「退職代行を利用しようとしたら、親や周囲に、退職を他人に頼むなんて頭おかしいんじゃない?と言われた」
「自分で退職を言わないのは、おかしいことなのだろうか」
退職代行の利用を考えたとき、一度は「退職代行を利用するなんておかしい?恥ずかしい?」と迷うのではないでしょうか。
結論からいうと、退職代行を真剣に検討している時点でどう思われようが利用するべきです。
本記事では退職代行を利用する理由と、退職代行を利用してもおかしいと思われにくい対処法について解説します。
退職代行を使うと「頭おかしい」と言われる理由
まずは同じ退職なのに、自分で申し出るより退職代行を利用した退職のほうが反発を受ける理由について見ていきましょう。
自分で伝えないのは失礼だと考えている
「お世話になったのに突然退職するなんて失礼」
「挨拶もしないで退職するなんてマナーがなっていない」
たしかに、自分が同僚や部下に退職代行を使われた側の立場なら上記のような考えを持つかもしれません。
本人にとってどうあれ、長い間指導して育ててきたと認識している部下や従業員に突然退職代行を利用されたらショックを受けるのは当然です。
しかし本人にとっては、わざわざお金を払ってまで退職代行を利用する事情や耐えられない気持ちがあったとはいえ、他人が簡単に非難すべきことではありません。
急に辞めるのは無責任だと考えている
「あとの人が困るのに業務を突然放棄して、無責任ではないか」
「人手不足なのに突然辞めて、残った自分たちを見捨てるのか」
特に人手不足が慢性化しているような職場や退職した人しか担当していない業務があると、退職代行による突然の退職が無責任と思われ、恨まれるのはある程度避けられないでしょう。
対面で退職を申し出ても、「無責任だ」「急には困る、次の人が入るまで」などの理由で退職したい側に罪悪感を持たせ、引き留められるケースはよくあるのではないでしょうか。
人員補充や待遇改善にはコストがかかるため、本人の辛さからは目をそらして業務に慣れている従業員をできる限り引き留めたほうが楽だと考える経営者は多く、なかなか退職ができなくなります。
できる限り迷惑をかけずに退職する方法を考えた結果、無理だと判断したら、あとの業務が大変になるのは会社の問題と割り切る必要もあります。
退職代行は違法だと考えている
退職は従業員本人が申し出るものと考え、退職代行のシステム自体を否定している上司や経営者もいるでしょう。
しかし退職代行業者に委任すれば契約書や委任状が本人の意思である証明となるため、退職代行業者は代理人として退職の申し出が可能です。
ただし有給消化や未払い給料の請求については、弁護士あるいは加入している労働組合以外の人間がおこなうと違法になってしまいます。
退職代行は違法だからやめとけといわれる理由はこの点に対する誤解からです。
退職だけでなく交渉したい条件がある場合には、弁護士が在籍しているか、労働組合として活動している退職代行業者を利用するようにしましょう。
そもそも退職代行を知らない
退職代行サービスが広く知られるようになったのは近年であり、長い間転職や退職をしていない会社の役職者や経営者のなかには従業員に利用されて初めて退職代行を知る人も多いでしょう。
退職代行を初めて知る人が「意味不明だ」と激しい抵抗感を示すのは当然です。
しかし、退職できずに悩み続ける苦しみから2万円程度ですぐに解放される退職代行は今後広まっていくでしょう。
今は利用する人のほうが少ない退職代行ですが、いずれ利用が一般的になる可能性もあります。
周囲に「頭おかしい」と非難を受けても、あまり気にしないようにしましょう。
「頭おかしい」と思われても退職代行を使うべき理由
本人以外にはすぐに辞めたいほどの辛さはわからないため、退職代行を使った退職をすべての人に理解してもらうのは難しいでしょう。
周りに賛同が得られなくても、退職代行を使ったほうがよい理由について解説します。
自分を守るため
当たり前ですが、お金をかけずにスムーズに退職できるなら皆自分で退職を申し出るでしょう。
わざわざお金を払って退職代行を利用するからには、やむを得ない事情があるはずです。
