即日退職はできる？辞めるまでの流れやトラブルを避けるための方法

退職したいと思ったとき、すぐに辞められるかどうかは気になるところです。

しかし、即日退職は簡単にできるものではありません。

会社との約束や法律上の規定がありますし、自分の信用や評判にも関わります。

即日退職は一般的な退職とは異なり、さまざまなリスクや注意点があります。

何も知らずに行動すると、後悔する結果になるかもしれません。

本記事では、即日退職が可能かどうか、即日退職するときに注意すべきポイント、雇用形態別の即日退職の方法を詳しく解説します。

また、即日退職を効率的におこなうための退職代行サービスもおすすめします。

本記事を読むことで、即日退職について正しく理解し、自分にとって最善の選択ができるようになります。ぜひ最後までご覧ください。

即日退職はできる？

即日退職とは、その日に辞めることを伝えて、そのまま会社を去ることです。

結論からいうと、即日退職はできます。

労働基準法第137条では、以下のように定められています。

期間の定めのある労働契約（一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き、その期間が一年を超えるものに限る。）を締結した労働者（第十四条第一項各号に規定する労働者を除く。）は、労働基準法の一部を改正する法律（平成十五年法律第百四号）附則第三条に規定する措置が講じられるまでの間、民法第六百二十八条の規定にかかわらず、当該労働契約の期間の初日から一年を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。 引用：労働基準法第137条

しかし、あくまで法律的に可能というだけで、即日退職のような退職方法は一般的には認められていません。

民法第627条によって「雇用期間の定めがないものは2週間前に伝えることで退職できる」と定められているためです。

第627条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申し入れをすることができる。この場合において、雇用は解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。 参考：厚生労働省「民法第627条」

基本的には、辞める2週間前までに責任者や上司に退職の意思を伝えておく必要があります。

そのため、やむを得ない理由や会社から許可された場合以外は、即日退職はできないことになります。

しかし、退職する日までの期間を有給休暇や欠勤扱いにしてもらえば、その日から出社しなくてもよくなります。

そうすれば、実質的に即日退職と同様の状況にできます。ただし、有給休暇や欠勤扱いにしてもらうためには、会社や上司との交渉が必要です。

では、会社側が即日退職を認めてくれない場合はどうなるでしょうか。

この場合、労働者は予告期間を守らなかったことにより、損害賠償請求を受ける可能性があります。

また、会社に損害を与えたり、信用を失ったりする可能性もあるため、即日退職する場合には事前に会社と交渉し、合意を得ることが必要です。

即日退職すると、人間関係や評判にも影響を与える可能性があります。

会社や同僚に迷惑をかけ、信頼を失うことで、将来的に再就職や転職に不利になることも考えられます。

即日退職は労働者側からの一方的な申し出なので、会社側が同意する必要はありません。

ただし、やむを得ない事情や特別な理由などにより、会社側が即日退職を認めてもらえるケースもあります。

この場合は、法律上も何の問題なく辞めることが可能です。

即日退職する場合には、さまざまなリスクやトラブルを考慮する必要があります。

そのため、よく考えてから決断しましょう。

即日退職するときの流れ

即日退職するときの流れは以下のようになります。

ひとつずつ順番に解説します。

辞める2週間前に責任者・上司に退職の意思を示す

即日退職する場合でも、社会人としての基本的なマナーとして、できるだけ早く会社に退職の意思を伝えましょう。

民法第627条によって「雇用期間の定めがないものは2週間前に伝えることで退職できる」と定められているため、辞める2週間前に責任者や上司に退職の意思を伝えることが理想的です。

