自己破産費用を支払えない場合にどうするべきか?詳しく解説!

コラム

多額の債務を抱えてしまい、自力で債務を返済することが難しいと判断した場合に「自己破産」を選択する方は多いでしょう。

しかし、自己破産を弁護士に依頼する際に費用が払えないことで、手続きを進めることができない例もあります。

「自己破産手続きを行いたいが、自己破産手続きに必要な費用を払えない」

このような状況に追い込まれた際に、お金を工面する方法はないのでしょうか?

この記事では、自己破産手続きのおさらいからメリット・デメリット、自己破産の費用が支払えないときの対処法まで総合的に解説します。

自己破産とは

「自己破産」とは、自身の財産・収入が慢性的に足りなくなり、裁判所に現在抱えている債務を「返済できる見込みがない」ことを認めてもらうことで、法律上の借金の支払義務を免責する手続きです。

税金・慰謝料などを代表例とする「非免責債権」は、自己破産の対象にはなりません。

しかし、対象者によっては、大幅な債務減少効果を見込めるため「人生の再スタート」を行ううえでも検討の余地があるでしょう。

自己破産のメリットデメリット

「自己破産」を行うことで得られるメリット・デメリットを知ることで手続きの全体像が見えてきますので、具体的に見ていきましょう。

自己破産のメリット

最初に、自己破産の具体的なメリットをピックアップして解説します。

債務の支払義務がなくなる

前述したように、現在抱えているすべての債務の支払義務を免責されるため、「多額の借金を払い終える未来が見えない」という精神的プレッシャーから解放されます。

借金返済もなくなるため、未来に向けて貯蓄を進めることも可能になります。

取り立て行為がストップする

自己破産手続きを行って、免責決定が裁判所から通知されると債務者からの取り立て行為もすべてストップします。

つねに多額の借金のことを考え続ける生活から解放されることで、将来に向けたことを考える余裕が生まれるのです。

ある程度の財産を手元に残せる

自己破産を行うと、住宅・車・土地・不動産などの換価できる財産は処分対象となります。

ただ、自己破産では「最低限の生活を行ううえで必要な財産」については処分されない仕組みとなっているので「自己破産をしても処分されない」財産のことを「自由財産」と呼びます。

「自由財産」に該当するものとして代表的なものが、以下です。

  • 99万円以下の現金
  • 自己破産手続き後に取得した財産
  • 法律上で差し押さえが禁止されている財産(日用品・3ヵ月分の生活必需品など)

自己破産のデメリット

すべての債務支払いが免責となる強力な効果のある自己破産ですが、その反面で「デメリット」も存在します。

具体的なものを頭に入れておきましょう。

住宅・車・土地などの財産を手放す必要がある

「自己破産」を行うと、所有している住宅・車・土地など換価できる資産は手放すことで弁済を行う必要があります。

マイホームも手放す必要があり、引越しをせざるを得ない状況に陥ることはひとつのデメリットです。

ブラックリストに載る状態になる

自己破産を行うと、信用情報機関に事故情報が掲載される「ブラックリスト状態」に陥ります。

ブラックリスト状態になると、クレジットカードの作成や新規ローン契約などができなくなることも覚えておきましょう。

官報に掲載される

自己破産を行うと、政府の機関紙である「官報」に自己破産手続きを行ったことが掲載されます。

ただ、現実的な視点で見ると特定の業務に従事している方が業務内で官報を定期的に見ることはあるかもしれませんが、日常生活の中で官報の中身をチェックすることはほとんどの場合ありません。

「自己破産を行った事実が知り合いに分かってしまうのでは?」と不安になる方も多いですが、可能性として限りなく低いと考えてよいでしょう。

自己破産にかかる費用

自己破産には、大きく分けて「同時廃止」「管財事件」「少額管財」の3種類があります。以下が、それぞれに掛かる自己破産費用の目安です。

同時廃止事件 管財事件 少額管財事件
裁判所費用 1〜3万円 50万円〜 20万円〜
弁護士費用 25〜30万円程度 30〜80万円程度 30〜50万円程度
合計 30万円〜 80万円〜 50万円〜

1.同時廃止

車・土地・住宅などの資産を保有していない場合には、同時廃止が適用されます。

破産管財人が財産の換金・債権者への分配など行う手続きが丸々不要になることから3種類の中でも安価です。

2.管財事件

車・土地・住宅などの資産を処分する必要がある場合に「管財事件」に移行します。

財産の分配などを行う破産管財人に対して支払う報酬が上乗せされることで、料金は割高になるのです。

3.少額管財

一部の裁判所で用いられており、一定の条件を満たすことで管財事件でも支払う金額が少額で済む場合があります。

最寄りの裁判所が「少額管財」に対応しているかを確認しておくことも大切です。

自己破産の手続きの流れ

自己破産手続きのメリット・デメリットから、おおよその費用感までを説明してきました。

次に、自己破産手続きの流れを時系列に沿って説明します。

弁護士依頼

自己破産手続きを代行して行う弁護士に依頼を行います。

依頼する弁護士を選定するポイントとして「自己破産を担当した実績が多数ある」「無料相談で担当の方とコミュニケーションがしやすい」などを押さえておきましょう。

基本的には弁護士と連絡を取り合いながら、二人三脚で手続きを進めるため「性格的にどのような弁護士か?」を含めて弁護士選びは慎重に行いましょう。

債権者へ受任通知送付

弁護士に正式に自己破産依頼を行うと、弁護士から各債権者に対して受任通知が送付されます。

受任通知とは「債務者からの依頼を受けて弁護士が自己破産手続きを開始する」ことを通知するものです。

受任通知以降は、債権者からの問い合わせはすべて弁護士が担当するため、債務者に対する取り立てなどが一時的にストップします。

申立の準備(書類作成・聞き取り面談など)

