個人事業主が副業で稼いだら年末調整が必要?確定申告の方法を解説

個人事業主が副業で稼いだら年末調整が必要?確定申告の方法を解説 コラム

「個人事業主が副業で稼いだら年末調整が必要なのか知りたい。」
「確定申告の方法について知りたい。」

このように思われている人も多いのではないでしょうか?

当記事ではこのような疑問を解決していきます!

この記事を読み終える頃には、個人事業主が副業で稼いだ場合年末調整は必要なのか、実際に確定申告する方法について理解していただけるかと思いますので、ぜひ最後までご覧下さい。

それでは解説していきます!

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年末調整とは

年末調整とは、「所得税の過不足を精算する手続き」のことです。

会社員などが毎月受け取る給与は、所得税が引かれた金額となっています。

その理由は、自分で所得税を納めない代わりに会社が納税しているからです。

しかし、給与所得者にはさまざまな種類の「控除」が存在しているます。

控除分を考慮しなかった場合、税金を必要以上に納めてしまい、調整を行うために実施するのが年末調整になります。

個人事業主が副業をしたら年末調整は必要?

個人事業主が副業する際の年末調整については、以下2点を理解しておく必要があります。

副業で給与所得を得た場合のみ必要

個人事業主が副業し、副業所得の種類が給与所得の場合は年末調整が必要です。

自営業や個人事業主の方は、事業所得の場合であれば自分で所得税を計算し、納税します。

そのため、年末調整の代わりに確定申告することで年末調整をする必要がありません。

しかし、所得が給与所得の場合であれば、給与所得者と判断されるため年末調整の対象になります。

年収103万円以下で源泉徴収なしの場合は不要

年収103万円以下で副業先の会社から源泉徴収なしの場合は、年末調整が不要です。

年収が103万円以下であれば控除の関係上、課税所得がかからないからです。所得税の納税義務はなく、年末調整を行う必要がありません。

しかし、大事なのは勤務先で源泉徴収がなかったかどうかです。

もし源泉徴収があった場合には、通常納めるべき所得税額よりも多い金額の所得税を納税していることになるため、年末調整で還付を受けましょう。

副業の年末調整が必要な個人事業主は何をすればいい?

年末調整が必要な副業をしている個人事業主の場合、勤務先で年末調整をしてもらうことがおすすめです。

年末調整を受けるためには、1人1枚のみ提出ができる「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」への記載が必要です。

ちなみに、この書類は1カ所のみにしか提出できません。

年末調整を受けられるのは1人1企業のため、主な給与を貰っている勤務先に提出しましょう。

ただし、注意すべきは勤務先が副業を禁止している場合です。

勤務先が副業を禁止しているにもかかわらず、年末調整を勤務先でまとめて行ってもらう場合、所得に対してかかる住民税の金額が大きくなってしまいます。

勤務先以外に収入があると疑われ、副業がバレてしまう可能性があります。

そのため、勤務先で年末調整してもらう前に勤務先の会社が副業を認めているか確認するようにしましょう。

副業で給与所得を得た場合の確定申告手順

副業で給与所得を得た場合の確定申告手順は以下の通りです。

副業の勤務先で源泉徴収票をもらう

副業収入が給与所得の場合は、給与を支払っている勤務先と副業先から、それぞれ源泉徴収票をもらうことが必要です。

一般的に源泉徴収票は給与明細と一緒に手渡しでもらえますが、勤務先によっては発送の場合もあります。

もし、どちらの方法でも源泉徴収票が渡されない場合は、勤務先の給与担当者に伝えてみましょう。

所得の計算をする

源泉徴収票をもらった後は、所得金額の計算を行います。

所得金額の計算方法は、所得の種類が「事業所得」か「給与所得」かにより異なります。

事業所得の計算方法

所得種類が事業所得の場合は、下記の計算式で求められます。

事業所得で所得税を抑えたい場合には、法律の範囲内で必要経費をしっかりと計上し、所得税がかかる課税所得金額を減らすことが重要になります。

事業所得金額 = 総収入金額必要経費

【総収入金額】
事業で発生する売上金額の他にも、以下のようなものを含んだ合計金額のことです。

  • 商品などの棚卸資産について損失を受けたことで支給される損害賠償金や保険金など
  • 金銭以外の物や権利その他の経済的利益の価額
  • 仕入割引やリベート収入

