退職して10日過ぎたのに離職票がまだ届かない、失業手当の手続きを早くしたいのにできない……。
「まさか、離職票が届かないのは会社の嫌がらせ?!」
退職時に揉めたり人間関係に問題があるような職場だったりすると、いろいろ不安になってくるでしょう。
では、離職票が届かない場合、いつまで待ったらよいのでしょうか?
本記事では、離職票が届くまでの目安と届かない場合の対処法について解説します。
離職票が届かないままでも、対応策を知っていれば安心です。
本記事を参考にして不安の解消に役立ててください。
離職票はいつ届く?
どのくらいで届くのかの目安を知るために、まずは離職票が届くまでの手順を知っておきましょう。
退職日から10日~2週間後に届く
退職から離職票が手元に届くまでの期間の目安は一般的に10日〜2週間後程度です。
発行の依頼後に離職票が届くまでの流れは、下の図のとおりです。
(引用:広島県雇用労働情報サイト わーくわくネットひろしま)
厚生労働省によると、「離職日の翌々日から10日以内に会社が雇用保険被保険者資格喪失届と離職証明書をハローワークに提出しなければならない」としています。
しかし、逆にいえば離職日の翌々日から10日以内なら問題ないため、会社が離職証明書を提出するのが遅ければ、到着まで2週間以上かかるケースもあります。
「次の人の募集が決定してからついでに手続きに行こう」「業務の暇ができたら」などとあと回しになっている可能性もあるでしょう。
送付をしない会社もある
離職票は会社から退職者に郵送されるのが一般的です。
しかしなかには「離職票が届いたから取りに来てくれ」と言って、郵送してくれない会社もあります。
郵送してもらえない場合には、返信用の封筒に切手を貼ったものを同封して、郵送してくれるように手紙を送りましょう。
2週間以上たっても届かなければ問い合わせる
前述したとおり、資格喪失届の届出は離職日の翌々日から10日以内におこなわなければなりません。
したがって10日以内には届出がハローワークに送付されているはずであり、離職票が届くまで1ヵ月近くかかるケースはまずありません。
2週間以上経っても離職票が届かなければ、数日〜1週間ほど待ってから問い合わせてみましょう。
離職票が届かない原因
離職票が届かない主な原因は、会社側とハローワーク側双方にあります。
会社が手続きをしていない
会社側の原因には以下のようなものが考えられます。
- 手続きが必要だと思っていなかった
- 手続きを忘れている
- 意図的に発行を遅らせている
離職票は退職者から依頼があって初めて発行手続きをおこなうものであり、当然に発行されるものではありません。
行き違いで失業給付を受けないと勘違いされている可能性がないか思い返してみましょう。
また、あまり考えたくはないですが退職時にもめたような場合には嫌がらせまではいかなくても、「別に手続きが遅れても会社側は困らない」とあと回しにされている可能性もあります。
ハローワークが繁忙期である
年度変わりの4〜5月は退職者が多くなる繁忙期のため、手続きが遅れている可能性があります。
実際、ハローワーク新宿では「例年4月〜5月にかけての時期は、従業員の入社・退社にともなう資格取得届・離職票などの申請件数が増えるため待ち時間も長くなる」としています。
退職が多い繁忙期に手続きをおこなうと、通常より届くのが遅れる可能性は高いでしょう。
離職票が届かないときの対処法
次に、離職票が届かないときの対処法について見ていきましょう。
会社に問い合わせる
目安の2週間を過ぎて数日〜1週間ほど経っても届かなかったら、まずは会社に発行手続きがどうなっているか問い合わせて、状況を確認します。
自分にとっては重要でも、退職した社員に関する手続きは会社にとって優先度が高い業務ではありません。
時期によってはほかの業務を優先して手続きが遅くなっている可能性もあります。
手続きがおこなわれていない場合は手続きをお願いして、さらに1週間程度待ってみましょう。
ハローワークに確認して相談する
会社側の手続きは終わっていると言われたら、次にハローワークに状況を問い合わせます。
会社に手続きをお願いしたのにハローワークに離職証明書が届いていない場合には、手続きを遅らせたり拒否したりする意図がある可能性が出てきます。
会社に手続きを進める意思がないと思われる場合には、ハローワークに相談しましょう。
会社に離職票発行手続きの要請をしてもらえるだけでなく、離職票が届かない状態でも失業保険の仮手続きがおこなえます。
弁護士に相談する
離職票発行手続きをおこなわないだけでなく、残業代や賃金の未払いのような悪質な行為を受けている場合には、個人で解決するのは難しいでしょう。
弁護士に相談すれば、法律にのっとった交渉が可能です。
相談だけなら無料の弁護士も多いので、話がこじれる可能性が高い場合には、弁護士に相談するのがおすすめです。
離職票はいつまでに必要?
