ブラック企業を辞めたくても退職しづらいイメージが先行しがちで、勇気を出せない人は少なくありません。
会社と揉める場合を想定して事前準備しておくと、いざというときの対処がスムーズにすすみやすいです。
結果的に退職できるうえ、ストレスのない生活を送ることができるでしょう。
この記事では、ブラック企業を辞めるためにすべきことや対策を解説します。
ブラック企業の辞め方
会社を辞めたいと考えるとき、具体的な手順を知りたいものです。
計画的な準備はトラブル回避に繋がり、結果的にスムーズな退職を目指すことができます。
ここでは、ブラック企業の辞め方や確認事項を解説します。
明確な退職理由を準備する
退職の意思表示をする時、辞職の理由を必ず聞かれるので明確な答えを準備しておくことが必要です。
理由が明瞭だと上司に意思が伝わりやすい上、自分の決心が揺らいでしまうことを防げます。
直属の上司に退職の意思をつたえる
退職の理由が明確に決まったら、直属の上司にアポを取った上で辞職の意思を伝えましょう。
引き留められることが想定されますが、終始冷静に対処する姿勢を心がけるべきです。
退職日を交渉する
直属の上司に退職の意思を伝える際に、あわせて退職日を交渉できると後々スムーズです。
引き継ぎや荷物の整理にかかる日数を考慮しながら、最終出勤日を決めましょう。
辞表を提出する
退職日が決まったら、会社指定の様式や自分で準備したフォーマットで辞表を提出します。
自分で用意する際は、ネットから無料でダウンロードすると便利です。
有給の残日数を確認する
有給休暇は退職日までに消化することが可能なので、残日数を確認しておくべきです。
長期間勤めた人は休暇が繰り越されているケースが多いので、なるべく無駄なく消化するようにしましょう。
ブラック企業を辞めるときの注意点
ブラック企業を辞めるとき、退職の流れがスムーズにいかないことが多いので注意が必要です。
有給休暇の消化を拒否されることや、最悪の場合は退職を受け入れてもらえないケースも少なくありません。
起きうる事態を想定しながら対処法を用意しておくことで、確実な退職を目指せるはずです。
ブラック企業の特徴
そもそも、自分の会社がブラック企業なのかわからないという人も多いようです。
ここではブラック企業の具体的な特徴を解説するので、自身の職場にあてはまるかを確認してみてください。
厚生労働省がいうブラック企業の特徴
厚生労働省はブラック企業について、次のようにまとめています。
一般的な特徴として
- 労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す
- 賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い
- このような状況下で労働者に対し過度の選別を行う
<参考>厚生労働省ホームページ「確かめよう労働条件-Q&A」
次のパートでは、それぞれの特徴についてくわしく解説します。
休みが極端に少ない
休みの日が規定されているにもかかわらず、休日出勤することが当然のような雰囲気のある会社がブラック企業の特徴のひとつです。
本来であれば、体を休めて労働への力を蓄えるような働き方が理想といえます。
仕事をし続けていたら作業効率が落ちたり、体を壊したりする恐れがあり、休みが少ないのは逆効果といえるでしょう。
極端な長時間労働
定時になっても退社させず、極端に時間外労働することを黙認している会社です。
近頃では「働き方改革」として長時間労働を見直す動きがあるものの、改善に至らない職場は少なくありません。
ちなみに健康被害の恐れがある「過労死ライン」は、月の残業時間が80時間とされているのであてはまる人は注意が必要です。
達成不可能なノルマを課す
無理のあるノルマを課して、達成できないとペナルティや嫌がらせを行う会社です。
そもそも目標は職場が一方的に設定するものであるため、成し遂げられないからといって労働者が責任を負う必要はありません。
また、ノルマの成果を減給という形で反映する会社は、違法の可能性があります。
賃金不払残業
規則で定められている賃金や残業代の支払いを、業績不振等の理由で支払わない会社です。
給料が支払われないとスタッフの生活状況が厳しくなり、集団離職にも繋がりかねません。
また、職場は運営事情にかかわらず、賃金を労働者に支払う義務を持つため、賃金不払残業は違法の可能性があります。
