「副業での領収書の書き方や必要な記載内容が知りたい」「領収書をもらい忘れた場合の対処法が知りたい」
このように悩んでいる人もおられるのではないでしょうか。
領収書は、収入や経費に関する税務申告の際に必要な書類です。また、売上や経費の内訳を把握する際も役立つ大切な証明書です。
取引先との信頼関係を構築する上でも重要です。
適切な領収書を発行できれば、クライアントからの信頼も得られるでしょう。
この記事では、領収書の書き方、もらい忘れたときの対処法を紹介します。
また、領収書の発行、保管、受領の際に注意すべきことをそれぞれ解説します。
領収書に関連する正しい知識を学んで、信頼されるビジネスパーソンを目指しましょう。
個人事業主の領収書の書き方を解説
個人事業主の領収書を発行する際は、宛名、日付、金額、但し書き、発行者の情報を正しく記載する必要があります。
宛名
宛名は、領収書が誰に対して発行されたかを明確にするために必要です。
宛名には、取引相手の氏名、もしくは法人名を記載します。
法人名の場合は、株式会社や有限会社などは略さず、正式名称で記載しましょう。
また「上様」や宛名なしの領収書は避けましょう。
株式会社○○ 御中
日付
日付は、支払いがいつ行われたかを示すために必要です。
日付が間違っていると、後からトラブルになる可能性もあるため、必ず正しく日付を記載しましょう。
日付は実際に支払が行われた日を記入するのが一般的です。銀行振込の場合は入金日を記載します。
令和5年3月22日、2023年3月22日
金額
支払われた金額は正確に記載しましょう。金額は税込み金額で問題ありません。
取引先から消費税額を記載する必要がある場合は、「うち消費税額〇〇円」と記載してください。
金額の頭には「¥」や「金」を付けます。金額の後ろには「–」を付けましょう。
これは、金額の改ざんを防ぐためです。
また、3桁ごとに「,(カンマ)」を入れて区切るのが一般的な方法です。
漢字で書く場合は、漢数字を使用し、金額の後ろに「也」を付けましょう。
記載例
¥108,000-(内 消費税8,000円を含む)、金壱万八千円也
但し書き
但し書きは、商品やサービスの内容を記載します。
「但、○○代として」と記載するのが一般的です。また、但し書きは具体的に記載しましょう。
「お品代」などのあいまいな記載は、支払い内容がわからず、経費として認められない場合があります。
送料なども合わせる場合は、そのことも書いておくと分かりやすいでしょう。
但、○○代として上記正に領収いたしました。
発行者の情報
領収書を発行した人や法人を証明するために、発行者の情報を記載しましょう。
住所や電話番号を記載することが一般的です。
記載例
○○株式会社
〒○○○‐○○○ 東京都○○区○○
電話:○○‐○○○○‐○○○○
FAX:○○‐○○○○‐○○○○
副業の領収書をもらい忘れた場合は?