裁判所に対して、自己破産を申立てる際に必要な作業が書類作成です。

書類には「弁護士側で作成できる書類」「債務者の自筆が必要である書類」の2種類があります。

「債権者の自筆が必要である書類」は、弁護士が記入箇所を付箋などで分かりやすく指定している場合が多いです。

記載したものを弁護士に渡すことで弁護士側で書類を完成させていきます。

「弁護士側で作成できる書類」でも、債務者からの情報が必要な場合もあるでしょう。

書類を作成するうえで、聞き取り面談などを行って情報を収集したのち、弁護士側で書類を作成します。

裁判所面談

申立書提出後、裁判所において裁判官・債務者・弁護士で三者面談が開催されます。

場合によっては債務者は出席せず、弁護士と裁判官の間で行われる形もあるため頭に入れておきましょう。

この面談を経て「同時廃止」「管財事件」「少額管財」の決定が行われます。

「同時廃止」の場合は、破産手続開始決定が出ることで免責手続きに入りますが「管財事件」「少額管財」では、破産管財人が選定されて財産処分のフェーズに入ります。

破産管財人選定と財産処分・債権者集会【管財事件・少額管財の場合のみ】

破産手続開始決定と同時に破産管財人が選定されます。

その後、換価できる財産の分配を債権者に向けて行いますが「債権者集会」のなかで換価した資産の配当見込みなどが共有されます。

財産の分配がすべて完了すると、免責確定に進むのです。

免責確定

自己破産手続き開始決定だけでは債務返済の義務はなくなりません。

裁判所から免責許可決定の通知が出て、はじめて返済義務がなくなります。

自己破産の費用が支払えないときの対処法

「自己破産を行いたいが、費用が高額であるため手続きできない」と考える方も多いのではないでしょうか?

そもそも、借金返済が難しい方が自己破産を検討することから、「自己破産費用がすぐに用意できない」という状況は珍しいことではありません。

以下の対処法から自分に合ったものを選びましょう。

分割払いの相談をする

多くの法律事務所では、分割払いにも対応しています。

自己破産に掛かる費用を1年(12回)程度で分割して、毎月支払いを続けるのです。

弁護士費用をすべて払い終えた時点で、受任通知以降の書類作成などを進めていきます。

受任通知は、初回(1回目)の支払いが済んだ時点で行われ、債権者への返済を行う必要はなくなるのです。

毎月、返済に充てていた金額をそのまま自己破産の分割払いに充てられるため、追加での費用負担は発生しません。

「自己破産費用の分割払い」が、自身で解決できる一番現実的な方法といえるでしょう。

法テラスで相談する

法テラスとは国が設立した法的トラブル解決の総合案内所として、借金問題をメインとした相談を受け付けています。

法テラスでは弁護士費用を立て替えてもらう制度があり、分割払いで法テラスに返済を行う必要があるのです。

実際に立て替え制度を利用する場合には、「利用条件」「資力基準」「資産要件」など細かな基準があるため、法テラスのホームページから確認してみてください。

司法書士に依頼する

自己破産を司法書士に依頼することで費用を安価にすることが可能です。

司法書士に自己破産依頼を行うと、以下のような部分で違いは発生します。

1.裁判所へ出廷する回数
・弁護士の場合
裁判所で開催される「免責尋問」1回のみの出廷でOKです。
・司法書士の場合
申立後に裁判所で裁判官と面談するとき(1回目)と、免責尋問(2回目)の合計2回の出廷が必要です。
2.司法書士の場合「免責尋問」「債権者集会」に出席できない
自己破産手続きが「同時廃止」で進む可能性が高い場合には、司法書士への相談も検討しましょう。

まとめ

フリー素材この記事では、自己破産手続きの概要からメリット・デメリット、自己破産費用が支払えない場合の対処法に触れて解説してきました。

以下、本記事のまとめです。

  • 「自己破産」とは、法律上の借金の支払い義務を免責する手続きである
  • 「自己破産」を行うと、車・住宅・土地などを手放す必要がある
  • 「自己破産」では「同時廃止」「管財事件」「少額管財」の3つの手続きに分類される
  • 法律事務所によっては、自己破産費用を「分割払い」にすることも可能である
  • 法テラスでは自己破産費用を立て替える制度も用意されている

自己破産手続きは、債務をすべて免責する大きな減額効果がありますが、資産を手放す必要がある等のデメリットも大きいです。

目先のメリットだけにとらわれずに、デメリットも理解したうえで手続きを進めることが求められます。

「法律事務所への無料相談」「借金減額シミュレーター」などを利用しながら、自分の状況に合った債務整理方法を検討することが大切です。

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