個人事業主は印鑑が押印されていない領収書を貰うと、経費として申請できるのか不安になる人もいるでしょう。
また、領収書に押印する印鑑がシャチハタではダメなのかと思う人もいるのではないでしょうか?
今回は領収書に印鑑が必要なのかを解説します。
さらに個人事業主が領収書の印鑑にシャチハタを使えるのか、また、おすすめの印鑑も紹介するので、気になる人はぜひ参考にしてください。
領収書に印鑑は必要?
領収書とは商品やサービスを提供する側が、金銭を受け取った証明をするため、支払人に発行する書面です。
たとえ個人事業主でも相手から求められれば、発行する義務があります。
では領収書に印鑑は必要なのでしょうか。
領収書に印鑑を押印すると、どのような効果が期待できるのかを解説します。
領収書の偽造を防止するため
領収書は印鑑の押印がなくても、原則として経費精算できます。
ただし、人によっては偽造防止を目的に、押印のある領収書を求めてくるケースがあるようです。
個人事業主の発行する領収書が不正を招くと不正に加担してるのではと疑われ、会社の信用が下がる可能性があります。
会社の信用を落とさないためにも、領収書の発行の際は金額を問わずに印鑑を押印すべきかもしれません。
収入印紙の消印のため
領収書に印鑑は必須でないと先述しましたが、収入印紙の消印(割印)は必須です。
5万円以上の領収書は、収入印紙の貼り付けが必要です。
消印とは収入印紙の模様と台紙をまたいで押す割印で、収入印紙を貼るだけでは納税したことにはなりません。
収入印紙の再利用を防止するため、消印が必須と印紙税法で定められています。
領収書の印鑑と収入印紙の消印は別物で、混同しないように注意すべきです。
使用するのは氏名や名称を表示する役職名、名称、日付印などを表示したゴム印で差し支えありません。
マナーとして押した方がいいため
個人事業主が請求書に印鑑を押印しなくても、法律上の問題や経費上の問題はありません。
しかし、領収書の印鑑は取引先の印象をよくするため、一般的なマナーとして押印しているとよいでしょう。
個人事業主は領収書の印鑑にシャチハタを使える?
印鑑といえば角印や丸印がありますが、個人事業主は領収書の印鑑にシャチハタを認印として使えないのでしょうか。
個人事業主の領収書に、スタンプ式のシャチハタが使えるのかを解説します。
シャチハタと聞くと馴染みのある印鑑という人が、ほとんどではないでしょうか。
一般的にシャチハタとは本体にインキ(インク)を内蔵している、スタンプ式の印鑑です。
実はシヤチハタは会社名で、販売する製品のひとつが「シヤチハタ ネーム印」といいます。
インクさえ補充できていれば連続で押せるため、利便性の良さが何よりの魅力です。
特に長時間の事務作業や、宅配便の受け取りのようなシーンに活躍してくれます。
メリットがある一方、既製品なので同じ印影のスタンプが複数存在します。
また、印面はゴム製で押し加減や力のかかり方で印影が変形する可能性があります。
さらにインク切れの場合は補充が必要です。
真正性が保証できないので、原則として公的な書類には認められていません。
個人事業主の領収書におすすめの印鑑
個人事業主の領収書に押印する際におすすめの印鑑を解説します。
角印や丸印、シャチハタ、電子印鑑のように、種類のある印鑑ですが、個人事業主向けなのはどれでしょうか?
