個人事業主は生命保険を経費にできる?加入すべき理由を解説

個人事業主は生命保険を経費にできる?加入すべき理由を解説 コラム

「個人事業主の生命保険料は経費にできないの?」
「経費にできる保険はどのようなものがあるの?」
「生命保険の種類や内容はどう選べばいいの?」

上記のような疑問を持っている個人事業主の方は多いでしょう。

個人事業主の生命保険料は経費にできないのでしょうか?

また、個人事業主にとって生命保険はどのようなメリットがあるのでしょうか?

本記事では、個人事業主の生命保険料が経費にできる場合とできない場合の違いや、経費にできる保険の種類や条件、生命保険に加入すべき理由やポイントなどを詳しく解説していきます。

あなたの事業やライフスタイルに合った生命保険を選ぶために、ぜひ最後までお読みください。

個人事業主の生命保険料は経費にできない

個人事業主の生命保険料は経費にできません。

なぜなら、生命保険は事業に直接関係のない個人的な保障のためのものだからです。

個人事業主は、自分の事業に関する費用を経費として計上できます。

経費とは、事業をおこなうために必要な支出のことで、所得税や消費税の計算をする際に収入から差し引くことが可能です。

そのため、所得税や消費税の負担が軽減されます。

しかし、生命保険は万が一の場合に自分や家族の生活を守るためのもので、事業の収益や経営には影響しません。

したがって、生命保険料は、経費として認められません。

ただし、個人事業主は生命保険料控除が適用されます。

確定申告時に、払い込んだ保険料に応じて一定の金額を所得控除できます。

個人事業主が経費にできる保険

個人事業主が経費にできる保険は、事業に関係する保険で、必要かつ相当な範囲で支払った保険料です。

経費にできる保険は、所得税や消費税の計算をする際に収入から差し引けます

個人事業主が経費にできる保険の代表的なものは以下です。

それぞれ詳しく解説します。

従業員の傷害保険料

従業員の傷害保険は、事業に直接関係する保険であり、必要かつ相当な範囲で支払った保険料です。

したがって、従業員の傷害保険料は事業に必要な支出として認められるため、福利厚生費として経費計上できます。

個人事業主が従業員を雇っている場合、従業員の傷害保険への加入が義務付けられています。

従業員の傷害保険とは、従業員が事業に関する業務中に怪我や病気になった場合に、治療費や休業補償などを支払う保険のことです。

例えば、個人事業主がレストランを経営している場合、従業員がキッチンで火傷をしたり、配達中に交通事故に遭ったりする可能性があります。

このような場合に、従業員の傷害保険があれば、従業員の治療費や休業補償を保険会社が支払ってくれます。

このように、従業員の傷害保険は事業の安全性や信頼性を高める効果があります。

また、保険ではありませんが、従業員が受けた健康診断や人間ドックなども福利厚生費として経費計上できます。

従業員の生命保険料・社会保険料

個人事業主が従業員に生命保険や社会保険(健康保険、厚生年金、雇用保険)の一部を負担している場合、その負担分の保険料も経費にできます。

なぜなら、従業員の福利厚生のために必要な支出として認められるためです。

ただし、従業員の生命保険は給与の一部として扱われる場合があるため、その場合は経費にできません。

また、社会保険料は従業員の分と自分の分を別々に計算して経費にする必要があります。

従業員の生命保険とは、従業員が死亡した場合に遺族に保険金を支払う保険です。

従業員の社会保険とは、従業員が老齢や障害などになった場合に、年金や福祉などを受けられる保険です。

例えば、個人事業主が美容院を経営している場合、従業員が病気や事故で亡くなったり、老齢や障害で働けなくなったりする可能性があります。

このような場合に、従業員の生命保険や社会保険があれば、従業員やその遺族に保険金や年金などを支払ってくれます。

このように、従業員の生命保険や社会保険は、従業員の生活や将来を守る効果があります。

従業員の生命保険料や社会保険料は、個人事業主の経費にできる保険の一つです。

自動車保険料

自動車保険は、事業に関係する自動車を使用する場合に、必要かつ相当な範囲で支払ったも保険料です。

事業に使用する自動車の維持費として認められるため、経費にできます。

