「ラーメン屋で開業したら、楽しくお金を稼げるかも」
「すぐできて、すぐ食べられて、しかもおいしい」ラーメンを嫌いな人はまずいないでしょう。
なかには、ラーメン好きが高じて、「自分が本当に食べたいラーメンを作ってお客さんに食べてもらいたい」と開業を検討する人もいるのではないでしょうか。
本記事では、ラーメン屋の開業方法や資金調達、開業のメリット・デメリットについて解説します。
この記事を読むとラーメン屋を開業するイメージがつかめます。
参考までにぜひお読みください。
ラーメン屋を開業するメリット
「ラーメン店の経営は難しい」と耳にする人もいるでしょう。
しかし、ラーメン店ならではのメリットを魅力に感じ、多くの人が開業を選択します。
まずは、ラーメン屋を開業するメリットについて見てみましょう。
比較的低資金で始められる
ラーメン屋の開業資金も、ほかの飲食業と同様に1,000万円程度が相場とされています。
しかし、以下の方法で開業資金を抑えれば、比較的低資金で経営を始められます。
- 一等地を避けて、賃料を下げる
- あらかじめ設備がそろっている居抜き物件を狙う
- 「カウンターのみの店舗」や「少ないメニュー」で小規模からスタートする
- 中古の厨房機器を活用する
- 麺を自家製ではなく仕入れで用意し、製麺機のコストを抑える
- 店舗にこだわらず、屋台やキッチンカーで開業する
特にラーメン屋は広さや快適性を売りにする業種ではないため、小規模なスペースから始めて賃料を抑える方法が有効です。
また、キッチンカーや屋台で開業すれば、開業費用が抑えられるだけでなく、ランチタイムのオフィス街やイベントなど需要の高い場所に出店できるのも魅力です。
自分のこだわりを反映できる
ラーメンと一口にいっても、スープの味だけでも選択肢が多くあります。
ベーシックな塩や醤油、味噌、豚骨だけでなく、担々麺や麻婆麺、酸辣湯麵、鶏白湯……。
スープの種類だけでも豊富なバリエーションがあるうえ、麺の種類もストレート、ちぢれ麺、平麺などがあります。
さらに、上に乗せる具材でもオリジナリティを出せます。
ラーメン店はシンプルなメニューのなかに自分のこだわりを詰め込んで勝負ができるため、魅力的な業種といえます。
ラーメン屋を開業するデメリット
こだわりを凝縮したラーメンでお客さんを呼び、大人気のラーメン屋になる可能性もあるのがラーメン屋を開業する魅力です。
しかし、人気の職業であるラーメン屋の開業にはデメリットも潜んでいます。
ライバルが多い
ラーメン業界は競争が激しく、ライバルが多い点が大きなデメリットです。
新たにラーメン屋を開業する際には、既存の人気店や開業後に新規出店してくる店舗との競争を覚悟しなければなりません。
ライバルも多く、ターゲット層も広いため、ラーメン屋は人気も需要も高い職業ではあります。
しかし、地域によってはラーメン店の出店舗数が集中し、お客さんの取り合いが激しくなるでしょう。
原材料の負担が大きい
ラーメン屋の2つ目のデメリットが、原材料費の負担の大きさです。
- 麺の原材料である小麦価格の高騰
- ラーメンスープの味付けは濃いめで材料も多くかかる
- 製麺所から麺を仕入れることが多く、仕入れコストがかかる
主に上記のような理由で、そばなどと比べて同じ麺類でもラーメンの原材料費は一般的に高めになります。
もちろんラーメン屋として営業するからには、光熱費や人件費、家賃なども含めたうえで利益を出さないといけません。
例えば、同じ飲食店でもカフェならば休憩や打ち合わせなど飲食以外の目的での需要もあるため、「インテリア」や「雰囲気」などの付加価値による集客が可能です。
しかし店内での滞在時間が少なく、食べることが主目的であるラーメン店の場合にはまず「味」がよくなければ利益を上げるのは難しいでしょう。
ラーメンの原価率は30〜35%といわれています。
1杯1,000円のラーメンなら300〜350円、800円なら240円〜280円程度の限られた原価のなかで、お客さんに満足してもらえるおいしいラーメンをいかにして作るかが重要になってきます。
ラーメン屋を開業する方法
