「前の会社に不満があって転職したのに、また問題のある会社だった……まだ半年だけど辞めるべき?耐えるべき?」
転職から半年経ち、転職先にも慣れて落ち着いてきた頃に会社の待遇や環境の悪さに気がついたり、入社当初は気のせいかと思っていた違和感がどんどん膨らんで我慢ができなくなったりすると、退職が頭をよぎります。
しかし、入社半年という中途半端な時期で退職を申し出るのは気まずいと感じる人が多いのではないでしょうか。
この記事では、仕事を半年で辞めるメリットやデメリット、判断基準や気まずくなく退職する方法について解説します。
自分に合った後悔しない判断をするための参考にしてください。
転職して半年で退職できる?
転職して半年で退職は可能ですが、短期間での退職になるため当然転職の際に不利になります。
特に誰もが納得するような正当な理由がない場合、面接でも「大した理由もなく辞めるならうちも辞めてしまうかもしれない」と思われるでしょう。
誰もが納得するような退職理由としては病気や介護が挙げられますが、その場合すぐに転職すると違和感があり理由としては使えません。
「半年で退職したけれど、次の会社では長く働くつもりだ」と納得させる理由が用意できることが重要です。
また、入社して半年だと大きな仕事を任されるような時期ではないでしょう。
経験が身につかないまま年齢だけを重ねて転職することになるので、その点でも不利になります。
短期間での退職はよく考えて判断しましょう。
ただし、元々流動性の高い職場や業界など短期の離職をあまり重要視しない会社もあるため、一概に「半年で退職するべきではない」とはいえません。
転職して半年で辞めるメリット
転職後の短期間での退職も、デメリットばかりではありません。
以下のようなポジティブな解釈も可能です。
労働環境をリセットできる
退職を考えている職場の労働環境が悪く、ストレスに悩まされているなら、転職は環境をリセットするチャンスとなります。
早めに退職し、心身ともにリフレッシュした状態で新しい環境にチャレンジするのもよいでしょう。
転職しにくいと決めつける前に、転職活動に挑戦してみたら思いがけずよい転職先が見つかるかもしれません。
自分のキャリアを無駄にしなくて済む
失敗だと感じた転職先にいつまでもいても、スキルも身につかず時間だけが過ぎるばかりです。
早めに転職先を見つけられれば、それだけ早く新たなスキルの獲得やキャリアに向かってスタートできます。
考えようによっては半年も1年もあまり変わりはなく、働き続けるのが無理だと感じたら早めに転職活動をしたほうがよいかもしれません。
若いうちに新たな挑戦ができる
家族や年齢のしがらみがない若いうちは、転職のチャンスでもあります。
若いうちにさまざまな職場や業界に関わって、知識を増やしながら自分の目標や方向性、やりたいことを見つけるのは一つの会社で長く働くことでは得られない経験です。
転職して半年で辞めるデメリット
もちろん短期の退職ではデメリットのほうが大きくなります。
退職したあとの状況についても少し考えてみましょう。
ボーナス・退職金がもらえない
転職して半年で退職すると、退職金はもらえないでしょう。
ボーナスは半年でも支給日まで在籍していればもらえる場合が多いですが、半年で退職となると支給額は減額される可能性があります。
ボーナスは査定期間の評価と今後の期待を込めて支給されるもので、入社半年では評価も高くなく、退職する人間に満額支給する意味もないためです。
また、在籍期間が半年未満の場合にはもらえないと考えておいたほうがよいでしょう。
また、2年間で雇用保険に通算12ヵ月以上加入していないと失業保険ももらえないため、対象とならない場合には半年で仕事を辞めると金銭的に厳しくなるかもしれません。
逃げ癖がつく
今の会社がとても辛く、退職したとして転職した先の会社でも辛い思いをすると「また辞めてしまおうか」と頭によぎるのではないでしょうか。
そもそも、今の会社も前の会社に不満があった結果の転職で、入社時は「新しい環境で頑張ろう、頑張れる」と思ったはずです。
次の会社でかならずうまくいくとは限りません。
もし次の転職先でも短期で退職してしまうと、半年や1年で転職を繰り返すようになり「どこへいってもダメなんだ」「どこも自分には合わない」と思い込み逃げ癖がついてしまう危険性もあります。
キャリアに悪影響が出る可能性がある
もし転職が決まった場合でも、次の会社でも問題があったときに辞めにくい点が大きなデメリットです。
転職を繰り返すと履歴書に短期間の職歴が並ぶため、書類審査の段階で「続かない人間だ」と落とされてしまう確率が上がります。
面接までたどり着けないとアピールする機会も得られないため、希望する仕事につくには時間がかかるかもしれません。
そうなると長期的なキャリアに悪影響を及ぼすリスクもあるでしょう。
いくら「今が辛い、辞めたい」と思っていても、短期の退職で転職に苦労して「もう少し頑張っておけばよかった」と後悔する可能性があることは覚悟しておきましょう。
転職して半年で辞めるかどうか判断する基準
