個人事業主が確定申告をする際、帳簿を作成するのはすごく手間や労力がかかって大変ですよね。
そんな手間や労力を軽減するために会計ソフトの導入を検討しているものの、
「会計ソフトは必要なの?」
「経費で落とせるの?」
「選び方のポイントは?」
「おすすめの会計ソフトは?」
といった疑問や悩みをお持ちではないでしょうか。
本記事では、個人事業主が会計ソフトを利用するメリット、会計ソフトは経費になるのかという疑問への答えや、会計ソフトを選ぶ際のポイントをお伝えします。
また、初心者におすすめの会計ソフトも紹介しますので、あなたに合った会計ソフト選びにお役に立てください。
個人事業主には会計ソフトが必要?
個人事業主に会計ソフトが必要かどうかは、申告方法によって異なります。
青色申告の場合、確定申告が楽になるため、会計ソフトを利用することがおすすめです。
一方、白色申告の場合は、会計ソフトを利用しなくても、手書きで帳簿をつけることができます。
自分の申告方法に応じて、会計ソフトを利用するかどうか検討してみてください。
青色申告であれば確定申告が楽になる
青色申告では、確定申告をするために必要な帳簿をつけることが義務付けられています。
青色申告をすることで最大65万円の「青色申告特別控除」を受けられますが、そのためには簡易簿記ではなく複式簿記での記帳が必要となります。
しかし、手作業で複式簿記での記帳を行うのはかなりの手間がかかります。
そのため、会計ソフトを利用するほうが手間や時間を大幅に短縮でき、確定申告が楽になります。
また、令和2年の確定申告から、青色申告特別控除額は原則55万円となりました。
青色申告の特典を最大限に享受して65万円の青色申告特別控除を受けるためには、電子帳簿保存もしくはe-Taxによる電子申告を行う必要があります。
そのためにも、会計ソフトは必須であると言えます。
参考:国税庁|令和2年分からの青色申告特別控除の適用要件変更について
白色申告では不要の場合も
事業規模が小さい個人事業主の場合は、青色申告ではなく白色申告で済ませる場合が多いでしょう。
この場合は、複式簿記ではなくても簡易簿記で良いため、自分で帳簿をつけることができます。そのため、会計ソフトは必要ありません。
むしろ会計ソフトを導入することで逆にコストがかかってしまうこともあるため、小規模事業の場合は経費削減のためにも会計ソフトを使わないほうがいいでしょう。
個人事業主の会計ソフトは経費になる?
個人事業主が会計ソフトを購入した場合、経費として計上することができます。
会計ソフトにはクラウド型とインストール型があり、それぞれ勘定科目が異なります。
クラウド型の場合は、利用料金が経費になりますが、インストール型の場合は、購入費用が経費になります。
タイプ | 経費の対象 | 経費の計上方法 |
クラウド型 | 利用料金が経費になる | 「通信費」として経費に計上 |
インストール型 | 導入費用が経費になる | 「消耗品費」として経費に計上 |
ただし、会計ソフトの種類によっては、経費計上ではなく「無形固定資産として資産計上」が必要な場合もあります。
例えば、会計ソフトの導入費用が高額で、その費用を複数年に分けて償却する場合などです。
この場合は、会計ソフトを「無形固定資産」として資産計上し、償却費として経費計上します。
クラウド型の勘定科目
クラウド型の会計ソフトは、インターネットを通じて利用するソフトウェアで、月額または年額で利用料金を支払います。
この場合、利用料金は「通信費」として経費に計上できます。
インストール型の勘定科目
インストール型の会計ソフトは、パソコンにインストールして利用するソフトウェアで、導入代金を支払います。
この場合、導入代金は「消耗品費」として経費に計上できます。
ただし、インストール型の会計ソフトで購入費用が10万円以上の場合は減価償却の対象となるため、勘定科目は「ソフトウェア」となります。
個人事業主が初めて会計ソフトを選ぶときのポイント
個人事業主が初めて会計ソフトを選ぶときには、以下のポイントに注意することがおすすめです。
使い勝手が良い
会計ソフトは操作方法がわかりやすく、使い勝手が良いことが大切です。
できるだけ画面がシンプルでボタンの配置がわかりやすく、入力が簡単なものを選ぶと良いでしょう。
