「仕事がうまくいかない、楽しくないのは向いていないから……?」
ものすごく嫌とかつらいわけではないけれど、思うような成果が出なかったり、やりがいを感じなかったりすると「仕事が向いていないのではないか」と悩んでしまうのではないでしょうか。
特に、同じ仕事でも活き活きと働き成果を出しているような同僚を見ると、「もし向いていないなら、今の仕事を辞めて別の道を探したほうがいいのだろうか」「でも簡単に諦めるなんて甘えなのかな」と迷いが生じます。
しかし今「向いていない」と感じているのは本当に正しい判断なのでしょうか?
本記事では、仕事が向いていないと感じた際の対処法や判断基準について詳しく解説します。
自分に合った選択をするための参考にぜひお読みください。
仕事に向いていないと感じるタイミング
仕事に向いていないと感じるタイミングは何回か訪れます。
まずは、一般的に「仕事に向いていない」と感じやすいタイミングと理由について見ていきましょう。
入社してすぐ
インターンに参加したり、取引先として関わったりした機会がなければ、会社の内部の情報を知る機会がないまま入社します。
入社前に調べた情報からのイメージと、実際の会社や仕事内容が思っていたのと違った場合、「向いていない」と感じるかもしれません。
また、仕事内容に憧れて未経験の職種で入社したようなケースでは、「仕事としては魅力的だけれど自分の適性には合っていなかった」と感じることもあるでしょう。
新入社員の場合は、社会人としての生活や環境に慣れていないことも重なり、仕事に対する不安やストレスが溜まって「仕事が向いていない」といっそう思い込んでしまう可能性もあります。
入社1~2年目
入社して1〜2年目になると、先輩や上司の指示のとおりに動いていた部分が少なくなり、業務の難易度が上がったり自分で判断・行動したりするようになります。
サポートや指示があって動いていたときと違い、つまづいたり悩んだりする場面も増えるため、入社して1年経っても思ったより仕事ができていない自分に直面し「仕事が向いていない」と感じるかもしれません。
入社3~5年目
入社して3〜5年目になると、ある程度難しい仕事でも一通りできる状態になり、通常の業務はスムーズに進むようになるでしょう。
その頃になると、今までの「仕事をこなせるようになる」という目標から「仕事で成長したい」「より上の立場を目指したい」へと目標が変わっていきます。
自身の目指すところと現状のギャップが大きくなると、「3年以上経ってもこの程度では能力が足りないのではないか」と仕事に向いていないような気がしてしまう場合もあります。
30代以降
30代以降となると、若手の中心核となってメインで業務にあたる立場となるでしょう。
部下や後輩を持ち、自身の業務をこなしながら指導やフォローも並行しておこなうようになります。
しかし30代の時期は、プライベートでのライフスタイルが目まぐるしく変わるときでもあります。
プライベートに変化が起きると、仕事に対する価値観や目標が変わり、今までや将来の働き方に疑問を感じる人も増えるでしょう。
仕事と家庭の両立が難しく感じたり、プライベートを重視したくなり仕事へのモチベーションが下がった結果、今の仕事を続けるのに向かなくなったと感じる30代の人も多いかもしれません。
仕事に向いていないと感じる原因
今「仕事に向いていない」と感じる原因はどこにあるのでしょうか?
次に、仕事に向いていないと感じる原因についていくつか挙げて解説します。
自分のスキルが活かせていない
仕事で自分のスキルや適性を十分活かせていないと、仕事をこなせていても満足感を得にくくなります。
「こんな仕事でいいのだろうか」と悩み始め、「自分のスキルを十分に活かせない今の仕事は向いていないのではないか」と考えるようになるでしょう。
しかしスキルや適性が周囲に伝わることで、今後スキルを活かせる業務を任される可能性もあります。
イメージと現実にギャップがあった
会社のことも仕事内容も、実際に働いてみないと詳しくはわかりません。
特に自分がこれまで経験していない職種の場合、自分が知っている情報はその仕事のほんの一部で、知らなかったことのほうが多いかもしれません。
自分が持っていた業界や職種のイメージと実際の業務内容や職場環境が異なり、自分の理想とは違う状況に「自分には向いていなかった」と感じるケースもよくあります。
モチベーションが湧かない
「仕事はこなせるし特に大変でもないけれど、楽しくもないしやる気も湧かない」と、給与のために淡々と働いているような人もいるでしょう。
完全に割り切って働ければよいですが、意欲も興味も湧かない仕事を続けていていいのか、もしかして仕事が合っていないのではないかと悩む人もいるかもしれません。
モチベーション不足で仕事に向いていないと感じている人は、ちょっとした環境や業務の変化がモチベーションを回復させるきっかけとなる可能性もあります。
自分の成長に喜びを感じない
仕事が好きでやりがいを感じている人だったら、スキルを身につけたり感謝されたりすると充実感で満たされるのではないでしょうか。
仕事で褒められたり、スキルを身につけたりしても特にうれしくもない自分に気がついたとき、仕事へのやりがいの少なさに「今の仕事が自分に向いていない」と感じる人もいるかもしれません。
仕事に追い詰められて限界を感じている
仕事内容には問題がなくても、精神的な負荷の大きさから仕事自体まで疑問視してしまう人もいます。
「毎日こんなに仕事がつらいなんて、この仕事はきっと向いていないのだろう」と、仕事のプレッシャーや忙しさから疲弊してしまい、仕事が合っていないのではないかと考えてしまいます。
しかし仕事に追い詰められている結果「今の仕事が合っていない」と考えているなら、適切な対処法が見つかり負荷が軽減されれば見方も変わるかもしれません。
仕事に向いていないと感じた場合の対処法
「今の仕事に向いていない」と感じたら、まずは以下に解説する対処法を試してみましょう。
ひょっとしたら「向いていない」と感じるのは一時的なもので、解消するかもしれません。
目の前の仕事に集中する
「仕事に向いていない」と感じる前に、まず今の仕事にきちんと向き合っているでしょうか?