短期退職のデメリットを考慮してもどうしても今つらくて辞めたいと迷うときには、以下の基準で判断してみましょう。
自分のキャリアにプラスになっているか
自分のキャリアにプラスになっていない、または今後もなりそうもないと感じるなら、転職して半年でも退職を検討するのが適切かもしれません。
新しい職場での成長や知識の獲得が見込めない状況であれば、だらだらと勤め続けることが自己成長やキャリアの発展にとってマイナスになる可能性があります。
自身の将来に有益な経験やスキルを身につけるためにも、早めに次の道を探してみましょう。
現状の不満が時間によって解消されるか
問題が一時的なものであり、時間の経過で解消される可能性があればもう少し待ってみるのもよいでしょう。
しかし、根本的な問題が解決できない場合は、転職を検討する必要があります。
仕事が覚えられない、合わないなどの理由で退職を考えている場合は、時間が経ち業務の全体像や他部門とのつながりが見えてきたら悩みが解消するかもしれません。
辞めたい原因を交渉で解決できるか
辞めたい原因が職場や雇用条件に関する問題である場合、まずは上司や人事部との交渉が可能か考えてみましょう。
もしうまくいけば退職を回避できるかもしれません。
「どうせ言っても無駄」と思うかもしれませんが、いずれにしろ退職するなら可能性が少しでもあることはやっておいて損はありません。
転職して半年で辞めづらいなら「退職代行」がおすすめ
転職して半年だと、基本的な教育が終わってようやく安心して仕事を任される頃でしょう。
前任者も退職して皆が新しい体制に慣れたタイミングで退職となると、「教えたのが無駄だった」「また採用から始めないといけないのか」と強い反感を買うかもしれません。
せっかく転職した会社を半年で退職するくらいですから、環境がよくない場合も多いのではないでしょうか。
退職を言い出すのが怖かったり、退職を申し出たのに話を聞いてもらえなかったりして辞められずに困っている人におすすめなのが「退職代行」です。
退職代行を利用すれば、2万円台〜の費用で自分の代わりに退職の意思の伝達や会社とのやり取りをすべておこなってくれるので、会社の対応が不安な人でも安心して任せられます。
また、弁護士に退職代行を依頼すると5万円以上の費用がかかりますが、さまざまな交渉やトラブルにも対応してもらえます(ただし、追加料金が必要なケースもあります)。
給料・残業代の未払いやトラブルの可能性がある場合には、弁護士に退職代行を依頼するとよいでしょう。
まとめ
- 半年で仕事を辞めるのは可能だが、次の転職や将来のキャリアのリスクとなるのでよく考えよう
- 短期での転職により環境をリセットでき、若いうちに次の挑戦を始められるのがメリット
- 短期で退職するとボーナスがもらえなかったり逃げ癖がついたりと金銭的・精神的に影響があるのがデメリット
- 短期での退職に迷ったら「このままいて状況が変わる可能性があるかどうか」で考えよう
- 職場環境が悪かったり、短期での退職を言い出しにくかったりする人は退職代行の利用を検討しよう
短期で退職するべきではないとわかっていても、転職先が良い会社かどうかは入ってみないとわからないため、転職が失敗だったときもあるでしょう。
状況が変わる見込みがなく、リスクを取ってでも退職したいかどうかをじっくり考えて判断しましょう。
よくある質問
最後に、転職した仕事をすぐ辞めたいときに気になることについて簡単にまとめました。
入社して半年で辞められる?
半年以内の退職は可能です。
しかし、短期間で退職した事実は今後の転職の際に不利になります。
また、転職後半年でスキルがついていない状態での転職で、条件の良いところに転職するのは時間がかかるかもしれません。
転職に時間がかかると空白期間ができてしまい、一層転職しにくくなるリスクもあるため、よく考えて退職を判断しましょう。
入社後1ヵ月で退職できる?
もちろん入社1ヵ月でも退職できます。
会社側も入社当初は「続けられるかな」と様子を見ている部分もあります。
戦力として組み込まれる前に退職したほうが周囲も諦めがつきやすく反対されにくいかもしれません。
1ヵ月で退職した場合、正社員で社会保険・雇用保険の加入手続きが終わっていれば加入履歴が残ります。
転職先での手続きの際にバレて心象が悪くなる可能性があるので、退職を隠すような嘘はつかない方がよいでしょう。
仕事を辞めた方がいいサインは?
「心身やプライベートに影響が出ている」「ハラスメントが日常化しており職場環境が悪い」「当初聞いていた労働条件と大きく異なる」などに当てはまったら辞めた方がよいでしょう。
いずれも時間が経って改善する可能性は低いため、悩んでいる時間がもったいないです。
仕事を辞めるには最低何日必要?
民法の規定によると、退職するには最低2週間前までの申し出が必要です。
民法627条には、「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。」とあります。
雇用契約の解約に相手の同意は不要なため、退職の意思表示をすれば退職可能です。