脱サラして個人事業主になることは、自己実現や自由な働き方を目指す人にとって、魅力的な選択肢の一つです。
しかし、その一方で、収入不安定や責任の大きさ、必要な手続きの増加など、多くの課題も存在します。
この記事では、脱サラして個人事業主になるメリット・デメリットや、成功しやすい業種、必要な事前準備や手続き、仕事を獲得する方法などについて詳しく解説します。
脱サラを検討している人はもちろん、すでに独立している人にとっても役立つ情報が満載です。
脱サラとは
脱サラとは、サラリーマンが会社勤めを辞めて、独立して事業を興すことです。
脱サラする方法には、個人事業主やフリーランスになる、法人企業を作るなどがあります。
脱サラすることで、自分のやりたい仕事ができ、会社での人間関係に悩まされずに済むなどの魅力があります。
しかし、収入が不安定になったり、自己責任が増えたりするデメリットもあります。
このため、脱サラを考える際には、事業計画の策定や、必要な手続きの準備が不可欠です。
脱サラにはリスクがあるため、失敗しないように事前に下調べや勉強をしておきましょう。
脱サラして個人事業主になるメリット
個人事業主に転身することには多くのメリットがあります。
以下に、脱サラして個人事業主になるメリットについて解説します。
頑張り次第で収入を伸ばせる
脱サラして個人事業主になるメリットのひとつは、頑張り次第で収入を伸ばせることです。
サラリーマンでは、年収には所属組織の規定などによる一定の限界があります。
しかし、個人事業主なら、仕事をこなせばこなすほど、どんどん報酬を得ることができます。
副業としてスタートした場合でも、順調に事業を成長させることができれば、副業の収入が本業を上回る場合もあります。
そのときは会社を辞めて、副業を本業とするのもいいでしょう。
ただし、収入が安定しない場合もあるため、事業計画をしっかりと立てて、適切なリスク管理をすることが必要です。
好きな場所で好きな時に働ける
脱サラして個人事業主になるメリットの一つに、好きな場所で好きな時に働けるという点が挙げられます。
サラリーマンとして働いていると、通勤時間や勤務時間、業務内容などによって、自分の時間を制限されることがあります。
個人事業主になることで、自分のスケジュールを自由に調整できるようになります。
自分のペースで仕事ができるため、ストレスを感じずに働くことができるのも魅力的です。
また、好きな場所で仕事ができるため、自宅やカフェなどで自分のペースで仕事をすることができます。
このように、時間や場所に縛られずに、自分自身のライフスタイルに合わせて働くことができます。
仕事内容を自分で決められる
脱サラして個人事業主になれば、自分で仕事内容を決めることができます。
会社員として働いていると、基本的には上司や会社の方針に従う必要があり、自分のアイデアを活かせないということも少なくありません。
しかし、個人事業主は自分でビジネス戦略や商品・サービスの企画を考え、決定することができます。
配属された部署で与えられた仕事をするのではなく、自分の専門分野や得意分野を活かした仕事に携わることも可能です。
自分が本当にやりたいことや、興味のある分野に特化することで、モチベーションを高く保ち、やりがいを感じながら働けるのも嬉しいメリットですよね。
脱サラして個人事業主になるデメリット
脱サラして個人事業主になることにはメリットがありますが、同時にデメリットもあります。
以下に、脱サラして個人事業主になるデメリットを紹介します。
収入が不安定になる
脱サラして個人事業主になる場合、収入が不安定になることがデメリットの1つです。
サラリーマンの場合は定期的に収入が入ることがほとんどです。
個人事業主は、契約や案件によって収入が変動するため、収入の安定性はサラリーマンよりも低くなります。
特に事業の初めの段階では、顧客獲得に時間がかかることが多く、収入が低迷する可能性があります。
収入が不安定になることで、生活費の管理や、将来の備えが難しくなる場合もあります。
事前に収入の見込みを立て、貯金などで備えをしておくことが大切です。
自己責任が増える
脱サラして個人事業主になると、自己責任が増えるというデメリットがあります。
従業員として働いている場合は、上司や組織が決定を下してくれることが多く、損失を出してしまった場合も個人的な責任は軽減されています。
