「退職したいけれど、言い出せないような職場環境だ」
「ブラックすぎて有給休暇も取れなく、転職活動をする暇もない」
スムーズに会社を辞められそうもないときに役立つのが退職代行サービスですが、退職代行サービスによって、できることとできないことがあるのを知っていますか?
もし、有給休暇の取得や未払いの残業代の請求など、会社に交渉すべき問題があるなら、退職代行を弁護士に依頼するのもひとつの手段です。
本記事では、退職代行を弁護士に依頼するメリットや費用、安心して退職するための依頼先の選び方について解説します。
退職代行を弁護士に依頼するメリット
退職代行を弁護士に依頼するメリットは多岐にわたります。
まずは弁護士に退職代行を依頼するメリットと利用が向いている人について解説します。
退職に失敗するリスクが低い
弁護士は法律の専門家であり、適切な手続きや法的な注意点を把握している点が大きなメリットです。
退職代行を弁護士に依頼すれば、退職手続きに関する法的なリスクを大幅におさえられるため、言いがかりをつけられて退職に失敗したりトラブルに発展するリスクが下がります。
退職を申し出てもさまざまな理由をつけて認めないような会社の場合には、弁護士への依頼を検討してもよいでしょう。
未払い賃金や有給消化の交渉ができる
退職代行サービスを利用して退職の意思を代わりに伝えてもらう分には問題ありません。
しかし依頼内容によっては法律違反になる可能性があります。
弁護士以外が報酬を得て未払い賃金や未払い残業代の支払い交渉などの法律事務をおこなうと、「非弁行為」といって弁護士法第72条に違反してしまいます。
ただし弁護士でなくても、労働組合として活動している退職代行サービスは依頼者を一時的に組合員にして、組合代表として交渉が可能です。
しかし法律上問題ないとはされているものの、有給休暇の取得などの交渉は違法にあたる可能性があります。
そのため、未払い賃金や有給休暇の交渉をしたい人は、弁護士に依頼をしたほうが安全です。
また、弁護士は複雑な交渉にも慣れています。
高い交渉力を活かして、退職者の正当な権利を守ってもらえます。
労災申請や慰謝料請求ができる
労災申請自体は社労士でも手続きできますが、労災にともなう損害賠償や慰謝料請求は法律行為となるため、弁護士以外の退職代行サービスではおこなえません。
労働環境の悪さから起こってしまった事故や、パワハラ・セクハラによる精神的ダメージが原因で退職するケースでは、退職後の交渉手続きごと弁護士に依頼するべきでしょう。
会社からの損害賠償請求に対応してもらえる
自分からの慰謝料請求や損害賠償だけでなく、弁護士に退職代行を依頼すれば損害賠償請求に対しても適切に対応してもらえます。
「おまえが辞めたせいで顧客を失ったから損害賠償を支払え」「急に退職するなんて契約違反だから違約金を支払え」などの会社からの不当な請求にも法律に基づいてしっかり対抗し、必要に応じて法的手続きもおこなってもらえるため、いざというときでも安心です。
退職にともなう手続きも代行してくれる
退職手続きには、書類の準備や提出、離職票の取得などのさまざまな手続きが含まれます。
弁護士以外の退職代行サービスと同様、退職代行を弁護士に依頼した場合も退職にともなう手続きを代行してくれます。
退職手続きや手続きにともなう書類作成を法律の専門家に任せられるため、ストレスや不安もなく退職手続きを完了できるでしょう。
退職代行を依頼する弁護士の選び方
次に、退職代行を依頼する弁護士を選ぶ際のポイントについて確認しておきましょう。
労働問題を得意としている
弁護士にはそれぞれ得意分野や専門分野があります。
退職に関する問題は労働法や雇用関連の法律に関する専門知識が必要なため、労働問題を得意とする弁護士を選ぶようにしましょう。
弁護士の得意分野や専門分野は公式サイトに掲載されているキャッチコピーやプロフィールページから確認できるほか、SNSを持っていれば発信内容から判断できます。
対応してもらえるか心配な場合は、直接問い合わせることや無料相談をしてみるのがおすすめです。
実績がある
弁護士に退職代行に関する多くの対応経験があれば、さまざまなケースでの適切な対処法も把握しています。
裁判にもつれこんだ場合や悪質な対応をする企業とのやり取りにも慣れているため安心です。
過去に労働問題で成功した事例や解決したケースが多数ある信頼性の高い弁護士を選べば、退職の成功だけでなくさまざまな権利を守れる確率が上がります。
実際に話してみて相談しやすい
弁護士への退職代行の依頼を検討している時点で、退職交渉が難航しているかあるいはこじれる可能性が高いと思っている人が多いはずです。
やっかいな会社との交渉は、自分が直接対応するわけではなくても精神的に負担となります。