上記の他にも、商品を自家用に消費したり贈与したりした場合の商品の価額や、空箱および作業くずなどの売却代金なども含まれます。

参照:税務研究会|総収入金額の計算

【必要経費】
事業で売上を上げるためにかかった仕入れ費や販売費、管理費などの費用のことであり、具体的には以下のようなものがあります。

  • 売上原価
  • 減価償却費
  • 給与、賃金

また、電気代や水道代などの家事上の経費に関係する経費のうち、事業で利用している部分が明確に分けられる場合は、事業で利用している分の金額を必要経費として計上することも可能です。 

参照:国税庁|やさしい必要経費の知識

給与所得の計算方法

所得種類が給与所得の場合は、下記計算式で求められます。

給与所得 = 給与収入給与所得控除 

給与所得者の場合は、上記で解説した事業所得の場合と異なり、文房具やスーツといった仕事のために支払った支出を経費として差し引くことができません。

しかし、その代わりに給与所得控除で経費として引く分の金額を差し引くことが可能です。 

【給与所得控除】
給与所得者が勤務先から給与をもらう際に差し引ける控除のことです。

給与所得控除で差し引ける金額は、給与の収入により決まります。収入に応じた給与所得控除額は以下表の通りです。

給与等の収入金額(給与所得の源泉徴収票の支払金額) 給与所得控除額
162万5,000円以下 55万円
162万5,000円超180万円以下 収入金額×40%-10万円
180万円超360万円以下 収入金額×30%+8万円
360万円超660万円以下 収入金額×20%+44万円
660万円超850万円以下 収入金額×10%+110万円
850万円超 195万円(上限)

参照:freee|給与所得控除額と給与所得の計算方法

たとえば、給与等の収入金額が300万円ある場合、給与控除できる金額は

「300万円×30%+ 8万円=98万円」です。

また、所得税を計算する際には、収入から給与所得控除を引いた金額から、さらに所得控除を引いた金額に税率をかけることで求められます。

なお、所得控除給与所得控除が混ざってしまう人も多くいますが、この2つの控除は課税所得を計算する際に別のものと扱われるため、明確な違いがあります。

【所得控除】
税額を求める際に収入から差し引かれるさまざまな金額であり、所得者の個人的な事情を加味するための控除です。

代表的な所得控除には、以下のような費用があります。

  • 配偶者控除
  • 社会保険料控除
  • 医療費控除
  • 小規模企業共済等掛金控除

所得控除では、確定申告や年末調整の際に、自分で申請しないと控除が適用されません。損をしないためにも、忘れずに必ず申告するようにしましょう。

確定申告書を作成・提出する

副業所得が給与所得の場合、「確定申告書A」という給与所得者専用の確定申告書を作成します。

ただし、寄付金控除や雑損控除、医療費控除などの年末調整で控除できないものがある際は、例外として「確定申告書B」という所得全般に対応した申告書の作成が必要です。

確定申告書の作成が完了したら申告書を住所地等の所轄税務署に提出します。

提出方法には、以下があります。

  • 所轄税務署の受付に提出する
  • 所轄税務署の時間外収受箱に投函する
  • 郵便または信書便で送る

 また、上記以外にも国税庁ホームページで申告書を作成した場合は、e-Taxで送ることもできます。

まとめ

  • 年末調整とは、所得税の過不足を精算する手続きのこと
  • 副業が給与所得の場合は年末調整が必要
  • 年収103万円以下で源泉徴収が無い場合は、年末調整は不要
  • 年末調整が必要な場合は、勤務先で年末調整してもらう
  • 所得の種類により年末調整での所得計算方法が異なる

年末調整をすることで、税金を納め過ぎている場合に、多く支払った税金の還付を受けることができます。

年末調整が必要な場合は、勤務先で行ってもらうことが一番ですが、勤務先が副業を禁止している場合は、住民税などの金額によりバレてしまう可能性があるため、注意しましょう。

マイチョイス編集部

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