「ラーメン屋として開業する!」と決心しても、素人がいきなりお客さんに満足してお金を払ってもらえるラーメンを提供するのは難しいでしょう。
ラーメン屋として開業するには、大きく分けて「ラーメン屋での修行」「フランチャイズ加盟」の2つの方法があります。
ラーメン屋で修行する
「ラーメン屋を開業するための方法」といってまずイメージするのが、ラーメン屋の店主のもとで修行して、テクニックや経営スキルを身につける「修行」でしょう。
繁盛店で修行できれば、調理面だけでなく仕入れや混雑時のお店の回し方など実際の店舗運営を学びながら、ラーメン作りの技術を着実に身に着けられます。
さらに、名の知れた有名店なら「○○のお店で修業」のような肩書きも手に入るため、集客にも役立ちます。
ただし、個人店の場合には以下のような点も留意しておきましょう。
- 希望するようなお店で雇ってもらえるかわからない
- 店主によって技術を伝える意志や、教えかたの上手さが異なる
- 本格的な「修行」の場合、勉強メインのため拘束時間や給料面などの労働条件は悪い可能性がある
「今の仕事よりキツイ思いをする可能性もあるけれど、直接リアルな店舗経営を学びたい」と思う人は店舗での修行を検討してもよいでしょう。
フランチャイズに加盟する
- 「まず修行できるラーメン屋を見つけるのが大変」
- 「開業までのステップを確実に進めたい」
- 「初心者でも身につくラーメン作りの技術を学びたい」
上記のように考える人には、店舗での修行よりラーメン屋のフランチャイズへの加盟がおすすめです。
フランチャイズなら、今までにも多くの未経験者を開店までサポートしている実績があり、店舗経営初心者でも開業・経営しやすいシステムが整っています。
さらに、初期の課題である「信頼の獲得」や「集客」も、フランチャイズのブランドを利用できるためハードルが低くなります。
ただし、開店や営業の負担が減る代わりに加盟金やロイヤリティの支払いが発生するため、見込まれる収益とのバランスを検討したうえで加盟するかどうか決めましょう。
ラーメン屋の開業に必要な資金
ラーメン店の開業に必要な資金には、主に以下のようなものが挙げられます。
- 物件取得費(保証金や賃貸契約の仲介手数料など)
- 内装工事費
- 外装工事費
- 厨房設備費
- 空調設備費
- 備品購入費
- 広告費
開業に必要な資金をすべて合わせると、おおむね1,000万円ほどかかります。
厚生労働省の「jobtag」によると、ラーメン調理人の平均年収は339.5万円です。
しかし調査対象の半数弱にパートタイマーが含まれるため、経営者としてラーメン屋を開業した場合の年収はもっと高いと考えられます。
ラーメン屋の開業のために初期費用を調達する方法には、「自己資金」「金融機関からの融資」「補助金や助成金」などがあります。
初期費用の資金調達方法を選定したら、回収するまでの事業計画を立案します。
ラーメン屋の開業に必要な資格・届出
ラーメン屋の開業には何の資格や届出が必要なのでしょうか。
次に、ラーメン屋を始める際に必要な手続きについて解説します。
食品衛生責任者
食品衛生責任者は、HACCP(ハサップ)と呼ばれる衛生管理手法に沿って衛生管理をおこなう責任者を指します。
飲食店や食品を取り扱うすべての事業者には、食品衛生責任者の設置が義務付けられています。
食品衛生責任者は1店舗に1人いればよく、経営者でなくても問題ありません。
しかし、ラーメン店の場合個人経営が多いのと、責任者の資格を持つ従業員が辞めてしまった場合に備えて、店主が責任者となったほうがよいでしょう。
食品衛生責任者の資格要件には調理師や食品衛生管理者などの資格を有する必要があります。
資格要件を満たしていれば管轄の保健所に届け出るだけです。
資格要件を満たない場合は、都道府県知事などがおこなう(認める)講習会を受講すれば資格を取得できます。
講習会は各都道府県の食品衛生協会で申し込みをして受講でき、半日〜1日の講習を修了すれば受講済証が交付されます。
飲食店営業許可
飲食店の開業にあたっては、保健所に申請して営業許可証を取得する必要があります。