参考：厚生労働省「民法第627条」

そうすれば、会社もあなたの後任や引き継ぎの準備をする時間がありますし、あなたも円満に退職する可能性が高まります。

退職の意思を伝える方法は、口頭だけではなく、書面でもおこなうことが望ましいでしょう。

書面では、退職理由や退職日を明記し、自分の署名や押印をして提出します。もしトラブルになった場合に証拠として役立つためです。

また、書面を提出したことを証明するためにも、受領証やコピーをもらうようにしましょう。

ただし、辞める理由が急用や病気などのやむを得ない事情がある場合は、その旨を説明して理解を求めることが大切です。

また、会社の状況や人間関係によっては、辞めることを伝えると嫌がらせや暴言などのトラブルに巻き込まれる恐れもあります。

そのような場合は、自分の安全や精神衛生を考えて、必要な連絡だけをするか、退職代行サービスへの依頼も検討してください。

残っているなら有休を消化する

即日退職する場合でも、有給休暇が残っているなら消化できます。

有給休暇は労働者が働いて得た権利です。

そのため、会社から強制的に消化させられたり、正当な理由がない限り放棄させられることはありません。

有給休暇が残っている場合は、自分から積極的に取得するようにしましょう。

有給休暇を取得すれば精神的な余裕が生まれたり、次の仕事や生活への準備ができます。

ただし、有給休暇を使う場合は、会社の就業規則や申請手続きに従う必要があります。

また、有給休暇を取得しなかった場合は、退職後に未払い賃金として請求できる場合もありますが、その際には証拠が必要になります。

そのため、有給休暇の残日数や取得状況を記録しておくことが大切です。

退職の手続きをする

退職時には、会社から貸与されたものの返却と、必要な書類を受け取る手続きが必要です。

会社に返却すべきものを返却する

退職するときには、会社から借りているものや預かっているものを返却する必要があります。

例えば、以下のようなものが該当します。

上記のものは会社から借りているものなので、退職日までにきちんと返却しましょう。

もし紛失や破損などがあった場合は、早めに報告して対処方法を確認してください。

また、パソコンや携帯電話などには個人情報や業務情報が残っている場合があります。

情報を削除したり、バックアップしておくことも忘れないようにしましょう。

会社から退職をするときに必要な書類を受け取る

退職するときには、会社から以下のような書類を受け取る必要があります。

上記の書類は、次の仕事や生活に必要になる重要な書類ですので、かならず受け取って確認してください。

一般的には退職日までか、退職後数週間〜1ヵ月程度で会社から渡されます。

もし渡されない場合や不備がある場合は、自分から積極的に請求しましょう。

また、受け取ったら内容を確認し、間違いや不足がないかチェックしたうえで、大切に保管しておきましょう。

退職日を迎える

退職日を迎えたら、即日退職が完了します。

しかし、ここで安心してはいけません。

即日退職には以下のようなメリットやデメリットがあります。

【メリット】

【デメリット】

以上のように、即日退職にはメリットとデメリットがあります。

自分の状況や目的に合わせて、よく考えて決めるようにしましょう。

また、即日退職する場合でも、法律やマナーを守り、トラブルを避けるために必要な手続きや対策をおこなうようにしましょう。

即日退職を雇用形態のケース別に解説

即日退職する方法や条件は、労働者の雇用形態ごとに異なります。

それぞれのケース別に解説します。

正社員が即日退職する場合

正社員が即日退職するには、以下の方法があります。

退職の申し入れをする

正社員が即日退職する場合は、まず退職届を提出します。

ただし、通常は2週間前までの提出が義務付けられています。

そのため、即日退職する場合は会社から承諾を得る必要があります。

即日退職の承諾を得られない場合は、雇用は解約の申し入れの日から2週間を経過したあとに終了します。

そのため、即日退職ではなく2週間後に退職が完了します。

どうしても会社に行きたくない場合は、以下で解説する退職日まで有給休暇を使う方法があります。

退職日まで有給休暇を使う

即日退職できない場合でも、有給休暇を使えば退職日まで出勤せずに休むことが可能です。

有給休暇は労働基準法で定められた労働者の権利ですので、会社は正当な理由がない限り拒否できません。

このことは、労働基準法第39条により、有給休暇は労働者の自由裁量で取得できると定められています。

そのため、実質的に即日退職と同じ状態にできます。

第三十九条　使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。 参考：e-GOV法令検索「労働基準法第三十九条（年次有給休暇）」

