個人事業主の方で、個人事業主の貯金平均額が知りたい。
老後のためにお金を貯める方法について知りたいと悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
この記事では、将来のことについて不安を感じている個人事業主の方に向けて、個人事業主の平均貯金額、老後のためにお金を貯める方法について解説します。
将来のためにお金を貯めたいと思われている個人事業主の人は、ぜひ参考にしてみて下さい。
それでは解説していきます!
個人事業主の平均貯金額
大手生命保険サービスの「ライフネット生命」の調査では、フリーランスの平均貯金額は431万円と言われています。
この金額が多いか少ないかは、人それぞれですが、独身者であれば一年位は働かなくても生活できるのかもと考える人もいるでしょう。
しかし、この調査のポイントは3つあります。
- フリーランスの約62%が200万円以下の貯蓄額であること
- この調査では2,000万以上貯蓄があるフリーランスが4.8%いること
- 貯金が0円のフリーランスが22.2%いること
これら3つのポイントから分かる事は、フリーランスの平均貯金額は431万円ですが、431万円より少ない金額を貯金しているフリーランスの割合が多く、平均貯金額は一部の多額に貯金しているフリーランスによって大分底上げされているという事実が隠されていることです。
個人事業主に貯金が必要な理由
個人事業主に貯金が必要な理由には、以下の2つがあります。
いざという時の備え
個人事業主が優先して考えるべきことは、支払いのことです。
事業をしていると、取引先や家賃といった固定費など、毎月多くの支払いが発生します。
そのため、個人事業主は売上などの収入から経費を支払い、残りの資金で生活をしていかなければなりません。
そこで万が一、病気やけがで入院したり災害に見舞われたり新型コロナウイルスのような疫病にかかったりして仕事ができなくなった場合、収入がないため支払いが滞ってしまう、生活費が不足してしまうといったことが考えられます。
このような事態が起こっても、支払いや生活ができるように、普段から貯金をして備えることが重要です。
そのため、いざという時でも当面の支払いや生活ができるように、貯金しておきましょう。
老後の準備
会社員であれば、老後は「国民年金+厚生年金」の2階建ての年金が受給できますが、個人事業主に厚生年金はなく、受給できるのは国民年金のみです。
令和5年度の1カ月あたりの受給額は6.6万円ほどで、会社員と比べかなり低い金額しかありません。
また、公的年金においても会社員、公務員として、厚生年金の加入期間がある人はその分の厚生年金がプラスになりますが、個人事業主の公的年金は基本的に国民年金だけです。
令和3年の例では、老齢基礎年金の受給資格期間を原則として 25 年以上有する場合でひと月あたり5.6万円の年金が、2カ月分ずつ振り込まれます。
個人事業主には定年という概念はないため、元気なうちは働くことができ、年金の心配はいらないと考えている人もいるかもしれませんが、事業環境の悪化や個人事業主の健康上の問題もあります。
また、自分は健康で働ける状態でも、家族の看護や介護が必要になるなど、事業の継続ができない可能性も考慮することが必要です。
このような場合も、会社員には休職制度や傷病手当金がありますが、個人事業主にはありません。
そのため、個人事業主は会社員以上に、老後に向けて貯金しておく必要があります。
個人事業主が目指すべき貯金額の目安
個人事業主が目指すべき貯金の目安は、状況や目的により異なります。
ここでは、「開業当初や20代の場合」と「老後を見据えた場合」の2つのパターンで目指すべき貯金額の目安を紹介します。
開業当初や20代の場合
開業時には、少なくとも3カ月分の支払いができる程度の運転資金を用意しておきましょう。
運転資金は、売掛金が回収されるまでの期間に影響を受けますが、スモールスタートで回収されるまでの期間が短ければ調達資金をある程度少なくすることも可能です。
ですが、事業の早期拡大を目指す場合などは、ある程度の運転資金を見込んでおく必要があります。
この際に「事業計画」が明確なほど、運転資金の目安が分かりやすいです。
軌道に乗るまでに時間がかかると見込んだ事業計画の場合には、6カ月程度の運転資金を貯金の目安として備えておきましょう。
老後を見据えた場合
老後どんな生活を送るのかで必要な費用が変わります。
総務省が行った「2019年家計調査」の結果から、高齢世帯で1年間に必要な生活費の目安を算出します。
家計調査によると、世帯主の年齢が65歳以上の2人以上世帯(無職世帯)の1カ月あたりの消費支出は24万1672円、社会保険料や税金などの非消費支出は3万2174円です。
そのため、毎月約30万円、年間にすると約360万円あれば老後に夫婦2人で平均的な生活を送るために必要ということになります。
