うつ病で休職後に退職する方法とは? 使える制度や注意点について解説

コラム

近年、うつ病をきっかけに会社を休職し、そのまま退職する流れはめずらしくありません。

辞職にはさまざまなリスクが伴うので、理解した上で対策を講じる必要があります。

自分に合う制度などを熟知すれば、今後再就職するまでのサポートを受けることも可能です。

この記事ではうつ病で休職後、仕事を辞める具体的な方法を解説します。

うつ病から退職までの流れ

うつ病で退職する場合、手順や必要な書類について知りたいものです。

一般的な辞職の方法と異なる点があるので、事前に確認しておきましょう。

ここでは、退職までの流れを解説します。

診断書をもらう

会社によっては退職時にうつ病の診断書を求められることがあるので、事前確認が必要です。

提出しなければならない場合は、担当医に書類作成を依頼します。

診断書は退職後にさまざまな制度の申請で必要となるケースがあるので、前もって用意しておくと慌てずにすむでしょう。

退職の意思を会社に表明する

直属の上司や人事部に事前にアポを取り、退職の意思を表明して日程調整などを行います。

「治療に専念したい」「迷惑をかけたくない」などの理由を、冷静に毅然とした態度で伝えましょう。

保険切り替え手続きをする

退職後すぐに仕事に就かない場合、健康保険を抜けて別の方式に切り替える必要があります。

おもに国民健康保険や家族の扶養、健康保険の任意継続などの変更が一般的です。

それぞれの保険に加入するための条件があるので、自分に当てはまる方式を選択して手続きを行います。

離職票の交付を依頼する

辞職後に失業保険を受けたい場合は手続きに離職票が必要となるため、職場に交付を依頼します。

退職して10日後くらいに、会社から郵送で送られてくるケースが多いです。

受け取ったら速やかにハローワークへ行き、失業保険の申請を行いましょう。

離職後にもらえる手当の申請

傷病手当金や失業保険など、離職後にもらえる手当の申請を行います。

再就職までの間は収入がなく、生活に困ることが考えられるため、受給できる制度は活用すべきです。

うつ病から退職するときの注意点

うつ病での退職は体調を考えるとやむを得ませんが、リスクがあることも事実です。

起こりうるデメリットを踏まえたうえで、辞職を検討しましょう。

ここでは、仕事を辞める際の注意点を解説します。

収入がなくなってしまう

仕事を辞めると当然ですが毎月の給料は入ってこなくなるので、基本的には貯金を切り崩す生活になりやすいです。

再就職までは今までの出費を見直し、なるべく節約を心がけましょう。

再就職が必要となる

休職であれば同じ会社に復帰することが可能ですが、退職なら再就職しなければなりません。

仕事探しから入職後の人間関係など、すべて1からのスタートなので慎重に検討することが大切です。

家族や会社からの了承が取れない可能性がある

退職について家族や会社へ伝えると、引き留められるケースがあるのも事実です。

仕事を続けてうつ病の治療が遅れてしまっては元も子もないので、症状との兼ね合いを見て辞職の決断をしましょう。

うつ病で退職した場合のデメリットを最小限にする知識

体調を理由に退職する場合でも、デメリットをカバーできる方法を知っておくと安心です。

ここでは、うつ病で仕事を辞める際に覚えておきたい知識を紹介します。

収入面

退職すると会社からの定期的な給料はもらえなくなるので、制度の活用を視野に入れましょう。

うつ病で仕事を辞めた場合、少しでも多くの収入があると心の安定に繋がります。

ケースによっては労災保険を利用できる

以下の条件にすべてにあてはまれば、仕事上の出来事が発症に繋がったとして労災保険を利用することができます。

  • うつ病であること
  • 発症前おおむね6ヶ月以内に業務で強いストレスを受けたこと
  • 仕事以外の出来事から発症したとは言えないこと

ただしうつ病発症の原因を仕事によるものと証明できない限り、認められにくいともいわれています。

ケースにあてはまりそうな人は、労災保険の利用を検討してもよさそうです。

労災以外の原因でも雇用保険を利用できる

労災保険があてはまらなくても、雇用保険の傷病手当や失業保険を利用できる場合があります。

