「個人事業主として活動しているけど、資金繰りが厳しい」
「個人事業主には融資が難しいと聞くけど、本当なの?」
「個人事業主でも安心してお金を借りられる方法ってあるの?」
上記のような悩みを抱える個人事業主の方は多いのではないでしょうか?
個人事業主として活動するにはある程度のお金が必要です。
開業資金や運転資金、生活費などさまざまな資金需要に応えるための手段の一つとして、融資を受けることが有効です。
しかし、一般的に個人事業主に対する融資は難しいといわれています。
個人事業主はお金を借りられないのでしょうか。
答えは「借りられる」です。
個人事業主としてお金を借りる方法が5つあります。
しかし、どの方法が自分に合っているのか、どうやって融資を受けるのか、注意すべき点は何なのかなど知らなければ失敗する可能性が大きいです。
本記事では、個人事業主が融資を受ける5つの方法とそれぞれのメリットやデメリット、融資を受ける際のコツや注意点をお伝えします。
本記事を最後まで読めば、自分に最適な融資方法が見つかるため、資金繰りの参考にしてみてください。
個人事業主が融資を受ける5つの方法
個人事業主がお金を借りる方法は大きく分けて5つあります。
それぞれに特徴や条件が異なるため、自分の状況や目的に合わせて選ぶことが重要です。
以下では、それぞれの方法について詳しく解説します。
- 公的融資
- 信用金庫ビジネスローン
- 銀行ビジネスローン
- 消費者金融ビジネスローン
- ファクタリング
個人事業主が融資を受ける方法①公的融資
公的融資とは
公的融資とは、国や地方自治体などが実施する融資制度です。
個人事業主や中小企業などに対して低金利でお金を貸し出すことで、経済活動の支援や振興を目的としています。
公的融資は、一般的に民間の金融機関よりも金利が安く、返済期間も長いのが特徴です。
新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者に対しては、特別な支援策も用意されています。
ただし、公的融資は審査に必要な書類や手続きが多く、時間がかかります。
個人事業主が利用できる公的融資制度
個人事業主が利用できる代表的な公的融資制度には、日本政策金融公庫があります。
事業の開始や拡大、設備投資や運転資金などさまざまな目的に応じて融資を受けられます。
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は、国の出資によって設立された公的金融機関です。
個人事業主や中小企業などに幅広く融資をおこなっており、個人事業主が事業を始めるための資金や事業を拡大するための設備投資などに利用できます。
また、新型コロナウイルス感染症対策として、無担保かつ優遇された特別利率の特別貸付制度も実施しています。
日本政策金融公庫の融資を受けるには、事業計画書や収支予測書などの書類を用意し、最寄りの支店や出張所に申し込む必要があります。
公的融資のメリット
公的融資のメリットは以下のとおりです。
低い金利
日本政策金融公庫の融資のメリットは、金利が年2%前後と低く、返済期間が最長20年と長いことです。
新型コロナウイルス感染症対応緊急貸付の場合はさらに金利が優遇されています。
長い返済期間
公的融資は民間の金融機関よりも返済期間が長く設定されています。
日本政策金融公庫の貸し付けの返済期間は最長で20年のため、返済負担を軽減できます。
豊富な貸付枠
日本政策金融公庫の貸付枠は、一般貸付の場合は4,800万円まで、新型コロナウイルス感染症対応緊急貸付の場合は8,000万円までとなっています。
貸付枠が大きいと必要な資金を確保しやすくなります。
参考:日本政策金融公庫|一般貸付 新型コロナウイルス感染症特別貸付
公的融資のデメリット
公的融資のデメリットは以下のとおりです。
審査が厳しい
公的融資は民間の金融機関よりも審査が厳しくなっています。
事業計画書や収支計画書(予測損益計算書)などの必要書類を作成して、審査機関に提出する必要があります。
審査基準は各制度によって異なるため、事前に確認が必要です。
時間がかかる
公的融資は民間の金融機関よりも時間がかかることが多いです。