夫婦で国民年金を受給している世帯では、年間の受給の合計は約168万円のため、年金だけでは年に約180万円足りない計算です。
不足分を補うには、例えば65歳で仕事を辞め、その後の余生が20年あると想定した場合は、計算上は約200万円(年間の不足分)✕×20年=約4,000万円を、年金以外で貯金し備えておく必要があるということになります。
個人事業主が貯金するためのコツ
個人事業主が貯金するためのコツは、以下の4つです。
経費を見直す
貯金したい個人事業主の方は、経費の見直しを行いましょう。
改めて経費を見直してみると、実際そこまで利用していなかったり、同じサービスをもっと安く利用できるサイトがあったりと無駄遣いしているつもりはなくとも、余分に支払っている可能性があります。
所得控除を活用する
所得控除とは、税金の計算をする際に、事前に一定金額を所得から差し引く(=控除する)制度のことです。
所得控除の金額は、人によって異なります。
課税所得は「収入-必要経費-所得控除」で求められるため、所得控除が大きくなれば、その分支払う所得税が少なくなり節税することが可能です。
プライベート用の費用もきちんと帳簿を付ける
プライベート用の費用もきちんと帳簿を付けることで、資産状況を一元管理でき、何にいくら使っているのかが明確に分かるようになります。
貯金が貯まらない人は、いつどこでどのくらい使ったのか把握できていないことが多いです。
しかし、帳簿をしっかりと付ければ自分の支出状況を明確に把握でき、不必要な費用を支払っていないか確認できるようになります。
固定費を見直す
固定費は毎月かかるため、早めに見直すほど節約できます。
代表的な固定費には、人件費や地代家賃、広告宣伝費、交際費、リース料、減価償却費などがあります。
固定費を抑えられれば、毎月その分を貯金に回すことができるので、無駄な固定費を支払っていないか、抑えられる固定費はないか確認してみましょう。
個人事業主が貯金以外で老後の不安を解消する方法
個人事業主が貯金以外で老後の不安を解消する方法は、以下の4つです。
小規模企業共済
小規模企業共済とは、個人事業主または会社の役員向けの積立保険です。
個人事業の廃業、役員を退任した際に共済金が支払われます。
小規模企業共済で老後の不安が解消できる理由には、以下があります。
- 毎月の掛け金を所得控除に算入できるため節税効果がある
- 銀行に預けるより高い利子がつくため、資産運用として利用できる
- 最大2,000万円の事業資金を借りられる
- 個人や役員が退職金を積立できる
iDeCo
iDeCoとは、「個人型確定拠出年金」の愛称であり、老後資金をつくるための年金制度です。
iDeCoで老後の不安が解消できる理由には、以下があります。
- 当年分の所得税と翌年分の住民税が軽減する
- 運用で得た利益が非課税になる
- 受け取るときに税制優遇がある
- 転職・退職しても持ち運びができる
国民年金基金
国民年金基金制度は、国民年金法の規定に基づく公的な年金であり、国民年金(老齢基礎年金)と合わせて、自営業者など国民年金の第1号被保険者の老後の所得保障の役割を担うものです。
国民年金基金で老後の不安が解消できる理由には、以下があります。
- 掛け金が全額所得控除の対象
- 一生涯の受け取りを選択できる
国民年金基金で受け取れる年金は、一生涯にわたって受け取れる終身年金が基本となっています。
そのため、65歳になると亡くなるまで年金を受け取れるため、長生きをしても途中で支給が停止される心配がありません。
つみたてNISA
つみたてNISAとは、2018年1月からスタートした少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です。
つみたてNISAで老後の不安が解消できる理由には、以下があります。
- 投資による利益が非課税になる
- 投資した商品の配当金、分配金も非課税になる
以上のようなメリットがあるため、老後資金を効率的に貯めることができます。
まとめ
- 個人事業主の平均貯金額は431万円で、会社員の平均359万円より約70万円多い
- 個人事業主は、働けなくなるなどのいざという時に備えて貯金しておくことがおすすめ
- 開業直後の個人事業主は、事業が軌道に乗るまでの時間を考え、6カ月程度の運転資金を貯金の目安として備えておく
- 個人事業主は、会社員に比べもらえる年金が少ないため、経費や固定費を見直し貯金することが大切
- 個人事業主が貯金以外で老後の不安を解消するためには、「iDeCo」や「つみたてNISA」などを利用する
個人事業主は、休業せざるを得ない状況や、老後の生活に備えて経費を見直したり、帳簿を付けたりするなど工夫し、貯金することが大切です。
また、貯金以外で不安を解消するためには、「小規模企業共済」や「国民年金基金」を活用し老後に備える必要があります。