角印
角印は押印する印鑑の形が四角いのが特徴です。
角印のほか、社印や角判と呼ぶこともあります。
比較的、見た目が立派で会社を代表する印鑑に思われやすいですが、日常業務で認印として使用して構いません。
例えば取引先に渡す見積書や納品書、請求書、領収書のような書類に押印しても大丈夫です。
角印を押印する理由は「対外的に押印された提出書類の方が正式」という慣習があるからです。
個人事業主が請求書に角印を押印する必要はありません。
法律上の決まりも存在しませんが、取引先に安心感を与えるために、印鑑を押印するほうがよいでしょう。
丸印
個人事業主が使用する印鑑は、角印のみならず丸印でもOKです。
丸印には主に会社実印や会社銀行印、会社認印があります。
角印は届け出をしない認印ですが、会社実印は法務局に、会社銀行印は銀行に届け出をしなければいけません。
面倒に感じるかもしれませんが、プライベート用と屋号が入ったビジネス用と使い分ける場合は作っておくとよいでしょう。
ほかに個人事業主が持っておくべき印鑑
個人事業主が、ほかに持っておくべき印鑑を解説します。
事業用として印鑑を持っておかないといけないのか、100均で販売している印鑑では支障があるのかと思う人もいるでしょう。
個人事業主が持っておくべき印鑑はどのようなシーンに必要なのでしょうか。
実印
個人事業主として持っておくべき印鑑のひとつが、個人の実印です。
事業用の屋号が印字された屋号印があっても、実印の代わりにはなりません。
実印とは市区町村の役所に登録しており、公的に認められている印鑑です。
では、なぜ個人事業主は実印が必要なのでしょうか。
その理由は会社の設立時や不動産取引をするときや、金融機関から融資を受けるときに必要だからです。
銀行印
銀行印は銀行口座を開設するために使用する印鑑です。
プライベートで使用している口座とは別に、事業用の新しい口座をつくることが望ましく、銀行印も分けているほうがよいからです。
屋号付きの口座を作ると経理上の管理が楽になるうえ、信用度を上げられます。
住所印
会社名のほか、住所や電話番号、FAX番号、メールアドレス、公式サイトやSNSの情報などを入れた住所印を作っておくこともよいでしょう。
用意しておくと、書類や封筒にそのまま押せるので便利です。
印鑑のほかに個人事業主の領収書に必要な項目
事業を進めるうえで領収書の扱いに悩んでいる個人事業主もいるかもしれません。
印鑑のほかに個人事業主の領収書に必要な項目を解説します。
日付
日付は領収書の発行日を特定するために重要な項目です。
あとになってから支払った、支払っていないと水かけ論が発生すると、トラブルに発展しかねません。
金銭のやりとりが発生した事実を証明するためにも日付の欄は重要です。
領収書を作成するときは、日付を書いてください。
宛名
宛名には代金の支払人の氏名や会社名を書きます。
株式会社や有限会社などは略さず、正式名称で書くべきです。
「上様」は正しい名称ではありません。
使わないように注意しましょう。
但書
何を購入したのか、どのようなサービスに料金を支払ったのかを書きます。
例えば「接待費として」「文房具代として」など、なるべく具体的に書くべきです。
使用用途や品目が複数あれば、そのなかで高額なものを代表として書いてください。
金額
金額は正しい支払金額を書くことが大切です。
金額の改ざんを防ぐため、数字の先頭に「¥」や「金」、末尾に「也」や「-」を入れ、3桁ごとに「,」を書きます。
収入印紙
金額が5万円(税込)以上の場合、収入印紙を貼り付けなければなりません。
定められた金額の収入印紙の貼り付けと消印があればOKです。
ただし、クレジットカード払いは印紙は必要ありません。
まとめ
- 領収書に印鑑は必ずしも必要ではない
- 領収書に印鑑を押印するのは偽造防止や収入印紙の消印のためだけでなく、マナーとして押した方がよい
- シャチハタは原則として公的な書類には認められていない
- 個人事業主の領収書におすすめの印鑑は角印と丸印
- ほかに個人事業主が持っておくべき印鑑は実印、銀行印、住所印
- 印鑑のほかに個人事業主の領収書に必要な項目は日付、宛名、用途、金額、収入印紙
個人事業主としてはたらいていると、使うことの多い印鑑。
どんなものを持っておくべきか、どこにどの種類の印鑑を押すべきか、理解しておくと、普段の業務でのモヤモヤが消えスムーズに作業できるでしょう。