整体院を始めようと思っても、「まず何から手をつければいいんだろう?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、整体院開業までの手順や費用、注意点について解説しています。
整体師におすすめの資格も解説しているので、整体院開業予定の方や、将来整体院を開業したいと思っている方はぜひ最後までご覧ください。
整体院を開業する方法【開業形態を紹介】
まずは、どのような形で開業するかを決めましょう。
開業する形態によって、それぞれかかる費用が変わります。
主な開業形態は以下の4つです。
1つずつ見ていきます。
自宅で開業する
自宅での開業は、賃料や交通費などの諸費用がかからず資金を抑えることができるため、赤字リスクの低い開業方法です。
そのため、開業時の資金に余裕がない場合や、一人で整体を開業する場合は、この方法がおすすめです。
しかし、リラックスして施術を受けてもらうために、生活スペースと整体スペースはしっかり分けましょう。
パーテーションの設置や内装工事をするなど、生活感を感じさせないような工夫が大事です。
店舗を借りる
店舗用物件は、比較的にぎやかな場所に位置していることも多いため、人の印象にも残りやすく、飛び込み客がくることもあります。
4つの開業形態のなかでは、最も集客しやすい開業方法でしょう。
しかし、賃料が高くなるのがデメリットです。
もし、店舗内の備品や内装がそのまま残っている居抜き物件を見つけることができれば、内装工事や備品の準備が減るため初期費用をある程度抑えることができるでしょう。
マンションの一室を借りる
マンションの一室を整体院として利用する方法もあります。
この場合、店舗と比べると賃料を抑えられる場合が多いでしょう。
しかし事業をおこなうには、そのマンションが商用利用できるかどうか、事前の確認が必須です。
また、この方法では、目立つ看板の設置ができません。
マンションを利用する場合は、集客に工夫が求められます。
レンタルサロンを借りる
レンタルサロンとは、時間単位で施術スペースをレンタルするサービスです。
原則として、利用した時間に対する利用料を支払うため、敷金礼金や水道光熱費の支払も不要です。
備品も準備されているため、初期費用もほとんどかかりません。
稼働していない時間の不要なコストを抑えることができる開業方法です。
また、レンタルサロンを利用する場合、複数のエリアでサービスをおこなうことが可能です。
ただし、先にサロンの利用予約が入っている時間には施術ができないというデメリットもあります。
複数のレンタルサロンを併用すれば、安定して予約を取りやすくなります。
整体院を開業する手順【5ステップ】
どのような形態で整体院を開業するかを決めたら、さっそく開業に向けて進めていきましょう。
整体院の開業の手順を解説します。
【ステップ1】事業計画を立てる
まずは事業計画を立てましょう。
事業を成功させるには、しっかりと考えられた事業計画が不可欠です。
整体院のコンセプト、サービス内容、市場調査、想定される収支など、整体院を運営するにあたって必要な事を細かく決めていきます。
また、事業計画書は融資を受ける際にも必要となるので、開業前に作りこんでおきましょう。
【ステップ2】開業資金を調達する
開業資金をすでに準備している状態で始めることが望ましいですが、そうはいかない場合もあるでしょう。
開業するために必要な資金を調達する方法としては、銀行などに融資を受けることが一般的です。
日本政策金融公庫・銀行・信託銀行など、さまざまな機関で開業資金の融資をおこなっているので、金利や融資の条件を比べて、自分に合った融資を受けましょう。
また、細かい要件はありますが、国や各都道府県では補助金や助成金を出しています。
補助金や助成金の場合、融資と異なり原則返済が不要です。
ぜひ、自分の事業にあった補助金や助成金の募集がないかを確認してみましょう。
参考:スマート補助金
【ステップ3】物件を選ぶ
物件を探す際は、次の3つを押さえましょう。
- 1度に対応できる客数に見合う広さであること
- 都市部の場合、駅から近いこと
- 地方の場合、駐車場があること
もちろん、自分の予算にあった家賃であることも忘れないでください。
【ステップ4】内装・備品を整える
整体院を始める際、ほとんどの物件は内装工事が必要です。
内装は、顧客にリラックスして施術を受けてもらえるように、しっかり考えましょう。
好みの内装や、居抜きの物件を見つけられると、予算や時間を抑えることができます。
また、整体院の備品には、最低限以下のものは用意しましょう。
- 施術用ベッド
- タオルやシーツ
- カーテンやパーテーション
- 施術着
- デスク
- カルテ
- レジ
備品の準備には、少なくても数十万はかかります。
予算が限られている場合は、どこにこだわるのかを決めて、備品の準備を始めましょう。
【ステップ5】集客を始める
集客は始めてから効果が出るまで時間がかかるため、開業前から集客に取り組みましょう。
主な集客ツールとしては、ホームページ、チラシ作成、ブログ、SNS運用が挙げられます。
なかでも、現在はSNSでの情報収集が一般的になっているため、SNS運用に力を入れましょう。
無料でアカウントが作成できるため、広告費を抑えることもできますし、フォロワーが増えることで新規顧客の集客にもつながります。