審査期間や手続きによっては、数週間〜数ヵ月かかる場合もあります。
急ぎでお金を借りたい場合には不向きです。
資金使途に制限がある
公的融資は資金使途に多くの制限があります。
開業や創業の支援ローンでは、開業や創業に必要な経費以外には使えません。
生活費や借入返済などには使えないことに注意してください。
個人事業主が融資を受ける方法②信用金庫ビジネスローン
信用金庫ビジネスローンとは
信用金庫ビジネスローンとは、信用金庫が提供するビジネスローンを指します。
信用金庫とは、地域の中小企業や個人事業主などを主な会員とする協同組織型の金融機関です。
信用金庫ビジネスローンは、地域密着型で対応が柔軟なことが特徴ですが、利用できるエリアや金額に制限があります。
信用金庫ビジネスローンのメリット
信用金庫ビジネスローンのメリットは以下のとおりです。
地域密着型で対応が柔軟
信用金庫は、地域の事情やニーズに応じて個別に審査や融資条件を決められます。
信用金庫の担当者と直接相談ができるため、信頼関係を築きやすいのもメリットです。
利用できるエリアが広く融資限度額が大きい
信用金庫は全国に254あるため、自分の住んでいる地域や事業をおこなっている地域に合った信用金庫を選べます。
5,000万円までの融資が可能ですので、大規模な資金調達にも対応できます。
他の融資制度との併用が可能
信用金庫ビジネスローンは、他の公的融資制度や民間の金融機関との併用が可能です。
日本政策金融公庫と信用金庫との連携融資制度は、日本政策金融公庫から借りたお金を信用金庫に預けることで、追加の融資を受けられます。
信用金庫ビジネスローンのデメリット
信用金庫ビジネスローンのデメリットは以下のとおりです。
会員登録が必要
信用金庫ビジネスローンを利用するには、会員登録が必要です。
会員登録には、入会費や年会費などがかかります。
会員登録する際には、信用金庫に一定額以上の預金をする必要もあります。
審査基準や条件が異なる
信用金庫は地域ごとに独立して運営されています。
審査基準や条件は各信用金庫によって異なります。
保証人や担保が必要な場合がある
信用金庫ビジネスローンは無担保、無保証人での融資が可能な場合が多いですが、借入額や審査状況によっては、保証人や担保が必要になる場合があります。
保証人や担保を用意するのが困難な場合には、利用できないこともあります。
利息が高い場合がある
信用金庫ビジネスローンは公的融資よりも利息が高い場合があります。
特に消費者金融ビジネスローンと比較すると、利息の差は大きくなります。
借入金額や返済期間によっては、返済総額が大きくなることもあります。
個人事業主が融資を受ける方法③銀行ビジネスローン
銀行ビジネスローンとは
銀行ビジネスローンとは、銀行が提供するビジネスローンを指します。
銀行ビジネスローンは、信頼性や安定性が高く大口の融資も可能ですが審査基準が厳しいため、保証人や担保を求められる場合があります。
銀行ビジネスローンのメリット
銀行ビジネスローンのメリットは以下のとおりです。
信頼性や安定性が高い
銀行は国から金融業務を許可された法人であり、厳しい規制や監督を受けています。
不測の事態がほぼないため信頼性や安定性が高く、安心してお金を借りられます。
大口の融資が可能
銀行は資金力が豊富で、利用限度額が1,000万円までの銀行も多く、大手メガバンクのなかには1億円までの融資が可能な銀行もあります。
大規模な事業展開や設備投資などに対応できます。
他の融資制度との併用が可能
銀行ビジネスローンは、信用保証協会や公的機関などの保証や補助を受けられるため、他の融資制度と併用が可能です。
他の融資制度と併用することで、金利を下げたり返済期間を延ばしたりできます。
また、必要な資金を確保しやすくなります。
ただし、併用する場合は条件や手続きに注意が必要です。
銀行や信用保証協会などに相談して、最適な組み合わせを見つけましょう。
銀行ビジネスローンのデメリット
銀行ビジネスローンのデメリットは以下のとおりです。
審査基準が高い
銀行ビジネスローンは審査基準が高くなっています。
特にメガバンクや地方銀行では、事業実績や収入状況、信用情報などを厳しくチェックします。
