うつ病かも? 看護師がつらい思いをしないための働き方や対処法を解説

コラム

近頃、看護師がうつ病になり、働けなくなるケースは少なくありません。

コロナ禍も影響し、職場全体の雰囲気が張り詰めていることも理由の1つでしょう。

病気になりやすい状況を理解して対処法を講じると、これからの仕事が苦でなくなりそうです。

この記事ではうつ病について解説した上で、看護師がつらい思いをしないための方法を紹介します。

うつ病とは?

そもそもうつ病とはどのような病気なのか、気になる人は多いでしょう。

病気のサインを理解すると、自分自身を労わるきっかけに繋がります。

ここでは、うつ病の特徴について理解を深めましょう。

自分でわかるうつの特徴

うつ病になると気分の落ち込みをはじめ、食欲不振や不眠などの症状が出るといわれています。

何をしても楽しめない状態や体の不調が続く場合は、心身を休められるような環境を整えることが必要です。

周囲が感じるうつの特徴

周囲の人が気づけるサインとして表情の暗さや精神的な不安定さ、飲酒量の増加などがあります。

いつもと様子が違うと感じる場合は、見守ったり話を傾聴したりと、本人を安心させるような工夫が必要だといえるでしょう。

看護師特有のうつの原因

看護師は業務へのプレッシャーや現場の忙しさから、体調のキープが難しい職場であるのも事実です。

ここでは看護師特有のうつの原因を、職場での立場や環境に焦点をあてて解説します。

新人看護師のケース

新人看護師に多いのは、学生から社会人へと立場が大きく変わることがストレスとなるケースです。

環境が一変し覚える内容も多く、仕事や人間関係に慣れないことが悩みになってしまいます。

ベテラン看護師のケース

ベテラン看護師に多いのは、責任ある立場で全体を監督することがストレスとなるケースです。

部下の指導や全体の指揮を取りながらも自分の仕事をこなさなければならず、多忙を極めてしまいます。

医療現場特有の人間関係によるストレス

病院では迅速な対応を必要とされるため、鋭い言葉で指示を受けることも多く、精神的に負荷がかかる人もいます。

人間関係に気を遣うことが増えると、本来の業務に集中できなくなり、ミスにも繋がりかねません。

業務過多によるストレス

人手不足で一人当たりの業務量が多く、なかなか仕事が終わらないことがストレスになるケースです。

患者の容体や全体の進行を見ながらの作業も多く、自分のペースで進められないことも業務過多の一因といえます。

うつ病になったら休職・退職するべき?