個人事業主が自動車を事業に使用している場合、自動車保険に加入する必要があります。

自動車保険とは、自動車に関する事故や損害に対して、保険金や補償を支払う保険です。

自動車保険には、法律で義務付けられている自賠責保険と、任意で加入する任意保険があります。

例えば、個人事業主が配送業を営んでいる場合、自動車を使って荷物を運ぶことがあります。

このような場合に、自動車保険があれば、自動車に関する事故や損害に対して、保険金や補償を受けられます。

このように、自動車保険は、事業の円滑性や安心感を高める効果があります。

ただし、自動車を事業以外にもプライベートで使用している場合は、事業に使用した回数や走行距離だけを家事按分して算出したものを経費として計上する必要があります。

火災保険料

火災保険は、事業に関係する建物や家財を保有する場合に、必要かつ相当な範囲で支払った保険料です。

したがって、事業用の資産の保全費として認められるため、経費にできます。

個人事業主が事業用の建物や備品を所有している場合、火災保険に加入しておくことが推奨されます。

火災保険とは、火災や落雷などによる建物や家財の損害に対して、補償や賠償をおこなう保険のことです。

例えば、個人事業主が工場や店舗を所有している場合、火災や落雷などによって建物や家財が損傷する可能性があります。

このような場合に、火災保険があれば、建物や家財の修理や再建に必要な保険金を受けられます。

自宅を事務所や店舗と兼用している場合は、事業で使用している面積などを家事按分で算出して経費計上します。

地震保険料

地震保険は、事業に関係する建物や家財を保有する場合に、必要かつ相当な範囲で支払った保険料です。

したがって、地震保険料は、火災保険料と同様に、事業用の資産の保全費として認められるため、経費にできます。

地震保険とは、地震や津波などによる建物や家財の損害に対して補償や賠償をおこなう保険のことです。

地震保険は、火災保険の特約として付加されることが多いです。

例えば、個人事業主がオフィスや倉庫を所有している場合、地震や津波などの災害によって建物や家財が損傷する可能性があります。

このような場合に、地震保険があれば、建物や家財の修理や再建に必要な保険金を受けられます。

このように、地震保険は事業のリスクを低減する効果があります。

また、火災保険と同様に、自宅を事務所や店舗と兼用している場合は、事業で使用している面積をもとに家事按分して経費計上します。

火災保険料と異なる部分として、地震保険料は平成19年1月の税制改正によって控除の対象になりました。

そのため、プライベートである自宅分の保険料を一定額控除できます。

参考:国税庁|地震保険料控除

個人事業主は生命保険に加入すべき?

個人事業主自身の生命保険料は経費にできません。

だとしても、個人事業主は生命保険に加入すべきです。

理由は、以下のとおりです。

収入の安定性が低いため
個人事業主は、会社員と違って、仕事の量や収入が不安定です。
万が一、病気や事故で働けなくなった場合、収入が途絶えてしまう可能性があります。
生命保険に加入しておけば、そのようなリスクに備えて、一定の保障を受けられます。

家族や従業員への責任があるため
個人事業主は、自分だけでなく、家族や従業員にも影響を与えます。
もし、個人事業主が亡くなったり、重度の障害を負ったりした場合、家族や従業員は、生活や仕事に困難を抱えることになります。

生命保険に加入しておけば、そのような場合にも、家族や従業員に対して、遺族年金や遺産相続税の支払いなどの財政的な支援ができます

以上の理由から、個人事業主は生命保険に加入すべきです。

生命保険に加入しておくことで、以下のようなメリットがあります。

  • 死亡した場合に、遺族に保険金が支払われることで、生活費や借金の返済などに困らない
  • 生きている場合に、保険金が支払われることで老後の資金や子供の教育費などにあてられる
  • 事故や病気で働けなくなった場合に、保険金が支払われることで収入の減少や医療費の負担を軽減できる
  • 病気やケガで入院や手術をした場合に、保険金が支払われることで高額な医療費の負担を軽減できる
  • 老後に介護が必要になった場合に、保険金が支払われることで介護費用や生活費の負担を軽減できる