状況によっては保証人や担保が必要な場合もあります。
時間がかかる
銀行ビジネスローンは時間がかかることが多いです。
審査や手続きは、数週間〜数ヵ月かかる場合もあります。急ぎでお金を借りたい場合には不向きです。
資金使途に制限がある
銀行ビジネスローンは資金使途に制限があることが多いです。
メガバンクや地方銀行では、事業資金や設備投資など以外には使えません。
生活費や借入返済には使えないことに注意してください。
個人事業主におすすめの銀行ビジネスローン
三井住友銀行や三菱UFJ銀行、みずほ銀行などのメガバンクのビジネスローンは法人が対象で個人事業主は融資対象ではないため、メガバンクのビジネスローンからの融資は難しいです。
一方で、メガバンク以外の地方銀行やネット銀行には、個人事業主を対象としたビジネスローンを展開している銀行があります。
個人事業主におすすめの銀行ビジネスローンは以下のとおりです。
- PayPay銀行ビジネスローン
- りそなビジネスローン「活動力」
- 東京スター銀行「スタービジネスカードローン」
PayPay銀行ビジネスローン
- 1,000万円までの無担保・無保証人での融資が可能
- 申し込みから借り入れまで来店は一切不要
- 金利は年1.8%〜13.8%
- 審査は最短翌日に完了
- 資金使途は、事業性資金のみ
りそなビジネスローン「活動力」
- 500万円までの無担保・無保証人での融資が可能
- 原則来店不要。メールや電話、郵送で手続きが可能
- 金利は年6.0%〜14.0%
- 審査期間は1週間程度
- 資金使途は、事業性資金のみ
東京スター銀行「スタービジネスカードローン」
- 1,000万円までの無担保・無保証人での融資が可能
- 申し込みから契約まで来店は一切不要
- 金利は年4.5%〜14.5%
- 審査は最短5日で完了
- 資金使途は自由で、生活費や借入返済などにも使える
個人事業主が融資を受ける方法④消費者金融ビジネスローン
消費者金融ビジネスローンとは
消費者金融ビジネスローンとは、消費者金融が提供するビジネスローンを指します。
消費者金融とは、個人や法人に対して小口の貸し付けをおこなう金融機関です。
消費者金融ビジネスローンは、審査が早く手続きが簡単で即日融資も可能ですが、利息が高く返済期間も短い場合が多いです。
消費者金融ビジネスローンのメリット
消費者金融ビジネスローンのメリットは以下のとおりです。
審査が早く簡単
消費者金融ビジネスローンは審査が早く手続きが簡単です。
インターネットや電話で申し込めます。
審査は最短30分で完了して、即日融資も可能です。
資金使途が自由
消費者金融ビジネスローンは資金使途が自由です。
事業資金や設備投資だけでなく、生活費や借入返済などにも使えます。
信用情報に影響しない
消費者金融ビジネスローンで融資を受けても、返済が遅れたり借入状況などに問題がなければ信用情報に影響はありません。
そのため、他の融資制度への影響を気にする必要はありません。
消費者金融ビジネスローンのデメリット
消費者金融ビジネスローンのデメリットは以下のとおりです。
利息が高い
消費者金融ビジネスローンの特徴は利息が高い点です。
特に公的融資や銀行ビジネスローンと比較すると、利息の差は大きくなります。
借入金額や返済期間によっては、返済総額が大きくなる場合もあります。
返済期間が短い
消費者金融ビジネスローンは返済期間が短いです。
最長5年までの返済期間となるため、返済負担が重くなることもあります。
信用情報に影響する場合がある
消費者金融ビジネスローンは信用情報に影響しないことが多いですが、状況によっては影響する場合もあります。
返済遅延や滞納、一定額以上の借入があった場合などは影響が出るケースです。
信用情報機関に登録されると、他の融資制度への影響を受ける可能性があります。
個人事業主におすすめの消費者金融ビジネスローン
個人事業主におすすめの消費者金融ビジネスローンは以下のとおりです。
- アコム「ビジネスサポートカードローン」
- アイフル「無担保ローン個人プラン/法人プラン」
- プロミス「自営者カードローン」
アコム「ビジネスサポートカードローン」
