退職代行は、自分で会社に退職の意思を伝えられなかったり、会社との面倒なやりとりや引き止めを避けたい人にとって便利なサービスです。
しかし、退職代行を使って会社を辞めるのはクズだと言われることもあります。
「会社を辞めたいけど、クズだと言われないか心配」
「退職代行で会社を辞めるのは本当にクズなの?」
「退職代行を使うべきかどうか迷っている」
本記事では、上記のような疑問や不安をお持ちの方のために、退職代行で会社を辞めるのがクズだと言われる理由や、クズだと言われても利用した方がよい人の特徴について解説します。
ぜひ最後までお読みください。
退職代行で会社を辞めるのがクズだと言われる理由
退職代行で会社を辞めると、なぜクズだと言われるのでしょうか。
その理由は、主に以下の3つです。
ひとつずつ詳しく解説します。
急に辞めるのは無責任だから
退職代行を使うと、会社や上司とやりとりせずに会社を辞めることが可能です。
しかし、退職代行を使って急に辞められると、仕事の引き継ぎや人員の補充ができなくなり、業務に支障が出る可能性があります。
その結果、会社や同僚に迷惑がかかるかもしれません。
また、自分の都合で辞めるのは、会社に対する感謝や責任感がない印象を与えます。
そのため、退職代行を使って急に辞めるのは無責任だと言われることがあります。
直接退職を伝えないのは非常識だから
退職代行を使うと、自分で上司や人事に退職の意思を伝える必要がありません。
しかし、自分で直接退職を伝えないのは社会的な常識に反すると思われることがあります。
退職の意思は直接伝えるのが礼儀です。また、退職の理由をきちんと伝えたうえで退職の意思を伝えることで、会社との関係を円満に終わらせられます。
そのため、退職代行を使って直接退職の意思を伝えないのは非常識だと言われることがあります。
周りへの影響を考えていないから
退職代行を使うと、自分の気持ちや状況に合わせて退職できます。
しかし、一般的に退職代行を使うことは、周りへの影響を考えていない自分勝手な行動だと思われてしまうでしょう。
退職は自分だけの問題ではなく、会社や同僚、家族や友人など、さまざまな人に関係します。
退職代行を使って会社を辞めると、周りの人に対して説明や退職の挨拶ができなくなり、信頼や友情を失う可能性があります。
そのため、退職代行を使って周りへの影響を考えていないのはクズだと言われることがあります。
退職代行で会社を辞めるのはクズではない理由
退職代行で会社を辞めるのは違法ではありませんし、クズでもありません。
その理由は以下の4つです。
ひとつずつ詳しく解説します。
労働者には退職の自由があるから
退職代行で会社を辞めるのはクズだと言われることがあります。
しかし、法律的に労働者は退職の自由があります。
そのため、自分の意思でいつでも会社を辞められます。
民法627条では、退職を申し出てから2週間を経過すれば退職できると定められています。
第六百二十七条
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。引用元:民法第627条
退職代行は、労働者の退職の自由を守るためのサービスです。
会社に不満や不安がある場合、退職代行を使っても法的には何も問題ありません。
そのため、退職代行で会社を辞めるのはクズではありません。
バックレるよりはマシだから
退職代行を使わないで会社を辞める人のなかには、会社に一切連絡せずにバックレて勝手に退職する人もいます。
バックレて退職する方法は社会人として非常識ですし、急に音信不通になって連絡がつかなくなってしまうと、貸与品や備品などの返却や社会保険などの退職手続きがおこなえません。
そのため、会社に多大な迷惑がかかります。
退職代行を使うとクズだと言われることがあるかもしれませんが、少なくとも会社に退職の意思を伝えたうえで、スムーズに退職の手続きをおこなえるため、バックレるよりはマシです。
会社側にも問題があるから
退職者が退職代行を使う理由には、会社側にも問題があることも少なくありません。
例えば、ブラック企業で過重労働やパワハラを受けている場合、強引な引き止めや嫌がらせをされる場合、有給消化や退職金の交渉ができない場合などです。
このような場合、退職者は会社に対して不信感や恐怖感を抱いており、直接退職を伝えることができません。
そのため、会社側にも問題がある場合には、退職代行で会社を辞めたからといってクズではないといえます。
精神的な負担を軽減できるから
退職代行を使って会社を辞めようと考える人のなかには、精神的な負担が大きすぎて心身に異常をきたしている人もいます。
そのため、自分で退職の意思を伝えることが困難な場合もあります。
退職者は、会社に対してストレスや不満、不安や恐怖などのネガティブな感情を抱えています。
このような感情は、退職を伝えることでさらに精神的な負担が大きくなるでしょう。
退職代行を使うことで、会社とやりとりせずに退職できるため、精神的な負担を軽減できます。
クズだと思われても今すぐ退職代行を使うべき人の特徴
以下の4つの特徴に当てはまる人は、たとえクズだと思われても今すぐ退職代行を使うべきです。
ひとつずつ詳しく解説します。
ブラック企業に勤めている
ブラック企業とは、過重労働やパワハラ、セクハラ、モラハラなどの不適切な労働環境を強いる企業のことです。
ブラック企業に勤めていると、身体的にも精神的にも疲弊してしまいます。
ブラック企業に勤めている人は、退職代行を使うべきです。
なぜなら、ブラック企業は退職を認めないことが多く、退職届を出しても無視されたり、脅されたり、罵られたりする恐れがあるためです。
また、ブラック企業は労働条件や給与の支払いに関する記録の改ざんや隠蔽をおこなうことがあり、自分で退職手続きをすると、不利になることがあるためです。
