うつ病で仕事を退職する時、職場への伝え方に悩む人は多いようです。
辞職の流れはシンプルかつ誠意のある伝え方を押さえておくことが、スムーズに進められるポイントのひとつ。
最終的には病気の治療に専念し、治ることを目標に準備をしていきましょう。
この記事では、うつ病で退職する際の伝え方や手順について解説します。
うつ病で辞めるときの伝え方
うつ病で仕事を辞める際、あらかじめ会社へ申し出る手段や文言を整理しておくと安心です。
ここでは、退職の伝え方や実際に使える例文を具体的に紹介します。
伝える手段
辞職の申し出は口頭で行うことが一般的ですが、電話やメールを用いるケースも増えているようです。
自分が話を切り出しやすい方法で伝える方が、ストレスを最小限に留められるでしょう。
ただ、会社によっては直接面談が必要となる場合も考えられるため、留意しておく必要がありそうです。
メールで退職理由を伝えるテンプレ
メールで退職理由を伝える際は、シンプルで誠意を感じられる文章を心がけることが大切です。
ここでは実際に使えるテンプレートを紹介するので、コピペしてアレンジするなど自由に使用してください。
例文1
「近ごろ体調不良が続いており、このままではご迷惑をおかけしてしまうことが考えられます。よって、○月○日をもって退職させていただきたく思います。」
例文2
「体調不良への治療に専念すべく、○月○日をもって退職を希望いたします。誠に恐縮ですが、ご理解賜りますようお願いいたします。」
例文3
「長らくお休みをいただいており、誠に申し訳ございません。このままではご迷惑をおかけ続けてしまうので、○月○日をもって退職させていただきたく存じます。」
うつ病というワードを入れることに抵抗がある人は、体調不良と表現しても構いません。
会社の環境や自分の状況に合わせて、臨機応変に文章を作成しましょう。
うつ病で辞める場合の退職届の書き方と例文
退職届の書き方もメールと同じで、わかりやすく端的に辞職の旨を伝えるとよいです。
ここでは、退職届の書き方や例文を紹介します。ぜひ参考にしてください。
書き方
退職届の書き方に決まりはありませんが、具体的に退職希望日を記載しておくと万が一トラブルが起きたときでも安心です。
フォーマットを用意している会社もありますが、とくに職場から指定がない場合はネットで探し、ダウンロードして使っても問題はないでしょう。
例文
以下は退職届の例文です。基本的な表現を押さえて活用してください。
例文1
「このたび、一身上の都合により、令和○年○月をもって退職いたしたく、ここにお願い申し上げます。」
少し堅い印象ですが、どうしてもという感情がストレートに伝わるでしょう。
例文2
「このたび、病気治療に専念したいため、令和○年○月をもって退職させてください。」
一身上の都合はどのような退職理由にも使用できるので、体調について触れられたくない場合におすすめです。
また、病気の治療という理由は、仕事を辞めざるを得ない状況であると理解してもらいやすいでしょう。
退職代行で退職
会社の人と顔を合わさずに即日仕事を辞めたい場合は、退職代行を利用して辞職するという方法があります。
費用はかかりますが、うつ病の治療を早く始めたい人や仕事自体が症状に繋がっている人におすすめです。
退職代行にはさまざまな業者が増えているので、口コミサイト等を参考にして自分に合うサービスを検討しましょう。
うつ病で辞めるときの準備
退職の伝え方がわかったら、今度は具体的にどのような手順で辞職を目指すのか気になるところです。
ここでは、うつ病で仕事を辞めるときの準備を解説します。
辞めるタイミング
法律では辞職の意思表示は退職の2週間前までに行うとされていますが、円満に仕事を辞めるには1〜3か月前には申し出るべきでしょう。
退職日ぎりぎりの申し出は、引き継ぎや書類準備などに影響が出て自分の首を締めることにも繋がります。
また、会社の就業規則に記載されている退職のタイミングについてもあらかじめ確認しておきましょう。
診断書をもらう
会社からうつ病の診断書の提出を求められる場合があるので、事前に確認が必要です。
診断書がないと退職できないというわけではありませんが、理解を得やすいというメリットはあるでしょう。