- 融資限度額は無担保・無保証人で300万円まで
- 最短で申し込み当日の融資が可能
- 金利は年12.0%〜18.0%(実質年率)
- 返済期間は最長8年7ヵ月
- 資金使途は自由
アイフル「事業者向けビジネスローン」
- 融資限度額は無担保・無保証人で1,000万円まで
- 最短で申し込み当日の融資が可能
- 金利は年3.1%〜18.0%(実質年率)
- 返済期間は最長5年
- 資金使途は自由
プロミス「自営者カードローン」
- 融資限度額は無担保・無保証人で300万円まで
- 最短で申し込み当日の融資が可能
- 金利は年6.3%〜17.8%(実質年率)
- 返済期間は最長6年9ヵ月
- 資金使途は自由
個人事業主が融資を受ける方法⑤ファクタリング
ファクタリングとは
ファクタリングとは、売掛債権や未払い債権などを買い取ってもらうことで現金化するサービスを指します。
売掛債権や未払い債権とは、商品やサービスを提供したあとに支払いを受ける権利のことです。
ファクタリングでは、上記の権利をファクタリング会社へ譲渡をおこなうと、すぐに現金化されます。
売上に応じてお金を得られますが、手数料や割引率などに注意する必要があります。
ファクタリングは、融資ではなく売買のため、借入とは違って返済義務はありません。
ファクタリングのメリット
ファクタリングのメリットは以下のとおりです。
売上に応じてお金を得られる
ファクタリングでは、売上があればその分だけお金を得られます。
売掛債権や未払い債権の回収期間を待たずに、即時資金調達ができます。
審査が簡単
ファクタリングでは、自分の信用力や収入状況などは審査されません。
重要なのは、売掛債権や未払い債権の内容や相手先の信用力です。
審査が簡単でスピーディーにおこなわれます。
信用情報に影響しない
ファクタリングは借入ではなく売買なので、信用情報に影響しません。
返済遅延や滞納などがあっても信用情報機関に登録される心配は不要で、他の融資制度への影響を気にする必要はありません。
ファクタリングのデメリット
ファクタリングのデメリットは以下のとおりです。
手数料や割引率などに注意する必要がある
ファクタリングでは、売掛債権や未払い債権を買い取ってもらう代わりに、手数料や割引などが差し引かれます。
手数料の額や割引率は、売掛債権や未払い債権の額や期間、相手先の信用力などによって異なります。
そのため、事前に確認が必要です。
売掛債権や未払い債権が回収できない場合がある
ファクタリングでは、売掛債権や未払い債権を譲渡する際に、譲渡方式によって回収リスクが異なります。
譲渡方式は、無過失方式と有過失方式のいずれかです。
無過失方式では、相手先が支払い不能になった場合でも、ファクタリング会社が回収リスクを負担します。
有過失方式では、相手先が支払い不能になった場合は、回収リスクを負担する義務が発生します。
譲渡方式を選ぶ際には、上記の点から注意が必要です。
個人事業主におすすめのファクタリングサービス
個人事業主におすすめのファクタリングサービスは以下のとおりです。
- 一般社団法人日本中小企業金融サポート機構
- ビートレーディング
- OLTA(OLTA株式会社)
それぞれ詳しく解説します。
一般社団法人日本中小企業金融サポート機構
経営革新等支援機関として認定された一般社団法人で、中小企業や個人事業主の資金調達を支援する非営利団体です。
ファクタリングだけでなく、M&Aや事業再生などのコンサルティングもおこなっています。
- 個人事業主の利用可能
- 2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの両方に対応
- 手数料は1.5%〜10%と低い
- 審査通過率は95%以上と高い
- 申し込みから振り込みまで、最短3時間で完了
ビートレーディング
ファクタリングのパイオニアとして、全国の中小企業や個人事業主にエネルギーを与えるファクタリングサービスです。
オンライン契約を導入しているため、面談が不要で手続きが簡単です。
- 審査通過率は98%と高い
- 2社間・3社間取引、注文書ファクタリングにも対応