有給休暇取得の理由を提示する必要もありません。

もし理由の提示を求められた場合は「退職にあたって有給休暇を消化するため」でも構いません。

有給休暇を使って即日退職する場合は、以下の2パターンがあります。

いずれも場合も、有給休暇の残り日数から算出して退職日を決めたり、引き継ぎはどうするかなどを会社や上司と話し合っておく必要があります。

また、有給休暇中に転職活動をおこなうことはできますが、次の会社に再就職して働くことはできません。

ただし、元の会社が副業禁止でなければ副業として別会社に勤務することは可能です。

退職日まで欠勤にする

即日退職する場合、会社の承諾がなくても欠勤や病欠などで退職日まで出勤しないことも可能です。

ただし、欠勤する場合は会社に連絡して理由を伝える必要があります。

また、欠勤期間中は給料が支払われないことがあるなど、以下のようなリスクがあります。

上記のリスクを考えると、欠勤による即日退職はおすすめできません。

正社員の即日退職は違法になるケースもある

正社員が即日退職する場合でも、会社から承諾を得られなかったり無断欠勤したりすると、違法な行為となるケースもあります。

例えば、以下のような場合です。

このような行為は、雇用契約や就業規則に違反するだけでなく、民法や刑法にも触れる可能性があります。

そのため、会社から損害賠償や訴訟などの法的措置を取られる恐れがあります。

また、今後の就職活動や信用にも影響するかもしれません。

参考：e-Gov法令検索「第六百二十八条（やむを得ない事由による雇用の解除）」

正社員は即日退職する前に、雇用契約や就業規則などを確認し、会社と十分に話し合うことが必要です。

契約社員が即日退職する場合

契約社員は、原則として即日退職できません。

契約社員は、雇用契約書に基づいて働いているため、有期雇用契約です。

そのため、契約期間が満了するまでは退職できません。

雇用契約書には契約期間や更新条件、解除条件などが明記されています。

契約期間内に退職する場合は、解除条件に基づいて退職届を提出し、会社から承諾を得る必要があります。

解除条件には、通常の退職期間や解除事由などが定められています。

したがって、契約社員が即日退職する場合は、雇用契約書に即日退職が可能な解除事由があるかどうかを確認しておくことが必要です。

例えば、以下のような場合です。

上記のような場合には、即日退職が可能な解除事由として認められることがあります。

しかし、このような場合でも、できるだけ早く会社に連絡して理由を説明し、証拠や診断書などを提出するのが望ましいでしょう。

また、会社から損害賠償や訴訟などの法的措置を取られる可能性もあるため、注意してください。

したがって、契約社員が即日退職するのは、法的にも経済的にもリスクが高くなります。

会社と円満に別れるためにも、契約書にしたがったうえでの退職をおすすめします。

パート・アルバイトが即日退職する場合

パート・アルバイトの即日退職は、原則として可能です。

パート・アルバイトは、労働基準法の対象外です。

労働基準法では、「労働者は2週間前までに退職の意思を通知しなければならない」と定められていますが、パート・アルバイトはこの規定に従わなくてもよいためです。

ただし、パート・アルバイトでも雇用契約書を交わしている場合があります。

その場合は、雇用契約書や就業規則に記載されている内容に従う必要があります。

例えば、雇用期間が定められている場合は、パート・アルバイトであっても有期契約労働者となります。

そのため、契約期間が満了するまでは即日退職できません。

また、即日退職すると、会社や同僚に迷惑をかけることになります。

仕事の引き継ぎやシフトの調整ができないため、人手不足や業務の遅れが発生する可能性があります。

そのため、会社からのクレームや訴訟の原因になる可能性があります。

そのため、パート・アルバイトが即日退職する場合も、会社から承諾を得る必要があります。

承諾を得るためには、辞める理由や状況を説明し、理解を求めることが大切です。

また、辞める理由が急用や病気などのやむを得ない事情の場合は、その旨を伝えて証拠や診断書などを提出する必要があります。

即日退職する際のポイント

即日退職する際には、以下の４つのポイントを押さえておく必要があります。

ひとつずつ順番に解説します。

辞める2週間前に退職の意思を示す

即日退職する場合でも、できるだけ早く会社に退職の意思を伝えることがポイントです。

理想としては、通常の退職期間の2週間前に申し入れることがよいでしょう。

