個人事業主として仕事を始めた方の中には
「納税の年間スケジュールはどうなっているのだろう?」
「もしも税金の支払いを忘れたらどうなるの?」
という疑問や不安をお持ちの方もいるのではないでしょうか?
会社員とは違い、個人事業主も含むフリーランスは税金支払いの年間スケジュールを自分で把握して管理する必要があります。
そこで今回の記事では、個人事業主が納めるべき税金の種類や納付時期について詳しく解説します。
税金の支払いを忘れることのないよう、しっかりと確認しておきましょう。
滞納を防ぐために税金カレンダーを確認しよう
指定された納付期限までに税金を納めずに滞納した場合、延滞税が課せられます。
国税庁のサイトによると、延滞税は「利息」に相当するもの。
つまり、納めるべき税金よりも余計に支払いをしなければならなくなるということです。
このようなことのないよう、個人事業主として開業したら税金の支払い時期や納付期限をきちんと把握しておきましょう。
年間の納税スケジュールを税金カレンダーとして管理しておくと、支払い忘れが防げます。
税金カレンダーで確認すべきこと
個人事業主が税金カレンダーで確認すべき項目は、以下の通りです。
- 納税すべき税金の種類
- おおよその納税額
- 支払い月
- 納付期限
- 納付方法
上記を仕事用のスケジュール帳やスケジュール管理をしているアプリなどにまとめておくと便利です。
税金を払い忘れた場合のリスク
納付期限までに税金を支払わなかった場合のリスクのひとつは、先ほどもお伝えした延滞税です。
延滞税は納付期限の翌日から発生し、滞納した日数を掛け算する形で計算されます。
税金の滞納者には行政処分が下され、督促状による督促や財産の差し押さえ対象になることもあります。
個人事業主が納税するまでの流れ
ここからは、個人事業主が実際に納税するまでの流れを解説していきます。
押さえておきたいのは、納税金額は確定申告により決定するということです。
帳簿の作成
そもそも帳簿とは、事業に関わる取引やお金の流れを記録するための台帳のことです。
確定申告をするには資産の動きを正しく把握する必要があるので、その準備をスムーズに行うためにもこまめな日々の帳簿付けが必要不可欠です。
特に、個人事業主やフリーランスになりたての方はいつから帳簿付けするべきなのか悩みます。
確定申告の会計期間は1月1日~12月31日なので、原則的にこの期間の売上や経費などを帳簿付けする必要があります。
確定申告
確定申告の期間は2月16日から3月15日です。
前年1月1日から12月31日までの所得を計算し、納税額を算出して税務署に報告します。
ちなみに、個人事業主が行う確定申告には青色申告と白色申告があります。
青色申告は最大65万円の特別控除が受けられる、経費として計上できる項目が多くなるなど、節税につながるメリットが多くあります。
ただし、事前に「青色申告承認申請書」を納税する税務署に提出しなければなりません。
白色申告は、青色申告の申請をしていない人が行う申告方法です。
青色申告に比べると手続きをシンプルに済ませることができます。
税金の納付
確定申告で納税額が確定したら、納付期限までに納税しましょう。
納税対象の税金や納税額は事業内容によっても異なります。
個人事業主が納めるべき税金カレンダー
ここでは、個人事業主が実際に納めるべき税金を種類ごとに解説します。
納付時期や納付方法も紹介しますので、しっかりと整理しながら確認しておきましょう。
所得税
所得税は1年間で得た収入や売り上げから、経費や各種控除を差し引いた所得にかかる税金です。
原則、納付期限は確定申告と同じ3/15となっています。
しかし、クレジットカードと振替納税の場合は後払いになるので多少余裕が出ます。
所得税の主な納付方法は下記となります。
- 預貯金口座からの振替納付
- e-Taxを用いたインターネットバンキングでの納付
- クレジットカード支払い
- QRやバーコードを使ったコンビニ支払い
- 金融機関か税務署の窓口での現金納付
消費税
消費税は売上にかかる税金で、条件によって課税となるケースと免税となるケースがあります。
ただし、開業から2年間は基本的に納税義務はありません。
納付期限は3月末ですが、振替納税の場合は4月下旬になります。