- 手数料は2者間ファクタリングで4%〜12%程度(税別)、3者間ファクタリングで2%〜9%程度(税別)
- 最短2時間のスピード審査で資金調達が可能
- 全国対応可能、買い取り金額無制限
OLTA(OLTA株式会社)
クラウドファクタリングで資金繰りを素早く改善できるファクタリングサービスです。
独自のAI審査やオンライン完結の仕組みで手数料を抑えており、個人事業主に人気です。
取引先への通知が不要な2社間取引に対応しており、プライバシーを守りながら資金調達ができます。
- オンラインで完結するため、全国どこからでも申し込み可能
- 面談不要、最短24時間以内に審査が完了
- 契約完了後、最短即日振り込みが可能
- 手数料は2%〜9%(税別)
- 買い取り可能額の下限・上限なし
個人事業主が融資を受ける理由
個人事業主が融資を受ける理由には、おもに以下の3つがあります。
それぞれ詳しく解説します。
開業資金
開業資金は、個人事業主が新しく事業を始めるときに必要なお金です。
店舗やオフィスの家賃や設備、商品や材料の仕入れ、広告や宣伝などのお金がかかります。
開業資金には、以下のものが含まれます。
設備投資
店舗やオフィスの賃貸料や改装費、備品や機器の購入費など
運転資金
原材料や商品の仕入れ費、人件費や広告費など
生活費
開業後しばらくは収入が少ない場合が多いため、生活費も該当
開業資金は、個人事業主の事業内容や規模によって異なりますが、一般的には数百万円〜数千万円が必要とされます。
自己資金だけで足りない場合には、融資を受けるのが有効な手段です。
運転資金
運転資金は、個人事業主が事業を継続するために必要なお金です。
おもに商品や材料の仕入れ、給料や税金の支払い、備品や消耗品の購入などにお金がかかります。
運転資金は、個人事業主の売上や回収状況によって変動しますが、一般的には数十万円〜数百万円が必要です。
しかし、個人事業主は、売上が安定しない場合や回収が遅れる場合などに運転資金が不足する場合があります。
支払い遅延や倒産のリスクが高まるため、現金の不足に注意が必要です。
対策として、銀行や金融機関から運転資金として融資を受けます。
運転資金は、売掛債権や在庫などを担保にして融資を受けられます。
生活費
生活費は、個人事業主が自分や家族の生活を維持するために必要なお金です。
生活費には、以下のようなものが含まれます。
食費
食事や飲み物など
住居費
家賃や水道光熱費など
交通費
バスや電車など
教育費
子供の学費や塾代など
娯楽費
映画や旅行など
生活費は、個人事業主の家族構成や生活水準によって異なりますが、統計によると2人以上の勤労者世帯の生活費の場合、1ヵ月平均で約32.06万円です。
参考:公益財団法人 生命保険文化センター|月々の生活費は平均していくらくらい?
しかし、個人事業主は事業の収入が不安定で減少した場合などに、生活費が不足してしまうおそれがあります。
そのため、生活費を確保するために銀行や金融機関から融資を受けることがあります。
生活費の融資は、個人の信用力や収入証明などをもとにして借りられます。
個人事業主が融資を受ける際のポイント
個人事業主が融資を受ける際には、以下のポイントに注意が必要です。
それぞれ詳しく解説します。
自己資金を用意しておく
自己資金は、個人事業主が自分で用意したお金です。
自己資金には、以下のようなものが含まれます。
貯金
銀行や金融機関の口座に入れているお金
資産
株式や不動産などの債権
贈与
親族や友人などから受け取ったお金
自己資金を用意しておくことは、融資を受ける際に大きなメリットになります。
自己資金があれば、以下のことができます。
意欲や信用力をアピールできる
融資の審査に有利になる自己資金があれば、審査機関に対して自分の事業に対する意欲や信用力をアピールできます。
自己資金の額や比率が高いほど、審査基準が緩和される可能性があります。
融資の条件を改善できる
自己資金があれば、借入額や返済期間、金利などの融資条件を改善できる可能性があります。
特に無担保、無保証人での融資を受ける場合には、自己資金の額や比率が重要になります。
返済負担を軽減できる
自己資金があれば、借入額や返済期間を減らせます。