目の前の仕事に集中すると、新たな発見があり仕事に対するモチベーションが出てくる可能性もあります。
自分に向いている仕事とは何かを考える
仕事に向いていないと感じたら、逆に「自分に向いている仕事とは何だろう?」と考えてみてはどうでしょうか。
自分に向いている仕事を考えた結果、転職でしか解決できないかもしれませんし、今の仕事で向いていると感じる部分を活かせる余地がないか、と考えることもできるでしょう。
モチベーションが低い原因を考える
仕事への意欲がまるで湧かないために仕事に向いていないと感じた場合、モチベーションが低い原因を考えてみましょう。
転職で仕事内容を変えれば解決する問題とは限らず、ひょっとしたら会社に属して働くことそのものに対して違和感を感じているかもしれません。
また、モチベーションの低下が仕事そのものによるものなのか、それとも他の状況によるものなのかを考えることも重要です。
モチベーションが上がらない原因がどこにあるのかを、客観的に見つめ直してみましょう。
信頼できる人に相談する
自分のことはよくわからなくても、人のことは「あれが苦手なんだな」「○○みたいな仕事が向いてそう」などと案外よくわかります。
仕事の様子を知っていて信頼できる人がいれば、相談してみてはどうでしょうか。
自分が見えている状況や思っていることが、ほかの人から見たらまるで違っているかもしれません。
他人の視点から新たなアドバイスや気づきを得られ、考え方が変わる可能性もあるでしょう。
仕事に向いていないと感じた際にやってはいけない行動
「今の仕事に向いていないのではないか」と感じたときについやってしまいがちな行動のなかで、避けたほうがよいものがあります。
正しい選択をするためにも、以下のような行動は避けるようにしましょう。
感情に任せて退職する
一時的な不満やミスで「向いていない」と決めつけ、勢いで退職を決めるのは避けましょう。
もし仕事に向いていなくても、すぐさま退職する必要はありません。
向いていないと感じるならどのような仕事なら向いているのか、向いている仕事はどうしたらできるのかをよく考えてから退職しないと、次の会社でもまたイメージと違ってすぐ退職するような事態になりかねません。
将来的なキャリアや生活への影響も考えたうえで、十分な時間をかけて退職を決定しましょう。
無断欠勤する
今の仕事が向いていない、つらいと感じた場合でも無断欠勤は避けるべきです。
無断欠勤は会社に迷惑をかけるだけでなく、信頼を失う原因となるため、思い直しても居心地が悪くなってしまいます。
どうしてもつらくていったんゆっくり考えたい場合には、会社になるべく迷惑をかけない段取りをつけて数日休暇を取りましょう。
一人で考え込む
仕事に向いていないと感じたときに、一人で考え込むのはやめましょう。
自分だけで悩みを抱え込んでしまうと、ネガティブな考えばかりが強調され、拙速な判断につながります。
仕事が向いていないと悩んだら、ほかの信頼できる人に話してみましょう。
家族や友人など直接仕事を知らない人でも、話をするうちに考えが整理されたり自分の気持ちに気づいたりするきっかけとなります。
無理をしすぎる
現状をなんとかしようと向いてない仕事を無理して続けた結果、心身が疲弊し仕事が続けられなくなってしまうかもしれません。
向いていないと感じる仕事でもきちんと取り組む必要はありますが、自分の限界を認識して、できる範囲で業務をおこない、限界を超える前に周囲にSOSを出しましょう。
今の仕事が自分に向いているか判断する基準
「今の仕事が向いていない」と見切りをつけるのはまだ早いかもしれません。
「向いていない」と退職を決断する前に、以下の基準からその判断が本当に合っているのかをよく考えてみましょう。
仕事に対して評価や成果が付いているか
自分では向いていないと思っている仕事でも、実際に仕事に対して成果や良い評価がついているなら、仕事が向いていないとはいえません。
むしろ「向いていない」と感じる何らかの理由があるにも関わらず成果が出せるのは、今の仕事に向いている証拠ではないでしょうか。
もちろん成果が出ているから必ず続けるべきとは限らず、より自分が向いていて挑戦してみたいと感じる仕事があるなら、どんどん挑戦するべきでしょう。
仕事にやりがいを感じるか
現状で成果がいまひとつ出ていなくても、仕事に熱意や楽しみを感じているならその仕事に「向いていない」とはいえないでしょう。
