便利屋とは、日常生活のなかで起きた困り事を解決するために、さまざまな業務を代行するサービスです。
便利屋の認知度が上がり、高齢者の方や自分で作業をおこなう時間のない方、専門的な技術を必要とする方などに利用される場面が増えています。
あわせて独立開業して便利屋を始める人も増えています。
当記事では、便利屋の仕事内容からメリットやデメリット、開業に必要な情報や成功のポイントまでいろいろな角度で便利屋を紹介します。
便利屋の仕事内容
具体的に便利屋の仕事にはどのようなものがあるのでしょうか。
便利屋を依頼する声の例を以下に挙げました。
「家の片付けをするついでに不用品を処分してほしい」
「電化製品の調子が悪いので見てもらいたい」
便利屋の仕事は日常生活の困り事を解決するビジネスのため、あらゆる依頼が舞い込んでくる場合があります。
【仕事内容の一例】
- 照明の交換や家電製品の修理
- 部屋の片付け・掃除
- 買い物代行
- 不用品の処分
- 引越し作業
- 送迎
- 草むしりなど庭の手入れ
- 害虫駆除
- ペットの散歩
- 家具の組み立て、移動
上記以外にも、経験や力量などによってサービスの幅を広げることが可能です。
便利屋として独立開業するメリット
便利屋として独立開業で得られるメリットはどのようなものか以下で3つ解説します。
低コストで始められる
便利屋は出張型ビジネスのため店舗を持つ必要がなく、移動用の車両があれば自宅でも始められるのが強みです。
店舗を構えるビジネスと違い、物件取得費や内装工事費がかかりません。
また一人で始められるビジネスのため、人件費も不要です。
小売店のように商品を販売しないので、仕入れる必要もありません。
便利屋は低コストで始めることができます。
利益率が高い
便利屋が提供するのは労力や技術です。
一人で始められるうえ、賃料や人件費も抑えられて仕入れも必要ないため、他の業種で独立するよりも利益率が高い傾向にあります。
幅広い依頼に応じた材料費などを適切に抑えられれば、さらに高い利益率を出すことが可能です。
さまざまな経験を積める
便利屋の仕事内容が多岐にわたる特徴から、これまで経験したことのない依頼につながる場合があります。
仕事を通じて幅広い知識や技術を身につけることができるため、手に職もつけられます。
便利屋の仕事で培った経験や技術を活かして、ビジネスの幅を広げられる可能性も考えられます。
便利屋として独立開業するデメリット
便利屋として独立開業するにあたって、知っておかなければならないデメリットを以下で2つ紹介します。
ライバルが多い
便利屋は、低コストで始められて利益率も高いため、参入するライバルが多いのがデメリットです。
あらゆる仕事を引き受ける特性上、競合他社と業務内容がかぶってしまう場合も考えられます。
開業する前に仕事を請け負うエリアにどれくらい競合他社がいるのか、事前に調査しておくことも重要です。
一般的な便利屋としてライバルとひとくくりにされないためにも、常にアイデアを出しながらサービスの差別化を図ることも必要となります。
幅広い知識やスキルが必要
未経験でも始められる便利屋ですが、仕事の依頼内容に応じて幅広い知識とスキルが求められます。
仕事を受注したにも関わらず、知識やスキルが不足しているために不十分な仕事になってしまってはリピーターの獲得につながりません。
状況によってはトラブルになる危険性も考えられます。
少なくとも開業に向けて受注しようと考えている業務内容の知識やスキルは、身につけておかなければならないと覚えておきましょう。
便利屋として独立開業する方法
便利屋で独立開業するには2つの方法があります。
それぞれ解説します。
個人事業主として始める
一人で個人事業主として独立開業する場合、すべての決定権が自分にあるので、受注するサービス内容や料金、仕事をするエリア、営業時間などを決めることができます。
仕事の裁量が自分で決められる自由度の高さは大きな魅力なだけでなく、フランチャイズに比べて開業資金を低く抑えることもできます。
ただし、自分で開業する場合は宣伝活動も自分でする必要があります。
開業当初は知名度も信用もないため、いきなり仕事を獲得するのは難しいです。
開業に向けた準備や、開業後の経営もすべて一人でおこなわなければならず、慣れないことの連続で負担が大きくなるのは避けられません。
個人事業主として便利屋を始めることで、自由に仕事を進めていける反面、開業準備や仕事の獲得、経営に関してもすべて自分で対応しなければならない点は覚えておきましょう。
フランチャイズに加盟する
フランチャイズに加盟して便利屋を開業する場合は、本部のネームバリューを活用できるのが大きなメリットです。
開業準備や開業後の仕事の進め方などこれまでの実績から得たノウハウを提供してもらえるので、未経験でも安心して始められるだけでなく、安定した収入が期待できます。