しかし、個人事業主になると、すべての決定を自分で行わなければならず、その結果に対しても、自分で責任を負うことになります。
個人事業主は、事業による経済的な損失が大きくなってしまった場合にも、全てを個人の債務として引き受ける必要があります。
事業が損失を抱えてしまいそうなら、撤退の判断もしなければなりません。
必要な手続きが増える
脱サラして個人事業主になると、会社員として働いていた時には担当していなかった業務も、自分で行う必要があります。
税金や社会保険、確定申告などの手続きや、取引先との契約書の作成や取引管理なども、全てを自分で行わなければなりません。
また、事業運営に必要な、経理、財務、マーケティング、営業などの知識・技能も必要です。
これらの手続きや知識に習熟するには時間がかかります。
専門家の助けを借りたり、学習することで解決していきましょう。
脱サラして個人事業主になる場合におすすめ業種
脱サラして個人事業主になる場合、どのような業種がおすすめなのでしょうか。
個人事業主になる業種は多岐にわたりますが、ここではIT・クリエイティブ系、飲食系、美容系、教育系、執筆系の5つを紹介します。
IT・クリエイティブ系
IT・クリエイティブ系は、需要が高く、多くの企業が注目している業種の一つです。
Webデザインやゲーム開発、グラフィックデザインなど、創造性を活かす仕事が多くあります。
技術や知識が必要な分野でもありますが、自分のアイデアやセンスを活かすことができるため、やりがいを感じられるでしょう。
また、リモートワークが一般化していることから、自宅やカフェなどからでも仕事ができる場合が多いです。
しかし、市場競争が激しくなっており、新しい技術やトレンドに追いつくために、常に学び続けることが求められる業種でもあります。
飲食系
飲食系には、レストランや居酒屋、カフェ、パン屋、ケータリングなどがあります。
食に関心があり、自分の料理を提供したり、店舗コンセプトを実現したい思いがあるなら、飲食系の個人事業主になることがおすすめです。
飲食業には多くの手間が必要ですが、オリジナリティや人気メニューを出す工夫によって、集客を見込めます。
また、フードデリバリーサービスの普及によって、実店舗を持たなくても個人事業主として飲食業を始めることが可能となっています。
ただし、飲食業界は競合が多く、開業するだけでは集客が厳しい環境にあります。
開業前に事業計画をしっかりと立てることが重要です。
美容系
美容系の個人事業主としては、エステティックサロンやネイルサロン、美容師、メイクアップアーティスト、フリーランスの美容ライターなどがあります。
美容業界には多様なニーズがあり、幅広い年齢層からの支持があるため、需要が比較的安定しています。
ただし、美容業界全体の需要が高い分、多くの競合者がいるため、集客力が必要不可欠です。
また、美容業界は法律による規制が厳しいため、正しい知識をつけて、必要な資格や許可を取得することが求められます。
美容に関する知識や技術を持ち、集客をする努力ができる方には、美容系の個人事業主をおすすめします。
教育系
教育系も、脱サラして個人事業主になるにはおすすめの業種です。
教育関連のビジネスには、個人経営の塾や家庭教師、またはオンライン授業の提供などがあります。
専門知識があり、教育に興味がある人に向いています。
ただし、教育ビジネスは教育制度の改正や景気の変化など、外部環境によってビジネスが左右されることがあります。
また、教育系においても、マーケティングや集客のスキルが必要となるため、しっかりと準備をして挑戦することが必要です。
執筆系
執筆系は文章を書くことに特化した業種であり、ライターやコピーライター、編集者、翻訳者などが含まれます。
自宅やカフェなどの場所を選ばず、自分のペースで仕事を進めることができるのが魅力です。
ただし、ライティング能力が求められるため、自己流ではなく、プロとしての技術を身につける必要があります。
需要がある分野であるため、経験を積んでいけば、比較的安定した収入を得ることができるでしょう。
脱サラして個人事業主になる前にすべきこと
脱サラして個人事業主になる前には、十分な準備が必要です。
一度会社員から独立して個人事業主に転身すると、収入や雇用形態、社会保障など様々な面で不確定な要素が増えるため、慎重に計画を立てましょう。