営業許可を取得するには、店舗の工事完了後に保健所の立入検査を受けて合格しないといけません。
基準は各保健所によって異なるため、事前に店舗の設計図面を持参して相談しておくと、工事後に変更が必要になるリスクが下がります。
相談の結果、許可をもらえそうな目途が付いたら、次に店舗の図面と合わせて営業許可申請書を保健所に提出します。
申請書の書式は各自治体によって違うため、ホームページや保健所で入手しましょう。
また、営業許可申請の際には食品衛生責任者の資格が必要になるので、資格を取得してから申請をおこなってください。
立入検査で問題がなければ、営業許可証が取得できます。
防火管理者
防火管理者とは、多数の者が利用する建物での「火災による被害」を防止するため、防火管理上必要な業務を計画的におこなう責任者を指します。
ただし、防火管理者を設置する対象は「多数の者が利用する建物」のため、客席数が30人未満の場合には必要ありません。
防火管理者の資格は講習で取得できます。一般社団法人防火・防災協会によると、講習は以下の団体が実施しています。
- 都道府県知事
- 消防本部及び消防署を置く市町村の消防長
- 総務大臣登録講習機関
ラーメン店の規模で取得するのは小規模向けの「乙種」になるでしょう。
乙種の防火管理者講習は、1日(おおむね5時間)で修了できます。
ラーメン屋開業で成功するポイント
「お客さんがたくさん来るように」と駅前一等地に開業したけれど、ライバル店も多く収益が上がらない……。
賃料が高くて経営が苦しくなり失敗……。
ラーメン店経営の難しさは、立地とコストの兼ね合いにあるでしょう。
最後に、ラーメン屋の開業で失敗を避けるポイントについて解説します。
立地にこだわる
「立地にこだわる」と聞くと、「駅近一等地の商業地域」のイメージを持つかもしれません。
しかし、賃料も高くライバル店も多い駅近物件がよいとは限りません。
また、「こってり×ボリューム」や「あっさり×おしゃれ」など、ラーメンのコンセプトやターゲット層によっても最適な立地は変わってきます。
「立地のよさ」だけに目を向けず、周辺の競合店やターゲット層の集客が見込めるかも考慮して出店場所を決定しましょう。
駅近だけでなく、学生街やカフェが多く食事場所が少ないようなエリア、お酒のシメ需要を狙える居酒屋の近くなども「よい立地」になり得ます。
独自の強みを意識する
もし、「競合店が多いエリアで勝負したい!」と考えるなら、ライバル店に勝てるような「強み」について考える必要があるでしょう。
- 値段
- 味
- 店の雰囲気
- ラーメンや店舗のコンセプト
- オーナーの魅力
ほかにも、ライバル店と差別化して勝つポイントがあるかもしれません。
自分の作るラーメンや店舗が持つ独自の強みを考え、アピールする戦略も考える必要があります。
宣伝に力を入れる
おいしいラーメン店があっても、存在を知らなければ当然来店にはつながりません。
また存在を知っていても、普段行き慣れていて安心できる店を差し置いて「新しい店が気になるから行ってみよう」となるには強力なアピールポイントが必要です。
「おいしいラーメンを作っていればだんだんお客さんはついてくるだろう」ではなく、チラシ・看板・SNS・LINE登録など、自店の強みを効果的に伝えるための宣伝戦略も考えましょう。
まとめ
- ラーメン屋のメリットは「自分のこだわりを出せ、低資金でも始められる」点
- ラーメン屋のデメリットは「ライバルが多く、原材料の負担が大きい」点
- 実際の店舗運営から自分の力で学びたい場合は店舗での修行、スムーズに開業したい場合はフランチャイズでの開業がおすすめ
- ラーメン屋開業に必要なのは「食品衛生責任者」「開業許可書」の2つ、規模によっては「防火管理者」も必要
- ラーメン店開業で成功するポイントは、「店に合った立地」「独自の強み」「効果的な宣伝」の3つ
味や具材のバリエーションが幅広く、年代・性別問わず人気のラーメンでお店を持つのはとても魅力のある独立プランです。
記事を読んで気になった人は、まずは近くのラーメン店やフランチャイズのWebサイトでリサーチをしてみるのがおすすめです!