「不動産投資は、副業になるか知りたい」
「副業禁止の公務員は、不動産投資ができるか知りたい」
「副業で得た不動産収入は、確定申告が必要なのか知りたい」
このように思う方は多いのではないでしょうか。
今回は、不動産投資は副業になるのかについて詳しく解説します。
不動産投資に興味がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
不動産投資は副業禁止でもできる?
不動産投資は収益をもたらす可能性がある一方で、多くの場合、資産運用の手段である投資として位置付けられています。
副業に制限を設けていても、不動産投資自体を許可している企業は少なくありません。
なぜなら、遺産相続によって、収益をもたらす不動産を持つケースを配慮して、不動産投資を禁止していないからです。
しかし、すべての投資を禁じている企業も存在します。
不動産投資を始める前に、必ず勤務先の就業規則をチェックしましょう。
不動産投資が副業に該当しづらい理由
不動産投資が副業に該当しづらい理由は、以下の4つです。
それぞれ解説していきます。
副業ではなく資産運用だから
不動産投資は、一般的な副業とは異なり、長期的な資産の成長やキャッシュフローの増加を目指す資産運用の手段としてとらえられます。
就業規則で副業を禁止している企業でも、投資信託や株式投資などの資産運用は禁止していないケースがほとんどです。
これらの理由から、不動産投資は就業規則の制限や禁止の対象から外れることが多くなります。
本業への影響が少ないから
企業の多くが副業を禁止する理由は、「本業に支障が出る可能性があるから」です。
しかし、不動産投資の場合、一度物件を購入し、適切な管理をおこなえば、労力を必要としないことが多いです。
物件の購入や管理は、プロの不動産会社に委託することも可能であるため、本業への影響がほとんど生じません。
本業のパフォーマンスや時間に影響を及ぼすことが少ないため、企業側も不動産投資を認める傾向があります。
情報漏洩のリスクが低いから
本業に近しい業界や業種の副業をおこなう場合、競合他社に情報が漏れるリスクが増加し、本業の会社に損害を与える可能性もあります。
しかし、不動産投資は特定の業界や顧客情報に直結していないので、情報漏洩のリスクが大幅に減少します。
相続でやむを得ない場合があるから
不動産投資を自ら始めるケースだけでなく、相続として物件を手に入れることもあります。
遺産相続により、やむを得ず不動産を所有するケースは少なくないため、不動産投資を副業として禁止しない企業が多くあります。
不動産投資の副業が問題になるケース
不動産投資は、副業禁止の範囲に含んでいない企業が多く存在しますが、就業規則で禁止されていないにも関わらず、会社内で問題に発展してしまうケースがあります。
多くの企業では、不動産投資を副業としておこなうことは問題視されませんが、業種や規模によっては企業内でのトラブルが起こることがあります。
不動産投資の副業が問題になるケースは、以下の2つです。
それぞれ解説します。
本業が銀行員や公務員
会社員の副業は、職業選択の自由が保障されているのに加え、裁判所も原則自由であるという立場をとっています。
しかし、銀行員や公務員には特別な注意が必要です。
公務員で働いている場合
公務員は会社員と違い、国家公務員法や地方公務員法によって副業の規定が定められているため、注意が必要です。
人事院規則では、特定の規模を超えていない限り、不動産投資は副業と認められません。
具体的な規模の基準は、以下のとおりです。
- 戸建て賃貸:5棟以上
- アパートやマンション賃貸:10室以上
- 土地賃貸:契約が10件以上
- 駐車場:10台以上
- 年間家賃収入:500万円以上
これらの基準を超えない限り、公務員としての不動産投資の副収入は許可されています。
参考:人事院規則14-8(営利企業の役員等との兼業)の運用について|人事院
銀行員や証券会社で働いている場合
銀行員や証券関連の仕事をしている方は、業務知識を不正利用する恐れがあるため、通常、株やFXなどの投資全般が禁止されています。
規定に違反すると、インサイダー取引のリスクがあります。
不動産投資も投資としてみなして禁止している可能性があるため、勤務先の規定を確認してから取り組むことが大切です。
事業とみなされなれる規模
不動産投資の規模が大きくなると、事業とみなされ問題になる可能性があります。
事業としてみなされない規模の目安は「5棟10室」とされています。
この基準を超えると、税務上、事業として扱われる可能性が高まります。
事業規模に達した不動産投資は、資産運用ではなく副業の事業としてみなされる可能性があるため、副業が禁止されている企業では規模を超えないように注意が必要です。
参考:No.1373 事業としての不動産貸付けとそれ以外の不動産貸付けとの区分|国税庁
会社員が副業で不動産投資を始めるメリット
会社員として勤務しながら、副業で不動産投資を開始する際のメリットを4つ紹介します。
安定した収入を得られる
不動産投資の魅力の一つに、安定した賃貸収入を期待できる点が挙げられます。