また、会計ソフトは会計知識がない人でも使いやすいフォーマットを選ぶことができます。
確定申告や会計ソフトの利用が初めての方は、使いやすいフォーマットを選ぶと良いでしょう。
クラウド型かインストール型か
クラウド型は、インストール型に比べて、手軽に利用できるメリットがあります。また、インストール型は、データの管理が自分でできるというメリットがあります。
どちらが良いかは、自分の使い方に合わせて選ぶと良いでしょう。
クラウド型は、インターネットに接続して利用するタイプの会計ソフトです。
利用するためには、インターネットに接続できる環境が必要です。
クラウド型のメリット
- 手軽に利用できる
- データのバックアップが自動で行われる
- 複数の端末から利用できる
クラウド型のデメリット
- インターネットに接続できないと利用できない
- セキュリティに不安がある
インストール型は、パソコンにソフトをインストールして利用するタイプの会計ソフトです。
利用するためには、パソコンにソフトをインストールする必要があります。
インストール型のメリット
- データの管理が自分でできる
- セキュリティに不安がない
インストール型のデメリット
- パソコンにインストールする必要がある
- 複数の端末から利用できない
サポート体制
会計ソフトには、サポート体制があるものとないものが存在します。
クラウド型は月額・年額のソフト利用料金にサポートの料金も含まれているものが多いですが、インストール型はソフトの導入価格とは別に、年額料金でサポートに加入する必要があるものが多い傾向にあります。
また、いくつかの料金プランがある場合には、プランによってサポート内容が異なるものもあります。
会計ソフト初心者の個人事業主の方は、トラブルの際に困らないようにサポートの手厚さも考慮して選ぶようにしておくといいでしょう。
確定申告書類が簡単に作成できるか
確定申告書類を簡単に作成できるかどうかは、重要なポイントです。
確定申告や会計ソフトを使うのが初めての方は、確定申告書類が簡単に作成できるものを選ぶと良いでしょう。
例えば、数値入力以外の作業に時間や労力をかけずに仕訳や記帳を効率よくできるか、確定申告書や決算書などの各種申告書をスムーズに作成できるかなどです。
確定申告書類の作成方法が分かりやすいものを選ぶことで、作業を効率化できます。
電子申告対応
導入を検討している会計ソフトが電子申告に対応しているかどうかも、重要なポイントです。
電子申告に対応した会計ソフトで作成した確定申告書類は、そのままオンラインで税務署に提出できるというメリットがあります。
そのため、会計ソフトを使うのが初めての方は、電子申告に対応しているものを選ぶと良いでしょう。
また、青色申告特別控除で65万円を狙いたい人は、e-Taxへの対応状況も必ずチェックしておきましょう。
Excelからデータの引き継ぎができるか
Excelからデータの引き継ぎができるかどうかも、重要なポイントです。
Excelと会計ソフトを連携できれば、Excelで入力した会計データをそのまま会計ソフトの記帳欄へ引き継げます。
これにより、いちいち手入力で打ち直さなくてもいいので、かなりの効率化が図れます。
そのため、初めての方には、Excelからデータの引き継ぎができるものを選ぶと良いでしょう。
また、Excelからのデータの引き継ぎ方法が分かりやすいものを選ぶことも大切です。
Macが対応しているか
会計ソフトのなかには、Macに対応していないものもあります。
いくらたくさんの機能を持っている優れた会計ソフトでも、お持ちのパソコンでの使用環境が合っていなければ使い物になりません。
Macをお使いの方には、導入しようと思っている会計ソフトがMacに対応しているか、事前にきちんと確認したうえで選ぶと良いでしょう。
法律や制度改正への対応
初めて会計ソフトを選ぶ個人事業主にとって、法律や制度改正への対応ができる会計ソフトは重要です。
例えば、確定申告の際に青色申告を行う場合、青色申告特別控除など、さまざまな特典が受けられますが、青色申告特別控除額を多くするためには、会計ソフトでの帳簿管理が必要です。
また、会計ソフトは、税務署の監査に対応するための書類作成機能を備えているものが多く、法律や制度改正に対応するためにも、会計ソフトの選定は重要です。
個人事業主の会計ソフトは無料でも良い?