ここでは、脱サラして個人事業主になる前に、必要な準備事項を紹介します。
事業計画をしっかりと立てる
脱サラして個人事業主になる前には、しっかりと事業計画を立てることが大切です。
事業計画を作成することで、自分がやりたいことや目指すビジョンを明確にし、実現するための具体的な戦略やアクションプランを考えることができます。
また、事業計画を立てることで、自分のビジネスに対する考え方や目標を整理することができます。
芯を持った運営が可能となるため、脱サラ後のビジネスのリスクも最小限に抑えることができます。
さらに、事業計画は資金調達をする際にも必要となります。
自分以外の人にも伝わるように、しっかりと作成しておくことが重要です。
クレジットカードを作る
脱サラして個人事業主になる前には、クレジットカードを作ることがおすすめです。
クレジットカードは、ビジネスに必要な物品の購入や旅費などを支払う際に便利で、請求書の支払い期限を過ぎた場合でも滞納による信用情報の悪化を防ぐことができます。
また、カード会社によってはビジネス特典やポイント還元などのサービスもあり、経費節約にも役立ちます。
ただし、個人事業主としてのクレジットカードは、ビジネス用とプライベート用を使い分けることが重要です。
クレジットカードは、個人の信用情報に影響を与えることもあるため、滞納を避けるためにも適切な使い方を心がけましょう。
個人事業主になってからでは、新しいクレジットカードを作成する際の審査が厳しくなる可能性があるので、定期的な収入があるサラリーマンのうちに作成しておくのがおすすめです。
賃貸契約をする
脱サラして個人事業主になる前に、必要に応じて賃貸契約を結んでおくことも重要です。
事前に用意した事業計画に基づいて、場所や広さ、賃料、設備などを検討し、自分にとって適切な物件を探しましょう。
また、契約書をしっかりと確認し、不明点があれば遠慮なく質問することが必要です。
賃貸契約を結ぶことで、事業の拠点が確保でき、スムーズにスタートすることができます。
自宅とする賃貸物件についても、個人事業主になってからでは賃貸契約時の審査が厳しくなる可能性があるので、サラリーマンのうちに契約をしておくのがおすすめです。
自宅兼事務所として利用したい場合は、事務所として利用できる物件なのかどうかを、物件探しの際にきちんと確認しておきましょう。
貯金を蓄える
個人事業主に転身する前に、貯金を蓄えることも重要です。
安定した収入が得られるまでに時間がかかる場合があり、収入が不安定になる可能性もあるため、貯金をしておくことで安心感を得ることができます。
また、起業時の投資や税金の支払いにも使えます。
貯金をするためには、まず現在の生活費を把握して、収入と支出をバランスよく計画することが重要です。
生活費の節約や収入アップにつながる副業も検討してみると良いでしょう。
計画的に貯金をしておくことで、個人事業主としての安定したスタートを切ることができます。
副業で最低限生活費を稼げるようにしておく
脱サラして個人事業主になる前に、副業で最低限の生活費を稼げるようにしておくことも重要です。
副業を通じて、自分自身のビジネススキルやマーケティングスキルを磨いておくこともできます。
また、副業を通じて得られた収入は、起業資金に充てることもできます。
副業を行う場合は、自分自身の得意な分野や専門分野を活かし、将来的に起業する際にも役立つスキルを身に付けるようにするとよいでしょう。
副業としては、ネットビジネスやアフィリエイト、ライティング、デザインなどのオンラインビジネスが人気です。
脱サラして個人事業主として仕事を獲得する方法
脱サラして個人事業主になることを決めたら、次のステップは仕事を獲得することです。
クラウドソーシング、ブログ・SNS、フリーランスエージェントなど、多くの方法があります。
このセクションでは、脱サラ後に仕事を獲得するための効果的な方法について紹介します。
クラウドソーシング
クラウドソーシングは、インターネット上で仕事の依頼主となる企業や個人が、仕事を受託するフリーランスなどのクリエイターに依頼する、オンライン上のマッチングサービスです。
プログラミングやデザイン、文章作成など多岐にわたる業務があり、短期的なものから長期的なものまで様々です。