また、未払い賃金や残業代の請求、損害賠償など複雑な問題を持っている場合、交渉の結果次第で金銭的にも精神的にも大きな影響を与えます。
問題が複雑化する可能性が高い場合は一層、弁護士と実際に話してみて、相談しやすく話を真摯に聞いてもらえる雰囲気かを確認しておくのが重要です。
自分の不安や疑問点をしっかり話し、要求を正しく伝えてもらえるような弁護士を選べば安心して退職手続きを進められます。
退職代行を弁護士に依頼する際にかかる費用
ここでは実際に退職代行を弁護士に依頼した場合にかかる費用について解説します。
相談料
初回の相談にかかる料金です。
一般的には、30分から1時間程度の相談が無料で提供されるケースが多いです。
手数料
代行業務や手続きにかかる料金で、料金を取るところと取らないところがあります。
実費
実際に退職手続きを代行する報酬です。
基本の報酬と合わせて、金銭的交渉が発生した場合には成功報酬として回収できた金額に対して別途料金がかかるのが一般的です。
退職代行に対応しているいくつかの弁護士事務所について、料金を以下にまとめたので参考にしてみてください。
相談料・手数料(税込) | 費用(税込) | |
アディーレ法律事務所 | 無料(何度でも) | 77,000円 交渉・トラブルは別途料金 |
フォーゲル綜合法律事務所 | 無料 | スタンダード:33,000円
安心プラス:55,000円 公務員の退職や業務委託の解消ができるプランもあり(料金別) |
ベリーベスト法律事務所 | 相談料:初回60分無料 2回目以降 5,500円/30分 交渉手数料:1万1,000円(税込) |
着手金:55,000円 ※作業・交渉時間5時間まで 超過分は1時間につき22,000円報酬金:11万円+経済的利益の22%(300万円以下の場合) |
弁護士法人みやび | 無料 | 55,000円(税込) |
別途回収額の20%のオプション料金を支払えば残業代や退職金、慰謝料の請求手続きが対応可能
弁護士に退職代行を依頼した場合、相場はおおむね5万円台〜となっています。
退職代行を弁護士に依頼する際の流れ
退職代行を弁護士に依頼する流れを弁護士法人みやびの公式サイトを参考に解説します。
ステップは以下の4つです。
弁護士法人みやびでも、多くの退職代行サービスと同様に最短で即日退職が可能です。
有給休暇が残っている場合には、退職連絡の日から2週間後を退職日として有給休暇を消化することも可能です。
まとめ
- 退職代行を弁護士に依頼すると未払い賃金や慰謝料請求など、金銭的な交渉もしてもらえる
- 弁護士は得意分野や専門分野があるので、労働問題の実績があるかについて依頼する前に確認しよう
- 退職代行を弁護士に依頼する場合には相談料・手数料・実費などがかかるが、費用は合わせて5万円台からが一般的
- 弁護士の退職代行は料金に差があるが対応範囲も違うので料金以外の面もチェックするべき
- 弁護士に依頼する場合の流れは「問い合わせ・相談」「サービス内容の説明・契約・支払い」「退職代行の実行」「退職完了」の4ステップ
弁護士に退職代行を依頼すると、料金は少しかかりますが対応してもらえる範囲がかなり大きくなります。
弁護士以外の退職代行サービスの利用料の相場が2〜3万円であることを考えると、交渉したい問題やトラブルに発展する可能性がある場合には最初から弁護士に退職代行を依頼するのを検討すべきでしょう。
よくある質問
最後に、弁護士への退職代行の依頼を検討する際に起こりがちな疑問について簡単にまとめました。
退職代行と弁護士の違いは何?
退職代行は依頼人の退職意思の伝達と退職に関するやり取りの代行が主ですが、弁護士は法的アドバイスや法的手続き、交渉などもおこなえます。
未払い賃金の支払いや損害賠償など法的な要求がある場合には弁護士に依頼する必要がありますが、辞めにくい会社をすぐに辞めたいだけなら通常の退職代行サービスで十分です。
退職代行でどこまでやってくれる?
退職代行は依頼人の退職意思の伝達と退職に関するやり取り、金銭の発生しない退職条件の交渉などに対応できます。
労働組合として活動している退職代行サービスとそれ以外の退職代行サービスでも違いがあり、サービスごとに対応内容は異なります。
退職代行でいつ会社を辞めれる?
基本的には希望の日に退職でき、多くの退職代行サービスでは最短で即日退職が可能です。
退職代行サービスの担当者との打ち合わせによって退職日は決まります。
退職代行を使うと転職先にバレる?
退職代行を利用した証拠はどこにも残らないため、転職先にバレる可能性は低いでしょう。
ただし転職先が退職した会社に「前職調査」として電話をした場合、退職代行を使った事実がバレる可能性がないとはいえません。
しかし個人情報保護の観点から常識的に考えて、通常前職調査の実施も調査に対して答えることも通常はないと考えてよいでしょう。