、行政に対して通知をします。

この通知を行った電気工事業者を、通知電気工事者と呼びます。

電気工事はできますが、建設作業の工事は行えません

みなし通知電気工事業者

建設業許可を受け、自家用電気工作物のみを工事する事業者は、電気工事業開始通知書の提出が必要です。

通知事項に変更があった場合(建設許可番号の変更も含む)、届出が必要です。

電気工事に加え、建設工事も請負で行うことができます。

みなし登録電気工事業者

建設業許可を取得している登録電気工事業のことを指します。

登録電気工事業との違いは、みなし登録電気工事業者は届出のみで登録の必要がありません。

届出事項に変更があった場合(建設許可番号の変更も含む)、変更の届出が必要です。

登録をすると、電気工事に加えて建設工事の作業を行えるようになります。

登録書類の提出場所


登録書類を提出する場所は、営業所の数や場所によって異なります。

  • 1つの都道府県に営業所を設ける場合:都道府県知事
  • 2つ以上の都道府県に営業所を設け、1つの産業保安監督部内の場合:産業保安監督部長
  • 2つ以上の都道府県に営業所を設け、2つ以上の産業保安監督部の場合:経済産業省

電気工事士が個人事業主として開業するメリット


電気工事士が、会社員ではなく個人事業主として働くことで、どのようなメリットがあるのでしょうか。

頑張り次第で収入を伸ばせる

独立をすると、組織に所属して働くよりも大きく稼げる可能性があります。

電気工事士としての実力はもちろんですが、営業のスキルを発揮することや価格交渉をうまく行うことによって、高額で規模の大きな案件を受注できる可能性があるからです。

仕事の数も、頑張れば頑張った分だけ収入アップにつながります。

働き方の自由度が上がる

個人事業主になれば、働き方の自由度が上がります。

案件の価格設定や、休日、勤務時間まで、すべて自分で決めることができます。

会社員のように拘束時間もなく、自分の都合によって収入も休みもすべて自分でコントロールできるようになります。

自分で仕事を選べる

個人事業主として開業すると、仕事も自分で選べます

現場が遠い場合などには断ることもできますし、自らの地元周辺専門に仕事を請け負う人もいます。

仕事内容、仕事先など、すべての裁量権が自分にあるのです。

人間関係の悩みがなくなる

会社員時代と違い、上司や先輩、後輩など、人間関係に悩むことがなくなります

黙々と作業をこなすことができて、煩わしい人間関係もないので、日々の余計なストレスに悩まされることも減るでしょう。

電気工事士が個人事業主として開業するデメリット


では、個人事業主として開業するにあたって、デメリットはどのようなものがあるのでしょうか。

収入が不安定になる

個人で開業すると、収入が不安定になる可能性があります。

その月の受注数によって、収入は変わります。

また、元請けの会社の業績が悪くなってしまったり、倒産してしまったりすると、一気に収入がゼロになってしまうこともあり得ます。

5年ごとに更新が必要になる

登録電気工事業者の登録有効期限は5年間です。

登録から5年ごとに更新手続きを行わなければなりません。

登録有効期間が満了する30日前から満了日までに、更新手続きを忘れずに行いましょう。

必要な手続きが増える

個人で開業すると、会社員時代と違い、自分でさまざまな手続きを行わなければなりません。

電気工事士として開業するための開業届や登録以外に、労災保険の手続きや確定申告も行わなければならず、必要な手続きは増えてしまいます。

個人事業主として独立した電気工事士の収入


独立した電気工事士の収入の目安は、平均500万〜600万円といわれています。

当然、実際にどれくらいの収入を得られるかは個々の働き方にもよりますが、一般的な会社員よりも高い水準にあるといえます。

仕事量や質によっては、それ以上を目指すことも可能です。

電気工事士が個人事業主として開業する際のポイント


個人事業主として開業する際に、どのようなポイントに気を付けるべきでしょうか。

丁寧な作業を心がける

言うまでもないことですが、依頼された仕事は丁寧な作業を心がけましょう。

仕事ぶりが評価されれば、次回以降の仕事の依頼が来ることや、評判が伝わって、違う現場から声がかかることもあります。

丁寧な仕事をすることで次につながることもあるので、手を抜くことなく丁寧な作業を心がけましょう。

業務提携をする

自らの元請けだけでなく、安定的に仕事をするために、工務店などと業務提携を広げることも重要です。

下請けの管理をすることにはなりますが、受注を増やすことができるため、事業の安定につながります。

営業に力を入れる

独立して成功するために最も重要なのは営業力だといっても過言ではありません。

どんなに電気工事士としての実力があっても、営業力がなければ仕事につながりません。

技術者でありながら、個人で事業をするのであれば営業力は欠かせません。

人脈を活用する

人脈も成功への重要なポイントといえるでしょう。

独立前から取引先などと良好な関係を築けていれば、開業後に仕事を回してもらえる可能性があります。

同業者であれば、有益なアドバイスももらえるかもしれません。

いざというときのトラブル時にも、手を貸してくれる可能性があるので、独立前から多くの人脈を築き、信頼できる仲間を増やしておくことはとても大切です。

積極的に単価交渉を行う

事業が安定して、コンスタントに仕事ができるようになってきたら、積極的に単価交渉を行いましょう。

ただし、今までと同じ仕事のやり方で、単価だけを上げるような交渉だと、相手にも不信感を与えかねません。

単価交渉する際には、「〇〇もやらせていただきますので、単価を上げていただけませんか?」のように、双方が納得できる範囲で交渉を進めていきましょう。

電気工事士が個人事業主として開業する際の集客方法


電気工事士として独立して開業しても、まずは知ってもらわない限り仕事は受注できません。

集客のために、どのような活動をすべきなのか解説します。

ホームページを作成する

現代において、集客にWEBの力は欠かせません。

そのためにもホームページを作成しておくことをおすすめします。

困ったことがあれば今や、スマートフォンなどで検索をするのが当たり前の時代です。

たとえば、「電気工事」「エアコン修理」「〇〇県」などのキーワードで検索をした時、自分のホームページが表示されれば、そこから問い合わせや受注につながる可能性が出てきます。

そのために、見やすく、内容も分かりやすいホームページを作成しておくと良いでしょう。

チラシ・ポスティングを活用する

地域を絞って営業をする場合はチラシ・ポスティングも有効な方法です。

事業所の近くに範囲を絞って、一戸建てやマンションなどに住む個人向けにチラシ・ポスティングをすることで、そこから集客につながる可能性があります。

自宅の近くの業者であれば、気軽に依頼がしやすいためです。

顧客になってほしい人へダイレクトに宣伝する手段として、チラシ・ポスティングは有効な集客方法です。

まとめ


電気工事士の開業について解説してきました。

ポイントを以下にまとめました。

  • 独立には第一種、第二種電気工事士認定電気工事従事者の3つを取得し3年の実務経験が必要
  • 作業する現場などによっては必要な登録が複数ある
  • 収入や働き方、仕事内容を自由に決められる点がメリット、手続きが増える、収入が不安定になりやすい点がデメリット
  • 成功するためには丁寧な作業はもちろんのこと人脈の活用や営業力の強化で、顧客獲得を目指す
  • ホームページやチラシポスティングなどを活用することは集客する上で非常に重要

電気工事士の独立開業のポイントについては、以上となります。

独立を考える方や、これからしようとしている方はぜひ参考にしてみてください。

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