会社員の給与だけではなく、賃料が収入源になることで月々の収入が増加します。
良好な立地条件や需要の高いエリアでの物件を購入できれば、空室リスクを低減させることも可能です。
給与以外に収入を得ることで生活水準の向上や、将来への安心感を手に入れることができます。
本業と両立しやすい
不動産投資は、他の副業に比べて本業との両立がしやすい点が強みです。
物件選びや購入の過程には時間がかかりますが、不動産の運用には大きな手間はかかりません。
賃貸管理会社に管理を依頼できると、毎月の賃料収入は手間なく受け取ることができる。
本業のパフォーマンスを落とすことなく、副収入を得ることが可能になります。
銀行から融資を受けやすい
会社員の安定した収入は、銀行からの融資をおこなうときに有利に働きます。
不動産投資をおこなう際の資金調達は、一般的に銀行融資を利用します。
会社員として安定した給与収入があると、銀行は返済能力があると判断するため、低金利で融資を受けれる可能性が高まり、投資のランニングコストを抑えることができます。
生命保険代わりになる
不動産ローンを組む際、団体信用生命保険(団信)への加入が一般的です。
団信に加入すると、万が一の事態が発生した場合でも、家族にローンの負担を残すことなく物件を継続して所有できます。
団信は、通常の生命保険と同じようにリスクをカバーする役割を果たし、家族の将来を守る重要なツールとなります。
参考:「団体信用生命保険(団信)」とは?費用はいくら?選ぶ際のポイントも解説!|りそな銀行
会社員が副業で不動産投資を始めるポイント
不動産投資を副業としておこなう際に、会社員が押さえておきたいポイントを紹介します。
本業の就業規則を確認する
会社員が副業として不動産投資をおこなう場合は、本業の就業規則を確認する必要があります。
一部の企業では、就業規則に副業に関する規定を設けており、申請や許可が必要な場合もあります。
勤務先の規則を事前に確認し、必要な手続きを済ませておくことで、後々のトラブルを避けることができます。
不安がある場合は、勤務先の人事部や上司に相談してみるのもよいでしょう。
規模が大きくなりすぎないよう気をつける
不動産投資において、戸建ての物件は5棟以上、マンションやアパートでは10室以上の保有で、事業として扱われ、副業に該当します。
副業が禁止の勤務先や公務員の方は、事業としてみなされない範囲で不動産投資をおこなうことが望ましいです。
本業を優先して続ける
副業で不動産投資をおこなうことで、本業のパフォーマンスを損なわないように心がける必要があります。
不動産投資をおこなっていると、予期せず不動産のトラブル対応に迫られる場合があります。
これらの対応が、本業に支障をきたしてしまうケースがあるので、賃貸管理会社に管理の委託をおこなうことがおすすめです。
不動産投資に関する知識を学ぶ
不動産投資には、専門的な知識が必要になります。
市場動向や法律、税務など、投資を成功させるための基礎知識をしっかりと身につけることが大切です。
セミナーの参加や、専門家のアドバイスなどを活用し、常に最新情報を取得する姿勢が求められます。
所得が年間20万円を超えたら確定申告をする
年間で不動産からの所得が20万円を越えた場合は、確定申告義務があります。
所得税法の下、正しく税金を納める必要があります。
不動産の収益とは、家賃以外にも更新料や頭金、返さない礼金や保証金、共益費の一部としての電気・水道・掃除料金などが考えられます。
これらの収益から、固定資産税や損害保険料、減価償却費、修繕費などの経費を引いたあと、合計金額が20万円を超える場合は、確定申告をおこなわなければなりません。
参考:No.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)|国税庁
住民税を普通徴収にする
住民税には二つの支払い方法があります。
一つは給与から直接引かれる特別徴収、もう一つは自分で手続きをして支払う普通徴収です。
住民税の額は前年度の収入に基づくため、前年の収入を推測できます。
不動産投資などで得た副収入を勤務先に知られたくないときは、住民税を普通徴収に切り替えて自ら支払うようにしましょう。
普通徴収への切り替え方法は、確定申告の書類で、「住民税・事業税に関する事項」の部分にある項目で「給与や公的年金以外の収入に関する住民税の徴収方法」に、自分で納税する旨を示す欄にチェックするだけです。
普通徴収に変更すると納税の手続きは自分の責任になるので、忘れないように気をつけましょう。
まとめ
不動産投資は副業になるのかについて解説しました。
まとめは以下のとおりです。
- 不動産投資は副業ではなく、投資とみなされるケースが多い
- 不動産投資が副業に該当しづらい理由の一つは、本業への影響が少ない点
- 不動産投資の副業が問題になるケースの一つは、本業が銀行員や公務員である場合
- 会社員が不動産投資を始めるメリットの一つは、安定した収入を得られる点
- 不動産投資をおこなう際に会社員が押さえておきたいポイントは、本業の就業規則の確認
会社員がおこなう不動産投資に興味がある方は、ぜひ参考にしてみてください。