パワーハラスメントが横行する
暴力や不快な言動をとるなど、嫌がらせ行為が日常的に行われるような会社です。
パワーハラスメントは意欲の低下や本来の能力の阻害、健康被害を引き起こすとされています。
嫌がらせが起きない風土は会社が率先して作るものであり、パワハラ被害が起きたら速やかに対応策を考えることが大切です。
ブラック企業に引き留めを受けたときの対策
ブラック企業に退職の意思表示をするときに考えられるのが、人手不足が理由の引き留めです。
ここでは、会社から辞職をとどまるように言われた場合の対策を解説します。
内容証明で退職する
内容証明とは郵便の送付方法の1つで、書類の内容を郵便局が保管するものです。
法的な効力はないものの重要な局面で使用されるケースが多く、相手へ緊張感を与えることが期待できます。
辞職でトラブルが想定される場合は、内容証明での退職届送付を考えてもよいでしょう。
労働基準監督署へ相談する
労働基準監督署とは、労働に関する法令に基づいて会社を指導する国の機関です。
相談すると職場に調査が入るため、結果的に仕事を辞められる可能性があります。
辞職について一人で解決できない場合は、国の機関に頼ることも視野に入れましょう。
それでも辞められないなら退職代行
近頃は退職代行を利用して即日で辞職する人も珍しくないようです。
ここでは退職代行業者について解説するので、今すぐ仕事を辞めたい人はチェックしてみてください。
退職代行とは
退職代行とは、辞職の意思表示を自分の代わりに行ってくれるサービスのことです。
会社に行かずに早い人は即日で退職できることから、若い世代を中心に人気があります。
料金はかかりますが、職場と直接やりとりせずスムーズに退職したい人におすすめです。
退職代行を利用する流れ
多くの退職代行の基本的な流れは、以下の通りです。
- メールや公式LINEから無料相談
- 料金支払い
- 退職代行開始
- 退職完了
大体の退職代行は無料の相談を受け付けているので、まずは疑問点や希望についてのやりとりをします。
料金の支払い方法は業者によって違うため、後で焦らないように事前確認が必要です。
退職代行業務が始まると、会社に出勤する必要はないので、仕事を辞められるまで落ち着いて待ちましょう。
辞職完了後の書類や荷物のやりとりは、郵送でOKです。
ブラック企業を退職後にやるべきこと
晴れてブラック企業を退職できたら、さまざまな手続きをする必要があります。
ここでは、会社を辞めてからやるべきことを4つ解説します。
失業給付の申請
失業給付とは、仕事を失った人や自己都合で退職した人が次の仕事が見つかるまでの間に受けられる金銭制度のことです。
ブラック企業をやめた場合でも、要件にあてはまればもらえるので確認してみましょう。
健康保険と年金の切り替え手続き
退職すると、基本的には健康保険や厚生年金の切り替えが必要です。
次の会社が決まるまで健康保険は国民保険へ、厚生年金は国民年金へと方式を変えて加入します。
市区町村役場での手続きが可能なので、忘れないうちに早めに行うことがおすすめです。
住民税の納付手続き
会社に在籍している間の住民税は給料からの天引きで支払われますが、退職後は自分で納めなけばなりません。
手続きは会社と市区町村が行ってくれるので、自宅に納付書が届いたら忘れずに支払いに行く必要があります。
未払い賃金の有無・金額を確認
会社から給与や賞与、手当などが適切に支払われているかを給与明細などを見て確認します。
賃金の請求は退職後でも可能ですが、未払いから2年または3年以内にしなければなりません。
トラブルにも繋がりかねないので、なるべく早めに対処するようにしましょう。
まとめ
この記事では、ブラック企業の辞め方を知りたい人向けに以下のようにまとめました。
- ブラック企業を辞める際は計画的に進める
- 自分の会社がブラック企業なのか見定める
- 引き留められたら内容証明や国の機関へ相談する
- 一刻も早く辞めたい場合は退職代行を検討する
- 退職後の手続きについて理解しておく
ブラック企業を退職する際、トラブルが起きやすい傾向にあります。
精神的な負担にもなりかねないので、なるべく準備を周到に行うことが必要です。
自分での解決が難しい場合は退職代行や国の機関の利用を検討し、ストレスなく辞職できるように進めていきましょう。