【項目別】整体院の開業にかかる費用
整体院の開業にかかる費用は、形態やどこまでこだわるかによってかなり変わるため、数十万円~500万円程度必要です。
開業に必要な費用の項目と、金額の目安は以下を参考にしてください。
- 物件取得費: 数十万~100万円程度
- 内装工事費: 20万円~100万円程度
- 備品購入費: 数万円~100万円程度
- 広告宣伝費: 数万円~50万円程度
ただし、これはあくまでも目安です。
DIYで内装工事をしたり、自宅やレンタルサロンを利用した開業で費用を抑えることは、十分可能です。
開業後にもさまざまなことに費用はかかるため、開業に使える予算をしっかり把握しておきましょう。
整体院の開業に必要な届出【申請書様式のリンクあり】
開業届を税務署に提出するだけで、整体院の開業手続きは完了です。
開業届は、所轄の税務署に提出しましょう。
提出期間は、開業日から1ヵ月以内です。
1ヵ月以上経過してしまっても特に罰則はありませんが、優遇措置を受けられない可能性などの不利益がありますので、開業日を迎えたら早めに提出しておきましょう。
開業届様式:国税庁「個人事業の開業・廃業等届出書」
また、開業届の提出と一緒に青色申告承認申請書を提出しましょう。
青色申告は白色申告より手間がかかりますが、65万円の青色申告特別控除や赤字の3年間繰越など、さまざまな優遇措置を受けることが可能です。
申請書様式:国税庁「所得税の青色申告承認申請書」
整体院の開業におすすめの資格【国家資格・民間資格】
「整体師になるにはいろいろな資格が必要だろうな」と思う方も多いかもしれませんが、実は、整体院を開業するために必要な資格はありません。
つまり、技術がなくても整体院の開業は可能です。
しかし、施術スキルや知識がなければ、固定客がつかず、あっという間に廃業に追い込まれるかもしれません。
顧客に安心して利用してもらうためにも、専門的な技術と知識を身につけるほうがいいでしょう。
整体院の開業におすすめの国家資格は、以下のとおりです。
- 柔道整復師
- あん摩マッサージ指圧師
- はり師・きゅう師(この2つの資格を取得すると鍼灸師と名乗れます。)
有資格者にしかできない施術もあるため、国家資格を取得すると他の整体院との差別化にもつながります。
整体院の開業におすすめの民間資格は、以下のとおりです。
- リフレクソロジー
- カイロプラクティック
- ゆがみ矯正インストラクター
- リラクゼーション整体ボディケアセラピスト
- スポーツ整体ボディケアセラピスト
- 整体ボディケアセラピスト
民間資格はたくさんあるため、ここで紹介したのは一部の資格です。
自分の身につけたい技術に合う資格を取得しましょう。
通信教育で取得可能な資格もあるため、忙しくスクールに通う時間が取れない方や、費用をできるだけ抑えたい方にもおすすめです。
整体院の開業で失敗しないための3つのポイント
整体院に特別な資格は必要なく、比較的開業しやすいため、同業者が多い業種です。
整体院の開業で失敗しないために押さえておくべき、3つのポイントについて解説します。
価格設定
整体院を成功させるためには、固定客の獲得が大切です。
固定客を獲得すると、安定した経営につながります。
そのため、リピートしてもらえるような価格を設定しましょう。
高すぎると固定客の獲得が難しくなり、低くしてしまうと売上目標に届かないかもしれません。
価格を決める際は、目標額の逆算や、周辺の同業者の価格を参考にしてみましょう。
ブランディング
得意を活かしてブランディングしましょう。
もし肩の施術が得意なら「肩の施術ならこの整体院」、出産後の骨盤矯正に特化した「骨盤矯正専門整体」など、この症状ならここの整体がいいと認識してもらえると、他の整体院と差別化でき成功しやすくなるでしょう。
ブランディングを確立するためにも、自分の強みをアピールし続けることが大切です。
顧客満足度
顧客はどこかしらの不調があり、整体院を利用します。
この不調を改善できれば、顧客満足度につながります。
顧客満足度が高ければ、リピートしてもらえるだけでなく、クチコミで新規顧客の獲得もできるでしょう。
ただし、技術力さえあればいいわけではなく、顧客とのコミュニケーションを取り、信頼関係を築いていくことも顧客満足度を上げるためには大切です。
まとめ
- 整体院の開業には開業届を出すだけで、特に必須の資格はない。
- 開業する前には事業計画を練る必要がある。
- 整体院で成功するためには、自分の強みを活かし他との差別化をする。
- どのような形態の整体院を開業するかによって、費用が大きく変わる。
- 特別な資格は必要ないが、資格があることでできる施術もあるため、自分の方向性に合った資格を持っている方がよい。
整体院の開業は、開業届を出すことで始められるため、他の事業と比べ比較的簡単にスタートできます。
しかし、その分同業者も多くライバルが多い業界です。
免許や資格も特に必要ありませんが、資格は知識や技術を習得した証明にもなるため、顧客の安心や信頼にもつながります。
ライバルとの差別化や仕事の幅を広げるためにも開業する整体院のコンセプトに合った資格を持っているといいでしょう。
「早く開業したい」と思うかもしれませんが、事業を成功させるためにも、急がず一つ一つ準備をして開業しましょう。