その結果、返済総額や利息負担を軽減できます。
資金使途を明確にする
資金使途は、個人事業主が融資を受けたお金の使い道です。
明確にしておけば、融資を受ける際の大きなメリットになります。
資金使途を明確にする効果は以下のとおりです。
融資の審査に有利になる
審査機関に対して自分の事業計画や収支予測などを具体的に示せます。
資金使途に応じて最適な融資制度や条件も選べます。
融資の効果を高められる
自分の事業目的やニーズに合わせて効率的にお金を使えます。
無駄づかいや浪費も防げます。
必要書類を漏れなく準備する
融資を受けるには、必要書類を漏れなく準備する必要があります。
必要書類とは、身分証明書や印鑑証明書などの基本的な書類の他に、事業計画書や収支計画書(予測損益計算書)、確定申告書や決算書などの経営状況を示す書類です。
必要書類は、銀行や金融機関によって異なりますが、一般的には以下のようなものが求められます。
- 融資を受けるために必要な書類
- 開業届出済証明書
- 住民票
- 印鑑証明書
- 運転免許証などの身分証明書
- 銀行口座情報
- 事業計画書
- 収支計画書(予測損益計算書)
- 確定申告書
- 決算書
- 領収書や契約書などの資金使途の証明書
必要書類を漏れなく準備すれば、銀行や金融機関は事業内容や経営状況を正確に把握できるため、融資の審査に有利になります。
必要書類を早めに用意すれば、融資の手続きもスムーズに進められます。
借入希望額を最小限にする
融資を受けるには、借入希望額を最小限にする必要があります。
借入希望額が大きければ大きいほど、銀行や金融機関は、返済能力や信用度に対して厳しい目を向けます。
借入希望額が大きければ大きいほど、返済期間や返済額が増えて経営負担が重くなるためです。
安全策として、借入希望額はできるだけ少ない金額に抑えましょう。
一般的には、年間売上高の10%〜20%程度が適正な借入額です。
複数社に同時に申し込まない
融資を受けるには、複数社に同時に申し込まないことが重要です。
複数社に同時に申し込むと、銀行や金融機関は、お金に困っているとみなして、信用度が低いと判断します。
複数社からお金を借りると返済管理が難しくなるため、滞納や延滞のリスクも高まります。
複数社に同時に申し込むのは避けた方がよいです。
もしも1社から断られた場合は、他社に申し込む前に断られた理由を確認して改善策を考える必要があります。
複数社に同時に申し込むと「申し込みブラック」と呼ばれる状態に陥る可能性もあります。
個人事業主が融資を受ける際の注意点
個人事業主が融資を受ける際には、以下の点に注意が必要です。
それぞれ詳しく解説します。
法人向けローンは利用できない
個人事業主が融資を受ける際の1つめの注意点は、法人向けローンは利用できないことです。
法人向けローンとは、株式会社や合同会社などの法人格を持つ企業を対象とするローンを指します。
そのため、法人向けローンは個人事業主には適用されません。
個人事業主は法人とは異なり、事業主個人の責任で事業をおこなうため、法人向けローンの条件や審査基準に合致しません。
個人事業主が法人向けローンを申し込むと断られます。
個人事業主は、個人向けローンやビジネスローンなど、個人事業主専用の融資商品を利用する必要があります。
収入証明書として給与明細を提出できない
個人事業主が融資を受ける際の2つめの注意点は、収入証明書として給与明細を提出できないことです。
収入証明書とは、銀行や金融機関があなたの収入状況を確認するために求める書類を指します。
収入証明書として一般的なものは、給与明細や源泉徴収票などです。
しかし、個人事業主は会社員とは異なり、給与明細や源泉徴収票を持っていません。
収入証明書として確定申告書や決算書などを提出する必要があります。
しかし、確定申告書や決算書は、年に一度しか作成しないため、時期によっては最新の収入状況を反映していません。
確定申告書や決算書は経費や税金などを差し引いた純利益を示すため、実際の収入よりも低く見える可能性もあります。
そのため、個人事業主は銀行口座の残高や入出金履歴などを併せて提出すれば、より正確な収入状況を証明できます。