副業の領収書をもらい忘れた場合でも、代わりの証明書類を利用して経費の証明を行うことができます。
ここでは、代用可能な証明書類を紹介します。
レシートは代用可能
レシートは領収書の代わりとして利用できます。
ただし、必要な記載事項がすべてそろっていることを確認しましょう。
事業用とプライベート用の買い物が混じっている場合は、事業用の商品項目にはマーカーで印をつけるなど、わかりやすく分けておきましょう。
クレジットカード明細は代用可能
クレジットカード明細でも領収書の代用は可能です。
ただし、レシートと同じく、必要な記載事項がそろっていることが前提です。
また、クレジットカード明細は、取引先でなく、カード会社が発行するものです。
できるだけ領収書をもらうように心がけ、難しい場合の緊急手段として考えましょう。
出金伝票で代用可能
出金伝票とは、会社から出金する際に取引を記録するための伝票です。
出金伝票でも領収書の代用は可能となります。
また、電車代や自動販売機などの飲み物代の際は領収書が発行されないので、出金伝票で代用することがあります。
出金伝票で代用する際も、必要な記載事項が書かれているか確認しておきましょう。
個人事業主が領収書の発行で注意すること
個人事業主になれば、領収書を発行する機会が増えます。
領収書の発行で注意する点を押さえておきましょう。
5万円以上の取引では収入印紙を貼る必要がある
5万円以上の取引をする場合、収入印紙を領収書に貼る必要があります。
貼っていない場合は、過怠税として本来納付すべきだった税額の3倍の税が課せられるので注意が必要です。
収入印紙は郵便局やコンビニなどで購入可能です。
記載事項
領収書発行の際には、宛名、日付、金額、但し書き、発行者の情報が記載されているか確認しましょう。
必要な記載事項が書かれていない場合、相手先が経費を計上できなくなるなど、トラブルになる可能性があります。
印鑑
法律上、領収書に印鑑は必要ありません。また、印鑑を押す場合でも個人の印鑑で問題ありません。
ただし、慣習上、屋号の角印を押すことが一般的になっています。
取引先のマイナスな印象に繋がる可能性があるため、印鑑は押す方が無難です。
屋号の角印があるのであれば、そちらを使用したほうが印象は良いでしょう。
個人事業主が領収書の保管で注意すること
領収書の保管が乱雑だと、申告の際、想定以上に時間がかかることがあります。
また、破損や紛失にも繋がりかねません。
領収書の保管について注意すべき点を確認しておきましょう。
保存期間
税務上、領収書の保管期間は以下の通りです。
白色申告の場合:5年間
欠損金が生じた場合:10年間
税務調査が入る場合もあるため、規定された保管期間は守りましょう。
保存方法
領収書の保管方法は、必要なときに見やすく、破損しないような方法が一番いいでしょう。
そのために、月ごとのファイルに分類して保管する方法がおすすめです。
日付順に整理し、月ごとにファイルできれば、必要な領収書をすぐに取り出すことができます。
また、スキャンして電子データとして保存する方法もおすすめです。
紙の領収書はどうしても外的環境で破損するリスクがあります。
スキャンして電子データとして保管すれば、破損しないことはもちろん、場所も取らず紙の無駄も減るメリットがあります。
電子帳簿保存法への対応
「電子帳簿保存法」は、領収書などの帳簿を電子文書ファイルで保存することの取り扱いに関する法律です。
電子帳簿保存法では、2024年1月1日以後発生する電子取引は、電磁的記録を保存するように義務づけられます。
電子取引のデータ保存は、タイムスタンプを付与し、改ざんしていないことを証明する必要があります。
そのため、タイムスタンプを付与できるシステム導入が必要です。
2023年12月末までに行われた分は紙保存が認められています。
今後進んでいくであろうデジタル化・電子化のためにもシステムやソフトを導入し、対応をしていくことが必要でしょう。
個人事業主が領収書の受領で注意すること
領収書を受け取る際に注意すべきことは、経費に関するものや宛名の記載に関するものがあります。
経費になるかを確認
領収書を受け取る際、経費として認められるものであるか確認しましょう。
経費として認められるものは、事業に関連するものであることが条件です。
例えば、オフィス用品、交通費、通信費、広告費などが該当します。
プライベート用と事業用を分けておく必要があるので注意しましょう。
宛名の記載があるかを確認
領収書には、宛名の記載があることが重要です。宛名が空欄であったり上様などの記載であったりする場合があるので注意しましょう。
宛名が正しく記載されていないと、経費として認められない可能性があります。
税務上のトラブルを防ぐためにも、確認するようにしましょう。
まとめ
- 個人事業主の領収書は、宛名・日付・金額・但し書き・発行者情報を正しく記載
- 領収書をもらい忘れた場合は、レシート・クレジットカード明細・出金伝票で代用可能
- 領収書発行の注意点は、5万円以上の取引には収入印紙が必要、正しい記載事項、印鑑があったほうがよい
- 領収書保管の注意点は、保存期間、保存方法、電子帳簿保存法への対応
- 領収書受領の注意点は、経費になるかを確認、宛名の確認
領収書の書き方、もらい忘れたときの対処法を解説しました。
また、領収書の発行、保管、受領の際に注意すべきことをそれぞれ解説しました。
領収書に関する正しい知識を学んで、信頼されるビジネスパーソンを目指しましょう。