退職代行サービスは世の中に定着しつつありますが、退職代行で検索をすると、「やめとけ」「ありえない」などネガティブワードを見かけることも少なくないでしょう。
しかし、退職代行のデメリットを理解したうえで、正しく業者を選ぶことができればスムーズな退職が実現します。
本記事では、退職代行のデメリットとして6つの具体例を挙げています。
また、デメリットを回避する方法やメリットについても説明しているので、退職代行の利用を検討している方は、申し込む前にぜひご一読ください。
退職代行を利用する6つのデメリット
退職代行を利用した場合のデメリットには、次の6つが挙げられます。
1つずつ説明します。
費用がかかる
退職代行を利用するため当然ですが、退職に費用がかかります。
退職代行は、運営元が「民間企業」「労働組合」「弁護士」の3種類に分けられ、料金は、民間企業が1〜5万円、労働組合が2〜3万円、弁護士が5〜10万円ほどです。
費用の相場は運営元により変わりますが、安くても万単位の金額は必要です。
退職をすると収入がなくなってしまうため、退職前のこの費用は大きな出費ではないでしょうか。
ただし、自分で直接退職の意思を伝える必要がないので、精神的な負担は軽くなります。
また、退職の意思を伝えてくれるだけでなく、依頼者の相談や退職手続き終了までサポートしてくれるため高い金額ではないでしょう。
同じ業界に再就職しづらくなる
横のつながりが強い業界の場合、同じ業界に再就職が難しくなる場合があります。
それは、退職代行を使って突然辞めたことが広まり、「勝手に辞めた人」と見られてしまうからです。
特に、土方などの建築業界だとその傾向が強いと言われています。
同じ業界での転職を考えている場合は、退職代行の利用の再検討も必要です。
もし利用するなら、同業界での転職を諦め、別業界での就職も視野に入れるようにしましょう。
有給休暇の消化や未払い給料の交渉ができない
退職する際に有給休暇が残っていたり、未払い給料があればもちろん受け取りたいですよね。
会社との交渉をおこなえるのは、労働組合か弁護士資格のある退職代行に限られます。
弁護士資格がない民間業者ができることは「退職の意思を伝えること」と「書類の提出」などの事務的な作業です。
しかし、なかには資格を持たないにも関わらず、退職の際に交渉をおこなう業者も存在します。
その場合は退職が無効になってしまうだけではなく、トラブルに巻き込まれてしまう恐れもあるので注意が必要です。
もし有給消化や未払い給料など、会社との交渉を考えている場合は、費用は高くなりますが、労働組合か弁護士資格のある業者の利用をおすすめします。
損害賠償や懲戒解雇のリスクがある
退職代行を利用したからといって、損害賠償や懲戒解雇される心配はほぼ不要です。
しかし、ブラック企業の場合「突然の退職により会社の大きな利益損失につながった」と損害賠償の可能性や、退職が認められず懲戒解雇に発展する可能性もあります。
裁判をするには正当な根拠と費用が必要なため、訴訟を起こすことはほとんどないですが、このようなトラブルに巻き込まれるのは精神的にも追い詰められてしまいます。
もし、問題が起こりそうな場合、弁護士運営の退職代行を使うようにしましょう。
会社から連絡が来る
退職代行を利用しても、会社から直接連絡が来る場合があります。
業者が「依頼人には直接連絡しないように」と伝えていてもです。
それは、会社がトラブルを回避するために、本当に「本人の意思で退職を希望しているのか」を確認するためです。
しかし、なかには退職を辞めるよう説得してくる場合や、ひどければ脅迫される場合もあるかもしれません。
会社と直接関わらず退職できるのが退職代行を利用する魅力ですが、会社によってはこのように直接連絡がくる可能性があることを覚えておきましょう。
公務員や有期雇用は退職代行が利用できない
公務員や有期雇用の従業員は、基本的に退職代行を利用できません。
公務員の場合は民間企業と違い、職員の退職は任命権者(市区町村長・事業所長など)が法律に従い、おこなうためです。
引用:国家公務員法第61条
有期雇用の場合は、雇用期間が事前に契約で決められているため「やむを得ない事由」がない限り退職は難しいです。
これらの事情により、公務員や有期雇用の方は退職代行から利用を断られてしまう場合が多いでしょう。
ただし、まったく利用できないわけではありません。
弁護士が運営する退職代行だと、法律に強いため公務員や有期雇用でも対応可能です。
もし、退職代行を利用したい場合は、弁護士運営の退職代行を選びましょう。
退職代行を利用する3つのメリット
これまでに、退職代行を利用する際のデメリットについて説明しましたが、それでも退職代行を利用するメリットはあります。