このようなブラック企業から早く脱出するために、退職代行を使うことは有効な手段です。
弁護士や労働組合が運営または提携している退職代行業者なら、法律の知識や交渉力があります。
そのため、ブラック企業の不当な要求に対抗できます。
ブラック企業に勤めていて、なかなか退職させてもらえずに困っている人は、今すぐにでも退職代行を使うべきです。
強引な引き止めにあっている
強引な引き止めにあっている人は、退職代行を使うべきです。
なぜなら、強引な引き止めは精神的な苦痛を感じることがあり、退職者の人格や尊厳を踏みにじる行為だからです。
また、強引な引き止めは退職の理由や時期を変えさせたり、退職金や有給休暇の消化を減らしたりする可能性があります。
このような場合、退職代行を使うと強引な引き止めから逃れられます。
退職代行業者は、退職者の代わりに会社と交渉し、退職者と会社の間に入って退職者を守ります。
そのため、強引な引き止めにあっている人は、自分の意志や権利を守るために、退職代行を使うべきです。
有給消化や退職金の交渉ができない
有給消化や退職金は、退職者にとって大切な権利です。
しかし、有給消化や退職金の交渉をするには、会社とのやりとりが必要です。
会社は、請求する時期や理由に関係なく、労働者に有給休暇を取得させる義務があります。
しかし、会社は有給消化や退職金の支払いを渋ったり遅らせたりするかもしれません。
そのような場合は、自分で交渉すると不利になることも考えられます。
退職代行を使えば、専門家が有給消化や退職金の計算や支払いを確認し、会社に対して適切に請求できます。
有給消化や退職金の交渉ができない人は、自分の権利を守るために退職代行を使うべきです。
ただし、民間企業が運営する退職代行が有給消化や退職金の交渉をおこなうことは、弁護士法第七十二条の非弁行為に該当します。
参考:e-Gov法令検索|弁護士法 第七十二条
そのため、法律や労働組合法に基づいた交渉権を持つ弁護士や労働組合が運営している退職代行を利用する必要があります。
未払い給与を請求したい
未払い給与は、退職者にとって大きな損失です。
未払い給与を請求したい人は、自分の権利を実現するために、退職代行を使うべきです。
未払い給与の請求は労働者の権利であり、会社は未払い給与を支払う義務があります。
しかし、会社は未払い給与の存在の否定や、支払いを拒否する場合があります。
このような場合は、退職代行業者が未払い給与の額や期間を調査し、会社に対して未払い給与の請求をおこなってくれます。
ただし、有給消化や退職金の交渉と同様に、一般の退職代行が有給消化や退職金の交渉をおこなうことは、非弁行為に該当します。
そのため、法律や労働組合法に基づいた交渉権を持つ弁護士や労働組合が運営している退職代行を利用する必要があります。
まとめ
- 退職代行で会社を辞めるのはクズではない
- 退職の自由は労働者の基本的な権利
- バックレや無断欠勤よりは正当な手段
- 会社側にも責任や問題がある場合が多い
- 退職の意思表示や交渉が困難な人は退職代行を使うべき
退職代行を使って会社を辞めるのは、決してクズではありません。
退職代行は、ストレスやトラブルを避けて退職する方法の1つです。
会社側に不満や不信がある場合や、引き止めにあったり交渉が困難な場合には、退職代行を使うことでスムーズに退職できます。
本記事を読んで、退職代行を使うことがクズではないことや、退職代行を利用すべき人の特徴について理解を深めていただければ幸いです。
よくある質問
退職代行に関するよくある質問とその回答を以下に示します。
退職代行サービスがダメな理由は何?
退職代行サービスがダメな理由は、自分で退職の意思を伝えず、第三者に依頼する行為が非常識だと思われるためです。
退職は、会社との関係を終了させる重要な手続きです。
自分で退職を伝えずに退職代行を利用するのは、会社や社会の目によっては自分の意思や責任を放棄する行為とされ、クズや非常識と言われる可能性があります。
退職代行サービスの利用は法律的に何の問題もないため、ダメではありません。
ただし、利用するかどうかは自分の状況や価値観によって慎重に判断する必要があります。
退職代行を拒否できる?
会社の規定や契約によって異なりますが、一般的には退職代行を拒否できません。
また、退職代行を拒否できるかどうかは退職代行の方法にもよります。
退職代行から電話やメールで退職の意思を伝えられた場合、社員の本人確認ができないため、退職の意思表示として有効ではありません。
会社は退職代行を拒否できます。
郵送で退職代行された場合、社員の署名や捺印があれば退職の意思表示として有効です。
会社は退職を受理する義務があります。
ただし、退職届が不備や虚偽の内容である場合や、社員の意思に反して作成された場合は、会社は退職代行を拒否できます。
退職代行を使うと転職先にバレる?
退職代行を使っても転職先にバレることはほとんどありません。
退職した会社が、退職代行を使ったことを転職先にバラすことは個人情報保護法に違反します。
また、退職代行業者も退職者の個人情報や依頼内容を漏洩させないことを厳守します。
転職先が退職理由や経歴を詳しく調べたりする場合はバレる可能性があるかもしれませんが、転職先で退職理由を聞かれたときに、退職代行を使ったことをわざわざ話す必要はありません。
退職代行を使うと何日で辞められる?
民法627条では、会社に退職の意思を伝えてから退職するまでの期間は2週間とされています。
退職代行を使った場合も基本的には同じです。
しかし退職代行を使うことで、残っている有給休暇を使ったり、欠勤扱いにしたりしてその日から出勤しなくても済むように交渉してもらえます。
そのため、実質的に即日退職と同様の状態にできます。