仕事には理不尽なできごとがつきものです。
理不尽な上司や状況に、毎日もやもやした気持ちや怒りが収まらないときもあるでしょう。
しかし、仕事上で起こるさまざまな理不尽のなかには、うまく対処する方法を考えるだけでなく、転職で根本から環境を変えるべきものもあります。
本記事では、仕事上で起こる理不尽なケースと対処法、転職を検討したほうがよいケースについて解説します。
仕事で理不尽を感じるケース
まずは、仕事で起こりがちな理不尽を感じるケースにはどのようなものがあるか、見ていきましょう。
納得いかない理由で怒られる
仕事で理不尽を感じるのが、納得のいかない理由で怒られるときです。
誤解や情報不足のせいで怒られることもそうですが、無理な要求や仕事量を押し付けられた挙句に上司の思いどおりにいかなかったからといって怒られ、言い返すこともできないようなことがあれば、それは理不尽でしかありません。
一生懸命取り組んでも理不尽に怒られるだけでは、仕事のモチベーションが大きく下がってしまうのは当然です。
手柄を横取りされる
頑張って結果を出したのに手柄を横取りされてしまうのも、理不尽な状況のひとつです。
上司が自分自身の評判のために、部下の手柄を自分の成果だと主張するケースもあれば、苦労して積み上げてきた仕事を上司がひいきにしている部下に引継ぐように要求され、そのまま手柄を取られて悔しい思いをするという理不尽なケースもあります。
自分の仕事自体を否定されたようで、「自分の今までの頑張りは何だったんだ」と虚しくなり、頑張っても無駄だと考えるようになってしまいます。
取引先から無理な要求をされる
「明らかに無理な納期を押し付けられ、少しでもミスや遅れが出たら責められる」「代金は値切るのに、要求は高い」
このように、あまりにも一方的で、取引先である自分の会社や担当である自分の立場をまったく考慮しない取引先がいると、過剰な要求に従い続けることが大きなストレスとなります。
こちらに落ち度がないクレーム処理をする
会社では、自分のミスや落ち度ではなくても、会社の一員としてクレーム処理や謝罪をおこなうのが当然です。
しかし「カスハラ(カスタマーハラスメント)」という言葉があるように、過剰な要求や理不尽なクレームをする顧客や利用者も、なかにはいます。
明らかに自分側に落ち度がないクレームで激しく責め立てられたり、社内での立場が悪くなったりするような状況が続くと、不満が大きくなり、精神的にも消耗します。
職場内に暗黙のルールがある
職場で当たり前になっている、以下のような「明らかに正当性のない暗黙のルール」はないでしょうか?
- 自分の言っていることのほうが明らかに正しいけれど、どれだけ間違っていても逆らってはいけない上司がいる
- 給料も出ないのに毎日朝礼や掃除で30分以上早く出勤を強要される
- 仕事がなくても上司より先に帰ってはいけない
社員全体が「仕事や会社とはそういうものだ」と思っていても、外部の公平な目から見ると理不尽なルールは、会社ではよくあります。
納得できないルールに無理やり従うことは、大きな精神的苦痛につながります。
仕事で理不尽を感じたときの対処法
次に、理不尽な状況に対する対処法について解説します。
退職を検討する前に、以下のような方法で対処可能かどうか、考えてみましょう。
軽く受け流す
ストレスを溜めてもどうにもならないような、全く理不尽な出来事については、受け流すしかありません。
会社に残るメリットとデメリットを考えて、メリットのほうが大きければ「いちいちストレスを溜めるのももったいない」と割り切り、仕事上の理不尽に対しては「無」になってやり過ごすのも、対処法のひとつです。
冷静になる
会社で毎日同じ人と関わっていると、理不尽な扱いに対して不満は膨らむ一方です。
しかし感情的になってしまうと、落ち度がなくても「感情が不安定」「精神的に未熟」ととらえられて、自分が損をしてしまうことになります。
理不尽な扱いを受けて感情的になったら、場所を移して深呼吸をしていったん落ち着くようにしましょう。
また、話し相手になってくれる同僚や友人、家族に話を聞いてもらうと、状況が変わらなくても一緒に文句を言ってくれるだけで気持ちが多少救われます。
ストレス解消方法を見つける
理不尽な状況が日常的に続いて慢性的にストレスがたまるような状況なら、心身に影響を及ぼす前に定期的にストレスを発散する手段が必要です。
ストレス発散になるような趣味には、ジョギングやボクシングなどの運動、物づくりのような無心になれるもの、外の景色で気がまぎれる散策やドライブ、非日常が味わえるダンスやコンサートへの参加など、いろいろな選択肢があります。
自分に合った仕事以外の活動を探してみるのもおすすめです。
証拠を取っておく
いじめやハラスメントに近い理不尽な扱いが続く場合には、そのままにしていてもエスカレートするだけです。
そのうえ、周囲に話をしても巻き込まれるのを避けるために「証拠がない」「信じられない」などと聞いてもらえない可能性があります。
可能な範囲でメールのやり取りの保存、会話内容の録音をおこない、難しいときには理不尽な対応を受けたときの状況や会話内容などの詳細な記録を取っておきましょう。