ここでは退職代行を利用する、3つのメリットについて解説します。
1つずつ確認しましょう。
退職の意思を自分で伝える必要がない
「会社でのハラスメントに悩んでいてもう会社に出勤したくない」「退職したいが、上司が怖くて言い出せない」「退職の引きとめでなかなか辞めれない」など悩んでいる人も少なくないでしょう。
退職代行を利用する大きなメリットは、直接自分で退職の意思を伝える必要がないため、心理的な負担が軽くなることです。
また、第三者を通すことで、退職を曖昧にされることもなく安心して退職できるでしょう。
退職に必要な手続きを代行してくれる
退職代行は退職の意思を伝えるだけではなく、退職に関して必要な連絡や書類のやり取りなどの手続きまで代行してくれます。
そのため、依頼者は退社の手続きのために会社と連絡をとる必要がありませんし、退職までの煩雑な手続きも最小限にできるでしょう。
また、業者によっては、退職届のテンプレート配布や失業保険の申請サポート、転職サポートをおこなっているところもあります。
いろいろなサービスがあるので、どの業者がよいかを比較し、自分に合ったサービスを提供しているところを選びましょう。
即日退職も可能
退職代行の利用で、その日から出勤せずにすみます。
民法上、退職の2週間前までに退職の意思を伝える必要がありますが、やむを得ない事由があれば即日退職が可能です。
やむを得ない事由の具体的な例は法律で定められていませんが、会社でのハラスメントや本人や家族の病気で療養や看護が必要な場合などが挙げられます。
もし、やむを得ない事由がなくても、退職代行を利用した翌日から2週間後の退職日まで、有給休暇の利用もしくは、欠勤扱いとして休む方法もあります。
この場合だと即日退職ではありませんが、出勤しないことには変わりないため、実質、即日退職となります。
ただし、欠勤扱いにする場合はトラブルにならないために、業者としっかり相談してください。
また、退職代行は「即日対応」できる業者を選びましょう。
退職代行利用のデメリットを回避する方法
ここまで読まれて、「退職代行のメリットはよいけど、やっぱりデメリットは避けたい」そう思う方もいらっしゃるでしょう。
デメリットは、ないにこしたことはありません。
ここでは、退職代行を利用するデメリットを少しでも回避する方法について解説します。
自分で退職できないかもう一度検討する
まずは、自分で退職できないかをもう一度検討しましょう。
やはり、直接話し合って円満に退職できることが、お互いにとってよいです。
ほとんどの場合は、退職の意思を伝えることで退職できるでしょう。
退職代行に申し込む前にもう一度、自分で会社に退職を伝えることができないかどうか考えてください。
自分で退職を切り出すことができれば、退職代行利用時のデメリットを回避できるだけでなく、退職後も会社の人との良好な関係を続けられるかもしれません。
弁護士や労働組合が運営しているサービスを選ぶ
自分で退職できないか検討した結果、退職代行を利用すると決めた場合は、弁護士や労働組合が運営している退職代行を選びましょう。
弁護士や労働組合が運営していれば、退職の意思を伝えるだけでなく、会社との交渉が可能です。
法律的な問題にも対処してもらえるため、退職が不利になる可能性も低く、トラブルが起こった場合でも安心して任せられます。
費用がやや高くなりますが、トラブルを避けスムーズに退職できるでしょう。
利用した人の口コミ評判を確認しておく
退職代行を利用する前に、実際に利用した人のクチコミも確認しておきましょう。
スタッフの対応、トラブルはなかったかなどをインターネット検索だけでなく、SNSでも検索をすると利用者のリアルな情報がわかるのでおすすめです。
退職代行のなかには、料金を支払ったら音信不通になるような悪質業者も存在します。
もし、インターネット検索で探せない退職代行の場合、利用するのは避けましょう。
まとめ
- 退職代行には運営元が「民間企業」「労働組合」「弁護士」の3種類ある。
- 退職代行を利用すると、同業界に再就職しづらくなることがある。
- 公務員や有期雇用の場合、退職代行に断られる可能性がある。
- 退職代行を利用すると、直接会社とのやりとりが不要になるため心理的負担が減る。
- 退職代行を選ぶ際には、口コミの確認は必要。
「辞めたいけど辞められない」「精神的につらい」このような場合は、無理せず退職代行を利用しましょう。
退職代行の利用にはデメリットもありますが、自分の状況を把握し、その状況に合った業者を選ぶことで、デメリットの多くを回避できます。
また、直接会社と連絡をとることはないので、心理的負担なく退職可能です。
退職代行には運営元の違いだけではなく、それぞれ独自のサービスがあるので、さまざまな業者を比較し自分に合った退職代行を選択してください。