「そろそろ独立して起業したいけど、何から始めればいいか分からない」と悩んでいる会社員の方も、いらっしゃるのではないでしょうか。
「独立には事前準備が必要だ」とは思っていても、具体的にどうすればいいか、よく分からないものです。
本記事では、「独立をスムーズに行うために、どんな準備をするべきか」について詳しくご紹介します。
会社を辞める前に、ぜひチェックしてみてください。
独立するには何をすべき?
独立するにはまず何からするべきか分からないという方へ、独立するための8つの準備について、ご紹介します。
自己分析をする
はじめに、これまでの自分を振り返って棚卸しをする、「自己分析」をしてみましょう。
自己分析というと「就活でするもの」というイメージがあるかもしれませんが、独立を考えている人にもメリットがあります。
独立開業前に自己分析をするメリットは、以下の3つです。
- 目指すべき方向性を明らかにすることで、今やるべきことに集中できるようになる
- 自分の性格や傾向を把握し、向いていること・向いていないことがわかる
- 自分が選ぶべき仕事、発揮すべき能力がわかる
具体的な自己分析方法として、以下の事柄について思いつくまま書き出してみましょう。
- 仕事やスキルなど今までやってきた経験
- 何を楽しいと感じるか、どんなことが嫌なのか
- やりたいこと、やりたくないことはどんなことか
- 抱えている不満はどんなことか
- 「本当は〜したい」などいまの自分の本音はどれだけあるか
- どういう自分になりたいか
- 自分がどんなことにワクワクするか
- 自分が仕事を通して得たいものは何か
このようなことについて、思いつくまま書き出すことにより、自分の強みや弱点、興味や価値観を客観的に評価することができます。
スキルや特性、どの分野が得意であるか、どのような価値を提供できるかを、改めて考えてみましょう。
また、信頼できる友人や家族、同僚に自分についてのフィードバックを求めることも有益です。
他者の視点から意見や感想をもらうことで、自分では気づけない特徴や行動パターンについて、発見することがあるかもしれません。
事業計画を綿密に立てる
事業計画とは、目標を達成するための手段や方法をまとめた計画のことです。
事業計画を立てる際の大切なポイントは、自分と競合の違いを理解し、自分ならではの強みを探ることです。
こうした分析は、競合との差別化を図るうえで重要な手掛かりとなるため、必ず行いましょう。
市場調査をおこなう
事業を展開したい市場の調査をしておくことは、事業失敗のリスクを減らすために重要です。
たとえば、開業を予定している地域の「年齢別の人口」「家族世帯・独身世帯の増減傾向」が分かれば、どんな商品やサービスに需要があるか予想することができます。
このようなデータは、地方自治体のホームページで調査可能なのでぜひ活用しましょう。
競合分析をおこなう
次に、自分が考えているビジネスについて、競合する事業やサービスがどのくらいあるかリサーチします。
商品やサービスの特徴、店舗展開など、あらゆる角度で比較・分析し、自身のビジネスの立ち位置や優位性をどう確立するか、考えてみましょう。
ヒアリングをおこなう
市場分析や競合分析で「こういう戦略が良さそうだ」という仮説を立てたら、次に実際のユーザーの声を確かめてみましょう。
たとえば「無料サンプル配布」や「トライアル価格でサービス」のようなことで、ユーザーの感想を得ることができます。
予想とは違う反応があったとしても、発見できたニーズに合わせてブラッシュアップをすることが可能になるでしょう。
取り扱い商品・セールスポイントを決める
分析やヒアリングで得られた情報をもとに、商品やサービスの内容を決定します。
下記の例のような「お客様に伝わる付加価値」をアピールすると、強いセールスポイントになるでしょう。
- サービス提供のスピードが早い
- 安くてお得である
- アフターサービスがしっかりしている
- 機能的である
自分の商品やサービスの価値をよく理解することで、価格の設定にもミスがなくなります。
販売ターゲット・販売戦略を考える
次に、セールスポイントをもとに、販売ターゲットを考えます。
年齢・職業・年収など、具体的な人物像を設定して販売ターゲットを絞りこみ、商品価値を伝える効果的な販売戦略を検討しましょう。
販売方法については、実店舗やネットショップで自分が販売する「直接チャネル」、他の小売店などに商品を販売してもらう「間接チャネル」などがあります。
自分の事業に適した販売経路を選び、売上をつくる流れを整えていきましょう。
経営に必要な知識を身につける
経営者に必要とされる知識には、以下のようなものがあります。
ビジネスパーソンに必要な知識 | 経理・財務・マーケティング・法務・営業・契約手続き・労務など |
経営者に必要な知識 | 事業計画の策定・リスク管理・経営の仕組み・マインドセット |
自社の知識 | 資金調達方法・オペレーション |
こうした知識を身につけていく方法には、以下のような方法があります。
- 経営者の自叙伝を読む
- 経営者向けセミナーで効率的に学ぶ
- 経営者のコミュニティに参加するなど生の声を聞く
一度に知識を得ることは難しいので、少しずつ学んで蓄えていくようにしましょう。
資金調達方法を調べる
ビジネスの資金調達方法は多岐にわたりますが、主に以下の方法があります。
出資 | 自己資金、エンジェル投資家、ベンチャーキャピタル、クラウドファンディング等 |
個人借入 | 銀行の個人ローンや親戚・知人からの借入等 |
融資 | 制度融資、銀行、信用金庫、公庫等 |
補助金・助成金 | 創業補助金・再就職手当等 |
資金調達の際に気を付けておきたいポイントは、以下の3つです。
- 競合をリサーチし、自分のビジネスの強みをアピールする
- 具体的な原価や必要経費を算出し、どれくらい利益ができるかを明確に表現する