信頼できる上司に相談する
理不尽な状況について、「ほかの人に言っても無駄だ」と思い、まだ誰にも相談していない場合には、信頼できる上司がいれば勇気を出して相談してみましょう。
直接問題解決に動いてくれる可能性があるだけでなく、アドバイスをしてくれたり、前例から有効な対処法を見つけてくれるかもしれません。
理不尽を我慢せず転職を検討すべき基準
「対処法でどうにかなる問題じゃない」「対処してきたけれどもう限界だ」と感じたら、転職を検討する段階です。
ここでは、転職を検討したほうがよいケースについて挙げていきます。
今後も状況が変わらない可能性が高い
「理不尽を我慢していたが改善するどころかどんどん都合のよい人間として扱われる」「仕事で理不尽なことが続いて心身ともに疲れきってしまった」など、状況が改善する期待ももてず先が見えない状態なら、耐えられなくなる前に転職を検討すべきです。
理不尽な状況に直面し続けていると心身に悪影響を与えるばかりか、仕事のパフォーマンスが下がり、キャリアアップのチャンスを潰す可能性もあります。
ハラスメントだと感じている
周囲に理不尽を訴えたとき、「どの会社にいっても似たようなもの」「理不尽な状況でも頑張って一人前、逃げるのは負け」のような意見を耳にするかもしれません。
しかし、ハラスメントやいじめと感じるような状況を我慢し続けるのは、周りだけでなく自分自身も自分を否定している状態です。
理不尽と感じる自分の気持ちを無視せず、自分を正当に扱ってもらえて、心身の安全を守れるような環境を手に入れるために、退職を検討しましょう。
自分の成長につながっていない
「頑張ってもどうせ理不尽な要求が増えるばかりだから努力しても無駄」「理不尽な目にばかりあってやっていられない」
このようなスタンスで、充実感や達成感を持てないまま仕事を続けていると、スキルアップの意欲も失われるばかりです。
今の状況を続けても将来的に自分のキャリアアップにつながりそうもないと感じるなら、自分のために成長できる環境に身を置ける転職先を探すべきでしょう。
まとめ
- 仕事で理不尽を感じるケースには、「不当な叱責」「手柄の横取り」「無理な要求」「理不尽なクレーム処理」「社内の暗黙のルール」などがある
- 仕事で理不尽を感じたときの対処法としては、「受け流す」「冷静になる」「ストレス解消法を見つける」「証拠を取る」「信頼できる上司に相談する」などが考えられる
- 仕事で理不尽な状況が続き、改善の期待が持てないなら心身を壊す前に転職を検討すべき
- 理不尽な状況がハラスメントやいじめの場合には周りの意見より自分を大事にして安全な職場を探そう
- 我慢はできても将来的な成長につながらないなら、キャリアアップできる職場を探すほうがよい
毎日理不尽な環境にさらされていると、感覚が麻痺してきて「どの会社も似たようなもの」「我慢したほうが楽」と考えてしまいがちです。
しかし、転職により理不尽な目にあわない環境が見つかる可能性もあります。
いったん「今の理不尽な環境は本当に『そんなもの』程度なのかな?」と考えてみるのも、必要ではないでしょうか。
よくある質問
最後に、仕事で理不尽な扱いを受けたときに悩みがちな点について、簡単にまとめました。
理不尽な人への対応は?
自分の思考回路で理解しようとせず、できるだけ距離を取るようにしましょう。
解決しようとして「なぜ理不尽なことを言うのか」と考えてしまいがちですが、「理不尽」と感じるような行動を平然と取れるような人間は、おそらく自分とは根本的な価値観や考え方が違います。
理不尽な対応を真正面から受け止めずに、「こういうタイプの人か」と心理的に距離を置くと、精神的な負担が軽くなります。
理不尽に怒られたときの対処法は?
状況を振り返り、自分が正しいと思えば信念を持って冷静に対処しましょう。
納得できないような理由で怒られると自分の怒りも大きくなりがちですが、理不尽に怒ってくるような相手に自分まで怒ってしまっても、状況は良くなりません。
相手の論理が主観的で偏っているケースも多いため、こちらからは根拠をもとに冷静に言い返すと、トーンダウンする場合もあります。
言い返せないような相手の場合には、嫌なことを忘れる儀式を決めておいて、すぐに気持ちを切り替えるのが得策です。
理不尽なクレーマーを黙らせる方法は?
自分に落ち度がある点だけは誠実に謝罪し、理不尽な部分については受け止め過ぎず、相手の言いたいことをすべて言わせるのがおすすめです。
「(落ち度は特にないけれど)そこまで嫌な気分にさせたことについては申し訳ない」というスタンスを取るとよいでしょう。
話を聞き、「私が対応できる範囲はきちんと対応します」と示すと、落ち着いてくるケースが多いです。
「とにかく偉い人に謝罪させたい」タイプに対しては、必要に応じて上司と連携を取りましょう。
嫌なことを言ってくる人への対処法は?
気にしないのがよいですが、集団で言われたり、耐えられないレベルの発言だったりするなら、転職して環境を変えたほうが早いでしょう。
また、状況に応じて、「嫌なことをいう人が逆らえないような人に助けを求める」「つけ上がる前に思い切り言い返す」「物理的・心理的距離を取る」などの対策を取りましょう。