クラウドソーシングに登録することで、自分が得意な分野の仕事を受けることができ、スキルアップや経験値の向上にもつながります。
また、クラウドソーシングサイトは比較的手軽に利用できるため、事前の副業や、脱サラ後の初期の収入源としても選ばれることがあります。
ブログ・SNS
ブログやSNSを活用して、自分の得意分野や仕事の実績について情報発信することで、依頼へとつなげる方法もあります。
また、自己PRのための情報発信だけでなく、同業者やクライアントとのコミュニケーション場としても活用しましょう。
競合が多い分野もあるため、業界のことを学んで、自分自身のアイデンティティを明確にして差別化するためにも役立ちます。
フリーランスエージェント
フリーランスエージェントとは、個人事業主やフリーランスの専門家が案件を受注しやすいように、マッチングや仲介業務を行うサービスです。
クラウドソーシングとは異なり、自分で仕事を探し、交渉する手間を省けるため、初めての個人事業主やフリーランスにとっては利用しやすい方法と言えます。
エージェントには、専門分野に精通したスタッフが多く在籍しており、クライアントとの交渉や契約の手続きなども代行してくれます。
ただし、エージェントによっては手数料が高い場合があるので、利用前にしっかりと料金体系を確認することが必要です。
脱サラして個人事業主になる際に必要な手続き
脱サラして個人事業主として独立するためには、いくつかの手続きが必要です。
以下に、脱サラして個人事業主になる際に必要な手続きについて説明します。
健康保険や年金の切り替え
脱サラして個人事業主になる際は、社会保険や年金の切り替え手続きが必要です。
会社員時代は会社が手続きを行っていた手続きを、脱サラ後は自分でする必要があります。
健康保険と年金は退職後14日以内に切り替え手続きが必要です。
ほとんどのケースで国民健康保険と国民年金に加入することになるので、住所地の役所で手続きを行いましょう。
収入が安定するまでは、勤めている家族が入っている社会保険の扶養に入るのも一つの手段です。
必要書類の用意や手続き方法について、事前に調べておきましょう。
開業届の提出
個人事業主としての開業を行う際には、開業届を提出することが必要です。
開業届は、所轄の税務署や市区町村役場などに提出し、自分が個人事業主として事業を始める旨を届け出ます。
提出期限は事業開始から1か月以内となっており、遅延や未提出の場合は罰則が課せられることがあります。
また、開業届提出後は税務署から確認通知が届きますので、大切に保管しましょう。
確定申告の準備
会社勤めのころは、会社が年末調整をしてくれていましたが、個人事業主は自分で確定申告を行う必要があります。
確定申告では、自身が受け取った収入や支払った経費を申告し、納税額を計算します。
実際に確定申告を行うときに慌てないよう、日頃から売上や経費についてはきちんと管理しておくようにしましょう。
また、レシートや領収書などもしっかりとメモを残して保管することが大切です。
まとめ
- 脱サラで個人事業主になるメリットには、収入の上限がないこと、働き方の自由度が高いことなどがある。
- 脱サラで個人事業主になるデメリットには、収入が不安定になること、責任が大きくなること、業務が増えることなどがある。
- 脱サラして個人事業主になる場合は、IT・クリエイティブ系、飲食系、美容系、教育系、執筆系がおすすめ。
- 脱サラして個人事業主になる前に、事業計画を立て、クレジットカード作成や賃貸契約を済ませ、必要な貯金をし、生活費を稼げる副業を用意しておくなどの準備をするとよい。
- 脱サラして個人事業主になってからの仕事の獲得方法には、クラウドソーシング、ブログやSNSの活用、フリーランスエージェントの利用などがある。
- 脱サラして個人事業主になるための手続きには、健康保険・年金の切り替え、開業届の提出、確定申告の準備がある。
この記事では、脱サラして個人事業主になる際に必要な手続きや、成功しやすい業種、必要な準備などについて解説しました。
個人事業主として独立することにはメリットとデメリットがありますが、適切な計画と準備で成功しやすくなります。
また、クラウドソーシングやブログ・SNS、フリーランスエージェントを活用することで仕事を獲得することができます。
脱サラを検討している方は、今回紹介した内容を参考にして、自分に合った方法でスタートしてみてください。