消費税の主な納付方法は下記となります。
- 預貯金口座からの振替納付
- e-Taxを用いたインターネットバンキングでの納付
- クレジットカード支払い
- QRやバーコードを使ったコンビニ支払い
- 金融機関か税務署の窓口での現金納付
所得税と同じく国税に分類されるので、支払い方法も変わりません。
住民税
住民税とは各都道府県に納税する道府県民税(東京都は都民税)と各市区町村に納税する区市町村民税の総称です。
住民税は地方税の1つで、個人が納税する個人住民税と法人が納税する法人住民税に分かれます。
地方税の納付は一括納付と分割納付の2種類がありますが、分割で納付する人が多いです。
分割納付の回数は第1~第4期分の4回に分かれます。
期限は6月末、8月末、10月末、翌年1月末です。一括納付の場合は6月末となります。
地方税である住民税は、自治体によって納付方法が異なります。
どの自治体でも採用している基本的な納付方法は下記となります。
- 各金融機関の銀行窓口での現金納付
- バーコードを使ったコンビニ支払い
- クレジットカード支払い
- 預貯金口座からの振替納付
個人事業税
個人事業税とは前年度の所得が290万円を超えた場合に、各都道府県へ支払う地方税の1つです。
所得対象は事業所得と不動産所得ですが、場合によって雑所得も含まれる場合があります。
2回の分割納付で、8月末と11月末が納付期限です。
主な納付方法は下記となります。
- 各金融機関の銀行窓口での現金納付
- バーコードを使ったコンビニ支払い
- クレジットカード支払い
- 預貯金口座からの振替納税
個人事業税も地方税の1つなので、住民税と変わりません。
源泉所得税
源泉所得税とは給与などの支払い者が支払い額から予め徴収して国に納税する所得税の1つです。
会社員の場合月々の給与や賞与から差し引かれているものが源泉徴収となります。
個人事業主でも、従業員を雇って給与を支払っているなら発生する税金です。
納付期限は給与を支払った翌月の10日までとなります。
主な納付方法は下記となります。
- 預貯金口座からの振替納付
- e-Taxを用いたインターネットバンキングでの納付
- クレジットカード支払い
- QRやバーコードを使ったコンビニ支払い
- 金融機関か税務署の窓口での現金納付
固定資産税・償却資産税
固定資産は土地、家屋、償却資産に分かれます。
固定資産税とは所有する土地や家屋などの不動産に課せられる税金です。
償却資産税とは土地や建物以外の固定資産のうち償却資産に該当する事業用の資産のことをいい、パソコンなどが対象となります。
納付期限は各自治体により異なります。例えば東京23区の場合、6月末、9月末、12月27日、2月末の4期になります。
納税通知書が届いたら、早めに確認しておくと安心です。
主な納付方法は下記となります。
- 各金融機関の銀行窓口での現金納付
- バーコードを使ったコンビニ支払い
- クレジットカード支払い
- 預貯金口座からの振替納税
自動車税
自動車税は4月1日の時点で自動車検査証、いわゆる車検証に記載されている所有者に課せられる地方税です。
所有者と実際の使用者は同じであるのが一般的ですが、購入方法などによっては異なるケースもあります。
車を使用していなくても、所有者として登録されていれば課せられる税金なのでご注意ください。
自動車税の納付期限は5月末になります。
地域により異なりますが、主な納税方法は下記となります。
- 各金融機関の銀行窓口での現金納付
- バーコードを使ったコンビニ支払い
- クレジットカード支払い
- 預貯金口座からの振替納税
まとめ
・納税を忘れると、延滞税による追加支払いのリスクがある
・個人事業主は帳簿を作成し、確定申告により納税する
・支払う税金の種類や納税額は、事業内容や所得額などによる
・納税方法や期限も一緒に管理しておくと支払い忘れが防げる
個人事業主の税務管理の基本は、確定申告をすることです。意図的ではない税金滞納によるトラブルや延滞税の支払いを防ぐためにも、税金カレンダーを有効活用して、スケジュール管理をしていきましょう。
円滑に確定申告をすませるためには、こまめに日々の帳簿を付けておくこともポイントです。