闇金には手を出さない
個人事業主が融資を受ける際の3つめの注意点は、闇金には手を出さないことです。
闇金とは違法な高利貸しのことで、インターネットや電話で簡単にお金を貸してくれると宣伝しています。
しかし、闇金にお金を借りると、法律で定められた上限以上の高い利息や手数料を請求されたり、暴力的な取り立てや嫌がらせに遭ったりする危険性も高いです。
闇金にお金を借りること自体が違法であり、刑事罰や民事訴訟の対象になる可能性もあります。
闇金には決して手を出さないことが重要です。
もしもお金に困った場合は、信頼できる銀行や金融機関に融資を受ける、あるいは家族や友人、専門家への相談が必要です。
個人事業主が融資以外で資金調達する方法
融資以外にも、個人事業主が資金調達する方法として、以下の2つがあります。
詳しく解説します。
クラウドファンディング
個人事業主が融資以外で資金調達する方法の1つめは、クラウドファンディングです。
クラウドファンディングとは、インターネット上のプラットフォームを通じて、自分の事業やプロジェクトに興味を持った多数の人から資金を集めることです。
クラウドファンディングには、以下の特徴があります。
- 融資とは異なり、返済義務や利息負担がない
- 資金提供者に対して、商品やサービスなどのリターンを提供する
- 自分の事業やプロジェクトを広くアピールできる
- 資金提供者とのコミュニケーションやフィードバックを得られる
クラウドファンディングは、自分の事業やプロジェクトに熱意や魅力があれば、誰でも参加できる手軽な資金調達方法です。
しかし、クラウドファンディングにも以下の注意点があります。
- 目標金額に達しない場合は、資金が得られない
- リターンの発送や管理にコストや手間がかかる
- 資金提供者の期待や要望に応えられない場合は、信用や評判を失う
クラウドファンディングは、自分の事業やプロジェクトに対する情熱やビジョンを伝えられる人におすすめです。
自分の事業やプロジェクトに関心を持ってくれる人との関係を大切にしておくことも必要です。
補助金・助成金
個人事業主が融資以外で資金調達する方法の2つ目は、補助金・助成金です。
補助金・助成金は、国や地方自治体などの公的機関が、特定の目的や条件に合致する事業者に対して無償で支給する資金です。
補助金・助成金には、以下の特徴があります。
- 融資とは異なり、返済義務や利息負担がない
- 申請書類や審査基準が厳格
- 予算や期間が限られている
- 資金使途や成果報告などの義務がある
補助金・助成金は、自分の事業やプロジェクトが社会的な価値や貢献度が高いと認められれば、大きな資金を得られる可能性がある資金調達方法です。
しかし、補助金・助成金にも以下の注意点があります。
- 申請書類や審査基準に沿って準備するのが難しい
- 審査期間や支給時期が長くかかることがある
- 資金使途や成果報告などの義務を怠ると、返還や罰則の対象になることがある
補助金・助成金は、自分の事業やプロジェクトが公的機関の目的や条件に合致する人におすすめです。
申請書類や審査基準に対応できる専門知識やスキルを持つ人や、資金使途や成果報告などの義務を遵守できる人も必要です。
まとめ
- 個人事業主がお金を借りる方法は、公的融資、信用金庫ビジネスローン、銀行ビジネスローンなど
- 個人事業主が融資を受ける理由は、開業資金、運転資金、生活費の確保
- 融資を受けやすくするには、自己資金を用意しておく、資金使途を明確にするなどの重要なポイントがある
- 個人事業主は法人向けローンは利用できない、闇金には手を出さないなどの注意点がある
- クラウドファンディングや補助金・助成金など、融資以外で資金調達する方法もある
個人事業主は事業の発展や維持のために、ときにはお金を借りる必要があります。
しかし、個人事業主が融資を受けるためには、一般的なサラリーマンとは異なる条件や審査があります。
そのため、自分に合った融資の方法を選ぶことが重要です。
ぜひ本記事を参考にして、自社の事業に最適な融資の方法を見つけてください。
事業成功の一助になれば幸いです。
個人事業主の融資に関するよくある質問
個人事業主の適正な借入額はいくら?