後のパートで解説するので、退職後の収入に不安がある人はご覧ください。

再就職

うつ病の症状が良くなってからは、別の会社への再就職を検討する人も多いようです。

ここでは、退職後に社会復帰を考える人に向けてのアドバイスを紹介します。

退職前に休職の検討を

退職にはメリットだけではなくデメリットもあるので、まずは休職を検討することも1つの方法です。

辞職後に再就職すると、新しい環境への変化でストレスを受ける人もいます。

慣れている職場に復帰する方が良いケースもあるので、自分にどちらが合うかをよく考えましょう。

再就職は難しくない

うつ病で退職したからといって、次の就職が難しくなるわけではありません。

すぐに発病前のような働き方に戻るのではなく、時短勤務のように無理のない方法から復帰し、徐々にキャリアを立て直すことも可能です。

社会人生活は長期に渡るので、まずは焦らず体調を万全に整えることを優先して考えましょう。

うつ病で退職するときに使える申請や請求

働けない間の生活の保障として、利用できる制度を知っておきたいものです。

ここでは、うつ病で退職するときに使える申請や請求について紹介します。

傷病手当とは

傷病手当とは雇用保険の制度で、退職後に病気やけがで就職できない人が申請可能です。

仕事を辞めてからハローワークに行き、求職の申し込みをする必要があります。

申請後15日以上続けてうつ病で就労できない場合に支給されるため、すぐの復職が難しい場合は検討の余地がありそうです。

また、似た名称で在職中に受け取れる健康保険の「傷病手当金」とは別の制度なので、混同しないよう注意しましょう。

失業保険とは

失業保険とは再就職の意志があり努力しているにもかかわらず、仕事に就けない場合に受給できる制度です。

ただし自己都合での退職では受給開始までに数ヶ月かかるため、生活に支障が出るケースが考えられます

病気の場合は「特定理由離職者」として、7日間の待機期間後にすぐ給付を受けられるのが特徴です。

申請時にうつ病の診断書が必要になるので、退職前に医師に書類の依頼をしておくと慌てずにすむでしょう。

傷病手当と失業保険は同時受給できない

傷病手当と失業保険は、同時受給ができないので注意が必要です。

自分にとってどちらの制度の方が良いかは、ハローワークで相談してみましょう。

うつ病からの復帰に向けて使える支援制度

手当や保険を利用しても、生活に困窮しそうな場合に使える制度があります。

ここでは、うつ病復帰に向けて利用できる支援を紹介します。

自立支援医療

自立支援医療とは、うつ病など精神科系の医療費の自己負担を軽減する制度です。

通院以外にもデイケアや訪問看護などで、幅広く利用できます。

手続きは市町村の窓口で行うことができ、医師の診断書や世帯収入が確認できるもの、保険証などが必要です。

生活福祉資金貸付制度

生活福祉資金貸付制度とは、うつ病の人などの経済援助により自立を促す支援です。

社会福祉協議会が窓口となって行い、生活が安定してきたら金銭を返還します。

貸出対象となるのは身体障害者手帳や療育手帳、精神障害者保健福祉手帳を持っている人で市町村社会福祉協議会で申し込みが可能です。

生活保護

生活保護とは、困窮している人に対し健康で文化的な最低限度の生活を保障する制度です。

病気などで働けず、収入がなく困っている場合は利用を検討しましょう。

申請は市区町村役場の生活保護担当課で可能で、ケースワーカーの家庭訪問や資力調査が行われます。

まとめ

この記事では、うつ病で休職後にそのまま退職を考える人に向けて以下のようにまとめました。

  • 退職までの流れを理解し、必要書類を手配する
  • 辞職すると収入源が断たれるので制度等でカバーが必要
  • 退職にはリスクがあるので休職も視野に入れる
  • 生活に困窮しそうな場合の制度を活用する

仕事を辞める場合のメリットとデメリットを考え、自分に最良の選択をすることが大切です。

万が一退職した場合でも、うつ病が良くなればさまざまな方法で社会復帰できます。

今は焦らず、体調を第一に考えながら今後の計画を立てましょう。

マイチョイス編集部

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