近年では働き方の自由度が高くなり、独立する人も増えてきました。
独立するとなると事業を起こすことになりますが、それは「開業」と「起業」どちらになると思いますか?
開業と起業は似た意味を持つ言葉です。
しかし、実際にはニュアンスが少し異なるので違いを理解しておきましょう。
この記事では、開業と起業の違いや、具体的な使い分け方を解説します。
「開業」と「起業」の違い
始めに、開業と起業の違いについて解説します。
開業とは
開業は、既存の業種や分野で自分の会社や事業を立ち上げることを指し、
個人が開業届を出して事業を開始するときに使われます。
開業者は、すでに存在する市場や産業において、
自分自身のビジネスを始めるために必要な手続きや準備をおこないます。
たとえば、既存のレストランチェーンに参加するためにフランチャイズ契約を結ぶ場合や、
独立して弁護士事務所を開く場合などです。
開業では、すでに確立されたビジネスモデルや市場に基づいて事業を展開することが一般的です。
起業とは
起業は新たな分野の事業を創出することを指します。
起業家は、既存の市場や産業に新たな価値を提供するために独自のアイデアやビジネスモデルを開発します。
イノベーションや創造性を重視し、新しい需要を見いだすことで市場を形成することを目指します。
たとえば、新しいテクノロジーや製品を開発しビジネスを立ち上げる場合などがあります。
起業では市場のニーズやトレンドを先取りし、競争力を持った独自のビジネスを構築することが求められます。
開業と起業の違い
まとめると、起業と開業の違いは主に以下の点です。
開業は現存する業種や分野で自分のビジネスを始めることであり、
既存の市場やビジネスモデルに基づいて事業展開をおこないます。
また 、開業するには開業届の提出も必要です。
一方、起業は新たな分野の事業を創出することを目指し、
市場に新しい価値を提供することに焦点を当てます。
開業と起業の使い分け方
開業と起業の定義はわかったものの、具体的な使い分けはイメージできていない方も多いでしょう。
次に開業と起業の具体例をそれぞれ紹介します。
開業の例
開業の例を5つ紹介します。
- フランチャイズ契約を結び、新たなカフェを開業する。
- 自身の技術を生かして、美容サロンを開業する。
- 専門的な知識を持つ医師が、独立して医療クリニックを開業する。
- レストラン業界の経験を積んだ人が、自身のレストランを開業する。
- オンラインショップを立ち上げ、自身の商品を販売するために開業する。
起業の例
起業の例を5つ紹介します。
- 新しいテクノロジーを活用して起業する。
- 環境問題に取り組むため、再生可能エネルギーの開発に特化した分野で起業する。
- ユニークなアプリケーションを開発し起業する。
- ソーシャルメディアを活用したマーケティングサービスの提供をするために起業する。
- ブランドを立ち上げ、持続可能なファッションアイテムの販売をするために起業する。
開業するメリット
1人で独立する際は、開業を選ぶことが多いでしょう。
ここからは、個人で開業するメリットやデメリットを紹介します。
独立して開業するメリットは以下の4つです。
それぞれ詳しく紹介します。
青色申告で節税できる
開業すると青色申告による節税が可能になります。
青色申告とは、個人事業主が経理処理をおこない、所得税を計算する方法の一つです。
開業すると個人事業主となり、青色申告をおこなうことができます。
青色申告をすると、収入に対する所得税の税率が軽減されます。
税金の負担が軽くなり、より多くの資金を確保することができるでしょう。
小規模企業共済に加入できる
開業すると小規模企業共済に加入することができます。
小規模企業共済とは、個人事業主や自営業者が加入できる保険制度です。
労働者と同様の社会保障の一環として提供されています。
この制度に加入することで、自身や家族の健康や福祉に対する保障を受けることができます。
病気やケガによる医療費や休業補償など、万が一の事態に備えることができます。
信用度が上がる
開業することで、信用度の向上にもつながります。
銀行や金融機関からの融資や取引パートナーとの関係構築において、開業は信用度を高める要素となります。
信頼性の向上は、ビジネスの成長と安定につながる重要な要素です。
スケジュールや働き方を自由に調整できる
独立したビジネスオーナーとして、労働時間や休暇の調整が可能です。
スケジュールや働き方を自由に調整することができるので、
自己のライフスタイルや家族との時間を大切にしながら、仕事とのバランスを取ることができます。
開業するデメリット
逆に、開業するデメリットは以下の3つです。
それぞれ詳しく紹介します。
配偶者の扶養から外れる可能性がある
開業して収入が増えると、配偶者の扶養から外れる可能性があります。
従業員として働いているときは、所得制限内であれば配偶者の健康保険や社会保障などの制度を活用できます。
しかし、開業して収入が増え所得制限を超えると自身で健康保険や年金などを手配しなければいけません。
その結果、配偶者や家族の保険や福利厚生制度から外れることになり、経済的な負担が増える可能性があります。
失業保険を受給できない
開業すると失業保険を受給することができなくなります。
従業員として働いているときは、雇用契約の終了や解雇などにより失業しても、
一定の期間失業保険を受け取ることができます。
しかし、独立して開業する場合は自身が事業主となるため、
雇用契約の終了がないので失業保険を受給することはできません。
そのため、収入が一時的に途絶えた場合、経済的なリスクを抱えることになります。
雑務が増える
開業することで、自身の業務範囲が広がります。
一方で、雑務が増える傾向にあります。
従業員として働いているときは、特定の業務に集中し、他の業務は組織内の他の担当者に任せることができます。
しかし、独立して開業すると、自分で経理、財務、営業、マーケティング、人事など、
さまざまな業務を担当しなければなりません。
時間やエネルギーを分散させる必要が生じ、業務の負荷が増える可能性があります。
まとめ
- 開業と起業は似たような言葉だが、意味や使い方が少し異なる
- 開業は、既存のビジネスや分野で自分のビジネスを始めること
- 起業は、新たな事業を創出すること
- 1人で独立を目指すなら開業が多い
- 開業のメリットは、働き方の自由度や信頼度が上がること
この記事では、開業と起業の違いについて解説しました。
開業と起業は混同しやすい言葉ですが、意味が少し異なるので違いを理解して使い分けましょう。