一方でフランチャイズに加盟すると、加盟金や研修費、毎月のロイヤリティなどを本部に支払う費用が発生するため、個人事業主として開業するよりも負担が大きくなるケースがほとんどです。
費用を抑えて自分ですべてをおこなう個人事業主なのか、ネームバリューとノウハウを持っているフランチャイズを選択するのか、開業前にしっかりと検討したうえで判断しましょう。
便利屋の独立開業で必要な費用
便利屋として開業するための初期費用と運営資金の目安は以下のとおりです。
初期費用
車両費 | 100万円 |
資機材費 | 20万円~50万円 |
広告宣伝費 | 20万円~50万円 |
総額 | 140万円~200万円 |
依頼主のもとへ機材を積んで向かうための車両は必要ですが、自身で所有している車を使用する場合や、リースで車両を準備する場合には費用を抑えられます。
資機材費も、仕事内容によって大きく変動する可能性があります。
電気工事など専門的な分野の仕事を受注すれば、作業内容に合わせた機材の購入が必要です。
広告宣伝費には、ホームページ作成やチラシのポスティングなどにかかる費用が含まれています。
フランチャイズに加盟する場合は、別途加盟金や研修費が必要となります。
初期費用はあくまで目安のため、受注する業務内容によって変動します。
運営資金
材料費 | 15万円~25万円 |
車両関連費(ガソリン、駐車場代) | 2万円~4万円 |
広告宣伝費 | 4万円~8万円 |
総額 | 21万円~37万円 |
1ヵ月の売上を100万円とすると以上が運営資金の目安になります。
材料費が1ヵ月の売上の15〜25%、車両関連費が2〜4%、広告宣伝費が4〜8%必要として計算しています。
事業規模により運営資金は変動する可能性があります。
フランチャイズに加盟した場合、別途本部へのロイヤリティが発生します。
ロイヤリティは売上変動制と固定制の2種類があるので、事前に確認しておきましょう。
便利屋として独立開業する際に役立つ資格
便利屋は開業に資格を必要としませんが、請け負う仕事によっては資格を取得していなければできない場合もあります。
家庭での電気工事を依頼された際には「第二種電気工事士」の資格が、家の片付けの依頼のなかで不用品の処分も請け負う場合は「一般廃物処理業」が、不用品の売却には「古物商許可」が必要となります。
提供するサービスによって資格が必要なものがあるため、開業までに取得しておきましょう。
便利屋の独立開業を成功させるポイント
便利屋の開業は独立しやすい業種のため、その分競合も多いです。
以下で、成功するために大切なポイントを3つ紹介します。
丁寧な対応を心がける
どのような場面でも丁寧な対応を心がけましょう。
直接お客様のもとへ伺って仕事をする際に、作業だけでなく受け答えなどの対応も丁寧におこなって信用を得られれば、リピートや紹介につながっていく可能性が高いです。
仕事を頼む側からみても、問い合わせなどの際に丁寧に応対してくれる業者に対しては今後も仕事を依頼することも十分に考えられます。
忙しくなるとついおろそかになってしまいますが、常に丁寧な対応が顧客獲得につながります。
適正な料金設定をする
適正な料金設定も大切なポイントです。
極端に高すぎても安すぎてもビジネスとして成立しません。
近隣の競合の価格を基準として、その価格よりも少し安い設定にするのがおすすめです。
便利屋に仕事を依頼する際に、ほとんどの人がいくつかの業者を比較します。
明らかに高すぎても安すぎても依頼する側は不安を感じてしまうので、適正でバランスの取れた価格設定にしましょう。
集客方法を工夫する
便利屋は自分で集客をしない限り、仕事を獲得することはできません。
ホームページやSNS、チラシのポスティングなどで積極的に宣伝活動をするのがおすすめです。
信用を得るために、自身の顔写真やプロフィールも載せておきましょう。
初回キャンペーンの導入や常に競合と差別化できる付加価値の採用などの工夫も大切です。
まとめ
便利屋の独立開業に関するメリットやデメリットなどについてご紹介しました。
当記事の重要ポイントは以下のとおりです。
- 便利屋の独立開業のメリットは、低コストで始められる、利益率が高い、提供サービスを広げるとさまざまな経験を積める
- 便利屋の独立開業のデメリットは、競合の多さや、必要とされるスキルが多くなること
- 便利屋は、個人事業主、フランチャイズいずれの独立開業が可能
- 便利屋で顧客の信頼を得るには、常に丁寧な対応を心がける
- 便利屋の集客には、広告での宣伝活動の他、付加価値などの工夫が大切
便利屋の仕事は、提供できるサービスが多ければ多いほど仕事の幅が広がります。
開業後も、常に知識や技術習得のための努力が欠かせません。
すぐに成功できるとは限らないため、継続的な自身の工夫が必要です。
便利屋としての成功に向けて、当記事を参考に開業の準備を進めてみてはいかがでしょうか。