うつ病になってしまうと、思うように働けずに休職や退職をすべきかと悩む人も多いでしょう。

迷うのであれば、すぐには決断せずにさまざまな方法を試してみることもおすすめです。

ここでは、うつ病になった場合に有効な職場での対応について解説します。

退職する前にやってみると良いこと

自分を取り巻く状況が良い方向に変化すれば、仕事を休んだり辞めたりする必要はありません。

ここでは、退職する前に一度やってみてほしいことを紹介します。

  • 異動や配置変更を申し出る
  • 休みを取る
  • 誰かに相談する

異動や配置変更を申し出る

部署自体がうつ病の原因である場合は、異動や配置変更を申し出ることが手段のひとつです。

業務量が適切になったり人間関係が改善されたりすることで、心身が楽になる可能性があります。

管理職の立場から見ても、貴重な人材が退職で流出するよりも異動を快く引き受けてくれそうです。

休みを取る

休日を普段より長めにとり、気持ちをリフレッシュさせることも有効です。

特にシフト制の職場の場合は、連休を取りにくく体をしっかり休める機会に恵まれていない可能性があります。

休養をとると気持ちも切り替わり、これからの自分に必要な働き方がわかってくるかもしれません。

誰かに相談する

勇気を持って頼れる人に相談することで、状況が良い方向に変わる可能性があります。

一人で悩んでいる間は視野が狭まりがちですが、悩みを打ち明けることで自分にはない視点を取り入れられるでしょう。

もしも職場に頼れる上司がいるのであれば、相談することで全体に働きかけてくれるケースもあります。

もしも退職するなら

対処法を試しても状況が変わらない場合は、仕事を辞めることも1つの手です。

ここでは退職する場合の流れについて解説するので、手順を理解しつつ心の準備をしましょう。

  • 落ち着いたときに退職の決断をする
  • うつ病であることを伝える
  • 精神疾患の診断書を提出する

落ち着いたときに退職の決断をする

忙しく疲れているときの決断は、物事の視野が狭まり極端な思考に陥りがちです。

特に、うつ病の症状が重い時は重要な決定ごとは急がさない方が良いとも言われています。

退職の判断は気持ちに余裕ができたときにする方が、後悔を防げるはずです。

うつ病であることを伝える

退職の決断をしたら、直属の上司にアポをとった上で仕事を辞める旨を伝えます。

職場が原因でうつ病になった場合は、くわしく事情を聞かれる可能性があるので、紙に簡潔にまとめておくとスムーズでしょう。

最後に「このままでは迷惑をかけてしまうし、治療に専念したい」など、端的に締めくくると伝わりやすいです。

精神疾患の診断書を提出する

うつ病の診断書がないと退職できないわけではありませんが、提出を求められる場合は用意しましょう。

医学的な観点からのコメントが記されているので、説得力があり理解を得やすいという効果が期待できます。

診断書の発行には料金がかかるので、医師に依頼する際は金額を確かめておく必要がありそうです。

周囲にうつ病らしき人がいる時の対処法

自分の周りにうつ病らしき人がいる場合の対応も、気になるところです。

周囲のサポートによって、仕事を辞めずに済むケースも少なくありません。

ここでは、症状に気づいた人ができる心がけを紹介します。

当人が安心できる環境を作る

うつ病の人は常に気を張っていて、周囲に対して申し訳ないと思っている場合が多いです。

しかしながら無理に励ますと心を追い詰めることになるので、話を傾聴する姿勢が大事だといわれています。

職場全体でうつ病の正しい知識を持ち、働き方を調整するなどの配慮をするとなお良いでしょう。

うつ病になった看護師の事例

うつ病になった看護師の事例を知ると、自分や周りの人の働き方をみつめ直し、発症や悪化防止に繋げることができます。

ここでは実際にあったケースを紹介するので、経過の目安として参考にしてください。

<参考>労働者健康福祉機構 福井産業保健推進センター「事業場におけるうつ病従業員への対応事例集」事例1よりhttps://www.fukuis.johas.go.jp/pdf/utsu_jirei2303.pdf

背景と原因、予兆

看護師経験3年目である20代女性は、あるとき患者の家族に強く叱責され涙が止まらなくなってしまったそうです。

その後に別件で看護師長から注意を受けた際、女性は「私は看護師に向いていない。」「ダメな人間。」などと話しました。

後日、看護師長が自宅を訪問してくわしく話を聞くと「プライベートでも悩みがあった。残業でいつも疲れていて仕事に行くのが辛かった。」と話したそうです。

うつ病の治療

女性は看護師長から医療機関の受診を勧められ、話し合いの翌日に母親と精神科クリニックへ行きます。

うつ病との診断で、休養と投薬の指示を受けたため仕事を休むことになりました。

医師との話し合いで女性は仕事を辞めたいと話しますが、今は重要な決定をしない方がいいとアドバイスを受けます。

その後の経過

休職して3ヶ月経ってからは、不眠がかなり改善し気分の落ち込みも少なくなりました。

この事例から職場の意識が高まり、管理者向けのメンタルヘルス研修を検討する動きも出たそうです。

うつ病で退職した看護師は復職できるのか

病気で一度退職すると、再度看護師として働けるのかと心配になる人も多いそうです。

体を第一に考え、少しずつ仕事の感覚を取り戻すことが復職の一番の近道といえるでしょう。

ここでは、うつ病後のキャリアの続け方について解説します。

うつ病で退職しても復職できる可能性はある

うつ病で退職しても、看護師の受け皿は多く復職できる可能性は十分にあると考えられます。

ただし、人手不足を理由に過酷な業務を強いる職場は少なくありません。

再び体調を崩してしまっては元も子もないので、時短勤務から始めるなど体調に合わせて働ける場所を選ぶようにしましょう。

看護師の紹介業者を利用する

転職サイトのような紹介業者を利用して、復職活動を進めることがおすすめです。

業界に詳しいスタッフが希望に合わせて仕事を探してくれるため、自分にマッチした職場に辿り着ける可能性があります。

ハローワークとは違い自宅からでも利用できるので、手軽に就職活動を始められることもメリットのひとつです。

まとめ

この記事では、看護師がうつ病になった場合の働き方について次のようにまとめました。

  • まずはうつ病の特徴を知り、該当するかチェックする
  • 看護師がうつ病になることは経験年数を問わず珍しくない
  • すぐに休職や退職しようとせず、一度対処法を講じてみる
  • うつ病の人がいる場合、職場全体で環境を整えるよう心がける
  • 看護師のうつ病事例を参考にし、自分や周りの働き方を見つめる

うつ病は100人に約6人がかかるといわれており、医療従事者の看護師も十分可能性があります。

業種ならではのつらさを認め、信頼できる人を頼ることが解決への近道です。

体が良くなれば復職可能なので、焦らずに今できることをひとつずつ進めていきましょう。

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