モチベーションが高ければスキルや知識を吸収する力や継続する力が高いため、何らかのきっかけで熱意に成果がともなってくる可能性は十分にあります。
すぐに「向いていない」と決めつけず、もう少し続けてからまた判断してみてもよいでしょう。
自分のキャリアにプラスになっているか
もし能力も適性もない仕事だとしたら、成長や成果は出にくいのではないでしょうか。
能力や適性の程度が合っていて、適度な挑戦や成長があるからこそキャリアとなるはずです。
スキルの習得や昇格など、現在の仕事が自分のキャリアにプラスになっているなら、その仕事は自分が思っているよりも向いている可能性があります。
友人や同僚に「向いている」と言われるか
仕事の向き不向きは自分で気づかない場合もよくあります。
特に向いていることに対してはあまり苦労を感じないため、自分では得意なことを自覚しにくいです。
自分が向いているかどうかの判断材料として、友人や同僚からの意見を聞いてみてはどうでしょうか。
周囲の人々から仕事に向いていると言われたり、仕事の適性や能力を認められたりする機会があるようなら、その仕事が自分に合っている可能性が高いでしょう。
周囲の評価を参考にすると、自分では意外に思うような仕事に対する適性に気がつくかもしれません。
まとめ
- 「入社すぐ」「1~2年目」「3~5年目」「30代以降」など、それぞれのタイミングで仕事に向いていないと感じることがある
- 「スキルが活かせていない」「イメージとのギャップ」「モチベーションが湧かない」「喜びを感じない」「追い詰められて限界」などの理由で仕事に向いていないと感じやすい
- 「仕事に向いていない」と感じたら、必要に応じて信頼できる人に相談しつつ原因を探ってみよう
- 仕事に向いてないと感じてつらくても、勢いで退職や無断欠席したり、思い詰めて無理をしたりするのはやめよう
- 仕事に向いているかどうかは、「評価や成果があるか」「やりがいを感じるか」「キャリアにプラスか」「他人からの評価」などを総合的に考えたうえで判断しよう
「仕事に向いていない」と悩んでいるのはどうしてでしょうか?
「仕事を辞めたいから理由をつけたい」「仕事を諦めたくない」のいずれかではないでしょうか。
向いているか向いていないかだけでなく、「続けたいか辞めたいのか」という自分の気持ちにも向き合って考えましょう。
よくある質問
最後に、仕事が向いていないと悩んでいるときの疑問について簡単にまとめました。
向いていない仕事を続けるメリットはある?
仕事を続けていくうちに自分のスキルや価値観、会社での立場の変化などにより、以前は向いていないと感じていた仕事が向いていると感じる場合があります。
向いていない仕事に自分が苦手と感じる部分があるなら、続けることで苦手部分を克服した結果、向いている仕事になる場合もあり得るでしょう。
さらに、向いていないと感じていた仕事での経験が、その後の仕事に活きてくることもよくあります。
仕事を辞めた方がいいサインは?
十分に休息を取っても仕事に対しての意欲がまったく湧かない、あるいは心身に影響を及ぼすほど仕事に対して違和感があるなら退職したほうがよいでしょう。
人にはそれぞれ向き不向きや相性もあります。
職場環境や業務内容がどうにも自分に合わないと感じたら、無理を続けるのは禁物です。
自分に合った環境で働ける職場を見つけましょう。
仕事の辞めどきの年齢は?
仕事の辞めどきの年齢は人それぞれですが、一般的にはキャリアや経験を積んでプライベートのイベントもある程度落ち着いたあとの30代後半から40代前半が一つのポイントとされています。
年齢だけでなく、辞めどきと感じるタイミングもあります。
「今の職場でこれ以上の学びや進化はない」「昇給・昇格の見込みがない」と感じたら、辞めどきと感じる人が多いのではないでしょうか。
正社員に向いていない人の特徴は?
ルールや集団行動が苦手な人、あるいは会社員ならではの理不尽さに耐えられないタイプの人は正社員に向いていないかもしれません。
意図がわからない非効率な業務や、何のためにあるのかわからない暗黙のルール、上司や周囲の人の様子や機嫌を伺いながら進める業務など、会社員には納得できない部分も多くあります。
責任や無意味な業務がわずらわしいと感じる人は、デメリットもよく考えたうえで、正社員以外の働き方も模索するとよいでしょう。