- 上司や経営者が怖くて退職を言い出せない、言っても責められたり拒否されたりする
- 業務が忙しすぎて上司となかなか会う時間が取れない
- 人手不足の職場で、退職を申し出たら退職するまで同僚の非難に耐えられない
先が見えない辛さが続くと、精神的に大きな負担となるだけでなく体調にも影響を与える場合があります。
会社が何があっても一生面倒見続けてくれるわけではないでしょうから、大事なのは自分です。
退職代行は精神的負担から早く解放され、自分の心身を守るための選択肢となります。
バックレるよりはマシ
会社側として退職代行の利用より困るのが、従業員が突然バックレて連絡がつかないことです。
バックレなのか体調不良や不測の事故なのかもわからない、退職するのかもわからないので人員補充も退職手続きもできない……。
同じ退職でも、バックレだとさらに大きな迷惑がかかります。
辞めたいけれど会社にも行きたくないし連絡も取りたくないと考えるなら、せめて退職代行を利用して退職の意思だけでも伝えておくのがおすすめです。
会社とやり取りする必要がなくなる
退職代行を利用するメリットは、会社にかける迷惑を増やさないだけではありません。
明確に退職の意思を伝えられるため、バックレと違って「会社から状況確認の連絡が止まらない」「会社の人が自宅に訪ねてくる」などのトラブル事例が起こる可能性が低くなります。
また、退職を考えるような労働条件や上司・同僚がいるなかで退職の申し出や退職後のやり取りを自分でおこなうのは大きなストレスです。
自分で連絡を取る必要もなく会社とのやり取りをすべて代行してくれるのは退職代行を利用する大きなメリットでしょう。
退職代行を使って「頭おかしい」と思われないための方法
退職する会社にどう思われようが関係ないとも考えられますが、人生どこでまた会社の人に関わるかわかりません。
退職代行を利用するにしても、以下の方法でできるだけ反発を受けにくく、迷惑がかかりにくいようにしておきましょう。
できる範囲のことはやったと思えば、突然退職する罪悪感の軽減にもつながります。
業務の引き継ぎをしてから辞める
可能ならば、自分しか知らない業務がある場合にはほかの人に引き継ぎをしておくと退職後に会社にかける負担が少なく済みます。
突然引き継ぎなどをしたら退職に気づかれると心配な場合は、あらかじめ準備したうえで1日〜数日休暇を取り、休みの間に業務を一時的に変わってもらう名目にして少しずつ引き継ぎをしておくと怪しまれにくくなります。
休みが取れない場合や一時的にでも引き継ぎが難しい場合には、仕事の合間に詳細なマニュアルを少しずつ作成して退職決行の直前に共有フォルダに入れておくのがおすすめです。
無断欠勤をしない
退職者が出ると会社側にしたらただでさえ負担がかかりますが、退職代行の利用による退職は、突然辞める形となり抵抗感は避けられません。
やり取りはせずに済んでも、会社側に退職手続きをスムーズにおこなってもらうためにはできる限り反感を買う行為はやめておいたほうがよいでしょう。
無断欠勤の果ての突然の退職は避け、もう出勤が難しいと感じたら退職代行を使ってでも速やかに退職の意思を伝えましょう。
まとめ
- 退職代行を利用した・利用された経験がない人は退職代行の利用に強い抵抗感を持つ可能性がある
- 退職代行は違法ではなく、なかには条件交渉ができる権利を持つ退職代行業社もある
- バックレや無断欠勤を続けるくらいなら速やかに退職代行の利用で意思を示した方が会社にとってもありがたい
- 突然の退職に罪悪感がある、反感をできるだけ持たれたくないときは事前にできるだけ業務の引き継ぎをしておこう
- 人員の補充は会社の問題なので、心身が辛いなら自分を守るために早めに退職代行サービスを利用しよう
もちろん大概の人は、できるならお金をかけずに会社の了承を得てスムーズに退職したいと思っているでしょう。
しかしさまざまな事情で難しい場合、周囲にどう言われようが退職代行を利用するのがおすすめです。
「もっと早くに辞めていれば」と後悔しないためにも、退職が難しい場合には退職代行の利用も検討しましょう。