また後のパートで解説する利用可能な制度でも使えるので、退職を検討するタイミングで主治医に一筆書いてもらうと便利です。
うつ病の人が仕事をすぐに辞めるメリット
頭の中では仕事を辞めたいと思っても、実際の行動にはなかなか踏み出せないものです。
ここではうつ病の人が仕事をすぐに辞めるメリットを紹介するので、退職に踏み切る際の参考にしてみてください。
うつ病の治療を早く始められる
仕事をすぐに辞めるとうつ病の治療を早く始められ、症状に苦しむ期間が短く済む可能性があります。
症状が重くなると社会復帰に時間がかかるケースも見られるので、体を第一に考えて退職の時期を早めることが大切です。
また、会社自体がうつ病の原因である場合、なおさらストレスの元から速やかに離れるほうがよいでしょう。
自分と向き合う時間をとれる
仕事を辞めることで自分と向き合う時間がとれ、これまでの生活を振り返ることができます。
会社の業務で忙しい間は心に余裕をつくることがむずかしく、物事の視野が狭まりがちです。
退職して今まで気づかなかった視点を持てるようになると、うつ病克服のヒントが見つかるかもしれません。
うつ病で退職するときに利用できる制度
うつ病で退職を考える際、生活やお金の心配がある人は少なくなさそうです。
実は、仕事を休んでいる間に利用できる制度がいくつかあります。
ここでは国の制度を紹介するので、退職前後のライフプランを組み立てる際に活用してください。
(休職なら)社会保険が継続できる
事業所に在籍している以上、社会保険については、休職中に給料が支払われていなくても、自己負担分の保険料を支払う必要があるといわれています。
休職後に退職を予定している場合、仕事を休んでいる間の社会保険は継続して利用可能です。
健康保険や厚生年金は働いているときと同様、会社と折半して支払う必要があります。
給与が十分に支払われなくても社会保険の自己負担分は納めなければならないので、あらかじめ注意が必要です。
<引用元>埼玉県ホームページ
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0809/rodo/912-2009-1207-184.html
(診断書があれば)傷病手当金を申請できる
健康保険給付として受ける療養に限らず、自費で診療を受けた場合でも、仕事に就くことができないことについての証明があるときは支給対象となります。
<引用元>全国健康保健協会
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/sb3040/r139/
休職後に退職を予定していて休む間に十分な給与を受けられない場合、うつ病の診断書があれば傷病手当金を申請できます。
療養中の生活を保証するための制度なので、仕事を休む間の金銭面が不安な人は検討してみてください。
受給するための条件にあてはまる必要があるので、要件についても事前に確認しましょう。
(退職後なら)失業保険を申請できる
雇用保険では、失業中の生活を心配しないで新しい仕事を探し、1日も早く再就職できるよう、窓口での職業相談・職業紹介を受けるなどの求職活動を行う上で、失業等給付を支給しています。
<引用元>ハローワーク インターネットサービス
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_guide.html
退職後に再就職の意志がある人は、雇用保険の失業給付を申請できます。
ただし再就職が条件となるので、うつ病の治療中で体が本調子でない人は給付を受けることができません。
受給したい場合は、主治医と相談しながら申請のタイミングを検討する必要がありそうです。
まとめ
この記事では、うつ病の人が退職するにあたって行うことをまとめました。
- うつ病で退職する旨を伝えるなら、口頭か電話やメール
- 退職理由はシンプルでわかりやすく表現する
- 仕事を辞めるタイミングは1〜3か月前が妥当
- 診断書はもらっておくと、便利な場合がある
- 仕事ができない間、国の制度を利用できる場合がある
うつ病で仕事を辞める際、基本的な流れは一般的な退職のケースと変わりありません。
病気のことを知られたくない場合でも、辞職することは可能です。
退職することでうつ病を克服できるよう、準備を十分に行ってから進めていきましょう。