個人事業主の会計ソフトには、無料のものもあります。
ただし、無料の会計ソフトには機能が限られているものが多く、法律や制度改正への対応が追いつかない場合があります。
また、無料の会計ソフトは、セキュリティ面に問題がある場合が多いため、注意が必要です。
そのため、個人事業主が会計ソフトを選ぶにあたって、サポートや機能、セキュリティ面を重視するのであれば、有料の会計ソフトも検討することをおすすめします。
個人事業主におすすめの会計ソフト3選
確定申告が初めての個人事業主の方や、会計ソフト初心者におすすめの会計ソフトを3つご紹介します。
弥生
画像引用:弥生の青色申告オンライン
弥生会計は、簡単かつシンプルな使い勝手が魅力の会計ソフトです。
セルフプランでは、すべての機能が1年間お試しで利用できますし、ベーシックプランとトータルプランも初年度は半額となりますので、とてもお得です。
業界最大規模のカスタマーセンターによるサポート体制も充実しており、会計ソフト初心者でも安心して利用できます。
提供元 | 弥生株式会社 |
タイプ | クラウド型・インストール型 |
特徴 | シンプルで会計初心者でも使いやすい 確定申告に対応 3つあるプランが無料or半額で利用できる 月額利用料が安い |
プランと金額(税抜) | セルフ :初年度無料(次年度は8,800円) ベーシック:初年度6,900円/年(次年度は13,800円) トータル :初年度12,000円/年(次年度は24,000円) |
無料期間 | セルフは初年度無料・他プランは初年度半額 |
サポート | 電話・メール・チャットサポートあり(セルフプランはなし) |
※2023年3月時点
弥生会計は、会計ソフト初心者でも使いやすく、低料金で安心感のある会計ソフトを利用したい、サポートもしっかり受けたいという個人事業主の方におすすめです。
マネーフォワード
画像引用:Money Forwardクラウド
マネーフォワードは、勘定科目の自動提案や取引明細を自動取得できるなど、豊富な機能や幅広いプランが魅力の会計ソフトです。
同シリーズの請求書作成や経費精算、給与計算システムなどと連携ができるだけでなく、銀行やクレジットカードなど2,400以上の金融機関と連携が可能です。
提供元 | マネーフォワード株式会社 |
タイプ | クラウド型 |
特徴 | 経営状況を見える化 取引入力と仕訳の作業時間を削減 中小企業・法人の帳簿作成や決算書を自動化 2,400以上の金融機関と連携が可能 リアルタイムレポートで経営状況もわかる |
プランと金額(税抜) | パーソナルミニ :980円/月額 9,600円/年額 パーソナル :1,280円/月額 11,760円/年額 パーソナルプラス:なし/月額 35,760円/年額 |
無料期間 | あり |
サポート | メール・チャットサポートあり |
※2023年3月時点
マネーフォワードは、豊富な機能を求めていて、会計ソフト以外のクラウドサービスとも連携させて使いたいという個人事業主の方におすすめです。
freee
画像引用:freee
freeeは、自動仕訳など機能が充実している会計ソフトです。
3,200以上の金融機関と連携可能で、銀行口座やクレジットカードから自動で明細を取得できるという便利さが魅力です。
スマホのカメラでレシートや領収書を撮影すると自動的に金額や日付を読み込んでくれるという嬉しい機能もあります。
また、質問に答えていくだけで、スマホから簡単に確定申告書の作成までできるという機能を装備している点も希少です。
提供元 | freee株式会社 |
タイプ | クラウド型 |
特徴 | 自動仕訳など機能が充実 便利なレシート撮影機能つき スマホで簡単に確定申告書の作成ができる 銀行やクレジットカードなど3,200以上の金融機関と連携できる |
プランと金額(税抜) | スターター :1,480円/月額 11,760円/年額 スタンダード:2,680円/月額 23,760円/年額 プレミアム :なし/月額 39,800円/年額 |
無料期間 | 30日間の無料期間あり |
サポート | 電話・メール・チャットサポートあり(プランによる) |
※2023年3月時点
freeeは、確定申告が初めてで、とにかく楽に会計業務を片付けたい、帳簿や確定申告書類の作成をスマホアプリで行いたいという個人事業主の方におすすめです。
まとめ
- 会計ソフトは申告の種類によっては必要ない
- 個人事業主の会計ソフトは経費になる
- 自分に合った会計ソフトを選ぶ
- 使い勝手やサポートなどをよく検討する
- 無料よりも有料の会計ソフトがおすすめ
個人事業主が確定申告をする際には、会計ソフトを利用するのがおすすめです。
初めて会計ソフトを選ぶときには、使い勝手やサポート体制、確定申告書類の作成など、様々なポイントに注意することが必要です。
また、会計ソフトを選ぶ際、機能やサポート、セキュリティ面を重視するのなら、無料のものではなく有料の会計ソフトの導入をおすすめします。
本記事では個人事業主におすすめの会計ソフトとして、弥生、マネーフォワード、freeeをご紹介しましたが、それぞれの特徴を比較して、自分に合った会計ソフトを選ぶ際の参考にしていただければ幸いです。