以上のように個人事業主は、生命保険に加入しておくことでさまざまなリスクに備えられます。

生命保険料は経費にできないことがデメリットですが、そのこと以上に自分や家族の安心と安全を確保できるメリットもあります。

生命保険は、個人事業主にとって安心と節税の両方を得られる有効な手段ですが、さまざまな種類やプランがあるため、自分のニーズや予算に合ったものを選ぶことが大切です。

個人事業主が加入すべき生命保険

個人事業主は会社員と違って社会保障制度の恩恵を受けにくいため、万が一の事態に備えて自分や家族の生活を守るために生命保険に加入すべきです。

しかし、どのような保険に加入すべきかは、個人事業主の状況やニーズによって異なります。

個人事業主が加入すべき生命保険の種類は、以下の5つです。

それぞれ詳しく解説します。

死亡保険

死亡保険とは、加入者が死亡した場合に遺族に保険金が支払われる保険のことです。

個人事業主は、自分の収入が家族の生活費の主な源になっている場合が多いため、自分が亡くなったら家族は経済的困難に陥る可能性が高くなります。

死亡保険に加入しておくことで、自分の死後も家族の生活を維持できます。

死亡保険の保険料は加入者の年齢や健康状態、保険金額などによって異なりますが、個人事業主の場合は所得税の控除対象になります。

死亡保険には終身保険と定期保険があり、保障される期間はそれぞれの保険によって違います。

終身保険は、年数や年齢に関係なく被保険者が死亡するまでの一生涯の契約となる保険です。

定期保険よりも保険料は高い傾向がありますが、保険料の一部を積み立てることもできます。

定期保険の場合は、10年や20年などの年単位や60歳までのような年齢単位など、定められた保障期間があります。

保障期間があるため、終身保険よりも保険料が割安な傾向があります。

しかし、基本的に掛け捨て保険となるため、解約払戻金や満期保険金がありません。

生存保険

生存保険とは、加入者が一定の年齢に達した場合や、保険期間が満了した場合に保険金を受け取れる保険です。

個人事業主は、会社員と違って退職金や年金などの収入がありません。

そのため、老後の生活資金を準備しておくことが重要です。

生存保険に加入しておくことで、将来の収入源となる資産を築けます。

生存保険の保険料は、加入者の年齢や保険金額などによって異なりますが、個人事業主の場合は所得税の控除対象です。

就業不能保険

就業不能保険とは、加入者が病気やケガなどで働けなくなった場合に、一定期間所得に応じた保険金が支払われる保険のことです。

個人事業主は、自分の労働力が収入の唯一の源になっている場合が多いため、自分が働けなくなったら収入が途絶えてしまいます。

就業不能保険に加入しておくことで、自分の収入を補償できます。

就業不能保険の保険料は、加入者の年齢や職業、保険金額などによって異なりますが、個人事業主の場合は所得税の控除対象になります。

医療保険

医療保険とは、加入者が病気やケガなどで医療費がかかった場合に、一部または全額が保険金として支払われる保険のことです。

個人事業主は、国民健康保険に加入していても自己負担額が高い場合があります。

また、入院や手術などの高額な医療費が発生した場合には、自己負担額が限度額を超えても差額を負担しなければなりません。

医療保険に加入しておくことで、自己負担額を軽減できます。

医療保険の種類はガンなど特定の病気に特化したものや、掛け捨てのものや積立て型のものなど多くの商品が存在します。

医療保険の保険料は、商品の種類や加入者の年齢、健康状態などによって異なりますが、個人事業主の場合は、所得税の控除対象になります。

介護保険

介護保険とは、加入者に介護が必要になった場合に、介護サービス費用の一部または全額が保険金として支払われる保険のことです。

個人事業主は、高齢化や生活習慣病などの影響で将来的に介護が必要になる可能性があります。

また、自分だけでなく、配偶者や親などの家族も介護が必要になるかもしれません。

介護保険に加入しておくことで、自分や家族の介護費用を軽減できます。

介護保険の保険料は、加入者の年齢や介護度、保険金額などによって異なりますが、個人事業主の場合は所得税の控除対象になります。

まとめ

  • 個人事業主の生命保険料は経費にできない
  • 個人事業主が経費にできる保険は、従業員の傷害保険・生命保険、社会保険、自動車保険、火災保険、地震保険など
  • 個人事業主は、たとえ経費にできなくても生命保険に加入するべき
  • 個人事業主が加入すべき生命保険は、死亡保険、生存保険、就業不能保険、医療保険、介護保険などがある

個人事業主の生命保険料は経費にできません。その代わり、経費にできる保険がいくつかあります。

また、生命保険は個人事業主にとって重要な備えです。

自分の生命や健康を守るためにも、生命保険に加入しておくことを検討してください。

本記事を読むことで個人事業主の経費と生命保険についての理解を深め、自分の事業と生活をより安心できるものにしてください。

マイチョイス編集部

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