そうすれば、会社もあなたの後任や引き継ぎの準備をする時間がありますし、あなたも円満に退職する可能性が高まります。

労働者が退職する場合には原則として2週間前に会社に通知しなければなりません。

この期間は退職予告期間と呼ばれ、退職予告期間を守らないと会社から損害賠償を請求される可能性があります。

しかし、退職予告期間を守らなくてもよい場合もあります。例えば、以下のような場合です。

上記のような場合には、即日退職が可能です。ただし、その理由を会社に説明し、証拠を提示する必要があります。

また、会社の状況や人間関係によっては、辞めることを伝えると嫌がらせや暴言などのトラブルに巻き込まれる恐れもあります。

そのような場合は、自分の安全や精神衛生を考えて、必要な連絡だけをするか、退職代行サービスへの依頼も検討してください。

無断欠席をしない

即日退職する場合でも、無断欠勤するのは避けましょう。

無断欠席とは、会社に連絡せずに勝手に仕事を休むことです。無断欠席は、雇用契約や就業規則に違反するだけでなく、会社や同僚に迷惑をかける行為です。

そのため、会社から懲戒解雇や損害倍書請求などの厳しい対応を受ける可能性があります。

また、今後の就職活動や信用にも影響します。

即日退職する場合でも、少なくとも以下のことをおこないましょう。

即日退職する場合でも、できるだけ早く会社に連絡して理由を伝えることがポイントです。

また、辞める理由が急用や病気などのやむを得ない事情の場合は、その旨を伝えて証拠や診断書などを提出しましょう。

有給休暇等は消化しておく

即日退職する場合でも、有給休暇の消化や残業代などの未払い賃金の請求はできます。

有給休暇や残業代は労働者の権利ですので、会社は正当な理由がない限り支払う義務があります。

しかし、即日退職すると会社との交渉が難しくなる場合があります。

会社との関係が悪化したり証拠が不十分だったりすると、支払いを拒否される可能性があるためです。

そのため、即日退職する場合は、できるだけ有給休暇の消化や残業代などの未払い賃金の請求をしておくことがポイントです。

そうすれば、自分の時間やお金を有効活用できますし、トラブルを回避できます。

また、有給休暇や残業代の計算方法や支払い時期は会社によって異なる場合があるため、事前に確認しておくとよいでしょう。

即日退職が可能な退職代行とは？

ここまで即日退職について解説してきましたが、結構ハードルが高くて簡単ではなさそうだと感じたのではないでしょうか。

自力で即日退職するのは難しいかもしれないと思う方は、退職代行サービスを利用するという選択肢もあります。

退職代行とは？

退職代行とは、あなたの代わりに専門の業者に退職の手続きを代行してくれるサービスです。

退職代行を使うと、即日退職が可能になります。

また、トラブルを避けるためのアドバイスやサポートなどもしてくれます。

退職代行を依頼すると、専門のスタッフがあなたの会社に電話やメールで連絡し、退職日や理由を伝えます。

あなたは会社に顔を出す必要がありません。また、会社からの連絡も退職代行サービスが受け取ってくれます。

つまり、あなたは会社と直接対面する必要なく、スムーズに即日退職できます。

退職代行を使うメリット

退職代行を使うメリットは大きく分けて3つあります。

退職代行を使うことで、簡単に会社を辞められます。

トラブルやストレスを回避し、心理的な負担を軽減できます。

あなたが自分の人生を自由に選び、幸せな未来を手に入れるために、退職代行の利用を選択肢のひとつとして検討してみるのもいいでしょう。

おすすめの退職代行サービス

退職代行サービスは、インターネットで簡単に探せます。

しかし、なかには悪質な業者も存在するため、注意が必要です。

以下の項目に該当する退職代行は悪質業者の可能性があるため、注意してください。

悪質な業者にひっかからないよう安全に退職代行を利用するために、以下の記事ではおすすめの退職代行サービスを詳しくまとめてあります。

ぜひ参考にしてください。
退職代行サービス19選｜目的別ランキング！失敗しない選び方のコツを紹介 | 退職代行 | MyCHOICE

まとめ

即日退職は法律上可能ですが、会社や雇用形態によってはトラブルになる可能性があります。

そうならないためには即日退職する前に、辞める理由や退職届の提出方法、雇用契約書や社内規定の確認など、事前に準備しておくことが大切です。

また、即日退職が可能な退職代行サービスを利用すれば、スムーズに退職できます。

本記事では、即日退職の流れやポイント、退職代行のメリットなどを詳しく解説しました。

退職というあなたの人生の大きな選択の際に、本記事が役立てば幸いです。