離職票は失業手当(雇用保険の基本手当)を申請する際に必要な書類です。
失業手当を受給できる期間は原則として離職日の翌日から1年間なので、1年以内に申請手続きと失業手当を受給する必要があります。
手続きが遅れて1年以内にもらいきれなかった分は受け取れないので注意が必要です。
離職票が失業手当申請までに届かなくても仮手続きが可能です。
仮手続き後も離職票が届かない場合には、ハローワークから直接離職票を発行してもらえます。
厚生労働省のWebサイトには、「会社が手続をしない場合や督促しても届かない場合は、身元確認書類および退職したことがわかる書類(退職証明書など)を持参のうえ、住居所を管轄するハローワークへ早めにご相談ください」とあります。
いざとなったらハローワークから直接離職票を発行してもらえるので、「離職票がもらえないから失業手当がもらえない」と心配する必要はありません。
離職票がなくても可能な手続き
失業手当と異なり、年金と保険の切り替えは離職票がなくても手続きが可能です。
待っている間にほかの手続きをすすめておくとよいでしょう。
年金の切り替え
退職後は厚生年金から国民年金への年金の切り替え手続きが必要です。
手続きは役所でおこなえます。
日本年金機構によると、「退職直後の第1号被保険者の加入手続きには場合は、厚生年金保険などの資格喪失日を証明できるもの(離職票など)が必要になる場合がある」としています。
「資格喪失日を証明できるもの」は離職票が使用されるのが一般的ですが、手元にない場合には「資格喪失証明書」があれば手続き可能です。
資格喪失証明書は退職した会社でもらえます。
もし資格喪失証明書も手元にない場合には、身分証持参のうえ、近くの年金事務所に申請してもらいましょう。
(参考:日本年金機構 全国の相談・手続き窓口)
保険の切り替え
離職票が届かない場合でも、年金と同様に国民健康保険の手続きも可能です。
会社を退職した場合、健康保険の切り替えには以下の3パターンがあります。
①退職した会社の保険から国民健康保険に切り替える
②退職した会社の健康保険に任意継続で加入する(2年間が限度)
③配偶者など家族の扶養に入る
(参考:全国健康保険協会 協会けんぽの任意継続を選択される方へ)
②の任意継続加入を希望する場合は、20日以内に届け出る必要がある点に注意しましょう。
①②いずれの場合でも、退職時にもらう「資格喪失証明書」で手続きできます。
保険の手続きの場合も同様に、資格喪失証明書も手元にない場合には、近くの年金事務所に申請すれば取得可能です。
資格喪失証明書を取得するための「健康保険・厚生年金保険 資格取得・資格喪失等確認請求書(通知書)」は日本年金機構のWebサイトからダウンロードできます。
まとめ
- 離職票が届く目安は退職日から10日~2週間後
- 2週間以上経っても届かない場合は「会社」「ハローワーク」の順に問い合わせる
- 会社やハローワークの繁忙期には届くのが遅れるときもある
- どうしても届かない場合はハローワークで離職票を出してもらえるので安心しよう
- 離職票が届かなくても年金と保険の手続きは問題なくできる
手続きのためにできるだけ早く欲しい離職票ですが、会社やハローワークの事情で遅くなるケースもあります。
しかしもし離職票が届かないままでも失業給付の手続きは可能です。
慌てずに待って、届かない場合には必要な対応をしましょう。