個人事業主の適正な借入額は、事業の規模や収益性、返済能力などによって異なります。
一般的には、年間売上高の10%〜20%程度が目安とされています。
借入額が多すぎると返済負担が重くなり、事業の経営に支障をきたす可能性が高いです。
一方で借入額が少なすぎると、事業の拡大や改善に必要な資金が不足して、競争力が低下する恐れがあります。
したがって、個人事業主は自分の事業の状況や目標に合わせて、適正な借入額を見極める必要があります。
融資を受ける際のみなし自己資金とは何?
融資を受ける際のみなし自己資金とは、金融機関が個人事業主の自己資金として認めるもので、以下のものがあります。
- 現金や預貯金
- 有価証券や不動産などの資産
- 保証人や保証会社からの保証
- 公的機関からの補助金や助成金
- クラウドファンディングやソーシャルレンディングなどの民間資金
みなし自己資金は、融資を受ける際の信用力や条件に影響します。
みなし自己資金が多いほど金融機関は個人事業主に対して安心感を持ち、融資額や利率、返済期間などに有利な条件を提示する可能性が高いです。
反面、みなし自己資金が少ないと金融機関は個人事業主に対して審査が厳しくなり、融資額や利率、返済期間などに不利な条件を提示するおそれがあります。
したがって、個人事業主は融資を受ける前にみなし自己資金を増やす方法を検討するとよいでしょう。
融資を受けるための自己資金の目安は?
融資を受けるための自己資金の目安は、融資額の20%〜30%程度といわれています。
1,000万円の融資を受ける場合は、だいたい200万円〜300万円の自己資金が必要です。
上記は、金融機関が個人事業主に求める自己負担率と呼ばれるもので、個人事業主が自分で用意するお金の割合です。
自己負担率が高いほど、個人事業主は事業に対する責任感やモチベーションが高いと判断されて、融資の審査に有利になります。
個人事業主は融資を受ける際には、自己負担率を高める必要があります。
ブラックリストに載っていても融資を受けられる?
ブラックリストに載っていても融資を受けられる可能性はありますが、かなり困難です。
ブラックリストとは、過去に金融機関との契約に違反したり債務整理や自己破産などをおこなったりした人の名前や情報が記録されたリストを指します。
ブラックリストに載っていると、金融機関はその人に対して信用力が低いと判断して、融資を拒否されることがほとんどです。
ブラックリストに載っていても、以下のような条件を満たす場合は、融資を受けられる可能性があります。
- ブラックリストに載ってから一定期間(通常は5年~10年)が経過している
- ブラックリストに載った原因や経緯を説明できる
- 現在の収入や資産状況が安定している
- 保証人や保証会社を付けられる
- 公的機関や専門の金融機関など、ブラックリストを重視しないところから借りる
ただし、上記の条件を満たしていても確実に融資を受けられるとは限りません。
金融機関は個々の事情や総合的な判断で融資の可否を決めます。
したがって、ブラックリストに載っている個人事業主は、まず自分の信用力の回復を優先しましょう。
どこからもお金が借りられない場合は?
どこからもお金が借りられない場合は、以下の対策を考えられます。
- 事業計画書や収支計画書(予測損益計算書)などの資料を見直して、金融機関に再度提出する
- 信用情報機関に登録されている自分の信用情報を確認して、誤りや不備がないか確認する
- 友人や知人など身近な人に借りる
- クレジットカードやキャッシングサービスなどの小口の借入れを利用する
- 副業やアルバイトなどで収入を増やす
- 不要な資産や備品などを売却して、現金化する
- 事業の規模や内容を見直して、必要な経費を削減する
- 事業の方向性や目標を明確にして、新たな顧客やパートナーを探す
どこからもお金が借りられない場合は、事業の存続が危ぶまれる状況です。
しかし、諦めずにさまざまな対策を施せば、事業の立て直しや再建は不可能ではありません。
個人事業主は自分の事業に対する情熱や信念を持ち続けることが大切です。