- 可能な限り、必要な資金調達額を少なくする
独立した直後は、事業実績がないことから、出資や融資が受けられない場合があります。
ある程度の自己資金が用意できてから検討するか、個人としての借入れを利用するケースもあります。
大きな借り入れをせずにすむよう、現実的な計画を立てておくことが大切ですが、必要な時には資金調達ができるよう、しっかり準備をしておきましょう。
収入源を確保する
独立を考えているなら、在職中から収入源をいくつか持っておくことをおすすめします。
なぜなら独立直後はお金がかかるうえ、収入が安定するまでに時間がかかることが多いからです。
- ブログやYouTube等で継続的に得られるストック型収入を作る
- 資産運用でお金を殖やす仕組みを作る
独立直後の事業がうまくいかない時期に備えて、上記のように、生活費をまかなう方法を複数考えておきましょう。
家族に説明して理解を得る
独立する際には、家族の理解を得ることが大切です。
家族の理解と協力があれば、ビジネスが軌道にのらない辛い時期があっても、経済面やメンタル面で支えてもらうことができるでしょう。
「家族から独立について理解を得るのが難しい」と悩んでいる方は、以下3点に気をつけて話してみることをおすすめします。
- 実現可能な見通しが立っていることを伝える
- 無理に説得はしない
- 話すより聞く姿勢をもつ
家族の理解を得るためには、「具体的かつ実現可能」と示せる情報が必要です。
しっかりとした事業計画があり、売上の見込みもある程度立っていることなどを、分かりやすく示すと良いでしょう。
仕事を辞めて独立すると聞かされれば、家族が不安になるのは当然のことです。
家族の視点に立ち、「どんなことに不安に感じているのか」を考え、ひとつひとつ丁寧に、不安や疑問を解消しましょう。
独立する時期を決める
独立する時期は、さまざまな要因によって決まります。
- 利用できる補助金や助成金がある
- 勤め先が早期退職者を募集している
- スモールM&Aが可能
- 旬や時流から今だと感じる
- 売上がある程度出ている
- 独立するしかない状況になった
しかし、「独立したものの、売上が立たない」という結果にならないように、可能な限り事前に見込み顧客を作ってから独立することが望ましいでしょう。
独立に必要な手続きを調べる
独立開業する際には、さまざまな手続きが必要です。
例えば、個人事業主として開業する場合であれば、「個人事業の開業・廃業等届出書」を納税する住所地の税務署に提出します。
青色申告を希望する場合は、同時に「所得税の青色申告承認申請書」も提出しましょう。
社会保険については、個人事業主は原則として、国民健康保険に切り替えをすることになります。
退職後14日以内に住所地の役所窓口で手続きをしましょう。
社会保険については他にも、直近の勤め先で加入していた健康保険組合などの任意継続をする、職業別の国民健康保険組合に加入する、家族の勤め先の社会保険に扶養家族として加入するなどの選択肢があります。
独立をする前に、それぞれの特徴や、必要となる手続きを確認しておきましょう。
なお、従業員を雇う場合には、従業員の雇用保険や労災保険、場合によっては健康保険、介護保険、厚生年金などの手続きが必要となります。
給料を支払うための届出や、源泉徴収の手順などについても、事前によく確認しておいたほうがよいでしょう。
後悔のない独立をするには?押さえておきたい4つのポイント
独立してから後悔しないために「押さえておきたい4つのポイント」をご紹介します。
売上の見込みが立ってから独立する
独立資金の準備ができたら、すぐに開業すればいいというわけではありません。
ある程度、売り上げが出る見込みがなければ、急いで開業をしても赤字となり、せっかくの準備資金も減っていってしまいます。
事業は小さい規模からスタートし、売上のペースや顧客の見込みが立ってから本格的に取り組むようにしましょう。
独立自体を目的にしない
独立は、自分のビジネスを行う「手段」です。
独立すること自体が「目的」になっていると、ビジネスの本質や続けていくための目標が曖昧になってしまいます。
努力を続けるモチベーションが続かなければ、挫折する原因にもなりかねません。
独立するより副業で進める方が良い場合もあるため、慌てずじっくり考えてみましょう。
独立時のコストを抑える
独立を成功させるために、立ち上げ費用の抑制を検討しましょう。
あまり設備投資が大きいビジネスを始めると、売上が予想どおりに上がらなかった場合の損失が大きくなります。
以下のような工夫で、初期コストを抑えることができます。
- 自宅やコワーキングスペースをオフィスにする
- 最初から従業員を何人も雇用するのではなく、フリーランスへの発注や有期契約社員などで人件費を抑える
- 機器・設備はリースやレンタルを利用する
売上が安定するまでは、少ないコストで事業を進め、力を蓄えましょう。
社会的信用が必要な手続きは独立前に済ませておく
独立すると、会社員時代に比べ社会的信用が低くなり、以下のような手続きができなくなる場合があります。
- クレジットカードの新規申し込み
- ローンの申請
- 新規賃貸契約
在職中で社会的信用が高いうちに、審査がある手続きは早めに済ませておくようにしましょう。
まとめ
ここまで「独立するには何をすべき? 8つの準備と後悔しない4つのポイント」についてご紹介しました。
最後にまとめると、起業に必要な準備は以下のとおりです。
- 綿密な事業計画を立てる
- 経営者としての知識を蓄える
- 資金調達方法や事業以外の収入源を確保する
- 家族の理解と協力を得る
- 社会的信用が必要な手続きは独立前に済ませる
独立開業をスムーズに成功させるには、このような綿密な事前準備が重要です。
仕事を辞める前に、少しずつしっかりと進めていきましょう。